女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記― 作:おかひじき
アームターミナルからデスクトップCOMPに戻ったオレは、更なる動画作成のためにニッチと相談する。ニッチを動画作成と生配信準備に集中させるため、ゴッチを情報収集の補佐につけることにした。
イッチはもちろんオレと一緒に動画と生配信に出演、サッチはスウィートトラップの時のように、色々工夫して新しいスキルを身につけられないか試してもらう。ヨッチにはクッパパを最初から読み通す仕事を与える。
そして新しい化身「セブン」を作り、ネットワークに放流して直での捜索活動をやってもらう。
ネットをウロウロして、オレのような電霊や電霊事件、電脳異界を広く探すのが役目だ。
出来れば世界中で探してもらいたいけど、オレ外国語なんて出来ないからなぁ。今は翻訳サービスもあるから、それを活用すれば外国での活動も出来なくはないかもしれないが。
ただ、メガテン・ペルソナ的な意味では海外の情報や海外リスクの都合もあるので将来的には外国語出来た方が良さそう。事態が一段落してからの目標かな、これは。
「行って来まーす」
「その後セブンの姿を見た者はいない……」
「不吉の予言詩やめろ」
「お、新スキルかな?」
「新スキル欲しいなーオレもなー」
「電霊なら、生体MAG抜きくらいちょっと……やれんか?」
「(やれ)ないです」
「霊体を生かして……降魔系即死魔法のデスティカとか……どう?」
「何それ怖い」
「申し訳ないがガチすぎる悪魔スキルはNG」
「それな」
「電気は?」
「電霊っぽい」
「やれますねぇ!」
「やりますよーやるやる」
そういうことになった。だが、流石のオレも夜に大きな音の出る電気系のスキル開発みたいな真似をやらないくらいの常識はあった。
なのでオレとイッチは大人しく動画……というか初の生配信で、DDS公式で包括契約しているらしいゲームの実況をする事にした。お、スタグラ2あんじゃん!これで行こ。
………………………………
おかしい。視聴者数が伸びない。まあストーリーを1回クリアした後、オレとイッチで対戦しつつ視聴者との対戦も解放してコメント欄は盛り上がったのだが。
しかし視聴者数は無情の129。これはまだマシな数字なのか?
《あ、悪魔たん……》
《皇女様強すぎて草》
《そのウェディングドレス素敵だね結婚して》
せっかく解放したのに、合計2時間たって挑戦者は1人、のべ12人。つまり同一人物が12回だな。流石にドリキャスを電霊的に無理やり仲介して今時ドリキャス対戦!は無理があったか?
「当たり前だよなぁ?」
「イッチうるさい」
くそっ、わりと電霊能力で凄いことやってるのにこいつら分かってねえ、いや、1人でも対戦してくれたんだから御の字か?
「き、今日はこのくらいで勘弁してやる!またやっから来いよ!」
《おう、考えてやるよ》
《行きますよーイクイク》
《その羽かわいいね結婚して》
こんなんで配信やって行けるんだろうか……。いや疑うな、セラフィックアイドルにうのポテンシャルを信じるのだ!
………………………………
「んじゃー実験すっぞ」
「よーそろー」
「よーそろー違う」
「準備OK!」
オレ、イッチ、サッチ、ヨッチ。翌朝十時くらい、オレ達は霊体となって新スキル「放電」の開発実験のためうちの駐車場に集まっていた。
「じゃヨッチは帰って」
「えっ?」
「えっ?」
あまりの扱いに悲しみ顔になったヨッチだが、サッチによるとまずヨッチがサイバースペース……今回は『太閤』異界の中で電気を溜めて、それを同期能力や電霊的本能を介してサッチに繋げ、外に出ているサッチが放電するという流れで試すらしい。
「1回1回それやると電気代凄いことになりそうだな……」
「基本悪魔のやる魔法・特殊スキル系ってマグネタイトを介してだから、1回マグネタイトの流れを掴んでスキル化しちゃえば次からは電気の力は使わなくても出来るようになるんじゃないかな……なるといいな……」
うんそうだね、そうなるといいね。だから試すんだけど。
「ヨッチ出来たかー?」
「おう、出来た出来た。そんじゃ行くぞコラ!」
「お、おお!?」
サッチの霊体が、電気を帯びていくのが分かる。
「来た来たー!今、必殺のー、サンダー……」
「サンダー、ってわわぁあぁぁあぁあ!!?」
瞬間。駐車場に電光が迸った。盛大な音と共に、雑に標的として立たせていた鉄パイプがひしゃげ、はじけ飛ぶ。
「ヴォーすげー!」
「やりますねぇ!」
「結果は!?アナライズ出来てた!?どうだった!?」
サッチとオレ達はすぐに「はなれ」のデスクトップCOMPに戻り、ニッチの観測したデータを確認する。休む、挑発、スウィートトラップ、見慣れたスキルの他に、新しく「ジオンガ」が表示されている。
「やったぜ」
「電撃はさいつよ」
「ジオハメ来るー!?」
来ちゃったかな……オレの時代!当初の予定の「放電」じゃないが十分な成果だ。
「よーし、この最高の気分のままー!?」
「気分のままー!?」
「あのこどこのこのこ?(PS1)で動画収録です」
「あっそう……」
「これだよ」
スキルの確認も出来たし、とりあえずジオンガを同期で共有したらこのまま動画収録開始しよう。とにかく次々動画出すか配信しないと勢いが出ないからな……。
とりあえずプレイ開始、オレはあやちゃん狙いで行きますかね……。
このゲーム、パーティ系恋愛ゲームっていうこの時代結構あったけど今はないゲームなのでまず狙いを定める。
「じゃあオレは王道を行く、あややんで……」
「あやちゃんしか勝たん!」
「あや様以外選ぶやつおるん?」
しまった被った。このゲームヒロインが被る事はそんなにないと思うが……全員「オレ」ならそりゃ好みも一緒だよな。これは奪い合いですね……。この後、何時間かかけてクリアまでやって、当然のごとくオレは負けた。
勝ったのはヨッチ。さすが遊び担当のオレである。そろそろ日が暮れるしミミカとスガルも帰って来るかな。上手くコミュニティ出来てるといいが。いらないアイテムも合計でいくらかにはなったのかな。
………………………………
一応、ミミカたちに何かあったら分かるように、こっちのデスクトップCOMPとアームターミナルインストールソフトを連動しておいたが特に何事もなく、夕方になってミミカとスガルは帰って来た。
とりあえず、なぜかいっぱいあった「かみなりおこし」とか「スメルグレイビー」とか本当にいらないアイテムを売って欲しいアイテムを買い、差し引きで25万円ほどのプラスになったらしい。高いのか安いのか分からんな。
この手のアイテムでも需要はあるようだが、どういう需要があるんだろうな。
「なんか研究用とかの需要はあるし、フツーに欲しがる悪魔もいるって言ってたな。アイテム製作時に使えたりするとか。まあスガル達には関係ないけど」
へーそうなんだー。オレもいらないけどな。
「それで……結構品揃えが良かったんで色々アイテム買って来たよ」
何々?おお、禁呪符に、禁凝符、鎮怪符、鎮心符に外法覚醒符もあるじゃないか!
施餓鬼米に呪殺ペーパー、ノロイのもくば、ひこうばり、テトラジャの石に角氷やロケット花火もあるぞ!ミミカ有能。異界で有効活用出来そうだ。
「それで、コミュニティの方はどうなった?」
「ああ……ちゃんと手に入ったぜ。ミミカは『隠者』だった」
「ふーん、それっぽいな。こいつハイレグアーマーバニーのくせに地味だし」
「え……?」
「何でものすごいショックを受けたような顔してんだよ……気付いてなかったのか?」
実のところ、指示は的確、召喚は速い、近接戦闘はおぼつかないけどもうサブマシンガンあるしアイテムもある。しかし、全くミスをせずに1ミリの不安もなく戦うために、その中心たるミミカは当然のように戦闘中は存在感がなくなる。リザルトでイッチが表示してくれるミミカの成長の数値を見て「あ、ミミカいたんだ」と思い出す状態なほど鮮やかに、である。
「悪い意味じゃなくて有能の結果だから……」
「なぜだ……世界一かわいいのに……」
どうやらミミカは納得がいかないらしい。そりゃそうだよな。今の姿って転生時にキャラメイクで作った自信作だもんな。
「でもミミカは地味娘が好きなんだろ?」
「はい……」
「じゃあ地味で存在感ステルスしてんのって成功じゃねえの?」
「……!!」
どうやら正解だったようだ。そりゃ、地味娘が好きで究極の地味娘作ったら地味で存在感のない娘になるよな。それできっちり美少女に仕上げてるのはミミカのこだわりと努力を感じるけど。
「そうだね。パーフェクト地味娘なんだから目立たないに決まってるよね」
何やら自信を取り戻したミミカはムフムフ笑いながら買って来た弁当を広げて夕食の支度をする。機嫌を直したようで何よりだ。
「明日は……どっか異界行くのか?」
「ああ、ジャンク屋さんで聞いた海辺のメシア廃教会に行こうと思う」
「メシア廃教会……?」
「あー見た見た、東の岬に建ってて建物の上の十字架は隣街の街中からでも見えるんだよ。なんか勝手に新しい天使と堕天使が住み着いてて毎日争ってるって」
このメシア廃教会は、戦前にはどこかの神社の所有地だったらしいがなんやかやあってメシア教の教会になったはいいが、今はもうただの廃教会であった。
廃教会となった理由は単純に立地。海に突き出た岬の灯台のすぐそばに建っているという見た目全フリな教会だったので、水道や電気や電話線もしくは通信設備の維持にえらい費用がかかってメシア教が維持を断念。
すぐ解体する予定だったのだが、数年間特に理由もなく……誰も関心のない田舎の教会の解体費用なんて誰も負担したくないし後回しでもいいだろ……的な理由で放置された結果、見事に天使が自然発生したり降臨したりで占拠、それを知ったらしい堕天使がどこからともなく現れてごらんのありさまだよ!という事らしい。
「ショッギョムッジョ!」
「今回は合ってますね……」
んで、今回行くことを決めた理由はだが、まずレベル帯は堕天使ストラスのLV9からボスであるアークエンジェルのLV28まで。雑魚はLV9~14の天使・堕天使のみ。レア固体としてLV21のエンジェルもいるが、ボスレベルは越えない。そのボスのレベルも21~28で一定してはおらず、どうやら倒されると別個体のアークエンジェルがボスになる感じになってるらしいとか。
そして最後に最も重要なのが、ここも狩り放題悪魔を狩っても誰も文句を言わない、暗黙の狩り場異界であること。
「それ大事だよね……」
そこそこレベルが揃っている、悪魔の種類が片寄っている、ボスを倒してもそう簡単に消えたりしない、等の条件が揃った異界が狩り場異界に向く、とされるらしい。DDSwikiに書いてあった。これはニッチ、つまりオレの情報収集の成果である。流石だよなオレら。
「そのための呪殺ペーパー、そのためのひこうばり?」
まあ天使っつっても普通の悪魔だが、万が一ペルソナ1・2式の天使が出たら厄介だ。
ペルソナ1・2式の天使は種族的にほとんどの魔法無効っていうクソ仕様だったからなー。
オレの速さはそんなに速くないが、というか遅いが、ミミカがくそ速いのでミミカにムド系アイテムを最速で使ってもらい、スガルはムドでもいいしギロチンアクスでご挨拶してもいい。破魔弱点のゴーストさんは流石にCOMPにいてもらって、オレと化身もムド系アイテムを投げまくる。
隠し耐性と言うか、「人間=人間の装備で破魔は無効」の設定がちゃんと生かされてるんで、破魔怖いのって破魔無効が何故かついてるオレ達セラフィックアイドルにう以外の仲魔だけだけどな。これもDDSで知った。ならちゃんとアナライズで出しといてくれって思うが……。
人間の破魔無効って基礎データの方には載らないんだよな。インストールソフト経由の相性判断なら表示されるんだけど。
「何にせよ明日は阿形さん達誘ってあるから来てくれる……来てくれるよな?いないと厳しい気がするけど、その時は片羽葦原で稼いどくとして」
「えー……」
「えー言わない。このメシア廃教会の次はスチュパリデス攻略の予定なんだから」
「そっかあ……」
片羽葦原のボス、スチュパリデスはレベル30台、持っているスキルはそれほど強くないが、最大6体で出現するという。1体なら魔法と銃とアイテム連打でどうとでもなるんだけどな。
「それじゃあオレはそのメシア廃教会とやらの情報を集めておくから。異界化した後のマップとか特記事項とかDDS系にあったらいいなーって感じで」
「うん、頼んだ」
「誰か廃教会攻略動画とか垂れ流してりゃ楽なんだけどなー」
DDS動画やDDS配信で主流なのはあくまで悪魔や業界人が配信するってコンテンツであって、ガチ攻略の様子を垂れ流す命知らずは実は少ない。それはそうだ。
その数少ない攻略配信や攻略動画も、やはりというか何と言うか各種組織の狂信者が自己の戦力アピールするやつだったりR-18Gが過ぎて非公開にされたり、まあ攻略とは別の情熱が迸ってるのばかりだ。
そもそも業界人の人口は当然大都会に集中してて、うちの街の異界動画や配信なんて皆無だが。
DDS系のつぶやきとかその他SNSを漁るしかないか……。
異界生実況は流石にハードモードというちみつなせってい