次の投稿は遅れると思います。
迷宮都市オラリオでダンジョンに並んで有名な建造物『バベル』。ダンジョンの監視と管理の役割を持つ摩天楼の八階にリリはいた。
バベルは冒険者のための建物と言っても相違ないほど様々な施設が揃えられている。冒険者用のシャワールーム、簡易食堂、治療施設、ギルドにもある換金所等々。今いるのは冒険者用の装備を取り扱う【ヘファイストス・ファミリア】のテナントである。
ここに来た理由は高くなった【ステイタス】と強い武器を手に入れたベルに相応しい防具を購入するためだ。装備の目利きができるようになるのも冒険者の必要事項であると考える彼女は、購入者のベルと彼に付いていったエイナを待っていた。
――というのはあの二人のための建前で、リリは熟考するための時間と場所を確保するためにここに残っていた。
(【フレイヤ・ファミリア】がベルを狙っていると判明している以上、私が傍を離れる訳にはいかない。彼自身の装備を整え、信頼できる仲間を作らせ、【ランクアップ】をさせて強くする。それまで私自身の昇華はお預けです)
エイナを通してギルドへ【猛者】、もとい【フレイヤ・ファミリア】に襲われたことを報告したが無駄だろう。絶大な権力と武力を持つ都市最強派閥の一角に不満を持たれる危険をギルドは犯さない。注意や罰金命令を出せばいい方だが、どうせ上層部に握り潰される。結局、自分の力で解決するしかない。――泣き寝入りするつもりは毛頭ないが。
より強くなることを誓ったリリ。しかし、Lv.3であり、『凶猛の魔眼』を持つ彼女が【ランクアップ】するための偉業は生半可なものでは認められない。『下層』を超えて『深層』まで潜る必要があるだろう。階層主の『アンフィス・バエナ』を水中で仕留めるという案もあるが、『下層』を行き来する冒険者達がすぐに討伐する。一人で戦わせろなんて我儘は通らない。そもそもベルを置いていけない。
なら地上でリリより強い冒険者に相手をしてもらう……のも無理だ。殺す気で相手をしてほしいなんて頼まれて了承する第一級冒険者なんてまずいないし、心当たりのある連中は絶対頼りたくない。というかそいつ等を警戒しているのに頼るなんて本末転倒だ。
歯がゆいが、ベルに強くなってもらうことが一番の対策なのだ。強い武器があれば敵を倒せる。強い防具があれば攻撃を防げる。強くなれば死ににくくなる。
そこでふと、ベルの新たな
(というかあの《ヘスティア・ナイフ》とは何なのでしょうか?
オラリオ最高の鍛冶師を超える腕を持つとしたら一人……ではなく一柱しかいない。つい先程下の階で働いていたロリ巨乳の神友である鍛冶神だ。ついでにロリ巨乳が働いていたのは【ヘファイストス・ファミリア】の店だった。
(話は付けてあるなんて言っていましたが、間違いなくベルに気を遣わせないための嘘でしょう。私が鬱憤を晴らしたついでに稼いだ四〇〇万ヴァリスを血走った目でガン見していましたし……本当にいくらつぎ込んだのやら)
いつの間にか色ボケ女神から貧乏神に頭を悩ませる少女の背中で黄金の槍がキラリと輝く。
――槍の銘は《フォルティア・スピア》。とある勇者と同じ武器である。リリが無償で第一級武装を手に入れられたのはある人物が材料や代金を提供したからなのだが、口止めをされているゴブニュは正体や事情を教えなかったため、リリはそんな裏事情を知らない。ちなみに価格は一億三〇〇〇万ヴァリスである。
実は自分も女神に負けず劣らずのヤベェ借金と借りを作っているとは思わない少女のところに、少年とハーフエルフが戻ってきた。ちゃんと目ぼしい物は買えたようで、嬉しそうな顔をしている。
「いい品は手に入りましたか?」
「うん! このライトアーマー、ギルドの支給品より軽いのに頑丈なんだ! ……名前が残念だけど」
微妙そうな顔になったベルが持つボックスから防具の一つを取り出す。刻まれているのは【ヴェルフ・クロッゾ】という製作者のサインと【
正直リリには『クロッゾ』の方が気になるのだが……【
「いい名前だと思いますが」
そう言った途端、二人にドン引きされた。とても解せなかった。
それでもこっそり買っておいた
♦♦♦
ベルが初めての魔法にはしゃぎ過ぎた後の話。
「ベル……貴方も年頃の男の子。どうしても溜まるものは仕方ないと理解しています。だから夜中に抜け出すのを見逃したんです……隠れて自慰行為をすると思ったから。なのにダンジョンで魔法を使い過ぎて倒れるような真似をするなんて。今日という今日は怒りました。
「
「鍛錬ですが。魔法を使わせて
「ベル君に跨っているくせに信じられるかぁ! 絶対に別の意味を含んでるだろその言葉! 卑猥な意図がないなら今すぐ即刻迅速に風よりも速くベル君の服から手を離せぇええええええええええっ!!」
リリは色んな意味で口が悪いです。というかフィアナもこれくらい言いそう。むしろ言ってほしい。
次は初めての冒険にしたい。……卑猥な意味じゃないよ?