女神転生転性転生―電霊:セラフィックアイドルにうと化したおっさん転生記― 作:おかひじき
ミミカとスガルは、普通にお金を下ろして帰って来た。
「設定」的には既に悪魔業界人なので、見た目を考慮に入れてもギリギリありえなくはないのだろうが、レベル一桁で何度も大金を下ろすとおかしく見えるかもなので、やっぱ早めのレベルアップは必要だろう。
車は国道を走り、大型ホームセンターへとたどり着く。
「とりあえず基本的な物は揃ってたけど、日用品とか私のしかなかったから、必要なものはこのカートに入れて。今日の所は私が払っとくから」
「マジで?サンキューな!」
ミミカの話を聞いて、スガルは店に入るなり買い物かご二刀流で駆け出した。
買う気まんまんである。まあ、変な遠慮とかしてるよりはいいかもしれない。
「ちょっといいか?」
「ん、何?」
着けてると怪しすぎるので仕方なくリュックの中に隠してある、アームターミナルの中からミミカに話しかける。
「オレはここで表に出るわけにもいかんし、必要なものって言われても悪魔関連のものになるんだよね」
「あ、そっか。そうだよね」
「なのでホラ、ネット上の取引とか任せてくれないかな?悪魔業界御用達のDDS.comとかもあるし」
「DDS?そのあたり詳しく」
何だ、DDS.comに気付いてなかったのか?
いやオレも詳しくは調べてないけどさ。
「なるほど……じゃあネット上の事なら任せるよ。新しい入金は私がするけど、もう入ってる分は私の分も私達のために色々使ってくれていいよ」
そうか?そうだな。いちいち細かい条件とかつけるのは面倒だし、緊急事態が発生した時には複雑な条件は危険だ。
何の根拠もないオレの勘では、転生者の電霊同士の電霊ハッキングバトルが発生しないとも限らないと思ってるし。願望込みで。
「そうなの?」
「そうかも……?」
いやなにか根拠があって言ってるわけじゃないが。
「あと、これはまた別の話だけど、気付いてるか?」
「何?」
「オレらが必死こいて集めて買って見てたエロ画像が、その価値を無くしている事に……」
そうだ。それはもう全く興奮しないのだ。
ミミカもスガルも、今日当然のように着替えをしてたけど、全く、何も、全然、心に響くものが無かったし。
それに対して何か言う事も、今の今まで全く思いつかなかったくらいだし。
「そうだね。今更だけど、そっかぁ」
「そうだよ今更だよ、でも重要だよ?」
気付いてしまった……いわゆる一般向けのものはともかく、画像以外でも性癖をメインで楽しんでいた創作物は、全てその価値を失ったのだ。
リアルで成人してから20年とちょいか……。
そういう目的のアカウントや、そこに入れたポイントはこっちでも律儀に再現されている。
「ポイント交換とか出来るなら、全部DDSあたりに突っ込んどこうか……」
オレは気付いてしまった真実に気落ちしながら、ミミカの仲魔としてのアカウントをDDS.comに作り、交換出来るポイント類をそこにつぎ込む作業を始めるのだった。
………………………………
「ところで、聞いていいか?」
「何だよ?」
「この世界、本当にメガテン・ペルソナの混ざった世界ってことでいいのか?」
ミミカが急に哲学を始めた。いや、急にそう言われてもな。
「流石に……時間城の主もいたし、スガルはペルソナ使ってたし、悪魔召喚プログラムもあったし、電霊のオレもいるし、メガテンとペルソナが混じった世界ってのはもう疑いようが無いだろう」
まあ、原作そのままみたいな世界じゃなさそうだけどな。混ざってる時点で。
「流石に悪魔を斧でぶった切っておいて実は違いますとか今更言われてもな。少なくともメガテン・ペルソナ風であるとは言ってもいいんじゃん?」
それはそうだ。
「むしろそのメガテン・ペルソナ風異世界で、スガル達が本当に生きていけるのかって事の方が重要じゃね?」
意外にも、最初にそう発言したのはスガルだった。
戦闘では突撃兵だが、考え無しに突撃してるわけじゃなさそうだな。
実際能力は多様性・多面性のワイルドだからな。
「まあ、生きて行けなきゃ死ぬだけだね。サマナーでもペルソナ使いでも悪魔でも、静かに穏やかに暮らして行くなんてのは向いてないでしょ」
「これまた意外だな、ミミカはなんつーか、もっと社会性志向の真っ当なことでも言うのかと思ってた」
「スガルからはそう見えたかな?でも残念、私だってあの時間城の主の前に白ハゲで置かれて、そんな異常事態にもかかわらずこの地味子サマナーのキャラメイクして、アームターミナルのサマナーを選んだメガテニストだよ?」
そうだ……そうだったな。多分だけどオレらは全員、あんな異常な状況に置かれて、この世界への転生を選ばされたのにもかかわらず、かなりワクワクしてた。
他のやつらはわからんし、断りようの無いシチュエーションではあったけど、全部ひっくるめて言えばオレらは。
「オレらは最終的に好き好んでこうなってこの世界に来た。そうだろ?」
「禿同」
「は、ハゲてねーし!」
「お、おう……」
そもそもあの状態でも転生を拒否したやつもいるかもしれないし、逆に最初から選抜済み、好んで転生するアレな人材を選んだ可能性もある。
時間城の主以外にもこういうことをしてる存在はいるだろうし、自分達がそこまで特別な存在であるとも思えない。
「今この瞬間にも、オレらより才能のあるメガテニストやペルソナ使いが、この世界で産声を上げているのかも知れない……」
「そうかな……そうかも……」
そうこう言ってるうちに買い物は終わり、ミミカの拠点、時間城の近くにあるサマナー用一軒家に帰還した。とりあえず明日の予定だけ立てて、早々に休む事にする。
いやオレは化身と同期してデータの整理するくらいで、休む必要は無いんだけどな。
明日は異界には行かず、今は使えない元オレの装備品とかを売り、アイテムや装備を新調する事になった。ついでに今分かってる悪魔関連の施設も見に行くとか。
まあ当然か。まず銃が貧弱で、時間城経由で支給されたと思われるナンブ2と通常弾しかなかったからな。弱点を突くだけなら十分っちゃ十分だけどさ。
どうやら表向きは世界が安定していて、リアル世界に負債……呪いという形で色々全部押し付けていたせいで、リアル世界とつながりの無いその他業界人と悪魔は低レベルの者が増え、最底辺はまるで警備員のような扱い、積極的なレベル上げよりも全てを隠蔽し、悪魔の力を弱めるという風潮であったらしい。
それで政府系、メシア・ガイアその他の大組織だけがリアルチート使って、リアル世界を犠牲にやりたい放題だったってのはクソオブクソだが、そいつらはもういなくなったからな。
めずらしく四文字神もいいことをする。
つまりこれからは、今までこの業界を支配していた高レベル部分が消し飛んで、高レベルでも生き残ってる一部の変……良いやつと、事件に絡めなかった低レベルの業界人、そしてオレ達リアル転生者で業界を回して行かなきゃならない。
おそらくリアル転生者を呼んだ存在=「生き残った悪魔達」の肝いりなんだろうが、そう上手く行くかな?
「お休みの間、悪魔に肉体を乗っ取られぬようお気をつけて……」
「お前が言うんじゃねーよ怖いだろ!はよCOMPに帰れ!」
こちらのアームターミナルにイッチを残し、オレはオレ拠点のデスクトップCOMPに帰還した。
「帰ったぞ」
「来た!ゼロッチ来た!」「ママ来た!これで勝つる!」
誰がママか。早速こいつら化身と同期して、情報を共有する。
お、ニッチが結構やってくれたな。
セラフィックアイドルにうの公式サイト……DDS系で場所は確保。
ただし無料なので色々それなり。最初はこれでいいんじゃないかな。
規模がもし大きくなったらちゃんとした場所にすればいいし。
今はまだテキストと例のオレとイッチの画像だけで寂しいもんだが、色々大きくなってコンテンツが充実するのが楽しみだな。
そしてヨッチだが、業界関連のショップの詳細な地理データを整理してくれていた。
さすがオレだ有能さが違うぜ。
サッチは、粛々とアイテム登録作業をして、リボンシトロン、南船橋人工水、後光の紅茶、カロリーフレンド、青銅の馬具、いわく有りげな鉄の棒、計6つのアイテムが新しくCOMPに出し入れ自由となった。このCOMPとミミカのアームターミナルで、登録データを共有する予定。どのくらい登録に重複があるか知らんけど、格段に便利になるのは確かだろうな。
青銅の馬具といわく有りげな鉄の棒は、持ってたアイテムの中でスウィートトラップ向きのものだ。あれは形が色々あった方が初見びびるからな。
あとはゴッチだが……何かSFミリタリー系行進放置ゲームをやって遊んでいた。
「だってこの世界ポルミラが続いてるんだぞ!?やるしかねーじゃん!」
「何がやるしかねーじゃんだ!1人だけ遊んでんじゃねー!」
そうは言ったものの、同期すれば結局俺が遊んだ事にもなるんだよな。
なので許した。いや、同期した以上許すも何も無いが。
もうオレ自身が遊んだ感覚もあるので、常に化身の1人は遊ぶか休ませて、それもローテーションするか、思い切って遊び専用の化身を置いてもいいかもしれない。
オレと化身は「太閤」異界でまったり過ごしながら、交代でサイバー空間の端末で情報収集を継続しつつ、フツーにネットを楽しんで休息を取った。
遊びながら仕事も趣味も出来る、強い。