女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記―   作:おかひじき

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 おっさんにだってスキルはありますよ!


セラフィックアイドルにう、異世界に降り立つ

 キャラメイクには時間をかけた。

見慣れた俺のパソコン……を模した端末を操作する。

どうせ生まれ変わるなら思い切って「霊体の悪魔」を選ぶ。

詳細な種族は初期ガチャ11連で引けということなので引いた。

遊びやがって……。

 

 レア枠一つ確定はあるが、現実なのでリセマラはないらしい。

ちくしょう。

 

「一応言っておくが、元の姿……人間であったことと整合性を保つため、この場合『自分の意思で悪魔になった頭のおかしい人間』となる可能性が高いが、それで大丈夫か?」

 

 何で今言うの?直前になって言いやがって。

 

「いいよ来いよ!人生運だ!ガチャ引いてやるよ!」

 

【悪霊】【悪霊】【精霊】<御霊>【怨霊】

【悪霊】<電霊>【悪霊】【精霊】【怨霊】【悪霊】

 

 悪霊多いな!レア枠は電霊と……御霊?

御霊とか自分でなっても全然嬉しくねーだろ。

 

「御霊の方は素引きだぞ?運がいいな?」

 

「うるせーよ!ニヤニヤすんな!」

 

 楽しそうにしやがってちくしょう。

まあ、電霊が引けたのは悪くない。上手くやれば最強になれる……かもだからな。

 

「ちなみに、ガチャが引けるのは全てひっくるめてこの1回だけ。

今のが一生に一度の選択、一期一会というわけだな?」

 

「後出しで言うんじゃねーよ!どーせガチャ三昧させて遊ぶつもりだろーなと思って、

てきとーに引いちゃったじゃねーか!」

 

 だんだん分かってきたぞ……こいつ見た感じと違って、あんま真面目に相手しなくてもいいやつだ。

 

 えーと、初期レベルは1。1からか?ああうん、最初から強いのは面白くないよね。ペルソナが無いとほぼ即死ですとか未覚醒の人間のままだと戦えませんみたいな、原作や二次でよくある超ハードモードじゃないだけマシと思う事にする。

 

 俺の基礎ステータス……ほぼ2~3、ご説明にあった通り運だけ11。

初期ボーナスとかは無しか。まあ、俺は俺だからな。

 

 うん?そうか、霊体の悪魔、電霊ってことはコピーを増やしやすそうだし、もし復旧したらだがリアル世界の方でも活動しやすくなったりもあるのか?

 

「肯定しよう」

 

 マジか、こりゃ頑張るしかないな。初期ステじゃ弱いし、俺そのままじゃ戦闘スキルなんてないだろうから先の話になりそうだけどな。

 

 ……あれ?なんかスキルあるぞ?端末のステータス表示の場所に、スキルが表示されている。

 

【休む】【挑発】

 

 つ、使えん……マジで俺が出来ることだけじゃねーか!

 

「当然だろう?」

 

「あーそうだね!当然だね!」

 

だんだんと時間城の主に対する対応が雑になって来てるけど仕方ない。

ずっとニヤついてやがるしホントにこいつは……。

 

 まだ電霊が引けて不幸中の幸いだったと言った所か?

電霊ならネットの中で活動出来るだろうし、現代じゃ多分最強。

普通の悪魔よりコスパが良くて強化もしやすい気がする。多分。

 

 ネット上のウィルスやらワクチンプログラムが、真女神転生2みたいにデータ上で悪魔化してたりするかな。それなら活躍の場所も多い気がする。だといいな。

 

 何にせよ種族は電霊を選んだ、次は見た目作りだ。それならやる事は決まっている。

 

 バーチャル美少女受肉……かつ悪魔美少女受肉、かつての俺が配信の構想を抱えつつもリアル事情で果たせなかった理想像。セラフィックアイドルにうの誕生だ!

 

 オレが宣言した所で、時間城の主がなぜかこらえきれずに盛大に噴き出して笑い転げた。全く失礼なやつだ。何はともあれ、こうして俺はメガテン・ペルソナ風異世界に、セラフィックアイドルにうとして降り立ったのだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

種族:電霊 セラフィックアイドルにう LV1

 

相性:銃無効、神経無効、破魔無効

 

スキル:休む、挑発

 

タイプ:運特化

 

 

 

 金属色の銀に輝き、腰まで届く超ロングヘア。

瞳は赤く、漫画でしか見ないような大きなフチ無し丸眼鏡で彩られている。

1対の大きな羽根も銀に輝き、しかしこちらは赤く輝くシャギーが入っている。

 

 セラフィックアイドルにう……にうの元ネタは丹生で、水銀を表す。

神秘的で毒を持った天使……のような存在だ。

 

 銀色・銀糸を大量に使ったウェディングドレス風衣装という設定で、下手なりに原画だけ描いてプロに発注しようかな?と考えた所で、3年前。母の信じるカルト宗教との戦いが始まり、それ所ではなくなり。そのまま闇に葬られたかに見えたが……ここに復活した。ククク、黒歴史。

 

 そのオレの黒歴史を俺の記憶から掘り返し、この身体を実際に作ったのは時間城の主だが、かなりいい仕事してるな。これに関しては感謝しかない。

 

 さて、ここはもうメガテン・ペルソナ風異世界なんだよな。

周囲を見渡すと、キャラメイクを行っていたパソコンとパソコン台以外何もない。

パソコンの明かり以外は真っ暗な空間で、時間城の主もいない。もう観戦モードか?

まあ、延々アドバイザーじみてついて来られても困るだろうしそれはいい。

 

 立っている場所をよく見ると、大体1メートル間隔で緑のレーザーっぽいラインが引かれている。何だろう、パソコン黎明期のバーチャル空間、電脳空間的なイメージなのか?ああ、種族電霊だしバーチャル空間スタートなのかな。

 

 しかし何もない……いや、遠くに光点が見えるな。

 

「近くで一番大きな光点はあそこか……っと!?」

 

 光点を意識した瞬間、オレはその光点の場所にいた。ここにもパソコンがある。

稼働中で、商品名やら売り上げやらのデータをやり取りしているようだ。

 

 その商品名を見ると、どうやらオレの家の一番近くにある、農業系ホームセンターのデータサーバのようだ。結局、こちらの初期地点はオレの家……なのか?

 

 まあそれはすぐ調べるとして。へー、SDカードとかも売ってるのか。なるほどなー。

 

 来たはいいが、農業系ホームセンターに用はないので、次の光点を探す。

どうやら通信速度が移動速度になるようで、個人用PCやスマホの中には移動が「重い」ものも多く、大きな光点……多分公的機関か法人であろう場所を探す。

 

 とあるリサイクルショップのPCの中に入った時、なんかほとんどデータが見えなかったのでつい覗こうとちょっかいをかけたら、ワクチン:イイセットロボの群れに襲われてほうほうのていで逃げ出す事になった。すごいぞイイセットロボ。

 

 何でここだけ見えなくて、ここだけ電霊のオレに対する対抗策があったんだ?いや、因果関係が逆か。ここには電霊への対抗策があった、今までの場所にはなかった、そういうことだな。

 

 オレは初期地点に逃げ帰り、推定こちらのオレのパソコンを操作して、通常の形での人間っぽい情報収集を始めながら、思いを馳せる。

 

 あれだな、せっかくバーチャルな存在になったのに、何も分からんままなんとなくハッキングしてたらそうなるよな。オレがハッキングなんかとは無縁なニンゲンだった事はさておいて。

 

 この初期地点のパソコン、中身はリアル世界のオレのパソコンと9割がた同じだった。しかし、見過ごせない1割の違い、悪魔召喚プログラムは当然のようにあったし、大きく違うのは古い履歴書のデータと、時間城フォルダの中身。

 

 リアルのオレは三流私大を出て介護業界に滑り込み、あとはご覧の顛末だったが、

こちらのオレは高校を出てすぐ時間城に就職し、そこでアンティークカード部門担当として働いていた……ということになっているらしい。これあいつやってんな?どう見てもマジックカードですね……。

 

 いくつかの施設名が取引先として記され、メガテン・ペルソナ原作にはない『渋田海岸』という出張先、多分異界にも行っていたようで、アナライズログとしてゴーストやポルターガイストの名もあり、生体エナジー協会や聞いた事もない館の名前……おそらく邪教の館の名も出てくるので、デビルサマナーとして活動していたという『設定』は作られてるんだろうな。

 

 そこまで見て、次はお定まりの原作ユニークを探す検索である。

時間城はあっても、どうやら別にここはペルソナ2の珠閒瑠市というわけでもないらしい。

フツーにリアルのオレの最後にいた場所、祖父母の家のある田舎だ。

しばらく調べたが、その他原作っぽいユニークな地名や人名もぱっとみ見当たらない。まあこれは継続的に調べる必要があるかな。

 

 さて、パソコンの中をチラ見したら、次はネット上の自分探しだ。

ブックマークや専用ブラウザの中からログを漁って……ん?これは……?

 

 ネット掲示板系の専用ブラウザには、自分のログを「自分」と表示してくれるものがある。その「自分」の中に。

 

「オレは人間をやめるぞ、JOJOォォォォ!!!!!!!」

 

 と叫んだ書き込みがあった。えーと、これは「ごちゃん」の「ヴいチューバー」板の、「バ美肉する方法を考えるスレ」の書き込みですね。ククク……これもまた黒歴史。

 

 これが、パソコンの時計と照らし合わせると8時間前。どうやらこちらのオレはマジで悪魔的にバ美肉しちゃった系の人って事になるな。うわキツ。

 

 ごちゃんの書き込みだし、これからすぐ事件でも起こさない限り特定はされないだろうけど、興奮しすぎてDIO様宣言しちゃうとか駄目でしょ、色々と。

 

 他にも色々と書き込みを漁ると、どうやら新しいSNSにはあまり寄り付かず、「ごちゃん」や「つべ」や「ニコ」といった比較的古いところにずっと居ついていたようだ。まあ、オレはオレだったってことか。

 

 しかし……SNSではなかなか個人情報は出てこないな。まあオレはオレだし。ネットで特定されるのはタブーだからな。実際このごちゃんの書き込みもヒモ付いてたら危なかった。危ない危ない……。

 

 仕方ない、危ないかも知れんが、悪魔召喚プログラム関連のフォルダを開くとしよう。開いてすぐ分かったが、仲魔はいない。そうだよな、バ美肉して悪魔になるんだもんな。アナライズ機能でオレのステータスが再確認出来る。製作時のスペック通りだな。貧弱一般悪魔……電霊としての能力でどうにかならんかな?

 

 電霊としての能力って具体的に何だろう。ソウルハッカーズでは色々やってたけど、あれは多分高位の電霊なんだろうな。オレにはよく分からない。オレは感覚で電霊をやっている。

 

 仲魔以外も見ておくか。溜まってるマッカとマグネタイトが両方1万ほど。他にネット上で確認出来る現金やポイント類が数百万円分。しばらくは目立たないように隠れながら電霊としての力を試すと同時に、こちらのオレと今のオレとをきちんと繋げる……やりたくないけど、邪教の館くらいにはバ美肉カミングアウトするのは必須だと思う。

 

 憂鬱だ……いやオレ元々バ美肉おじさん予備軍だったけど、バ美肉おじさんがバ美肉兼悪魔転生してそれをカミングアウトしなきゃならないなんて。あ、実体化まで行けるのかも試さないとな。やらなきゃならない事は多いけど、自分で選んだ電霊美少女化だし、頑張るしかないか。

 




 だって人間をやめるならDIO様ごっこしたい……。
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