TS転生美少女 音虎玲子は寝取られたい(旧題:TSクソビッチ少女は寝取られたい) 作:二本目海老天マン
144.TSクソビッチ少女は寝取られたいYOU'RE NEXT
『極ノ番』というものを知っているかい?
『領域』を除いたそれぞれの術式の奥義のようなものなのだが、これは呪術廻戦の話。
まあ、この小説読んでる奴は大抵ジャンプ読んでるだろうし知ってるだろ。要するに超必である。
正確に言えば最強技を除いた切り札といったところか。
無論、私の最強技はNTRからの脳破壊なのは疑いようもないところだろう。では私にとっての極ノ番とは何か?
それはNTRの前フリとしてのイチャラブが相当すると私は考えていた。
そして、私は今まさにユウくんとイチャラブをする為の最高のシチュエーションを手に入れようとしていたのだ。
休日のお昼時。
私は買い物袋片手にユウくんちのインターホンを鳴らして、彼が出てくるのを待った。
「あっ、レイちゃん。いらっしゃい」
「こんにちはユウくん。上がってもいい?」
「もちろん。……その、なんだか悪いね」
宅内に招かれた私が、買い物袋から取り出した食材を立花家のキッチンに並べていると、ユウくんが申し訳無さそうな顔で首に手をやっていた。
「私がユウくんに料理してあげたかったんだから、気にしないでいいのに。それよりも、おば様の方は大丈夫だった?」
「うん。さっき連絡があったけど、じいちゃんも大事無かったみたい」
つい先日のことなのだが、ユウくんの祖父が野良仕事の最中に腰をやってしまったらしく、ユウくんママは介護のために一時実家へ帰省しているのだ。
ユウくんの父親も現在は単身赴任中であり、彼は現在一時的に一人暮らしをしているという訳である。
「そっか! 良かったねユウくん」
「まあ、ついでに実家の方で色々と用事を片付けてくるみたいだから、母さんがこっちに戻って来るのは少し先になるんだけどね」
ユウくんの言葉を聞いて、私はニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべる。
「それじゃあ、しばらくは私がユウくんの家でお世話をしてあげよっかな~」
「こ、子供じゃないんだから……そんなに心配されなくても大丈夫だよ」
「ふーん。ねえユウくん、昨日のお夕飯は何食べた?」
「え、えっと……テイクアウトの牛丼とカップラーメンです……」
私がわざとらしく深い溜息を吐くと、ユウくんは申し訳無さそうに身を小さくした。
「そんなことだろうと思った。おば様からもユウくんのことお願いされてるし、私がしっかり見ていてあげないと」
「レ、レイちゃんは母さんに一体何を言われてるの……?」
「……うふっ」
私は意味深に笑うと、エプロンを付けて調理に取り掛かった。
「それじゃあ私はお料理するから、ユウくんはテレビでも見て待っててねー」
「ね、ねえ! 母さんに何を言われてるのっ!?」
「まあまあ。いいじゃない何だって。まあまあまあまあ。ほらユウくんは向こうに行って。気が散るので。気が散るのでっ!」
私はユウくんをグイグイとリビングに押しやると、ちゃっちゃと料理を作る。
料理ってーのは心だ。
作る奴も食う奴も心を持つ人間なのだから、当たり前のことである。
人の心を踏みにじるような悪党にゃー美味いメシは作れねえ。つまり炊事が完璧な私は逆説的に悪人では無いということである。
まあね。流石に私も自分のことを完全無欠の聖人とまでは言わないよ?
連載開始から既に二年ぐらい経過しているんだ。そんだけ続けてれば連載初期はちょっとぐらいキャラがブレている事だってあらぁね。こち亀の中川みたいなもんよ。
そういう訳だから、覚えていないだけで私も昔はちょっとぐらいヤンチャをしていたかもしれない。自分で確認するのは面倒臭いので、各自一話から読み返すか今度出る予定の書籍版を読んでくれや。
まあ人間いつだってやり直せるって漫画でもアニメでもよく言ってるじゃん?
私は身内には甘いし、根っからの極悪人じゃないから、いつでも余裕で最終パーティーの仲間入りが出来るってワケ。
なんならどうせ最終的に許されるのならば、もっと好き放題暴れてから改心してもよくね? と思っている節すら有った。
今ここでユウくんにこれまでの悪行を告白して悔い改めようなんつーのは、自分が楽になりたいだけの自己満足にすぎないという考え方もある。
私達は皆それぞれに罪の十字架を背負って生きているのだ。
辛いか? 苦しいか? 私は辛いし苦しい。罪の意識で今にも胸が張り裂けそうだ!
だが、そんな罪と罰を背負う私だからこそ、人の心に寄り添った"赦し"のメシが作れるのさ……
私は料理に対するアツイ持論をつらつらとモノローグしながら、献立を完成させていく。
今のユウくんにはお野菜が足りていないので、野菜たっぷりのお味噌汁に卵焼きと焼き魚。育ち盛りにはちょっとボリュームが足りないので、自宅で仕込んどいた大根と鶏肉の煮物も追加だ。
仕上げに懐から取り出した虹色の粉末をサラッと料理に振りかける。粉末はすぐに料理に馴染んで無色透明になった。
よし出来た。おあがりよッ!
「わぁ……これ全部レイちゃんが作ったの?」
「あはは、他に誰が居るのよ。それじゃあ食べよっか?」
ユウくんはテーブルに並んだ食事の数々に目を輝かせている。
デキる女をアピールするには、家事スキルを見せつけるのは鉄板だ。
まあぶっちゃけ惚れた女の手料理ならば、多少不味くても勝手に脳がプラス補正を加えてくれるのがホモサピの雄というものなのだが、それに甘えるようではアマチュアだ。私はプロだからな。点を取れるところで手を抜くような愚は犯さないのさ。
「……うん! 凄く美味しいよレイちゃん!」
「本当? 嬉しいっ! 沢山あるから、いっぱい食べてねっ」
御粗末っ!
***
さて、たのしい食事会が終わったので、私とユウくんはそのままマッタリおうちデートである。
他愛のない雑談やゲームを楽しみ、今はソファーに隣り合って座り、恋愛映画なんて見たりしているところだ。
「……」
映画はクライマックス。悲劇的な運命に引き裂かれた恋人同士が再び出会い、愛を伝え合っている。隣のユウくんも感極まった様子で、瞳が微かに揺れている。
……ぶっちゃけ私は何も感じていなかった。
脚本や演出が何を伝えたがっているのか全て理解出来るが、その上で何の感情も湧かない。『まあそうだろうな』って感じである。
まあいい。まぁ~いいさ。大事なのは人間の感情が動くタイミングを理解出来ているか否かである。
「……レイちゃん?」
ユウくんの感情がもっとも揺れ動いているであろうタイミングで、私は彼の肩にコテンと頭を預ける。
そっとソファーに置かれていた彼の手におっかなびっくりといった仕草で指を絡める。
「「…………」」
映画のスタッフロールを背景に、私とユウくんが潤んだ瞳で見つめ合う。
ここまでお膳立てすりゃ~令和最新の草食系なユウくんにも、次に何をするべきか分かるだろう?
私達が恋人になってから約3ヶ月。
まあ正式な交際期間こそ短いものの、付き合い自体は幼稚園時代からということを考えれば、まあ早すぎるということも無いだろう。
一つ問おう! 寝取られを作るには何が必要だと思うかね? そう、セックスだ!
今日、ユウくんは私を抱くんだよォーッ!
これこそが私の極ノ番『恋人とのイチャラブえっち』である。
ユウくんと私の唇が近づいていく中で、私はNTRルートに向けて最後のピースが揃うのを感じていた。寝取られるなら一回寝ておかないとレギュレーション違反だからね。
純愛にしがみつく者どもよ、新たな性癖を前に己の脆弱さを思い知るがいい。
テンションが上がった私は、100%状態の戸愚呂弟よろしく軽く深呼吸をしただけで周囲1kmの悪霊共を吸収して体内に取り込んだ。
魂の内側から響いてくる怨嗟の声を子守唄のように聞き流しながら、私は新しい時代の訪れにうっとりと感じ入っていた。そう、今日から私は生まれ変わるのだ。
ダークレイコ……新しい私の名さ。
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』大ヒット上映中。