女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記―   作:おかひじき

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 ロボ娘は人だよ派とロボ娘はロボだからいいんだよ派の溝は深い


佐部利の依頼と警視庁第2マシン部隊

 朝。いい朝である。オレ達は予定通り阿形さん達と別れ、佐部利メシア教会攻略依頼を受けるため、ハチマン神社へと向かう。ミミカが車を運転して、スガルは何かオレの携帯ゲーム機でゴルフゲームをやっている。今日のTシャツは白地に黒で「女子力」とだけ書かれた潔い感じのやつ。わびさびを感じる。

 

「よーこそ、よーこそっす!」

 

 そしてちおちゃんの大歓迎である。どうもこの『佐部利メシア教会攻略』の依頼は、マジで引き受けてくれる適正者……電霊やハッカーが来てくれなくて、やっと専門家が来たと思ったら微妙に専門外の警視庁第2マシン部隊で、攻略は進まないしちおちゃんとしても不安がつのっていたらしい。ハチマン神社から佐部利メシア教会って結構近いしな。

 

「いやー、ゼロッチさん達が引き受けてくれて良かったっすよ。ホントにもーマシン部隊の人も来てくれたのはいいんすけど、どうしても実力のある電霊か高度な技術を持ったハッカーが追加で必要だって……あ、こっちっすよ社の中っすね」

 

 ちおちゃんの案内で、ハチマン神社の敷地から見ればかなり小さいすみっこの社の中に入る。ちおちゃんが中で柱の一つをぺたぺたすると、畳がオートメーションで開いて地下へと下りる階段が現れた。いかにもデビルサマナー系でありそうな仕掛けだ。

 

「こ、こんなんでワクワクしないんだからね!」

 

 謎のツンデレムーブを決めつつ、階段を降りるオレ達。その先の地下の扉を開け、たどり着いたのは広大な畳部屋と道場であった。いや、畳部屋の方も畳の色からして普段は柔道場として使ってるのか、これは。

 

「よく来て下さいました」

 

 その片方、磨かれた板敷きの道場の方に、計6体……6人が待っていた。どっちで呼んだらいいんだろうか。やっぱ6人かな。その6人はそれぞれ違った感じのロボット娘だったのだから。

 

「本官が警視庁第2マシン部隊の部隊長、ワンだゆうであります」

 

「え?」

 

「ワンだゆうであります」

 

 一言で言えばガチャゲーで美少女にされた警察犬人形みたいなワンだゆうさん。でもあまり刺激的なデザインにはしづらかったのかちゃんと制服を着込んでるので茶色い犬耳以外にあんまり特徴はないです。

 

「で、こっちのメカメカしいのがニヒニヒ2世号」

 

「どもー2世ですー」

 

 2世号さんは女性型メカという特徴を全面的に押し出した曲線メカ的なデザインをしている。継ぎ目から金色の光が漏れていて、白銀の金属ボディに金の縁取りみたいになっていて、生物的な感じはしないけどとても豪華に見えるしフェチズム的にはむしろ威力が上がってる気がする。

 

「あとこちらが対シャドウ制圧兵器……なのに支援型になったミントさん」

 

「ミントです。ええと、対シャドウ制圧兵器……支援型ペルソナ使いです。ペルソナはメンテー……ミント固定ですね。ふえて色々探ったり見たりちょっと回復したり出来ますけどつよくないです」

 

「お、おう」

 

 褐色エルフ、それに銀髪、ダークエルフリスペクトのロボ娘とはなかなかやりますな。

 

「こちらは『ラビ』系統の宇多田ピルクちゃん。ほら、ご挨拶しましょう?」

 

「あ、あい、あたちは宇多田ピルク、メシア教の宣教マシン『ラビ』の鹵獲品を改装して作られたという設定でち……そのせいで言語機能が幼いけどよろしくお願いしますでち……」

 

 白い多脚戦車の真ん中に、立体映像の少女が立っている。でも流石にこれは幼すぎでは?髪の毛も瞳も真っ白でふわふわで風で飛んで行ってしまいそうなほど華奢で小さい。何というか本人の深すぎる性癖を感じざるを得ない。

 

「さて、最後ですが、あちらがT93GMMメカクレメイドスキーと、そちら様、セラフィックアイドルにう様のA-02、エーニさんにお世話になっておりますT93GMF、眼鏡っ娘フリークスです」

 

「ウェイト、ウェイト、ちょっと待ってくれ何?今何か言ったか?」

 

「メカクレメイドスキーと」

 

「眼鏡っ娘フリークスです。よろしくお願いしまーす!」

 

 メイド服を着込んだ金髪メカクレメイドと、ド派手な黄緑色蛍光色の三つ編みにブルー系蛍光色のシャギーを入れたイカれた技術者系に見える眼鏡っ娘。ゴーグルにつなぎにスパナ、工具箱ももちろん取り揃えている。

 

「あ、そういえばにうちゃんの化身がいるって聞いてたんですけど」

 

「あの子はまだLVが低いのでお休みとって今日こそ南極大冒険クリアするんだってゲームしてます。何か謝るのも責めるのも変ですが……」

 

 ああ、うん……行ってすぐのレベル1かそれに近い低レベルで全能のバランサーと戦えってのは無理だからな。オレと他の化身たちも動員してるんだし流石にいない方がいいと思いました。まる。

 

「えー、もうお分かりの事とは思いますが、我ら揃いも揃って転生組、自らこの姿を選んだ『転性』組でもあります、同志よ」

 

「マジか、いや多分そうじゃないかとは思ったけどさ」

 

 オレAナンバーズいたし先に知ってたけどな!まあ、まだ詳しい転生の『設定』についてとかは聞いてないんだけど。

 

「それについてですが……」

 

 ああ、うん。ワンだゆうさんの語った『設定』は、十分に納得の行くものだった。元々、事件前の警視庁には電霊もハッカーもいて、もっと大規模なものだったが当然のようにメシア教と協力関係にあり、天罰から逃れられたのはほぼ全員新しく配属されたという設定の転生者組だけだった。ああうん、そうだな、原作……真1だと警視庁とメシアがマシン開発してるくさい……んだっけ?

 

 残されたのは5部隊、このロボ娘部隊の他にロボヒーロー部隊、ドローン部隊、搭乗型ロボ部隊、クグツ部隊だけになっているとか。電霊やハッカーは、少なくとも警視庁が把握している範囲ではまだ遭遇していないという。

 

 あれ?電霊ってもしかしてオレの思った以上にレアっぽい?SNSだと電霊の仕業じゃ!っ書き込みが結構あった印象あるんだけど。

 

「あー、警視庁の記録だと、事件前には自然発生とか技術的に作った試作の電霊とかは少しいたらしいんですよ。ただソッコーで組織に囲い込まれたから、初手天罰で消えるかジャンク情報に成り下がって消えたらしいんだよね。転生組の話でも、そもそも最初の転生で悪魔選んで、そこで電霊が選択肢に入ってたのが圧倒的に少なくて……」

 

 まあ、そんなもんかもな。電霊能力が十分以上に行使出来たら強すぎるのはオレ自身理解してるし、見つかったら囲い込まれるよな。オレもそういう組織が機能してたら色々危なかった気がするが、全部機能不全を起こしてたから今まで好きに生きてこられたわけだ。まだちょっとの間は更に好き放題出来そうだな。

 

「んで、依頼の件ですが……」

 

 正直、オレのコネに転生者補正と同志補正もあったっぽいが、オレに頼る以外だと本当にいつまでかかるか分からないレベルで電霊・ハッカーは見ないのだとか。オレが化身をホイホイ増やして『電霊人海戦術』が出来るっていう最高の条件があるのも正直奇跡かと思ったとか。

 

「具体的な依頼の内容としましては……ここ、ハチマン神社の中に新たに作った電脳異界に『盛運の社』を多数設置。その後、ハチマン様がハチマン神社を『ウライチ』形式で異界化した後に延伸し『佐部利メシア教会』の異界と新たな電脳異界を接触させ、接触が確認出来たら『盛運の社』を完成・稼動させてマグネタイトを奪い取り、佐部利メシア教会……現状『佐部利教会塔』内部のシャドウと悪魔を全滅させます」

 

 なるほど、異界を大規模に動かすのはハチマン様がやってくれるのか。

 

「『全能のバランサー』の上の階に誰かがいるのはミントの偵察で分かってますが、推定レベル『1』の人間がいて……おそらく『失敗した』転生者と思われます。あとレベル47の夜魔がいるので、おそらくそれが現状のボスであるかと。ボス交代まで見越して、例の死や冥界という条件を出させてもらいました」

 

 最高戦力はその『全能のバランサー』で、この異界のボス……レベル47の夜魔と、全く鍛える機会が無かったLV1の転生者がいると。

 

「そ、そこまで大掛かりな事をしてマグネタイトを吸い上げたら、向こうも気付くんじゃ?」

 

「そうですね。全能のバランサーは流石に位置固定のようですが、塔内をうろつくシャドウは移動して来る事が予想されます。出てくるのはバランサー3種。炎と氷のバランサー、雷と風のバランサー、光と闇のバランサーだけなので、対策は容易と言っていいでしょう。色で判別もつきやすいですし」

 

 オレが『盛運の社』構築中に塔を降りて来たバランサーの群れを、マシン部隊と他の仲間達で足止めして完成を待ち、完成してもそのまま持久戦して『全能のバランサー』が弱りきるか倒れるか消滅するのを待つ……のが作戦らしい。

 

 マシン部隊はそのまま接続、オレら悪魔はフツーにミミカのアームターミナル経由でサイバー空間に向かい、ミミカ達人間は古いVR系の物語にあるような機械、『ヴァーチャル・バトラー』でサイバー空間に向かう。うわーすげー本物かよ、これ真女神転生2で見たぞ!

 

 オレは電霊になったんで逆に体験出来なくなったけど、古いサイバーパンク的な機械と管に囲まれて電脳空間にダイブするのって転生したらやりたいことかなり上位にランクインしてくるSFガジェットじゃん!

 

 そのロマン溢れるヴァーチャル・バトラーが6台。あれ、結構数用意してるんだな。オレらが来るってんで追加したのかな。うちの人間組はミミカ、スガル、裕奈ちゃん、阿形さん、これフルメンバーで行けるな?

 

 オレら少数だけでとも思ってたけど、行けるならフルメンバーで行った方がいいな。

 

「しかし……異界をコントロールして上手く繋ぐとか行けるのかな?」

 

「ああ、そこは問題ないっすよ?ハチマンさまはここのウライチで何百年も異界を出したり引っ込めたりをやってたんで、それは問題ないっす。ただ電脳空間ってのがネックになってたんで、そこで電霊かハッカーさんが欲しいってことで……」

 

「そういうことね。つまりオレと……みる子はこれから作業準備かな?」

 

「いや、わたしそれほど電霊能力?とかないし……他全部セラフィックアイドルにうちゃんなのにわたし1人だけいても足引っ張るだけでしょ」

 

「……それはそうかも知れない」

 

「わたしはLVも足りないし今からでも阿形さんとこ行って鍛えて来るよ。作戦とヴァーチャル・バトラーの話もしてくる」

 

 うん、そうだね。ヴァーチャル・バトラーはロマンだからね。

 

「んじゃ、スガル達もヴァーチャル・バトラーに慣れとかねえとな。これ装備とかそのままなのか?」

 

「そのままですね。これはマグネタイトの……霊体が……アナライズと基礎データの……」

 

 眼鏡っ娘フリークスの説明はほとんど分からなかったが、真女神転生2のアレと似た感じに使えるってとこだけは良く分かった。

 

「ちょっといいすか?電脳異界の作成についてのことなんすけど……」

 

 おっとそうだった。オレにはちっさい電脳異界をここに作ってそこに『盛運の社』をタイミングを見て構築しまくるという仕事……の練習をするという仕事があるのだ。忙しい忙しい。

 

 まあ、動員出来る化身総動員でやるからそんなに忙しくはならないだろうけどさ。

 

「どれ、オジチャンに現場見せてごらん?」

 

「どこがオジチャンすか……ここなんすけど」

 

 剣道場と柔道場の間、さらに奥に伸びた廊下の先にあったサーバルームで、早速練習を始める。とりあえずレベルの上がってる、特にどこかに派遣されてない化身は総動員だ。

 

「電脳異界作成と盛運の社構築以外はハチマン様がやるので……とりあえずそこだけ完璧に慣れておいて下さいっす」

 

 お?いいのか?それじゃ階層を分けて、盛運の社を構築する予定地でいっぱいになったら新しい階層を作って……ってやりかたで好きなだけ広げよう。わーい!

 

 オレと化身達はよそでの異界作成・初めての構築作業に盛り上がり、手加減無しで練習と作業を進めるのだった。

 




 つまり?→初見殺しの盤外戦術
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