女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記―   作:おかひじき

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 今まで秘密にしてたけどこいつら実は結構目立ってるんだ(驚愕の新事実)


ウライチに行った日

 あれこれ遊んでいるうちに日も暮れて、オレ達はウライチに行くためにハチマン神社へと向かった。結構広めな境内に、屋台やござを敷いただけの簡素な店が並び、裸電球の黄白色の光とLEDの白い光が入り混じってあたりを照らす。

 

 昼間に開催される普通の市(イチ)と違うのは、店員が明らかに裏の業界関係者や悪魔であり、境内全体が一時的に異界化されているところか。

 

「えーと、阿形さん、いい店とか知ってる?」

 

「ワタクシよりも裕奈さんの方が詳しいですわ。裕奈さん?」

 

「え、えと、はい。ボクの知ってるお店は、えっと」

 

 何だか要領を得ないけど、裕奈ちゃんの知ってるお店その1。まずは鳥居から本殿への通り道にある大きなテントのお店だ。

 

「ここは……ジャンク屋か?」

 

「えーどうぐーどうぐーべんりなどうぐー」

 

 怪しげな物品が所狭しと立ち並んでいる。なぜか野菜コーナーやお菓子コーナーまである。いや、全部アイテムなんだろうけどさ。

 

「あ、これ……」

 

 裕奈ちゃんが何かに気付いた。

 

「つるつるドロップとかめかめキャンディですね。わぁ、まとめ売りしてるんだ」

 

 ペルソナ1に出て来た、かなり広範囲の状態異常を治すつるつるドロップとかめかめキャンディ。隣街のジャンク屋ではばら売りでちょっと高かったんだが。ここではちゃんと30粒でひとケースに入ってそれぞれ9000円と15000円。多分ペルソナ1基準の値段だと思うけど効果に対してだいぶ安い。買いだ。

 

「あっ!ヒランヤもあるぜ!」

 

「集魔の水もありますわね……次の稼ぎ用に買っておきますか?」

 

 一応みる子が敵寄せのリベラマは使えるが、MPそんなに多くないのでお金で解決出来るならアイテム使った方がいいだろう。少し買っておこう。まあ、そんなに大量にはいらないだろうが。

 

「ぎんのマニシャも安いな……これも買っておこう。デカジャジェムにデクンダジェム、強襲の狼煙も買いだな」

 

 最初の店からこれとは、まったく買いたい物が多すぎる。ウライチって凄いな。

 

「あ、みなさんどうもっす。なんかいいのありましたか?」

 

 ちおちゃん来たな。あいかわらず手入れしてないオタ系巫女コスプレ風美少女ですよみたいなツラして実はかなり手入れされている清潔感スタイル。今日も完全に純なオタク心を打ち抜きに来てるな。

 

 今日のちおちゃんは見回り組。悪魔ですら出店出来るウライチ、見回りがいないと……いや、いても色々問題が起こるらしい。

 

「何か問題起こしたらどうなるの?」

 

「おれっち達が黙らせるっすよ?物理で」

 

 アッハイそりゃそうですね……。

 

「何でついて来るんだ?」

 

「いやあんた達は悪くない、悪くないっすよ?でもほら、自分達を客観視して欲しいんすけど、あんたら見た目は美少女軍団じゃないっすか」

 

 ……それはそう。ここはウライチ、異界は異界なので武装が基本。なのでミミカは鉄兜メイドバニーの堕天使、スガルはスク水鋼鉄シンデレラの堕天使、オレはいつもの銀翼ウェディングドレス風のセラフィックアイドルにう、阿形さんと裕奈ちゃんは天使コスプレ、ヒナちゃんは阿形さんの周囲に漂う何か良く分からんキリタンポ姿である。

 

 そこに時折オペラ座のファントムやホウオウ、水色の肌の女の子みたいな大天使:ハニエルや女神:アリアンロッドの幻影が顔を出してわちゃわちゃやっている。

 

「えーっと、警備系のお仕事ご苦労様です?」

 

「分かってくれたっすか……」

 

 組織に属して仕事するのも大変だねぇ。いや、オレらも設定上は時間城やハチマン神社に所属してたり縁があったりするはずなんだけどさ。ちおちゃん、かなり真面目に仕事してるんだなって。

 

「え、えーと次は……カード屋さんですね」

 

 カード屋さんか。いいのあるといいが。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「耐性カードは買い、買いです!」

 

 ウライチ侮ってた。無効や反射吸収は無かったが、耐性レベルならいくつかあった。みる子の弱点消しに電撃耐性カードを、オレに闇耐性カードを、ヒナちゃんに火炎耐性カードをそれぞれ買って使用。これだけでも結構な強化になったと思う。

 

 カード屋の次は……悪魔市場?

 

「廃棄COMPから見つかった元仲魔とか、色々あってサマナーと別れた悪魔が一時的にハチマン神社仮所属になって悪魔交渉を平和的に行う場所っすね」

 

 ふーん。粗末だけど広い社務所の中にサマナーと悪魔の集団が1、2、3。どう見ても社務所には収まらないような広い部屋で、悪魔市場は開催されていた。

 

 個別に悪魔を交換する者、悪魔側から交渉を持ちかけられる者、まるでオークションのようにハチマン神社所属の神職がサマナー集団の前で声を張り上げている所もある。これはちょっと説明が欲しい所だな。

 

「あ、説明いるっすか?」

 

 ちおちゃん頼む。

 

「まずあそこのオークションみたいなとこは、あそこの……机の上にあるCOMPの売買っすね。まずお高めの値段で即決未開封で買うかどうか、意思確認してるとこっす」

 

 なるほど。異界に落ちていた詳細不明のCOMP……どう考えても危険だが、ハチマン神社の信用の上で今、ウライチの最中なら価値は跳ね上がる。今なら何かあってもハチマン神社が対応してくれるからね。

 

「それで……あちらは悪魔のトレードやってますね。悪魔全書とかデビオクや依頼を介しての取引もあるんですけど、あれって全国・全世界の上限価格になっちゃうんで……そこ注意っすね」

 

 ああうん、お高かったから使ってねえな……オレらというかミミカも阿形さんも悪魔売ったりはしたくない派だし。

 

「あとは……あれは何だ?」

 

 悪魔達が集まってる場所があるな。

 

「ああ、あそこらへんはみんな交渉待ちの悪魔っすね。良さそうなのがいたら行ってみたらどうっすか?」

 

 勧められたミミカと阿形さんが、悪魔達のたむろする一角に向かう。大丈夫かな……。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 結論から言うと、ちゃんと出来た。阿形さんが新たに2体の悪魔、神樹:オシラサマと地霊:ツチグモを仲魔にして、ミミカは何と秘神:カンバリを仲魔にすることが出来た。

 

(素材だな)

 

(合体用だな)

 

(適当な所で合体させる気だな)

 

 それを口に出さない程度の分別は、オレらにもあった。

 

「上手く行って良かったっすね。最後に競売でも見ときます?あんま時間に余裕ないっすけど」

 

「競売?」

 

 ちおちゃんによると、境内の西の端っこに競売会場があるらしい。業界人がそれぞれ捨て値で売るには惜しいけど使わないものとかあるいは下手な所で売れないようなもの、高値がつきそうなものを持ち寄って売る場所である。ただしかなり簡略化されたもので、見張り警備員がいるだけで競売形式は紙片に名前と希望額を書いて競売用の箱に入れて開封時間を待つという何とも地味で静かな競売である。

 

 あと30分で終了ということなので長々と見る時間もないし出品する時間も無いな。オレとイッチがアナライズデータを使って目星をつけるしかないか。適当に欲しいアイテム全部に希望額を出すくらいは出来るだろう。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 オレとイッチで会場を回った結果、全部で12の装備やアイテムに目星をつけて希望額を投入したが、実際手に入ったのは7つだった。いや、上手くやった方なんじゃないかこれは。

 

 ミミカの武器になる「ビームホイール」と、スガルの腕につける「Aマックスアーム」にアクセサリーの「暴走王の証」、阿形さんの武器の「プラズナーソード」に足防具の「エンジェルレッグ」、あとは裕奈ちゃん武器の「魔浄扇」、SP全回復アイテムの「ソウルフード」といった所だ。

 

「ところで阿形さん、どんどん見た目天使になって行くのはやめないんですか?」

 

「ええ、当然ですわ。金髪ドリル眼鏡の天使コスプレ美少女になれるのであればなるでしょう!?」

 

 くっ、否定出来ない。オレのセラフィックアイドルにうも正直似たような性癖の産物であるのは認めざるをえない。

 

「ぼくたちは、天使だった」

 

 ミミカ……ここぞとばかりにどっかのゲームで聞いたようなセリフを引用しやがって。

 

 その後、そろそろ娘と名乗るには厳しくなって来たがギリいける金髪ドリル眼鏡の天使コスプレ美少女は素晴らしいという妥協点でオレらは一致した。いつも通り2台の軽自動車に乗り込み、今日はスガルのトラスタルトだけでの帰還を試す。いつ見てもこの、黒い光が湧き出して魔法陣を描くのは派手派手でいいな。

 

「あっ、わわっ!?」

 

 裕奈ちゃんはちょっとビビッている。ヒナちゃんの方は明るかったからな。

 

 転移するのが軽自動車2台にはなったが特に変わることはなく、オレらはいつも通りのオレの家の駐車場に帰還するのだった。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「おーおー、よー帰った」

 

 帰りついたオレ達を、オレの祖父母達は大歓迎である。早起きの祖父母には少し遅い時間だろうに、相当嬉しいのだろうな。オレが悪魔になって表も裏も後継者なしになるかと思ってたら、それを一緒にやってあわよくば受け継いでくれるかも知れない若い娘が何人も家に居つくようになってくれたんだから。

 

「お前も世が世ならそこの宇佐野さんのとこの子に仕えていたかも知れんぞ?まあ、今でももう仕えとるようなもんか……」

 

「え、よく知らないんだけどそんな感じなの?」

 

 爺さんの発言にミミカ自身が問いかける。

 

 爺さんによると、戦後すぐの占領軍の時代にこの街の「裏」を仕切っていた神社勢力が「表」の軍に協力したという理由で弾圧を受け、占領軍から「裏」を任されたメシア教とのギリギリの交渉と小競り合いの結果、この街でのオオトリ神社……オレの家の勢力と烏兎神社……ミミカの家の勢力が拠点を奪われ、勢力としては廃業したという。

 

「へーそうなんだー」

 

 当のミミカと……オレもほとんど他人事で、ミミカはイカシートとうめシートを交互に食べるというよく分からん食べ方をしている。

 

 その後もうちょっと突っ込んだ話が聞けないかと思っていたが、爺さん婆さんも深い話は爺さんの親世代に聞いた話で交渉過程とかは実際体験したわけじゃないという。

 

「ミミカの……『あいつ』との会話か何かで情報あったりするか?」

 

「んー、私のガチャで『巫女』とか『チャネラー』が多かったのはそれかな。私の家族はこっちもあっちもオオトリアン・フォースに入れ込んでたから全然参考にならないけど」

 

「ああ、オオトリアン・フォースねえ……スガルの家族も……だな」

 

 みんなのこっちの家族がいれば少しは情報が増えたかも知れんが、ホントに邪魔してくれるなあいつら。

 

「あ、あの、メシア教が関係してるなら、これもハトさんに聞いたらどうでしょう……オオトリアン・フォースの情報も……」

 

 そうか。裕奈ちゃんの提案に頷いた。どうせ明日はハトに会いに行くんだ、聞くのはメシア教が現在持て余して、むしろ奪って!と思ってる異界情報に、オレが異界ボスになるためのやり方、それに昔話とオオトリアン・フォースの情報を足しても、まあ誤差だろう。いやー、何か動き出した気がするな。するだけだが。

 

「一応、時間城の主とハチマン様経由で連絡はしておいて、とりあえず明日ハトに色々聞いて判断しようぜ」

 

 そうだな。何をするにもまず情報、そして最初の一歩から、だな。

 

 




 動き出したと思ったら別に動き出してないなという顔になる
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