小人族の聖女   作:柔らかいもち

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 お気に入りの小説が沢山消えて精神的にショックなことが重なったりしてモチベが低下したり、書き方やプロットを忘れたりしていたのもありますが、遅れた原因は時間がなかったせいです。

 これからも投稿間隔が大きく開きますがご容赦ください。


十二話

「この度は、助けていただき……ありっ、が、とう、ございます……!」

 

 理不尽ないちゃもんに頭を下げたことは何度もある。心にもない感謝の言葉を告げた回数も数え切れない。それでも自分の感情を押し殺して為すべきことを行えるのがリリという少女だった。

 

 そんな彼女が悪感情を隠しきれずに顔を歪め、謝意を口にすることすらスムーズにできなくなる人物は何人か存在する。

 

「まさか君がいるパーティが僕達のキャンプに運び込まれてくるとは……流石に予想できなかったよ」

 

 その内の一人が筋骨隆々のドワーフと女神にも勝る美貌のハイエルフに両脇を固められている黄金色の髪を持つ小人族(パルゥム)、【勇者】フィン・ディムナである。

 

 赤髪の女に襲撃を受けたリリが意識を取り戻した時、彼女はベルやヴェルフと共にテントの中で寝かされていた。『凶猛の魔眼』のおかげで意識は瞬時に覚醒し、兜が壊されたことを思い出すと急いで身体にかけられていた毛布を引き裂き、万が一にも目に映ったものを肉塊に変えないように即席の眼帯を身に付けて一息ついたところで自分達を看病していたアイズにフィンの所へ案内され、今に至る。

 

 ちなみにアイズはリリを案内するなり看病のためにベルのいるテントに戻っていた。フィンのいる幕屋に入るまでの間、ずっと身体に突き刺さっていた禍々しい視線に対する肉壁がいなくなったことにリリは憂鬱になった。

 

「さて、思うことはたくさんあるだろうが一先ず置いておこう。情報交換といこうじゃないか」

「……わかりました」

 

 お前達の情報なんかいるか! と反射的に叫びそうになるのを唇を噛んで堪える。フィンから齎される情報は右から左に流し、自分達が18階層にいる経緯を簡潔に伝える。

 

「Lv.7以上の赤髪の女だって?」

「ええ。最低でもオッタルと同程度です。武器も一度防御に使っただけで壊されました」

「その女はどうした?」

()()()()()。そもそも何故生きて18階層にいるのかもわからないのです。貴方の話では私がベル達を運んできたそうですが、まるで記憶にありません」

「ふむ……襲われるような心当たりは?」

 

考え出したフィンに代わるリヴェリアの問いにリリは一拍置いて答える。

 

()()()()()()()()()()()

 

 未だに【小人族の聖女(フィアナ)】の功績を認めない者、小人族(パルゥム)でLv.4に至った彼女を妬む者、馬鹿らしい正義感に酔った連中から被害を受けた小人族(パルゥム)等、数え上げればキリがない。『暗黒期』では殺戮を尽くすリリに『秩序を守ろうとしているとは思えん所業だ』とか『悪に相応しき力を持ちながら正しく生きようとする異端者め!』とか言われて、どちらの派閥からも狙われたことがあるのだ。

 

 尋ねながら気付いたのだろう。リヴェリアは申し訳なさそうな表情で口を閉じた。

 

「それで? 私達をどうしますか? 厄介な連中に目を付けられている他派閥の人間など追い出しますか? 娘同然に扱っていた少女より幼い子供を使い潰そうとするのですから、今更そのような選択をしても心は痛まないでしょう?」

「……今の僕達は心に余裕があるから痛みを感じやすくてね。見捨てたりはしたくないんだ。配給に限りはあるけど食事は提供できるし、揉め事を起こさなければあのテントは好きにして構わない」

「揉め事が向こうからやって来た場合は? 具体的にはここに来る際、私に殺意を向けてきた胸のあるアマゾネスですが」

「私から言い含めておく。それと申し訳ないが、手荒な方法による解決は最後の手段にしてほしい」

「……」

 

 リリはため息を吐いた。暴力を控えるよう忠告してくるあたり、彼等も何事もないとは思っていないのだろう。もし忠告されていなければ肉体言語による話し合いで解決できたのに。エロジジイ直伝の関節技(サブミッション)と電気あんまをキメてやれば、大抵の相手は鶏を絞めたような切ない鳴き声や絶叫を上げて降参するのだ。ジジイに散々使ってきたので効果は明らかだ。

 

「こちらからは以上だ。行ってくれていいよ」

 

 見てもわからない程度に頭を下げ、リリは幕屋を退出するのだった。

 

 

 

 ♦♦♦

 

 

 

 少女が立ち去った後の幕屋にて。

 

「盛大に嫌われておったな……」

「我々の行いを考えれば当然の態度だろう。当時の状況に余裕がなかったとはいえ、割り切ってほしいなど口が裂けても言えん」

「だがあの態度だと必ず諍いが起きるぞ。特にリヴェリアとフィン、お主等を慕うエルフ共やティオネが一番危うい」

「そうだね……団員達はラウルやアキが仲裁してくれるからいいとして、ティオネにはリヴェリアから伝えておいてくれ。今回は僕から言えば逆効果だ」

「だろうな」

「……なぁ、フィン。お主、まだ諦めておらんのか?」

「……ガレスにはどう見える?」

「知らん。だが儂の知っている小人族(パルゥム)は面の皮が厚い上に、変なところで諦めが悪い」 




 新刊が出るたびにフィン達やオッタルにガッカリしている。お前ら一族の再興や女神の忠誠が闇派閥に負けてるけどいいのか?
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