女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記―   作:おかひじき

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 24時間インターネッツは見果てぬドリーム


ゼロッチ野良電霊を拾う

「ゼロッチ、セブン帰って来たよ」

 

 オレらがそうこうしているうちに気ままな旅人のセブンが帰って来た。

 

 街の中のサイバー空間をぶらついてる時に、なんかオレらと佐部利メシア教会関連以外らしき電霊の痕跡を見つけたらしい。レベルは低く、というかレベル1で、ほとんど数ヶ所の狭い範囲の家電量販店の一般展示パソコンの中をこっそり渡り歩いてネット観賞してるだけで他に何もする気配がないという。

 

「こいつオレらと同じ、同志だと思うか?」

「それは分からんけど、確実にリアルからの転生者ではあるだろうな。マジもんの現地産の低レベルな生まれたての電霊なら、そんな中途半端な潜伏で安定してるはずないし」

 

 マジもんのロジックで構築されたプログラムや概念から産まれた現地産電霊なら、潜伏すると決めたら何年でも微動だにせずにただのプログラムのふりを続けるだろうし、少しでも情報を蓄積すれば一足飛びに変化するだろう。だがこいつは違う。そのどちらでもない複雑で曖昧な状態だ。

 

 多分電霊になって24時間インターネットしほうだい!で夢中になって、時間経過を忘れただけの元人間だ。オレももし化身を作れなくてミミカとスガルにも出会ってなかったら、いつもの延長でこんな風になっていたかもしれない。慣例通り、通常運転は何も考えずに続け過ぎると猪突猛進より危険っていう実例になるかも知れんなこれは。

 

「それで、そうだとしたらこいつどうしようか」

「接触しよう。能力的にはこちらがはるか上だし。そいつ今の時間はどこにいるんだ?」

「今の時間だと……家電量販店がやってない時は色んなとこの管理システムに潜んでるみたい」

「そうか、じゃあ一応ゴッチ、お迎えに行って来てくれ」

「行ってきまーす」

 

 ゴッチが謎の電霊との接触に向かった。残されたオレ達は……どうしようか?

 

「じゃあパープロ野球年代トラベル対戦、やろう」

「パープロ野球年代トラベル対戦?」

 

 おお、流石ヨッチ。遊びだけやってる遊び専門の化身はやっぱ一味違うぜ。パープロ野球年代トラベル対戦とは、野球ゲームの同じシリーズの古いやつから順々に年代を進めて対戦しつつ選手の入れ替わりやチームの歴史に思いを馳せる遊び方だ。これは配信の後編集して動画でも上げよう。

 

「オレの嫁売ジャイアンズが火を噴くぜ」

「じゃあオレ半神ジャガーズな」

 

 野球年代トラベル対戦の夜は更けてゆく。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 しばらくして。ゴッチがマスコット系の萌えキャラを連れて来た。

いや、正確にはちょっとゆるキャラ風味にデフォルメが入った電霊ちゃんだけど。

 

「な、何なんですか?わたし、何で連れて来られたんですか?」

 

 ふわっとゆるくウェーブしたピンク色の髪に、ゆるキャラ寄りに大きく描かれた空色の瞳。目には大きなクソダサ赤ブチ眼鏡。

こいつは多分転生者で同志ですね、見た目が趣味的過ぎるからね。

 

「何、難しい話じゃない。ちょっと『同志』としてお話をしようと思ってね」

 

「同志……?」

 

 おびえた「ふり」をしていた彼女をなだめて話を聞くのは容易ではなかった。

だが不可能ではなかった。

 

 彼女の名は「みる子」で、やはりリアル世界から転生したTS転生同志であるという。

 

「でも現状でレベル1って……正気か?」

 

「い、異界とか悪魔退治とか無理無理!そういうのはやりたい人がやってよ!」

 

 まあ予想通りだな、電霊になった理由が、ずっとインターネットして暮らしたいからとかそんな理由のやつだ。オレ的にはどうぞご自由にと言いたい所だが、あいにくこの世界じゃそうもいかないんだよね。ぶっちゃけこいつが無理やり誰かの仲魔にされて電霊能力を使われたら困るんだ。オレの優位が揺らぐ可能性がある。

 

「お前、佐部利メシア教会の事件は知ってるだろ?」

 

「それはまぁ……」

 

 メシア教会が恥も外聞もなく助けを求めるほどの緊急事態。

実際はともかくあれで電霊っていうものが改めて思い起こされているのは事実だ。

 

「オレに見つかるくらい無防備にふらふらしてたら、アレ対策のついでに一応消しとくかで消されてもおかしくないぞ?野良悪魔ってマジで人権ないんだからな?」

 

「えっ……」

 

「いやそうだぞ?レベル1だと悪魔退治屋にとってはぷちっと潰せる不快害虫みたいなもんだぞ?」

 

 これは本当にそう。だからオレは名目上だけとはいえ仲魔になる選択肢を取ったんだし。

 

「うう……怖いけど、バトルも怖い……やだ……」

 

 うーむ、なかなか難しいな。でも気持ちは分かるから責められん。オレだってそうしたい気持ちもあるし。ていうか一部化身はそうしてるし。しょうがない、オレ以外で実験もしておきたかったし、とっておきを出すか。

 

「仕方ねえな……『ヴァーチャル・バトラー』って知ってるか?」

 

「ヴァーチャル?い、いや、知らないけど……」

 

「真女神転生2に出て来た、ヴァーチャルでレベルアップ出来る施設だ。ヴァーチャルなので絶対死なないし傷つかないで訓練できる。最初それでちょっと鍛えてからならマジもんの異界デビュー行けるか?」

 

「そ、それなら……何とか……」

 

「そうか。よし、サッチ、太閤異界の酒場で準備してくれ」

「あい分かった」

「いやそこは別に戦国風にしなくていいから……」

 

「……酒場?」

 

 

 

………………………………

 

 

 

「わああああ!終わって、終わってえ!!」

 

 ゆるキャラも美少女もしちゃいけない顔になったみる子の叫びが、オレ達の「太閤」異界に響き渡る。ヨッチがシステムに合わせて作った価値7の名刀「イボコロリ」で、次々に外道:よっぱらい LV1~3が切り捨てられる。

 

 オレらがシステム流用で作ったこれが、元ゲーム「太閤」の酒場依頼を応用したヴァーチャル・バトラーである。何もしなければただのゲームと同じで経験値も何も収入はないが、マグネタイトを少し使えばそれに応じて得られるものがある。

 

 今のオレならこのレベルのマグネタイトとか誤差だし、レベル1のみる子を鍛えるくらいならかなり実用性は高いと思う。みる子も価値7の刀を持ってれば負けないだろう、多分。

 

「はぁ、はぁ……勝てた?」

 

「どれどれ。お、しっかりレベル2になってるな。この調子で行くぞ」

 

「え?わあああ!!」

 

 オレが再度出現させたよっぱらいに動揺し、やみくもにぶんぶん刀を振り回すみる子。あ、攻撃喰らった。結構深手だな、どれ。

 

【松竹梅】

 

「へ……わああ!」

 

オレの放った回復スキルにみる子の方が動揺し、再度攻撃を喰らう。

 

【松竹梅】

 

「あ、そっか。てやー!」

 

 オレが回復している事に気づいたみる子は、ちょっと安心したのかしっかり足を据えて……刀を振り回し始めた。こりゃしばらくつきっきりでこのまま鍛えといた方が良さそうだな。

 

 そのまましばらく、みる子は湧いて来るよっぱらいを相手し続けた。みる子はまだもうちょっと行けそうだったが、オレとイッチのMPが尽きたので終了だ。オレ運以外のステータス低いからMPも少なめなんだよね。

 

 実際この自称ヴァーチャル・バトラーをやってみたのは今回が初めてだが、まずは成功と言っていいだろう。しかし、マグネタイト消費的にはレベルの割にそこそこかかってしまった。こりゃホントに初期のレベルアップ以外には利用できんな。やった感じだとレベルと共に乗数的に消費がきつくなって行きそうだ。

 

 

 

………………………………

 

 

 

リザルト:みる子の修行

 

電霊:みる子 LV4(+3) 銃・神経・魔力・破魔・呪殺無効、電撃弱点

   スキル:逃走加速、淀んだ空気、砂煙(新)

 

 

 

………………………………

 

 

 

「ああ、そういう……」

 

 砂煙は敵を「幻影」状態にする状態異常攻撃だ。どうやらバステ型、将来的には多様な状態異常を使うタイプに育つっぽいな。基礎ステータスの方は魔>知恵>速さ>その他っぽいからオレよりやる事がはっきりしてて強くなるかも知れんぞ。

 

「ど、どうですか、強い?」

 

「ん?ああ、フツーに状態異常系魔法タイプ行けそうだな。ちょっと見てみろホレ」

 

 オレは電霊的に処理領域で処理しているみる子のアナライズデータを異界内でモニター表示してみる子に見せる。こいつはまだ電霊特有の小技には慣れてなさそうだからな。というかささっと化身作って電霊的な経験を掛け算で得ているオレの方がおかしい気もするけど。

 

「わ、と、逃走加速?と淀んだ空気は知ってたけど、砂煙?えーと……」

 

 微妙な顔で言葉に困るみる子。一応、淀んだ空気はレベル的には破格の特技で将来には期待出来ていいんだけど……ってスキル構成だな。

 

「どうする?オレとしてはもう外の異界行ってもいいと思うけど」

 

 なんかビミョーとはいえ、一応戦闘に参加出来るスキルはあるんだ。デプス周回依頼の時にでもついでに連れて行けば、オレらの前でかなり安全に異界デビューは出来る。最初はピンクルーバーとかマッドスラッグでも相手にしてもろて……だな。

 

「はい、お願いします。頑張るので」

 

 ヴァーチャル・バトラーでレベルも上がったし、ちょっと自信もついたのかもしれない。みる子は結局、しばらく相談した結果ミミカと契約して仲魔になることになった。決め手はDDSの利用権利。そりゃそうだよな。

 

 もう結構夜も遅かったが、ミミカは何か無駄にネットで漫画を読み漁って「これは今でもいい感じで楽しめる、これはもう駄目みたいですね……」などと自分の中の現在の性癖を正確に確かめる作業をやっててまだ起きてたので、即契約完了。

 

 今日はヴァーチャル・バトラー(太閤)の実践も出来たし、野良電霊の同志もナカマに出来たし、色々成果あったな。唐突にお膳立てされたものとはいえ自分的に一つ成し遂げもしたし、この調子で明日からも頑張っていこう。

 

 いや、頑張りすぎると悪魔化が進行するかも知れんし、悪魔としては自堕落で不真面目な程度の頑張りでな。無限に化身増やして電霊に早く適応して能力開発進めるぜ!とか、毎日異界レベリングしてオレ達最強!ワレに敵ナシ!とかせんようにしないと。

 

 そんなんしたら明らかにオレの悪魔化フラグだしオレがラスボスルートになりそうだしな。最適化して効率で稼ごうとするとバッドEDが顔を出すって罠はいかにもありそうだし。

 

 全くこの世界は油断出来ないぜ!

 




 変な名前の名刀を献上するのは刀鍛冶プレイヤーのたしなみ
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