女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記― 作:おかひじき
翌朝。オレはスガルのスマホCOMPに乗り込んで、スガルと共にオレの家の近くの田園地帯を通り抜けて徒歩でしおさい商店街のカードショップ「サバトマオン」に向かう。
まあ、徒歩とは言っても歩いてるのはスガルだけで、オレはスマホCOMPの中にいて、そのスマホCOMP本体はスガルが高校の時に使ってたという設定のスポーツ系キャリーバッグの中に入ってるんだけどな。
国道を渡り、農道を通って、開店すぐのカードショップ「サバトマオン」の3階の方に入るが、店員以外誰もいない。普通のカードショップだとスペースに入るのが有料会員制だったりするが、ここは裏がメインなので無料。変わりにアナライズ的な何かがあるらしいが、そこは今は関係ないかな。
「なあ、今日持って来たのギャザだっけ?スガル昔やってたけど新しいカード全然知らないんだけど」
「安心しろ、オレもだ」
なので、ここにあるのは昔日の名カード達……ただしお高過ぎるカードは下位互換のお求め安いカードで構成された、MTG……マジック・ザン・ギャザービートをエンジョイするためのカード束だ。
「スガルは……これかな?」
スガルはぐてーと半ば机に突っ伏して、「スーサイド」を手に取る。
ふむ。ならばオレは「スピリット十字軍」で迎え撃つとするか。
ゲームスタートし、お互いに土地を並べてにらみ合う。
「あ、ずりー!」
「ずるくないですー、戦術ですー」
スピリット十字軍は、各種耐性を持ったスピリットや騎士に、永続魔法「聖戦」を重ねがけして殴りあう戦術である。特に闇属性だらけの「スーサイド」には強く、スーサイド選択を見た後に選ぶのは少々ずるい。でもやっちゃう。オレってこすい大人だし。
「異界稼ぎで十分な収入になりそうだし、スキルカードが名目上の本業って言ってもこだわらなくても良さそうだけど……スガルはどう思う?」
オレは自分の霊体を出して「スピリット十字軍」の陣容を整えながら、時間城の仕事について語る。
「そうだな……別にガツガツ集めなくても、確かドロップアイテムでカード落とす悪魔とかいたよな?運ドロップで十分なんじゃないか?」
スガルの陣営には「影」の能力を持ったモンスターが並んでいる。
オレのモンスターの守りをすり抜ける作戦だな。それしかないとも言うが。
「ところで……ベルベットルームのアテとかはあるか?合体出来ないのは流石にきついんじゃないか?」
「あ、それは大丈夫だぞ。時間城の主がペルソナ合体やってくれるって言ってたから」
何と……あいつがか。出来るかできないかで言えば出来そうだけど。
「でもゲームでやるみたいにキャンセル厳選は禁止で、色んなオプション無しだから根性で最強ペルソナ作るぜ!とかは出来ないけどな」
「ああ……うん」
そうだよな。めんどくせーことは嫌がるよなあいつ。
テーブルの上では、スガルの「スーサイド」が速攻を決めてオレの「スピリット十字軍」がまさかの敗北。
「あれ?勝っちゃった。案外勝てるもんだな」
スガルがドヤっている。うぜぇ。
「スガルさんにゼロッチさん、おはようございます」
スガルのほほを引っ張るかデコをひっぱたくか悩んでいたオレに声を掛けてきたのは、5割増で光り輝く美少女と化した裕奈ちゃんだった。
「あー、あのー、これは阿形さんがちゃんとしなさいって……え、ええとそうじゃなくて、その、カードゲームですか?」
その後、「新緑ドロー」を選んだ裕奈ちゃんを巻き込んで、少し話す。
「どーも。ペルソナ使いなんだよな。スガルもなんだ。スガルはワイルドだけどな?」
スガルが余計な対抗心を見せるが、特に何事も無く自己紹介は終わる。
まあ裕奈ちゃんはペルソナ1とか言ってたし、ワイルドだのなんだのは無関係だしな。
裕奈ちゃんの「新緑ドロー」とスガルの「スーサイド」とオレの「スピリット十字軍」で三つ巴の戦いを行い、裕奈ちゃんとスガルがやりあってるうちに「聖戦」を重ね掛けして「ナイト」に攻撃させたオレが勝った。勝てばよかろうなのだ!
「あーくそ、負けた負けた!次、次!」
スガルは「スーサイド」のカード束をしまい込み、今度は「ゴブリン」の束を手に取った。
分かりやすいな、スガル。スガルが変えるならオレもということで、オレは「カブトガニ砲」にチェンジした。裕奈ちゃんは変えないらしい。
だが、次は裕奈ちゃんとスガル2人での戦いだ。オレは見学。
「なあ、ペルソナ使いならベルベットルームってか合体施設もあるんだよな?お前のはどんなんだ?」
ゴブリンを並べながら、スガルは裕奈ちゃんに話しかける。
「え、ええと……ボクのは、ウライチに来るカメンヒジリさんがやってくれる……らしいですよ?契約後は鍵を渡されるから出入り自由って話なんですけど、その鍵もらってないんで……」
「ウライチ?」
ウライチ……裏市。ここのハチマン神社では、8のつく日に伝統のフリーマーケット、ハチマン神社の市が開催される。その裏、悪魔業界のアイテムや色々を扱うウライチ……。
「へー、面白そうじゃん?」
呼び出したゴブリンで攻め込みつつ、スガルは興味深げに目を輝かせた。
確かに、何が売られているのかは気になる。そしてカメンヒジリ……。
「カメンヒジリって真2の……ガイアーズだっけ?ハチマン神社だけどガイア勢力だったりする?」
「あ、いえ、ハチマン様はハチマン様で……属性的にはむしろロウです、でも市(イチ)もそうですけど、かなり広く受け入れてるので……」
「ふーん……」
まあ、プロテスタントなんちゃら会派の阿形さんも転生者として受け入れてる位だしな。
ここのハチマン様は懐が深い方なのかもしれない。
「え、ええとその、ボクと阿形さんとヒナちゃんはここの……リアルの方のハチマン神社の地区の生まれなので……。氏子だとか産土神だとか説明されましたけど、その中で才能と意思のある子を選んだとかなので……」
「そーなのかー」
3人とも地元だったのか。オレはこの街に来たばっかで事件に巻き込まれたからな。
テーブルの上では、ゴブリンキングと森の魔術師の殴り合いが展開されている。
「ところでさー、ゼロッチ『手口』とか言ってたけど、具体的には何だ?」
戦いを進めながら、スガルが問うて来る。まあ、そこは疑問だよな。
前言った時にはオレ自身細かいとこ決めてなかったし。
だが、今はおぼろげながら手口のようなものが見えて来た所だ。
「単純な話、オレ自身が『手口』になれる」
オレは電霊としての能力と、推定時間城の主経由の能力も合わさって、「化身」を作り同期によって同一性を保つ事ができる。実は悪魔としての仲魔契約も有名無実化している。だって同期で契約してない化身との差分を上書きすればいつでも、というか試しにやって戻して……ゲフンゲフン。今のオレを縛っているのは、信頼関係だけということだ。
そういう……実はいつでも戻せる化身を様々な形で派遣し、援助兼監視を行って派遣先を個別に全部直接オレが繋ぐ……。
「まるでニャル様みたいだな?」
「一緒にすんな。どうせならコンピューター様とかの方にしてくれ」
「ほへー……」
正直今の所、スキルもレベルも貧弱なので、先の話になりそうだが……電霊としての適応力というかネット親和能力と2次元と3次元を繋ぐ能力はかなり高いと自負している。電霊としては人間をネットの中に入れる能力もありそうだが……それはちょっと怖くてやりたくない。それをやったら何か大切なものが取り返しがつかなくなる気がする。気がするだけだと思うけどな。
まあとにかく阿形さん達を助けてロッチを派遣したのがその一歩で、色々お試しする機会でもあったわけだ。
「ちょっと衝撃の事実なんだが……」
「もちろん簡単に裏切る悪魔なんて信用されんから、上書きはあくまで最終手段だけどな」
普段はむしろ協力的な悪魔してよう。元人間の感性を生かしてふるまうのもいいし、電霊能力もアピールすれば切り離せない存在になるだろう。
「お前性格悪いなぁ……」
「大人になるって悲しい事なの」
そうこう話しているうちに、テーブルの上では裕奈ちゃんの「新緑ドロー」が猛威を振るい、永続魔法と装備品をゴテゴテにつけてパンプアップゴリラとなった女魔術師がスガルを一撃で殴り倒していた。
「うへぇマジかよ……」
スガルと交代し、次はオレと裕奈ちゃんとの対戦である。
「お、お願いします」
さあ、見せてもらおうか、裕奈ちゃんの「新緑ドロー」の性能とやらを!
その後。フツーにカードゲーム三昧して。時間を忘れ、お昼はピースダイナーの方で食べて、またカードゲームして、帰りにはまたピースダイナーで持ち帰りの食べ物も買って……スガルが「星」のコミュニティに目覚めて感激して道端でオレの霊体に抱きつこうとしてスカって転ぶアクシデントもあったが、かなり充実した1日だったです。あ、裕奈ちゃんは阿形さんが迎えに来ました。完全に年の離れたお姉さんと妹だけど、中身と中身の年齢の事は気にしてはいけない。うん。
ほぼ初手でネットの中に入るハカーズ主人公はクソ度胸だと思う