女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記―   作:おかひじき

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 玉兎いるかと思ったけどいなかったのでオリ


生まれる前の他人事 ※後半化身視点

「姫ェ~!?ミミカが!?」

 

「姫巫女じゃ。今はその意味を失っとるがの」

 

 爺さん婆さん、昔の伝を使って色々調べて来てくれたようだ。今は無き烏兎神社の後継者、とかいう設定は聞いたことあったけど、そんなご大層なものが隠されていたとは。

 

「ここの烏兎神社の主祭神は烏たるヤタガラスと兎たる玉兎でな。他とはかなり異なる形式だったようじゃ。元より『裏』の仕事を主とし、姫巫女がヤタガラス様か玉兎様を神降ろしして戦うのが通例だったからかも知れん、実際に見る烏と兎の方が祭神になったと。最も、中央に取り込まれてからはほぼヤタガラスの方に特化したようじゃが」

 

 ヤタガラスの方は大体イメージで分かるけど玉兎の方はどうなのか聞いてみたけど、肉弾、自爆、リカームドラ、バイナルストライク……全てのスキルが自爆技という潔い構成だったらしい。

 

 ああうん、そりゃヤタガラスに特化するわな。玉兎の方にも、レベル1で才能の無い姫巫女でも自爆系スキルで戦えるというニッチな利点はあったが、今のミミカにそれは意味がないのでそっちは無いです。才能無くても命を燃やして頑張りますみたいな話だろ?それは。

 

「まあ、そうじゃな。十分な力があるならそのほうが良いじゃろう」

 

 ヤタガラスの神降ろしは本人のレベルと習熟度によって色々スキルが解禁される仕様で、今のミミカなら期待出来そうだとか。

 

「ねえホントに?ホントに私が魔法使えるようになる?私魔法使えるんで……とか若干イキっちゃっても大丈夫?」

 

「いや、今のままでは絵に描いた餅だろうて。この神降ろしには儀式が必要じゃからの。儀式を行うには、その『ハト』神の示した3つの異界と『喪神山』を確保する必要があるようじゃ」

 

 その跡も、爺さんの話は続いた。どうやら烏兎神社とオオトリ神社は、思った以上にこの地方で大きな存在だったらしい。悪魔業界としては2社でこの地方代表だったとか。

 

 ただ、地方代表であったからこそ、第2次世界大戦中には分を越えた協力を要請され、占領軍時代にはその無理をした協力関係をネタに占領軍御用達のメシア教ににらまれ、色々接収されてどさくさに紛れて表向きの神社や元神領の土地も奪われ、実質無期活動停止のような状態になって今に至るとか。

 

 ちなみに現『教会跡』を奪ったのがメシア教、現というかもう元の佐部利メシア教会の土地を奪ってメシア教に寄贈したのが中央の政府機関、舟方島異界と喪神山を奪ったのがガイア系だったとか。みんな仲良しこよしで戦果を分け合いましたってか?ホントそびえ立つクソ揃いだな!

 

「ええと、喪神山もどちらかの神社の土地でしたの?」

 

「おお、佐部利メシア教会の土地がオオトリ神社なら、喪神山の土地は烏兎神社じゃな。烏兎神社の公式な主祭神はタケミカヅチ様となっておるが……実際ここで祭っておったのは先ほども言ったようにヤタガラスと玉兎、更に言えばヤタガラスや玉兎を降ろして戦った過去の姫巫女の祖霊も祀られておった」

 

「ホヘー……」

 

 ミミカのやつは話を聞いているのか聞いていないのか、今日はヨーグルトから始まり飲むヨーグルト、裂けるチーズ、ラッシー、練乳アイスクリーム、カマンベールチーズ、飲むヨーグルトブルーベリー味、牛乳ようかん、チーズケーキ……今日は乳製品祭りだとばかりにもっちゅもっちゅごきゅごきゅしている。こいつはこいつなりにこの悪魔の宴にテーマみたいなものを考えて食ってるんだろうな。分かりたくないけど。

 

 まるで他人事。まあ産まれる前のことなんて他人事と言ってしまえば他人事なんだけどさ。

 

「喪神山の本来の字は送神山、神や祖霊を送るという意味じゃ。『送神山』を取り戻し、祖霊との繋がりを確保すれば、儀式が行えるという事じゃな。儀式を行えば、神降ろしだけでなく悪魔としてのヤタガラスや玉兎、イナバシロウサギの力も借りる事が出来るというぞ」

 

「イナバシロウサギ?」

 

「それは普通に喪神山に生息しておるからの」

 

「あっはい……」

 

「あとは……高レベルなら烏兎の現す他の意味である日月、すなわち時間に属する技が身につくかも知れんの。わしもお前たちがここまで高レベルになろうとは思いもよらなんだが」

 

 その後も、細かい問いかけや説明は続いた。最初はどう考えてもおかしくなったとしか思えなかったオレが、あれよあれよと言う間にレベルを上げて生き残り、悪魔に負けずに自意識をしっかり保ち、仲間を増やし、メガテニストやアルカナ、「ハト」や警視庁と縁を結び、奪い返すのはとうの昔に諦めていた教会跡や佐部利メシア教会の異界を攻略し、それを確保する。オレら自身には何の気負いも無かったが、事情を知る爺さん達にはまるでオレらが運命に導かれて神社勢力再興に邁進しているように見えていたという。

 

 ……なるほど。オレらは何かに導かれたなんて思ってないが、時間城の主、ハチマン様、ハト……あいつらもしかして導いてんな?状況から判断するとそう見えなくもないって程度だけど。

 

「正直さ、新しい手口だの新組織だのってだけじゃなんか足りないよなーって思ってたんだよね」

 

 オレらを転生させた高レベル悪魔達にも思惑があるのだろう。それらに対抗するための材料として少しでも転生者をまとめて集団を作りたいと、色々種は撒いて来た。

 

「看板がないから最悪オレだけが看板になるしかないなとか思ってたけど、悪魔のオレだけじゃなくてやっぱ人間の看板もいた方がいいし」

 

 悪魔が主になった組織はどうしてもその悪魔の意思や性格に引っ張られ、人間社会や表の法を軽視しがちな印象がある。

 

 ニュートラル・ニュートラルの人間、実力でメシアから異界を奪取してレベル50を突破した、失われた烏兎神社の姫巫女。色々な伝もある。何もないアニマウイングスよりも、神社勢力再興を成し遂げたアニマウイングスの方が主に現地への広がり方に良い影響を与えるだろう。

 

「まあ、中心にならざるを得ないミミカはクッソ大変だろうけどな!」

 

「え!?」

 

 ……ここまで聞かされて何で今更驚いてるんだミミカ。まさかそこに気付いてなかったのか。

 

「なんか話が大きくなって来たな。まあ、やることはそんなに変わらんと思うけど」

 

 明日は完全休養にする予定だ。オレの化身の配信とスガルのコミュニティくらいはやると思うけど、他には特に何もしないで家で過ごす。フツーにゲームでもしてようかな。

 

 オレはデスクトップCOMPに戻り、太閤異界に持ち込んだフワフワ布団に包まれて、スリープモードに入る。眠る事のない電霊が、人間の眠りを懐かしみながら。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 オッス、オレだよオレ、セラフィックアイドルのにうちゃんだよ。ただし『京葉メシアン』こと加曽利 英次(かそり えいじ)のとこに派遣されたエーゼロちゃんだけどな!

 

「これはひどい」

 

 派遣された先、彼のGUNPから出て、思わず発した最初の一声がそれだった。

 

「でしょう?まず第一に、あなたにこの片付けを手伝って欲しいのです」

 

 現在彼が拠点としているマンションの中は、所狭しとアイテムや装備やゴミや……とにかく色々なものが積まれて足の踏み場もないくらいだった。

 

「通常なら、彼自身と私達できちんと整理するのですが、今の忙しさではそんな暇もなく……」

 

 憂いた顔でため息をつくのは、彼の一の仲魔のソロネさん。翼はあるけどなんか正統派美女って感じだな。今彼は寝室で仮眠中、1時間もしたら高レベルの天使系異界の管理業務に出なければならない。なるほど、掃除に手間をかける時間すらないと。

 

「だが……オレが来たからにはもう安心だぜ。見たところ大部分がアイテムと装備、ならオレの電霊能力で一発解決だ!」

 

 オレの電霊能力で、まずは大きめの装備が次々とGUNPに吸い込まれる。派手に行くぜ!

 

「……お静かに」

 

「……はい」

 

 彼は寝てるんでしたね。ま、まあオレの能力なら別に音を立てなくても収納出来るし?優秀な電霊ですから?

 

 音も立てずに収納し続けて、まあ30分くらいで全部のアイテムと装備を収めた。床が見える。

 

「ああ良かった、これでやっと普通にお掃除が出来ます」

 

 残る未登録アイテムや日用品を脇に寄せれば、あとはゴミばかり。仲魔総出で部屋を掃除して、彼が起きる頃には見違えるほどに「普通にきれいな部屋」となっていた。起きた彼にむちゃくちゃ感謝された。さすオレ。

 

 そのマハムドオンカードは何なんですか?え?野良天使を味方と思うな?死ぬって?そ、そっすか……。

 

 その日、オレはチャクラドロップじゃぶじゃぶでマハムドオンを撃つマッシーンと化した。

 

 

 

………………………………

 

 

 

「エーワンさん、これしまってください」

 

「はーい」

 

「チューインソウル出してー」

 

「はいはーい」

 

「メデューサの弾あります?」

 

「メデューサの弾は予算オーバーです、呪いの弾丸で我慢しましょう」

 

「えー?」

 

 帝都近郊の山の中、新たに発生した高レベル異界を攻略する警視庁第1マシン部隊と、それに派遣されたオレ、エーワン。

 

 本来なら山の中を迷いながら攻略するんだろうが、第3のビットボール部隊との共闘によりほぼ最短距離での力押しとなった。

 

 この異界の今まで出た悪魔のレベルが大体30~40、部隊長のマシンタケルさんがLV67、その他の5人が49~55だからね。ビットボールで見えてりゃそりゃ勝つよね。

 

「サマナー系でもいりゃこのくらいのレベルで仲魔集めするんだろうけど、俺らサマナーいないんだよな……」

 

「あ、でもクグツ部隊のクグツシさんって一応サマナーじゃないですか?」

 

「あれはちょっと特殊だからな……野良のクグツって基本壊れてるから自分で組み上げたり修理したりで大変らしいぞ」

 

「へー」

 

 軽口を叩いているうちに、ボスの邪龍:バジリスクが倒された。バジリスクさんは泣いていいと思う。

 

 そういや、クグツって言えばオレの異界の「教会跡」になんか大量に湧いてたな。仲魔にならんかったから忘れてたけど、あれはかなり奇麗な状態だったような。

 

 オレがボスの残したマッカその他の収納作業の合間に思い出すようにオレの異界の「クグツ」の画像を眺めていると、マシンタケルさんが興味を示した。

 

「ん?何ですかそれ、フィギュアですか?」

 

「いえ、マシン:クグツですが……」

 

「え?ちょっと見せてください。ええっ?こういうパターンもあるのか……小さいけど、状態がものすごく良くてこれは逆に……」

 

「あの……それは普通には仲魔にならなかったんですけど……」

 

「え?ああ、そうですね。クグツシじゃないと難しいでしょうね。でもこれなら……これどこですか?」

 

「えーっと、うちの異界なんですが……」

 

「あ、それじゃちょっと……厳しいかな……あー……」

 

 聞く所によると、クグツシさんのクグツは現在警視庁の異界警備用兼表の場所に置いても大丈夫な表の裏備えとして働いているらしい。しかもそれは小さければ小さいほど、不自然でなければないほどめっちゃ需要ある。

 

「僕は行けるけど、クグツシさんが行かないとダメな話だからねこれ……」

 

 とても惜しそうな顔をしながら、一旦棚上げにして今日の撤収準備に入る。まあ、そんな役目があるなら、クグツシさんはお手軽に遠出出来ないんだろうなってのはわかる。

 

「伝えるだけは伝えとくか……」

 

 マシンタケルさんは回線を開いて通信をしてるようだ。クグツシさんに伝えたのかな。

 

 今は無理だろうが、いつかオレの『教会跡』にお客様が来るかも知れないのか。まあ情勢が一時的にでも落ち着いてからだよな。

 

 オレも他の化身とゼロッチにそれを伝えるべく、回線を繋いだ。ゼロッチたちは宿屋異界にマグネタイトを注いでアイテムが出て来るかどうかの検証中だった。ちなみに実際出来たのは薬草の形の魔石とかミニメダルの形のマッカとかで形が変わった以外は特に意味がなかったらしい。……ファンアイテムとしてならまあ悪くはないかな。フツーに著作権に関わるし売れはしないのが惜しいなぁ。

 




 たまには爺さん婆さんを喜ばせるために頑張るぞ!主にミミカが。
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