ポケモン世界に転生したと思ったらイリエワニだった件 作:ミミック
番のメスワニ探しは一時中断とし、ひとまずは人間共の出方をうかがうことにした俺は、今日も今日とて食事に出かけた。
数分後、いつものようにサシカマスくんを頂いたが、何だか物足りない。
肉だ…肉が食いてぇ
最近、ウッウにピカチュウと大物続きだった俺は、完全に舌が肥えてしまったようだ。
仕方ないので、サシカマスを卒業して、新たな獲物を探しに行くことにした。
狙うは、水を飲みに来た小動物だ。
近くに沢山のポケモンで賑わう岸辺がある。俺はそこを見張ることにした。
数時間は経っただろうか。だんだんと日が傾き始めた頃、土煙と共に数十頭のドロバンコの群れが現れた。
ご馳走の群れだ。
もうお腹ペコペコの俺は、奴らが湖に口をつけたのを確認して、音を立てずに潜水した。
ゆっくりと気配を消して近づいていく。
残り7メートル、6メートル、5メートル…1メートル
射程範囲内だ
尻尾の筋肉を使い、ジェットのように水面から飛び出す。
狙うは顔面。頭蓋骨を粉砕してしまえば、反撃の余地はないからだ。
しかし、相手もさすがはポケモン。即座に反応し、首を持ち上げ、後ろに下がろうとした。
しかし、もう遅い。ワニは一見鈍重そうに見えるが、その実、水中では時速40キロにも達する速さで泳ぐことができる。
そのため、奇襲が失敗することは、まずない。
俺はほぼ狙い通り、ドロバンコの鼻先に噛み付いた。鼻先では、頭蓋骨を破壊できないため、渾身の力で水中に引き摺りこむ。
ドロバンコの平均体重は110キロ、対して、俺はどう多く見積もっても40キロほどしかない。
しかし、体重差は大きいものの、首を前に出していた体勢で、鼻先に40キロの重りがいきなり付いたのだ。体勢を崩し、湖に落ちるのは容易に想像できるだろう。
俺は体重差をものともせず、水中に奴を引き摺り込んだ。
体重の50倍もの荷物を持ち上げると言われる馬鹿力も、水中では意味がない。
泳ぐのに慣れてないのだろう、ジタバタと動く足の一本に噛みつき、すぐさまデスロールを決め、一本の足を引きちぎった。
続いて2本目、3本目、と、次々に機動力を削いでいく。
当然、奴も無抵抗ではない。けたぐりと思われる技を無数に放ってくる。当たればKOだが、あいにく、水中ではワニは馬より速い。
4本目の足ををもぎ取り、奴の頭を噛み砕いた。
所までは良かった。
「アーマーガア!はがねの翼!!」
ゑ?(デジャヴ)
風を切る音と共に、俺の頭に衝撃が走った。
まるで隕石でも落ちてきたかのような威力に、俺は悟った。
まだ勝てない。
情けない話だが、俺の歯があいつに刺さる未来が見えない。
それほどまでに、絶望的な戦力差だった。
…だが、トレーナーは人間だ
俺は例のごとく、全身の力を抜き、水面に浮かび上がった。
「やったぞ!これで俺も小金持ちだ!…いや、待て!演技かもしれない!十分注意して連れてこい!」
だが、ここからは前とは違う。
俺は大人しくアーマーガアに捕まり、岸辺のトレーナーの元に連れて行かれた。
金に目が眩んだのか、もしくは抵抗しない俺をみて、安全だと思ったのだろうか。
ニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべたトレーナーが近寄ってきた。
残り3メートル、2メートル、…1メートル
射程範囲内だ。
一線を超えることになるのは分かっていた。人間を完全に捨てることになるのも分かっていた。
でも、迷わなかった。
お前も、俺をどっかに売り払う気だったんだろ?俺の生活をブチ壊して、殺処分する気だったんだろ?
だったら、俺がお前を殺しても、文句ないよな?
幸い、俺はアーマーガアに掴まれて、宙に浮かんでいる状態だ。トレーナーの顔に噛み付くのは簡単だ。
奴がモンスターボールを近づけてきたと同時に、渾身の力で暴れ、アーマーガアの拘束から抜け出し、トレーナーの顔目掛けて落下した。
「ウワッ!?アーマーg」
指示を出させるわけにはいかない。口を塞ぐようにして、顔面に噛みついた。
なら、いつだってやる事は一つだ。
デスロール
今までのどの獲物よりも、簡単に食いちぎれた。
罪悪感は無い。この世界は弱肉強食。それを忘れた者が悪いのだから。
大きな音と同時に、あっけなく地面に倒れ伏したトレーナーに、アーマーガアが悲鳴のような鳴き声を上げるのを尻目に、俺は急いで湖の中に沈んだ。
またやりすぎました。でも、後悔はしていない。
感想、評価、本当に嬉しいです!
お気に入り登録、感想、評価をしてくれた人の名前をいつも書いていたんですが、嬉しいことに、沢山の人がお気に入り登録、評価、感想を下さり、書くと結構な量になってしまうようになりました!(自慢)
見にくくなるようでしたら、書くのをやめようかと思います。
どちらがいいか、感想で教えてください!(策士)