女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記― 作:おかひじき
骨董屋での買い物も終わり、オレらは阿形さんたちと別れて、後回しにしていた時間城へと向かう。これは結構時間かかりそうだ。
まずやるべき事は、時間城の主が=オレ達を転生させたあの主で合ってるのかちゃんと確認して、そしてオレらの設定も再確認して、もし仕事があるならやって、悪魔になったオレの仕事上の契約も大丈夫なのか確認しなきゃいけないかな。
他にも細かいのはいくらでも出て来そう。気が重い。
まあそこに関しては悪魔を転生先に選んだオレの自業自得なんだけどさ。
「私達えーっと、設定だとマジックカード部門だっけ?」
「ああそうだな、悪魔と戦ったり育てたり複製で手に入れたり……だったかな?」
カードショップ「サバトマオン」はライバル店かと思ってたが、実はディアカードで15万円クラスになるほどカードが供給少なすぎ、需要を全く満たしておらず、まともな供給ルートが成り立つほど量がないので基本融通のし合い、支え合いの共存共栄関係らしい。
オレらは不足しがちなカードをわずかながらも供給してくれるお得意様だったというわけだ。もちろん時間城、サバトマオン、お互い様でね。
車は駅から離れ、国道から少し入った旧道沿いにデデン!と建った時間城へとたどり着く。
マジでお城……吸血鬼とか住んでて吸血鬼ハンターの定期訪問受けてそうな方のお城が田んぼの中にそびえ立っているが、不思議と違和感は無い。
もう何年もここに建ってるし地域の名物ですよってツラしてやがる。
田舎特有の無駄に広い駐車場に車を置いて、従業員入り口から中に入った。
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「よく来た。色々実体験を済ませたようだな。あらためて説明しよう」
何というか、普通にいた。待っていた時間城の主に空いていた応接間に通されて、こまごまとした説明を受ける。……案外暇なのか?
その説明によると。
● 時間城の裏の契約は、通常は真の独立事業主で自己責任。最低限組織として依頼や仕事の斡旋、緊急時の安全保障契約はある。
● 本人が男から女になろうが悪魔になろうが契約は変わらない。これは時間城の主との契約である。
● 設定に不具合が出ないように、既に知り合い・家族は設定を承知済みになっている。なおその設定による周囲からの評価の変動は自己責任である。
● マジックカードを売るか買うか、時間城や関係各所と取引をする事自体がメインの仕事。カードは単価が高いので忙しく働く事もない。カード以外の調達依頼もあるが、基本不足していつでも引き取れるのはカード。
● 依頼があれば受けられる。最もここは田舎なので多くはないしレベル一桁では無理。
等々、他にも細かい説明はあったが、まあ要するに、普通にRPGやるのに都合のいい契約になってるって事だな。こいつはRPGをやらせたくてオレらを転生させたんだろうし。
オレらだって受け入れられる所は受け入れたからな。
「この、関係各所ってのは?」
「お前達も今日行ったと聞いたが……カードショップ『サバトマオン』とは提携してるな。お前達のうち2人は新人、1人は悪魔化で色々失ったという設定だから受け答えが怪しくても怪しまれる事はないだろうが、仮にも時間城の一員であるからには気をつけておくことだ」
ああ、そうか、仕事上の知り合いがいたとしてもおかしくないのか。設定上は。
ちょっと危なかったかもな。
「どうやら積極的に異界攻略を進める気のようだし、仲間も増やす気のようだな。助言や助力はいるかね?」
「要らん」
ニャル様の助力なんぞいるか!
「ククク……」
あーもうホント楽しそうだなこいつ、何だろうオレらの反応見るのが一番楽しいのか?
何にせよ説明は終わり、今聞きたい事は聞けたので、現在・過去の依頼データと依頼の掲載されたアドレスを記録してから時間城を後にした。
カードを買おうかとは思ったが……相場高いからなぁ。フツーの転生ものならここでまたガチャとか引けたりすんじゃねーの?うん。無理なのは分かってる。一期一会みたいなものが時間城の主のこだわりなんだろうし。
「頑張らねぇとなぁ……」
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「あー疲れた。ちょっとガンショップで遊び過ぎたかなぁ」
拠点に帰るなり、リビングのソファーに大股開きでその身を投げ出して、スガルがしみじみと語った。
まーちょっとスガルはね……初めての異界アタックの時も銃はお飾りで、とにかくギロチンアクスで両断!たまにペルソナァ!してたから、銃撃つのはガンショップの試し撃ちが初めてだったんだよね。
持ち込んだナンブ2の試し撃ちではしゃぎまくり、調子に乗ってサブマシンガンも試し撃ちしたら、その意外に大きな胸が暴れ回ったらしく、銃弾発射の振動に合わせて「ボボボボボボボ」とかいう奇妙な声?を発した後にうずくまる始末だったからな。
銃の扱いとか筋力とかよりも、スガルはTシャツを好み、今日は「セクシー」と書かれただけのフツーの白Tシャツとミニスカートにスパッツっていう防御力が低そうな私服だったのがいけなかったのかもしれない。うん。
今の時間は午後2時半、出かけるにはもう半端な時間だ。
もう今日は休みでもいいかもしれない。
「ところでさー、お前セラフィックアイドルって言ってたけど天使なの?天使になりたいとか?」
「直球だなおい。結論から言うと、別に天使ではないしなりたくもない」
まあ天使のようにかわいい(形容詞)って意味ではあるんだけどな!
「天使じゃなくてもさー。そう名乗ったら例の神とかメシアンとか天使とかに目をつけられたりしねーか?大丈夫か?まだ神の声とか聞こえて来てたりしてないよな?」
「……その発想はなかった」
そりゃ時間城の主も笑うわ!全力でメガテンの地雷踏んでるじゃねーか!
今更気がついた自分のアホさかげんに頭を抱えて、今更出来ることはないと開き直る事にした。
「四文字ハゲだろうがメシアンだろうが天使だろうが何でも来いや!こちとら自分の意思でバ美肉悪魔転生したマジキチじゃボケがぁ!」
「……なんかヤケクソになってねえか?本当に大丈夫か?」
「はは……スガルに心配されるってのは相当だね」
そこのなんか……レトロなゲーム持ってきたミミカさん。
何で私はまともですよみたいなツラしてんですか。TS地味系眼鏡っ娘サマナー転生してハイレグアーマーバニー姿で異界探索に乗り出したミミカさん!
「そしてスガルはスク水ギロチンアタッカーなワイルドだ!いや冷静になって考えると我ながら属性多いな。とにかくアレだ、スガルたちは同志!真の仲間ってことで!」
なんか盛り上がったスガルがミミカの手を握り、オレの手も握ろうとして空を切る。
……霊体だからね。
しょーがねーのでちょっとこっちから手を繋いでやった。ちっさい手だな。
これでよくあんな暴れられるよな。
「おう、サンキューな。えいえいっ!」
スガルはその手を激しく上下に振って、離す。
そして勢いよく、元の位置のソファーに倒れこんだ。埋まってら。
何か、気分が軽くなったな。
「あー、ドリキャスあったんだ、一緒にやろう」
そうかもしれんとは思ってたけどそれやっぱドリキャスかよ!ミミカが持って来たのはドリキャスだった。もう何年かぶりにソールキャリバーをやったらほとんど操作忘れてるし、スガルは未プレイだったが同レベルで面白い。
特に何事もなかったが、なぜか盛り上がり過ぎて気がついたら夜だったのでお開きとなった。
ミミカとスガルは人間だから、ご飯とかお風呂とか長時間の睡眠とか必要な時間が多いんだよな。
いつの間にか身についた悪魔感覚で物事を俯瞰しながら、オレはアームターミナル経由で移動して、オレの『太閤』異界へと帰還するのだった。
地雷は気付かずに踏んでいるもの