女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記―   作:おかひじき

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 技術が進んで一般化するたびに電霊は強化されて行く


地蔵尊で転生者集団に出会った

 オレらはいつも通り、2台の軽自動車で地蔵尊へたどりついた。駐車場には他に何台かの自動車が駐まっている。ちょっとマグネタイトの残滓を感じるので多分業界人だろう。

 

 今までの異界はどこかの管理地だったり人気のない場所だったり低レベルだったりしたからか、同じ異界に別の集団が入って何かしらのトラブル発生みたいな事はなかったし、せいぜい遠くで戦闘音だけ聞いてそれっきりとかその程度だったが、地蔵尊は元々の建物が小さく異界の1階あたりの広さもそれほどではない(縦階層は別)し高レベルなので、そこそこ高レベルの集団と出会う可能性がある。

 

「どうしよう?」

 

 ミミカと阿形さんに相談する。

 

「そうだね、ゼロッチ、頼めるかな?」

 

「え、オレ?」

 

「何か妙案でもありますの?」

 

「いや、誰か1人でも端末持ってればゼロッチたちでサーチ出来るでしょ?」

 

 サーチって……あ、そっか、今時の端末なら大体無線で何らかの通信回線があるから、オレが移動する前提としていつもやってる「出入り口探し」をすればそれだけで端末の現在地は分かる!

 

 ミミカ、こういうのは結構何でもないように思いつくんだよなぁ。

 

「あと、ペルソナ使いはペルソナの共鳴とかで分かるんだっけ?」

 

「ん?ああ、敵意持ってたり戦闘態勢のペルソナ使いなら……まあ、見なくても戦闘に突入する前に分かると思う」

 

 オレ達対人戦の経験なんてほとんどないしそこは臨機応変に行くしかないな。

 

「そもそも敵対するよりは挨拶だけとかの可能性が一番大きいだろ。何で敵対する事前提なんだよ悪魔かよ。……すまんお前悪魔だったわ。つい忘れるけど」

 

 人間味に溢れて、悪魔であることを忘れられがちなセラフィックアイドルにう、のゼロッチ。それがオレの名だ。

 

「よーし対策も出来たし、着替えて突入すっか!」

 

 今日はおうごんじゅうの初めての実戦投入である。メイドバニー鉄兜で漆黒の翼の堕天使のミミカもドゥフフ笑いでおうごんじゅうを撫で回している。

 

 ここ物理タイプの敵メインだし銃が有効かって言われたらそれほどでもないんだけどな。ミミカはアイテム使ってもらう方が重要な役割だ。

 

「よーし、それじゃ行くぜ!」

 

 名前入りのスク水に現代アートみたいな知恵の輪をかぶり、手にはでっかい鬼包丁を持った黒翼の堕天使と化したスガルが先陣を切る。相変わらず前衛のくせに最高にいかれた格好だぜ……。

 

「信じられませんわ、本当に恥ずかしくないのかしら?」

 

 今更という感じだが、阿形さんがしみじみと感想を漏らした。阿形さんと裕奈ちゃんの天使コスプレもわりと恥ずかしいと思うんですが……そこらへんどうなんです?

 

「……ちょっと前に気付いたんですけど、これ『セット装備』的な効果があるのですわ。呪殺対策も併用すれば破格の強さも持てるのです」

 

 セット装備、確かに一部の作品でそういうのもあったかな?天使系は記憶にないけど、まあゲームに登場しただけって事もないよな。うん。阿形さんの頭の上に天使の輪っかが追加されてるけど、本当に趣味じゃなくてセット装備効果狙いですよね?

 

「このエンジェルリングが一番いいと思いますわ。防御力も強いですし魔法防御が40%……40%カットですの」

 

 ……強すぎない?

 

「かなり高価でしたが……悔いはありませんわ。死な安死な安ですわ」

 

 やだこの子意外と江戸っ子だった……?

 

「ゼロッチ、あっちからヤクシニー2、ヨモツイクサ3、あとメズキ1だ」

 

「おっと、来たようだぞ」

 

 イッチの警告で一同会話を止めて武器を構える。オレはまず補助魔法かな?今回は危険度もちょっと高めだし気合い入れよう。

 

「危なくない悪魔とかおらんじゃろ……」

 

「そりゃそうだ」

 

 今ほとんど動けないヒナちゃんに同意し、戦闘態勢に入る。ヒナちゃんは見事と言うかなんというかポリプ状態になっており、自分を分裂させる……ベニクラゲみたいな無限ループに挑戦中なのだ。ちなみに今のポリプ状態から分裂を成功させると十体以上に増えるらしい。増えるって点ではオレより不便だけどナマモノとして実体があるからな。

 

【スクンダ】

 

 おっと、イッチが戦闘開始したか。オレもやらんと。

 

【スクカジャ】

 

 どこまでこの戦法通用するかな。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「そいやー!」

 

 イキイキと悪魔を狩るスガルの声が、地蔵尊の異界に響き渡る。その手には、命を刈り取る形の大鎌があった。アンクーの鎌である。これ、ヤクシニーが落としたんだけどアナライズしたら結構強くて1-3回攻撃、攻撃力もあって鬼包丁より強そうだったのでスガルに持たせたんだよね。大鎌ってことで扱いにくいか?とも思ったんだけど、本人は何か大喜びで振り回して悪魔を狩って……何かね、スキル覚えたんですよスキル。

 

 え?ペルソナのスキルが増えるのは普通だって?違うんです、スガルはペルソナ抜きの自前で「からたけ割り」覚えたんです。つまりペルソナチェンジしてもからたけ割りはいつでも使えます。やったぜ。

 

 しかし、鎌であることにデメリットもありました。

 

「ぬう……あれは近寄れんのう」

 

 鎌の軌道のせいで近寄るのは困難になった。スガルがメインアタッカーなので問題ないといえばないんだが。

 

「いやー、ここいいな!敵堅いし、強いけど攻撃が効かないってわけじゃないし。ヴェータラ以外」

 

「そうですわね。普通に強い、ってことですわね。ヴェータラはキッチリ対応して戦わないと面倒ですけど」

 

「ヴェータラ銃もあんまり効かなかったりするしね……何か個体差ひどいけど」

 

 最近地蔵尊に湧き出したという、高レベル悪魔のヴェータラ。これは個体差と言うよりは、作品ごとに耐性を変えて来たりしたクッソ面倒な敵なのだ。特に真女神転生2、「実体希薄」相性のヴェータラは、物理を中心に様々な耐性を持ち何と破魔にまでちょっと強いという幽鬼にあるまじき耐性なのだ。

 

 真女神転生2はこの実体希薄とその上位とも言える強アンデッド相性が作品全般にわたって悪さをしていて、特にヴェータラに限った話ではないのだが。

 

 まあ、それはそれとして、実際出て来たらそれに対処しなきゃならない。耐性が変わっても共通して効いていたのは確か火属性。一応アナライズやインストールソフトでもそれを確認し、ホウオウさんのファイアブレス、裕奈ちゃんの用意していたペルソナ「ジャックランタン」のマハラギ、スガルの「キンナラ」のマハラギの3本立てで行くことにした。

 

 最初はちょっと耐性あっても近接ゴリ押しで行けるかなとも思ったけど、良く考えたらオレら近接攻撃の手数が少なかったんで魔法攻撃にしといた。

 

 そして実際にヴェータラに対処すると、意外というか当然と言うか一番活躍したのはオレらの「松竹梅」だった。そりゃ今日はオレ、イッチ、サッチ、ゴッチ、ロッチ、エイトの6人体制で補助かけ終わったら攻撃か松竹梅だからね。何というか松竹梅重ねたらそりゃHP回復+状態異常回復の最高の効果も出まくるよっていうね。

 

 ヴェータラさんもヴェータラさんで何でってくらいプリンパにこだわって連打してくるし。何なの趣味なの?性格とかもあるのかな。狡猾だしそりゃプリンパあったらプリンパするよ的な?でもヴェータラさんアナライズだと性格:冷静とか剛健だった気がするんだが……。

 

「ちょい待って、ゼロッチ。オレら以外の端末見つけた。地蔵尊の地下の洞窟の方から近づいてくる」

 

 おっと、別集団が見つかったか。近づいてくるなら、初めての異界での別集団との接触になるかもしれない。

 

「フハハハハ!我が名はファントム!」

 

 ファントムさんは元気だな。大丈夫かなこれ。

 

「まあ大丈夫だろ。攻撃されたらぶっ倒しゃいいし、されなきゃ普通に接触して話すりゃいいしな」

 

 スガルはぶれない。ミミカは……目に見えて必要以上にキリッ!としようとしているのがわかる。オレは悪魔だしあんま出しゃばるのもなあということで、ここは阿形さんに頼るのがいいかな。

 

 相手が視界に入ってくる。アーミー系の装備にライフル……兵士みたいなおっさんを先頭に計6人に男女が、特に気負う事無く通路の角を曲がって姿を現した。おっさんの他に男女一人ずつがアーミー系装備、あとはセーラー服黒髪ロングの正ヒロインみたいな女の子、明るい色のブレザーを着崩した茶髪ショートカットの活発系サブヒロインみたいな女の子、一部の漫画やラノベにしか出て来ないような度のきついぐるぐる眼鏡をかけて明るい薄緑色の髪を何も考えずにまとめてお下げにした、まず正ヒロインじゃないなと一目で分かる女の子。

 

 最後のこいつは同志かもしれない、色々な意味で。

 

「あー、ちょっといいか?」

 

 やはりというか何と言うか、声を掛けてきた推定代表者はおっさんだった。

 

「聞きたいんだが、メガテニスト、女神転生、フェス、ゴールデン、ロイヤル、胡蝶の夢、コトワリ、これらの言葉に対して心当たりはあるか?」

 

 確かめに来たなこいつ。転生者集団、それもここにいるということは結構なレベルのやつらか。

こっちの会話の判断は、まあ、阿形さんとスガルに任せて……一応オレもフォローする形にしとくか。

 

「確かに……ワタクシ心当たりがありますわ。それで?」

 

「あー……それはだな、俺達は『メガテニスト』を名乗ってるリアルからのメガテン系転生者集団の者で、後ろの彼女達は『アルカナ』を名乗っている同じくペルソナ系転生者の者だ。あんたたちも同じような転生者集団だと思って声を掛けたんだが……」

 

 何か結構警戒されてるな。敵意はないようだが。

 

「その……違ってたら済まない。あんた達はメシア系を選んで転生したので合ってる……よな?」

 

「は?」

 

「は?」

 

「はぁ?」

 

「はああああああ!?」

 

「あ、阿形さんおこなの?」

 

「おこですわ!誤解されるのは仕方ないですが、実際誤解されたらされたでその怒りは別腹ですわ!」

 

 何その理不尽。いや分かるよ?理解はしていても実際いやな目に合ったらピキピキするって。ピキピキピキーニャだって。

 

 聖四文字のハトですら誤解したんだから、人間に阿形さんの真意、「天使コスプレはしますけどメシアンじゃありませんわ!」を見抜くのは無理ゲーだって理屈では分かっていてもムカつくものはムカつくよね?まさかこうなるとは思わなかったけどしょーがねえ、オレがフォローしとくか……。

 

(あのさ……彼女リアルじゃ伝統的なプロテスタント何ちゃら会派だったらしくてさ……そこガチで地雷なんだって)

 

(そ、それは悪い事をした……)

 

 オレやスガル、ヒナちゃんが間に立って何とかその場を収め、相談して異界を出て近くの店、ピースダイナーで詳しい話をして、オレら「時間城・ハチマン神社グループ」が彼ら「メガテニスト・アルカナ」と協力する事になった。協力って言っても彼らが時間城やハチマン神社に依頼を出すのと、連絡先を交換するってだけなんだけどさ。彼ら全国組織なので、ほとんどオレらが一方的に恩恵を受ける事になるだろうけどな。

 

 どっちかというと今の彼らはリアル転生者の捜索が主目的なのでそれでもいいんだと。そんなもんかね。

 




 天使コスした美少女集団がいりゃそりゃね……。
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