TS転生美少女 音虎玲子は寝取られたい(旧題:TSクソビッチ少女は寝取られたい)   作:二本目海老天マン

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109.正義

 

 さて、チーちゃんの学校見学も終えたので、帰宅した私は自室で人心地ついていた。

 こんにちは、音虎(ねとら) 玲子(れいこ)です。

 

 あの後、中学校の案内やら御影学園への受験の相談やらを介したことで、チーちゃんとユウくんはそれなりに友好的な関係を築いていた。

 正直、ユウくん視点から考えればチーちゃんは潜在的な敵に過ぎない筈なのだが、ユウくんは元々攻撃的な悪意が欠如している優しい子だし、チーちゃんも私が洗脳教育を施しているとはいえ本質的には善良な人間だ。私が何もせずとも二人が歩み寄るのは別におかしい話では無いだろう。私の好きな人達が仲良しなのは嬉しいことである。

 

 まあ、あの二人が友人関係を構築するのは既定路線だがナ。

 チーちゃんには罪悪感を感じながら、苦しみぬいた上で私を寝取って欲しいからさ。傷つける相手のことをキチンと知っておいてもらわねェ~と私がつまらない。

 進撃のエレンだって地鳴らしを発動する前に、ちゃんとマーレで踏み潰す人達の生活を見ることで悩み苦しんでいたからな。先週(2023/11/4(土))にTVアニメが最終回を迎えた進撃の巨人-Attack on Titan-で言うならさぁ! 

 10年以上かけたアニメ化に相応しい素晴らしい出来の最終回だった。アニオリの補完も素晴らしかったし、NHKはアニメに関してはキレッキレだな。原作読んでてアニメ版見てない人は是非見て欲しいところである。進撃の巨人 The Final Season 完結編は各種動画配信サイトにて好評配信中だ。

 まあ進撃の話は置いておこう。私は進撃の話を横に置いた。

 

 それにしても、恋愛感情というものはつくづく人間の人生をぶっ壊すことに長けているものである。

 チーちゃんにしたって、彼氏がいるような女なんざサッサと諦めて、新しい恋に生きれば色々と楽だろうに。まだ子供だというのに、私を追っかけて親元から飛び出してくるのだから難儀なことである。

 もっともそういう展開になるように仕向けたのは私だが、沈むと分かっている泥船に善良な人々を案内するのは私のライフワークである。「仕方なかった」ってやつだ。進撃のライナーと同じだよ。

 そもそも私にしたって、広い目で見れば恋愛感情に人生を狂わされた被害者の一人と言えるだろう。NTRだってマゾヒズム的な歪みを孕んではいるが、立派な恋愛感情の一種である。それに振り回されて困難な道を歩むことを強要されている憐れな殉教者……それが私なのだ。なんて可哀想なんだ。私。

 それ故に、私は自分が人の道から外れた行いをしていることを自覚している。愛のために正義から外れたことをしているという認識はちゃんとある。

 

 私は自分の愛のために、間違っていると知りながら……その他の人間の幸福を犠牲にすることを選んだのだ。

 ごめん。ごめん……ごめんなさい……! 

 

 よし。謝ったし禊は済んだな。

 まあ自分のことを正義だと自称する人間にろくな奴はいないと相場が決まっている。逆説的に私ほど真っ当な人間はいないということの証左であるとも言えるだろう。照れるぜ。

 

 

「――ねえ、貴方もそう思いませんか?」

【がぶっ、ごぼっ】

 

 私は部屋に湧いていたグロテスクな毛むくじゃらの首を片手で締め上げながら、つらつらとモノローグの内容をくっちゃべっていた。

 高校の入学式辺りからだっただろうか。私の周辺にこんな感じの悪霊めいた存在がウロチョロし始めたのは。

 最初はポンコツども――叡合會(えいあいかい)の差金かとも思ったが、デザインからして呪霊っぽい見た目でポンコツどもとは方向性が違うし、新手のオカルト的存在らしい。

 

「レイコ、入るわよー」

「はーい」

 

 ノックと共に、母が部屋へ入ってきた。

 

「ちょっとお夕飯の材料で買い忘れがあったから、スーパーに行ってくるわね」

「うん、いってらっしゃい」

【ギャギャッ、ぐぎゃっ】

「……レイコ、壁に手を当てて何してるの?」

【ギィーッ、ギギッ】

「んー、ちょっとストレッチしてたの」

「ふぅん……それじゃ、お留守番よろしくね」

「はーい」

 

 オマケに私以外の人間には、こいつらの存在が見えていないらしい。

 やっぱり呪霊じゃないか。勘弁してくれ。呪術廻戦の二次小説じゃねえんだぞ。

 母が部屋から出ていくのを見送ると、私は溜息を吐いて推定悪霊に語りかける。

 

「あなたが誰かに使役されているのか、自然発生している存在なのか……いや、それだと最近になって急にウロチョロし始めた説明がつかないか。せめて言葉が通じる相手ならなぁ……よっと」

【ギャッ……】

 

 首を締め上げていた腕に軽く力を込めると、ボキリと心地よい音が鳴った。

 悪霊の四肢がだらりと脱力し、その身体がサラサラと灰のように崩れて消滅していく。

 別に見た目がキモいだけなら見逃してやっても良かったのだが、どうも悪霊どもはユウくんやユリちゃんにもちょっかいを出そうとしているようだったので、最近は見かけ次第駆除するようにしているのだ。

 

 誰であろうと私の学園ラブコメ(NTR)を邪魔することは許さない。

 もしも裏で糸を引いている存在が居るのならば、私は決して容赦しないだろう。異能バトルものがやりたいなら私の目の届かない所でやれ。何の罪もない私を巻き込むんじゃない。

 

 身の程を知れ。私が正義だ。私に従え。私の空気を読め。

 

 この世に潜む邪悪を許さない私のアツイ正義の光が、ギラリと歯を輝かせるのだった。

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