ポケモン世界に転生したと思ったらイリエワニだった件   作:ミミック

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トレーナーとの初バトルで、まさかの手持ちポケモンを捕食してしまった主人公は、これからのことを考えていた。


第五話 超えた一線

 

番のメスワニ探しは一時中断とし、ひとまずは人間共の出方をうかがうことにした俺は、今日も今日とて食事に出かけた。

 

数分後、いつものようにサシカマスくんを頂いたが、何だか物足りない。

肉だ…肉が食いてぇ

 

最近、ウッウにピカチュウと大物続きだった俺は、完全に舌が肥えてしまったようだ。

仕方ないので、サシカマスを卒業して、新たな獲物を探しに行くことにした。

 

狙うは、水を飲みに来た小動物だ。

近くに沢山のポケモンで賑わう岸辺がある。俺はそこを見張ることにした。

 

数時間は経っただろうか。だんだんと日が傾き始めた頃、土煙と共に数十頭のドロバンコの群れが現れた。

ご馳走の群れだ。

 

もうお腹ペコペコの俺は、奴らが湖に口をつけたのを確認して、音を立てずに潜水した。

ゆっくりと気配を消して近づいていく。

残り7メートル、6メートル、5メートル…1メートル

射程範囲内だ

 

尻尾の筋肉を使い、ジェットのように水面から飛び出す。

狙うは顔面。頭蓋骨を粉砕してしまえば、反撃の余地はないからだ。

 

しかし、相手もさすがはポケモン。即座に反応し、首を持ち上げ、後ろに下がろうとした。

しかし、もう遅い。ワニは一見鈍重そうに見えるが、その実、水中では時速40キロにも達する速さで泳ぐことができる。

そのため、奇襲が失敗することは、まずない。

 

俺はほぼ狙い通り、ドロバンコの鼻先に噛み付いた。鼻先では、頭蓋骨を破壊できないため、渾身の力で水中に引き摺りこむ。

 

ドロバンコの平均体重は110キロ、対して、俺はどう多く見積もっても40キロほどしかない。

しかし、体重差は大きいものの、首を前に出していた体勢で、鼻先に40キロの重りがいきなり付いたのだ。体勢を崩し、湖に落ちるのは容易に想像できるだろう。

 

俺は体重差をものともせず、水中に奴を引き摺り込んだ。

体重の50倍もの荷物を持ち上げると言われる馬鹿力も、水中では意味がない。

泳ぐのに慣れてないのだろう、ジタバタと動く足の一本に噛みつき、すぐさまデスロールを決め、一本の足を引きちぎった。

 

続いて2本目、3本目、と、次々に機動力を削いでいく。

当然、奴も無抵抗ではない。けたぐりと思われる技を無数に放ってくる。当たればKOだが、あいにく、水中ではワニは馬より速い。

 

4本目の足ををもぎ取り、奴の頭を噛み砕いた。

 

所までは良かった。

 

「アーマーガア!はがねの翼!!」

 

ゑ?(デジャヴ)

 

風を切る音と共に、俺の頭に衝撃が走った。

まるで隕石でも落ちてきたかのような威力に、俺は悟った。

 

まだ勝てない。

 

情けない話だが、俺の歯があいつに刺さる未来が見えない。

それほどまでに、絶望的な戦力差だった。

 

だが、トレーナーは人間だ

 

俺は例のごとく、全身の力を抜き、水面に浮かび上がった。

 

「やったぞ!これで俺も小金持ちだ!…いや、待て!演技かもしれない!十分注意して連れてこい!」

 

だが、ここからは前とは違う。

俺は大人しくアーマーガアに捕まり、岸辺のトレーナーの元に連れて行かれた。

金に目が眩んだのか、もしくは抵抗しない俺をみて、安全だと思ったのだろうか。

ニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべたトレーナーが近寄ってきた。

 

残り3メートル、2メートル、…1メートル

射程範囲内だ。

一線を超えることになるのは分かっていた。人間を完全に捨てることになるのも分かっていた。

 

でも、迷わなかった。

 

お前も、俺をどっかに売り払う気だったんだろ?俺の生活をブチ壊して、殺処分する気だったんだろ?

 

だったら、俺がお前を殺しても、文句ないよな?

 

幸い、俺はアーマーガアに掴まれて、宙に浮かんでいる状態だ。トレーナーの顔に噛み付くのは簡単だ。

 

奴がモンスターボールを近づけてきたと同時に、渾身の力で暴れ、アーマーガアの拘束から抜け出し、トレーナーの顔目掛けて落下した。

 

「ウワッ!?アーマーg」

 

指示を出させるわけにはいかない。口を塞ぐようにして、顔面に噛みついた。

なら、いつだってやる事は一つだ。

 

デスロール

 

今までのどの獲物よりも、簡単に食いちぎれた。

罪悪感は無い。この世界は弱肉強食。それを忘れた者が悪いのだから。

 

大きな音と同時に、あっけなく地面に倒れ伏したトレーナーに、アーマーガアが悲鳴のような鳴き声を上げるのを尻目に、俺は急いで湖の中に沈んだ。

 

 




またやりすぎました。でも、後悔はしていない。
感想、評価、本当に嬉しいです!

お気に入り登録、感想、評価をしてくれた人の名前をいつも書いていたんですが、嬉しいことに、沢山の人がお気に入り登録、評価、感想を下さり、書くと結構な量になってしまうようになりました!(自慢)

見にくくなるようでしたら、書くのをやめようかと思います。
どちらがいいか、感想で教えてください!(策士)
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