謎の食通のネタ帳   作:謎の食通

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ネオ・グランゾンのプラモが届いたんで衝動的に書いてしまった。
一部アユマユ設定を流用したオリジナル設定あり。


シュウがマブラヴ世界にいたら
武装機甲士Alternative 【ユーコンテロ編】


ユーコン基地で起きたテロ事件は急転降下した。テロ首謀者クリストファーの乗る戦術機が背後から現れた人型に刺されたのだ。その機体はおよそ戦術機とは思えない機体だった。そしてサイバスターともグランゾンとも火之迦具鎚とも異なる機体だった。

 

だが、シュウとマサキはその機体を知っていた。それはルオゾール・ゾラン・ロイエルの呪哭機ナグツァートだったのだから。

 

 

「ル、ルオゾール殿、な、何故?」

 

 

クリストファー少佐は、その口から血を溢しながら言う。彼の乗る戦術機は徐々に闇に包まれていった。

 

 

「ふふふ、あなたのその感情がヴォルクルス様が蘇る鍵になるのですよ。そう、信頼していた者に裏切られるという感情がね」

 

 

ルオゾールは、クリストファーをヴォルクルス復活の生贄としたのだ。そう、仲間であるはずの彼を・・・。

 

 

「ルオゾール!何でテメエが地上に居やがる!?」

 

 

マサキはルオゾールに啖呵を切る。ラ・ギアスのヴォルクルス教団の大司教ルオゾールが地上で活動しているなど普通では考えられない事だからだ。

 

 

「これはこれは、マサキ殿・・・そしてシュウ殿。お久しぶりですな」

 

 

ルオゾールは慇懃無礼に答える。ただ、シュウ・シラカワに対しては何かを含んでいた。

 

 

「・・・キリスト教恭順派が活発化していたのは貴方の仕業でしたか、ルオゾール」

 

 

シュウは自分の虚憶からキリスト教恭順派の勢力が本来よりも活性化していたことを識っていた。だが、その理由はわからなかったのだ。それが今ここで明らかになった。

 

 

「いかにも。彼らの思想は我が神、ヴォルクルス様と近しい物でしたのでね」

 

 

恭順派の教義とは、BETAを神の使いとして人類の滅びを肯定するというモノだ。そして、それはヴォルクルス教団の死こそ正しい在り方だというものに近かった。

 

 

「・・・そして、彼がヴォルクルスを蘇らせるための生贄ですか」

 

 

漆黒の闇の炎に包まれたクリストファーを見やりながら、ルオゾールに言った。それはここではないどこか、かつて見た事のある風景だったからだ。

 

 

「ええ、仲間に裏切られた時の絶望は格別な物ですからな。そう、あなたが私を裏切ったときのようにね、シュウ殿」

 

 

そして、ルオゾールはシュウすら予期し得なかった事を、いや、今回の事件でルオゾールが現れたことでようやく思い浮かべる事が出来た可能性を証明したのだった。

 

 

「裏切った!?どういうことだ、シュウ!」

 

 

マサキはシュウに問い詰める。だが、それに答えたのはシュウでは無かった。

 

 

「単純な事ですよ、マサキ殿。シュウ殿は、こことは異なる世界でヴォルクルス様に帰依していたのですよ」

 

 

ルオゾールは語る。本来知りえぬはずの出来事を。

 

 

「・・・どうやら、明星作戦はタケル達だけでは無く、貴方にも記憶が流出していたようですね」

 

 

シュウはルオゾールの言葉により確信を深めた。明星作戦で使われたG弾による記憶流入、それがルオゾールにも起きたということを・・・。

 

 

「然様・・・あの日より私は覚えの無い記憶を持つに到りました。それから私はこの瞬間を待ちわびていたのですよ」

 

 

ルオゾールは肯定する。そして、万感の思いで今日という日を待ち侘びていた事を告げた。

 

 

「しかし驚きましたよ。かつて貴方を殺そうとしたミサキ殿を地上に帰してさしあげるとは・・・」

 

「・・・」

 

 

ルオゾールは、この世界の差異について語る。それは何処と無くシュウを揶揄する物を含んでいた。それに対しシュウ・シラカワは沈黙を返すだけだった。

 

 

「あなたにも肉親の情があったという事ですかな?それとも自らの自由のためには母親すらも捨てるという事ですかね?」

 

 

ルオゾールはシュウを嘲る。そもそも知っているのだ。こことは異なる世界でシュウが幽閉されていた母

ミサキを救い出していたことを・・・。

 

 

「・・・地上はBETAにより多くの命が失われています。それを利用してヴォルクルスを呼び出そうということですか」

 

 

シュウはルオゾールの目的を推測した。BETAにより嘗ての総人口の半数を失った地上には多くの死が溢れていた。

 

 

「なんだって!?」

 

 

マサキは驚愕する。ラ・ギアスではなく地上でそのような事が起きるとは想像も着かなかったからだ。

 

 

「その通りです。今、此処にヴォルクルス様は復活なされるのです」

 

 

ルオゾールがそう宣言した瞬間、クリストファーを包んでいた闇が弾けた。そこの現れたのはクリストファーでは無い。蠍のような下半身にそれに生えた女性のようなモノ、上半身はいくつモノ触腕を備え、監視者と同じような顔を持っていた。邪神サーヴァ・ヴォルクルスが顕現したのだ。

 

 

「・・・ワガ・・・ネムリヲ・・・サマタゲ・・・ヨビオコシタノハ、オマエ・・・タチカ・・・?」

 

地獄の底から響いてくるような声が発せられる。

 

 

「・・・ホウビヲ、ヤラネバナランナ・・・オマエ達ノ・・・望ムモノ・・・其レハ・・・死ナリ」

 

 

その言葉とともにあたりにはヴォルクルスの瘴気が満ち始めた。

 

 

「地上で顕現しましたか。・・・確かに現在の地上は混沌と破滅に満ちていますからね」

 

 

こことは異なる世界で地上にも混乱を生み出して自身を顕現させるためシュウを地上に差し向けたヴォルクルスは、今ここに居る。

 

 

「どうです、これがヴォルクルス様です。そして、私目のナグツァートもヴォルクルス様の加護を得て、真の姿へと変貌いたします」

 

 

そしてまた、ナグツァートもその姿を変貌させた。

 

 

「ナグツァートの手足がヴォルクルスみてえに変貌していく・・・!?」

 

 

ナグツァートの四肢は、まるでヴォルクルスのような異形の形へと変貌していく。その姿はかつてこう呼ばれていた。真ナグツァート、と。

 

 

「あの姿は・・・真ナグツァートですか。魔力量はあの時ほどではないようですが・・・厄介ですね」

 

 

かつてのナグツァートはシュウを持ってして容易に手出しが出せない難敵だった。嘗てと比べると魔力量こそ少ないが、それでもその力は脅威である。

 

 

「どうですか、シュウ殿?あの世界とは異なりヴォルクルス様に帰依していない貴方ではグランゾンの真の力を使う事は出来ますまい」

 

 

サーヴァ・ヴォルクルスに真ナグツァート。二対の邪神はグランゾンを持ってしても勝利するのは難しかった。唯一の対抗手段はグランゾンの真の姿しかない。だが、それにも問題があった。

 

 

「確かに・・・真の力を解放するためのアストラルエネルギーを私個人で供給するのは困難な事です」

 

 

かつて、グランゾンはヴォルクルスの膨大な負のアストラルエネルギーによって姿を変貌させた。

 

 

「ならばヴォルクルス様に帰依いたしますかな、シュウ殿?」

 

 

しかし、今のシュウはヴォルクルスと契約はしておらず、そのエネルギーを自身で補わなければ成らなかったのだ。

 

 

「だからと言って、ヴォルクルスの力を利用する事はヴォルクルスの支配下に置かれるという事でもありますので私としてもお断りです」

 

 

自由を是とするシュウはルオゾールの提案を蹴る。

 

 

「ふふふ・・・貴方様ならそう仰ると思っていましたよ」

 

 

元よりシュウが提案を蹴るのは承知の上だった。ただ、シュウへの意趣返しのための提案でしかなかったのだ。

 

 

「ですが、少量のアストラルエネルギーでも出来る事はあるのですよ」

 

 

「・・・何ですと?」

 

 

だが、そんなルオゾールをシュウは嘲る。

 

 

「アストラルエネルギーはブラックホールに干渉する事が出来ます。その結果、事象の確率変動や次元力の抽出などが出来ます」

 

 

 

グランゾンにはブラックホールエンジンが搭載されている。そして、ブラックホールは特異点により偶然を引き起こしたり、宇宙魔王の様に負の次元力を引き出す事が可能なのだ。

 

 

「次元力だって・・・?」

 

 

マサキはシュウの言う次元力が気になった。その言葉が何処かで聞いたことのある響きだったのかもしれない。

 

 

「次元力は神の力といっても過言ではありません。そして、またの名を無限力とも言います」

 

 

シュウは次元力の別の呼び名を言う。それはある者達にとって無視し得ない言葉だった。

 

 

「無限力!?まさか、あなたがD計画に接触したのは・・・!」

 

 

無限力を動力としている機体、戦略合神機『火之迦具鎚』のパイロット伊吹純はシュウがD計画に接触した理由に思い至った。

 

 

「ええ。次元力を制御するために貴方方の無限力機関と無限力転換炉のデータが必要でしたので」

 

 

D計画とは帝国陸軍の一部と大空時財閥の極秘計画であった。無限力という常軌を逸脱した力を軍事利用する

その計画にシュウ・シラカワは技術提供を申し入れてきていたのだ。

 

 

「シラカワ博士、それが俺たちに接触してきた目的だったのか」

 

 

G-GUYこと剛田城二はシュウの思惑を察した。シュウは次元力を抽出・制御するために無限力機関のデータを欲したのだと。

 

 

「はい、その通りですよ。・・・抽出した次元力はマハカーラを媒介にグランゾンに満ちます」

 

 

シュウはそれを肯定する。そして魔神の胎動が始まった。

 

 

「そして、私のグランゾンは真の姿へ・・・」

 

 

グランゾンから闇が溢れた。その姿は先程のクリストファーと酷似していたが決定的に違うのはその性質だろう。そして、闇から真のグランゾンが応現する。

 

 

「ククク・・・どうです、これがグランゾンの本当の姿・・・ネオ・グランゾンです」

 

 

見るモノを威圧するグランゾンのそれよりも重厚な装甲。グランゾンに比べて鮮やかであり、かつ深淵を思わせる深い蒼色。背中には黄金の環、バリオン創出へイロウを背負っていた。その魔神の名は、ネオ・グランゾン。シュウ・シラカワが手懸けたグランゾンの真の姿だ。

 

 

「ま、まさか、ヴォルクルス様の力無くして、ネオ・グランゾンになるとは・・・」

 

 

ルオゾールは驚愕する。ヴォルクルスの力なくしてネオ・グランゾンが現れるとは夢にも思ってなかったからだ。そして、ヴォルクルスの枷が無いネオ・グランゾンは一切の制限が存在しないのだ。

 

 

「さて、まずはその邪魔な鎧を剥がさせてもらいましょうか・・・ブラックホールクラスター、発射」

 

 

ネオ・グランゾンが瞬時にブラックホールクラスターを形成する。いつもより規模を小さくしているがそれでもグランゾンよりも早くブラックホールを形成したのだ。そして、ブラックホールクラスターは真ナグツァートの衣を剥がす。

 

 

「うおおおお!?ば、馬鹿な!アストラルコーティングにすら対処したアストラルシフトが破られるなどと・・・!!」

 

 

アストラルシフト、通称無敵モードと呼ばれるそれは特殊な措置なくしてナグツァートにダメージを与える事が出来なくなる代物だ。それをシュウは容易く破った。

 

 

「今のネオ・グランゾンは次元力を扱う事が出来ます。この程度の事は造作もありませんよ」

 

 

そう、シュウは次元力によりアストラルコーティングを瞬時に施し、より高度化したのだ。

 

 

「お、おのれ、シュウ・シラカワ!」

 

 

ルオゾールは怨嗟の声をあげる。彼の宿願を邪魔したシュウ・シラカワに怒りを募らせながら。

 

 

「さて、皆さん準備はよろしいですか?彼を倒せば、この事件はおしまいです」

 

 

シュウは後ろを見渡した。そこにはヒュッケバインやグルンガストが、不知火や武御雷が、ラプターや他の国の戦術機が、地上の鋼の戦士たちが居た。

 

 

「では、お終いにしましょうか、ルオゾール」

 

今此処に再び暗獄から逃れるための聖戦は、始まったのだ。




アユマユ オルタネイティヴって設定がスパロボチックだから絡め易いと思うんだ。
特に無限力機関ってまんまだし。
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