仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ MIRACLE FESTIVAL!   作:大ちゃんネオ

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執筆:志村琴音
(ハイパーバトルビデオのノリで見てね!)


検証! ハージェネ・メモリアルカード

2022.06.06 11:59 東京都 新宿区 SOUP

 異世界から来た門守仁と亜矢、真矢との共闘が終わってから3日。

 この世界で異形の者達と戦う組織──SOUPのメンバー達は報告書作成に追われていた。

 アール達以外の別世界の人間が起こした事件であったのだ。報告書の量が倍近くになってしまうのは無理もない。

 

 更に言えば、彼らが戦う言わばラスボスのパラレインが本格的に動き始め、春樹達の持っているカードを殆ど全て奪っていったのだ。

 今はカードを急激に吸収した影響で行動はしていないが、いざとなった時に対応出来るよう対策を練っているのだ。

 

 オフィスの中にいるのは、仮面ライダーアクトに変身する青年──椎名春樹と、仮面ライダーリベードに変身する女性──椎名碧だけだ。他のメンバーは昼食を摂りに行っているため、二人だけの状態である。

 

「それにしても、もうカードが10枚しか無いだなんてね」

「ああ。いつ回収されるかも分からないしな……。ま、そんなことは絶対させないけど」

「……うん。そんなの当たり前でしょ」

 

 その時だった。

 トランスフォンと呼ばれる、二人が使うスマートフォン型の黒いアイテムが、碧のポケットの中で振動を始めた。

 

 何なのかと画面を確認すると、誰かから電話がかかって来ている。けれども着信先の表示は文字化けしていて、何処からのものか判らない。

 

「これ、出て大丈夫なやつだよね? 出たら個人情報盗まれるとかじゃないよね?」

『その点に関しては問題無い。セキュリティは私が保証する』

 

 ならば問題は無いと、春樹にも聞こえるようにスピーカーモードにして、恐る恐る電話に出た。

 

「もしもし?」

『──けて──ダー──』

 

 電話の主は小さな男の子であるようだ。ノイズが混じっている状態であることから、何を言いたいのかは上手く聞き取れない。

 

「何? 何が言いたいのかな?」

 

 碧が優しく声をかける。

 そしてようやく、内容が明らかになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けて! 仮面ライダー!」

「「!?」」

 

 悲痛な叫びであった。

 どうして自分達が仮面ライダーであることを知っているのかという疑問はあるが、今はそんなことはどうでも良い。

 急いで春樹が声をかけた。

 

「おい! 今何処にいるんだ!」

 

 すると突如として、二人の身体が白く光り始め、彼らは目の前が真っ暗になるような感覚に襲われた。

 

「「……え!?」」

 

 

 

────────────

 

 

 

 元々あまり来客の無い喫茶Hamelnには今、店主の権兵衛が町内会に出掛けていることから、人が2人しかいない。

 

 カウンター席に座ってオレンジジュースをストローで吸う章太郎。

 その横でコーヒーを飲んでいるのは、仮面ライダーネクスパイに変身する碧の兄──常田八雲だ。

 

「なぁ、本当にこれで来るのか?」

「うん。間違いないよ」

 

 章太郎と八雲が見つめているのは、カウンター席に置かれた黒電話であった。数字の代わりに様々なマークが描かれている以外は、何の変哲も無いただの黒電話である。

 

 そう。先程の電話の犯人は彼であった。

 このHamelnには異世界から様々な者達が現れる。その誰もが変身する者や彼らをサポートする者、つまりは仮面ライダーの関係者だ。

 ここに来ることが出来るようになった理由として語られる殆どが、誰かから助けを求める電話があった瞬間に飛ばされた、というものである。

 ということは、それを利用すれば春樹と碧も呼び出すことが出来るのではないか、と考えたのだ。

 

「だってそれで花奈姉ちゃんと一緒にこの世界に来たんじゃん」

「そうだけどさ、この超ナチュラルスーパー天才の計算じゃ──」

 

 すると次の瞬間、茶色い天井が突然白く発光を始めた。

 

「「「ん?」」」

 

 そしてそこから何かが降って来た。

 

「「うわあああああっ!」」

 

 床に腰から落ち、痛そうな素振りをしながら立ち上がる。

 その正体は、先程電話をかけてみた春樹と碧であった。

 

「ホントに来た!」

「ね! だから言ったでしょ!」

 

「は!? 何処だここ。カフェ?」

「え!? お兄ちゃん!?」

 

 各々の驚き方をするのだが、中でも一番驚いているのは、突如としてこの空間に送り込まれた春樹と碧だ。

 先程まで白を基調としたオフィスにいた筈なのに──。

 

 

 

「つまり、ここは仮面ライダーがいない世界で──」

「色んな世界から仮面ライダーが集まる、ってこと?」

「大体そんな感じだ」

 

 八雲が一から教えたことで、春樹と碧は大体のことを理解したが、それでもやはり自分達に起こったことに追い付いていけない。

 

「で、八雲兄ちゃんが春樹兄ちゃんと碧姉ちゃんを呼び出した理由って何なの?」

 

 章太郎が肝心なことを訊いた。

 思い出したように八雲は、隣の席に置いていた黒いアタッシュケースをテーブルの上に置いた。

 中を開けると、そこには大量のカードの山が積まれていた。見た目は春樹達が使っているメモリアルカードと同じようなものであるが、それらの絵柄は一切見たことが無い。いや、見たことが無いのだが、何処かで見たことがあるやもしれない。

 

「何? それ」

「あの、実はな──」

 

 

 

────────────

 

 

 

 それは、八雲がまだP-2-Pシステムを完成させていない時、即ち碧と再会する前の話だ。

 

 彼はまだ存命であった恋人の大野花奈と共に、春樹達と同じような形でこの世界にやって来た。

 そして他の仮面ライダー達と交流を重ねていく中で、こんな考えが浮かんで来た。

 

 ──コイツらのメモリアルカード、作れるんじゃないか……?

 

 メモリアルカードは本来、人間を改造して生まれたフォルクローを殺した時に精製する物だ。人工的に作れる代物ではない。

 だが、彼が自身のことを「超ナチュラルスーパー天才」と呼ぶだけの実力は本物であった。現に以前、人工的に作った功績もある彼には容易なことである。

 

「頼む! お前らが知ってる奴のことを教えてくれ!」

 

 こうして、別世界の仮面ライダーのデータを集める会が何日にも渡って行われた。

 

 いくつもの世界から何人もの人物が情報を提供してくれた。

 そしてその殆どが大変なものであった。

 

「沙夜さん凄いんですよね。7個も道具を使うし、それが無くても強いし、後強化するとさらに強くなるんですよ」

 

 ビャクアについて語ってくれる永春はまだ良かった。

 問題はここからであった。

 

「おい。折角だし酒でも呑みながら話さないか? きっと楽しいぞ」

 

 ディガルムについて語ろうとしていた藤次郎の右手にはウイスキーの瓶が、左手には缶ビールや日本酒のカップが入ったコンビニのビニール袋が持たれている。

 

 それが、悪夢の始まりであった。

 

「翔くんがさぁ〜、女装すると可愛くてさぁ〜、ぐへ、ぐへへへへへへ」

 

 早速酔いが回った浅黄はアズールのことそっちのけで、変身者である翔の女装姿の感想をずっと言いながらニヤニヤしている。はっきり言って気持ち悪い。

 

「良いかい章太郎君。紅茶も緑茶も烏龍茶も、茶葉は同じなんだが製造方法が違うんだ──」

 

 同じく泥酔した源五郎はデイナに関することなど一切話さず、ただ只管紅茶に関する豆知識を章太郎に披露していた。興味の無い章太郎は嫌な顔をしながら適当に受け流す。

 

「まちけんが変身した時さ、『俺の大事な想い人なんだよ!』って言ってくれてさぁ!」

 

 中でも一番酔っていた沙耶は、自身の前にロードが初めて現れた時のエピソードを花奈に語っていた。どうでも良いと思っている花奈は無視して缶ビールに口を付けるのだが、そんなことはお構い無しだ。

 

「え? 燐くんの力について知りたい? そうですねぇ……。じゃあまずはなんですけど──」

 

 唯一真面(まとも)だったのは呑んでいない素面のアリスだけであった。ただ今回の場合は、ツルギのことよりもミラーワールドの仕組みが気になってしまった八雲が暴走してしまい、花奈が殴って静止させたのであるが。

 

 最早ただの飲み会となってしまったこの会を突破し、遂にこのカードが完成したというわけである──。

 

 

 

────────────

 

 

 

「「ホントに大変だったんだよ……」」

 

 被害者となった八雲と章太郎が感慨深くしているのを聞き流しながら、春樹と碧はその結果出来たメモリアルカードを眺めていた。

 絵柄は全て、春樹達が使っている物のオマージュになっている。どうりで少し既視感のあったわけだ。

 

「ん? お兄ちゃんとかの話だと、私達のやつって何かおかしくない?」

 

 突然碧が指摘し始めた。そこに春樹がその詳細を言う。

 

「誰かが仮面ライダーを強く望んだ結果、この世界に来られるんだろ? だったらただの悪戯電話でどうしてここに来れるんだ?」

 

 この世界には仮面ライダーが存在しない。仮面ライダーは所詮、空想の産物なのだ。

 だからこそ到底太刀打ちの出来ないような脅威が現れた時、人々は彼らの存在を強く望むのだ。現にそれで様々な戦士達がやって来たのだ。

 そんなわけだから、あんな悪戯で来られるわけが無いのだ。

 

「それに電話の声、君のじゃなかったよ」

 

 これで確定した。

 あの電話で呼び出されたわけではない。

 

「じゃあ、誰が……?」

 

 その時だった。外から悲鳴が聞こえたのだ。他愛も無い日常から、一気に戻されてしまう。

 ──まさか、これか?

 

 すぐに春樹と碧が店を出ようとする。

 

「あ、おい、これ使え!」

 

 八雲はカードの束から何枚かを投げる。

 それをしっかりとキャッチした春樹と碧は、足早に店を飛び出して行った。

 

 

 

────────────

 

 

 

 元いた世界とあまり変わらない都会の中を、何人もの人が悲鳴を上げながら駆け抜けて行く。

 反対方向に春樹と碧が乗る2台のアクトチェイサーが走る。そして目の前にその原因が見えたのでバイクを停止させて降り、前へと足を進めた。

 そこにいたのは、3体の異形の化け物である。

 

「あれってもしかして……!」

「……()()()()()か……!」

 

 ミカクニン。

 それは22年前、春樹達の世界で猛威を振るったグロンギ族の通称であった。

 

「でも、何か違くないか?」

「確かに……。あんなお洒落な見た目じゃないよね?」

 

 お洒落かどうかは分からないが、全くその通りで、奴等はグロンギ族の怪人ではない。

 とある世界でグロンギ族の次に現れた「アンノウン」と呼ばれる者達であった。

 蟻のような個体はクイーンアントロード フォルミカ・レギア、烏のような個体はクイーンクロウロード コルウス・イントンスス、豹のような個体はクイーンジャガーロード パンテラス・マギストラと言うのだが、春樹と碧がそれを知ることは無い。

 とにかく大事なことは、彼らを倒さなければならないということだった。

 

「じゃあ折角だし、お兄ちゃんのやつ使おうか」

「ああ。そうしよう」

 

 春樹と碧はトランスフォンにカードをかざす。

 

『『ACT DRIVER』』

 

 二人の腹部にドライバーが出現したところで、もう1枚カードを取り出した。

 春樹のものには、ラスコーの洞窟壁画にある牛の絵に大量の数字が書かれているた絵が描かれ、下部には白く「KAMEN RIDER DNA」と印字されている。

 碧のものには、青色の飛行機と白い「Blue Sky Adventure」の文字が、ゲームソフトのパッケージのように配置されていて、下部には「KAMEN RIDER AZUR」と印字されている。

 

 それらのカードを裏返し、トランスフォンのスロットに挿し込んだ。

 

『”DNA” LOADING』

『”AZUR” LOADING』

 

 電源ボタンを押すと軽快な音楽が流れ、二人の上に1つずつゲートが出現する。

 そこからそれぞれ、赤色の牛と青色の飛行機が飛び出して来た。牛は鳴き声を鳴らしながら前脚を動かし、飛行機は碧の上で静止する。

 

 それを確認した春樹と碧はポーズを決め、そして同じ言葉を叫んでトランスフォンをドライバーに装填した。

 

「「変身!」」

『『Here we go!』』

 

 まず二人の身体は土台となる、アクトとリベードの素体へと変身をする。そこに牛と飛行機が分解されて出来た鎧が装着されていく。

 

 アクトの緑色の素体の上には赤色の鎧が、口元には白いクラッシャーのパーツが、さらに頭部には元々あるものとは別に2本の赤い角が付けられている。

 一方のリベードには、素体の青色に似合う同じ青色の鎧が付けられていて、胸部の中央にあるオレンジ色の結晶が美しく光っている。そして頭頂部には刀を模した三本目の角があって、首元には白いマフラーが2本巻かれていた。

 

『Birth of new life, Open the door! I’m KAMEN RIDER DNA! Let’s start the verification.』

『“Blue Sky Adventure”, Install! I’m KAMEN RIDER AZUR! It’s the will of mine.』

 

 仮面ライダーアクト デイナシェープに、仮面ライダーリベード アズールシェープ。

 別世界の戦士の力を受け継いだ形態の誕生だ。

 

『DISPEL CRASHER』

 

 リベードが銀色の剣──ディスペルクラッシャー ソードモードを取り出したところで、二人は前傾姿勢になりながら前方を見据える。

 その目は真っ直ぐと3体の獲物を睨んでおり、絶対に目を離さない。

 

「「READY……GO!」」

 

 リベードが刀で地面を叩いたのを合図に、二人の狩人は走り始めた。

 そこにまずはクロウロードが飛んで来る。烏を模した彼女は、黒い翼を使って飛行することが可能なのだ。

 

 するとリベードは、背中に付いたユニットから白い煙を放出しながら、同じように飛び立った。

 

「え、ちょっ、は!? そんなこと出来んのかよ!」

 

 地上で戸惑うアクトを他所に、リベードはクロウロードとの戦闘を始めた。

 クロウロードが黒い槍を振り回す。風を切る程の攻撃を華麗に避け、自身の剣をぶつけて対峙する。

 ぶつけて押し合った結果として互いの距離は開いたが、再び距離を縮めたところでリベードは相手を剣で叩き落とした。

 

「よし! じゃあ春樹、後お願い」

「……人使い荒過ぎるだろっ!」

 

 妻へのちょっとした怒りを込めた拳を、アクトはクロウロードにお見舞いした。

 さながらバッファローの突進のように勢いのあるパンチは強く、何度も何度も食らわせることでクロウロードを後退させる。

 

「タァッ!」

 

 そして2本の角を使った頭突きをすると、火花を散らしながらクロウロードは後方へと転がった。

 

 地面に足を付けて着地するリベード。

 同時にアクトと共にドライバーのプレートを押し込んだ。

 

『『Are you ready?』』

 

 二人が端末を押し込んだのと同じタイミングでクロウロードは立ち上がり、翼を使って速い低空飛行で接近をする。

 

『OKAY. “DNA” DISPEL STRIKE!』

『OKAY. “AZUR” DISPEL STRIKE!』

 

 リベードの背中のユニットから白煙だけではなく赤い炎が吹き出した次の瞬間、彼女の姿は数十メートル離れたところにいた。

 剣で何かを斬ったような姿勢を取っていることから何かをしたことに間違いは無い。

 

「……決まった……!」

 

 その時、クロウロードの身体の中央に1本の線が入った。それがただの線ではなく斬られた跡であったことは、被害者である本人が一番良く分かっていた。

 けれどももう飛び立ってしまったがために止まることは出来ない。

 

「ハァァァッ!」

 

 そんな怪人に対し、アクトは錐揉み回転をした後、オーバーヘッドの要領で右足を使って蹴り飛ばした。

 飛ばされたクロウロードが地面にぶつかった瞬間に爆散。これで獲物は2人になった。

 

「次はこれで行くぞ」

「オッケー!」

 

 また別のカードを取り出した二人。

 アクトのカードには、錆びれた剣の周りを龍、蜥蜴、妖精が動き回る様子が描かれていて、下部には「KAMEN RIDER LORD」と印字されている。

 一方のリベードのものには、金色のロザリオを黒い龍が捕食しようとしている様子が描かれ、下部には「KAMEN RIDER DIGALUM」と書かれている。

 

 トランスフォンをドライバーから取り外すと、そこにカードを装填した。

 

『”LORD” LOADING』

『”DIGALUM” LOADING』

 

 電源ボタンを押した途端に鎧が消えて素体に戻ると、現れたゲートから黒い布で包まれた銀色の大剣と、黒い龍が出現した。

 二人がトランスフォンを挿し込んだ瞬間、分解されて鎧として付けられていこうとする。

 

 それをアントロードとジャガーロードが槍と杖で攻撃して止めようとするのだが、大剣を包んでいた黒い布が邪魔をして上手く出来ない。

 その布に対抗しているうちに、装着は完了されてしまった。

 

『『Here we go!』』

 

 アクトには銀色の甲冑が付けられるのだが、黒い布によって包まれてしまって左半身が見えなくなってしまう。頭部は竜騎士を思わせる仮面によって覆われていた。

 リベードには黒い鎧が全身に装着され、複眼には紫色のバイザーが重なっている。そして腰からは紫色の模様が入った黒いローブが伸びていた。

 

『Set up, Primitive Road! I’m KAMEN RIDER LORD! Nobody can prevent our military role.』

『DARK REALIZE! I’m KAMEN RIDER DIGALUM! To break your justice is my work.』

 

 仮面ライダーアクト ロードシェープと、仮面ライダーリベード ディガルムシェープ。

 龍の力を使って戦う戦士の力を継承した瞬間だ。

 

 アクトもディスペルクラッシャー ソードモードを取り出すと、二人でジャガーロードの方へと走り出した。

 

 ジャガーロードは持っている杖を振り回す。それで距離を取ろうという寸法なのだろうが、そんなものは無意味である。

 

「よっと……!」

 

 アクトはマントを展開して羽根のようにすると、高く飛翔することで回避。後ろに回って背中に斬りつけた。

 衝撃で前に出てしまった怪人に、今度はリベードが紫色の炎を纏った剣心やパンチ、キックを連続で食らわせていく。最早防御をする暇すら無く、辛うじて杖で攻撃を仕掛けようとしても、アクトが後ろからそれを没収して成す術の無い状態にしてしまった。

 

 ロードとディガルムのカードはかなり破壊力の強いカードのようだ。現に先程よりも早いスピードで、自分が優勢に立つことが出来る。

 結果、ただ一方的に攻撃を食らわせるリベードを、アクトが見送る形となったのだ。

 

「「テヤァッ!」」

 

 そしてアクトがリベードの隣に立ったところで二人は怪人を蹴り飛ばし、ドライバーのプレートを押した。

 

『『Are you ready?』』

 

 何とか立ち上がったジャガーロードであった。

 けれどもやっとの思いで見た目の前に現れたのは、あまりにも早い死刑勧告であった。

 

『OKAY. “LORD” DISPEL STRIKE!』

『OKAY. “DIGALUM” DISPEL STRIKE!』

 

 アクトの剣心には銀色と黒色のオーラが纏わり付き、リベードの剣心には紫色と黒色のオーラが纏われる。さらにリベードの後方には、黒い龍が雄叫びを上げながら現れた。

 

「「ハァァァァッ!」」

 

 斬撃を繰り出す二人。ただでさえ強い攻撃であるのだが、アクトのものはマントが大きく靡くことで出来た強風によって、リベードのものは龍が吐いた黒い炎によって勢いを増し、より強烈なものとなる。

 それらが激突をした瞬間、怪人は激しい断末魔を上げながら爆散した。

 

 これで残りは後一体となった。今使っているカードの攻撃力を使えば圧倒出来るであろうし、デイナやアズールのカードでもすぐに決着を付けることは可能だ。

 どう考えても自分達が有利である。そう思った。

 

 けれどもそれは、完全に油断しているとしか言いようの無かった。

 

 アントロードが自身の槍を高く上げたその時、アクトとリベードの前にあったマンホールが震え始めた。

 

「「?」」

 

 一体何なんだと思ったその時、マンホールが吹き飛び、中から同じような蟻の怪人が現れたのだ。

 それだけではない。周りに建っているビルの陰からも同じ怪人が姿を見せた。

 奴等の名はアントロード フォルミカ・ペデス。女王が操る戦闘員、言わば軍隊蟻である。

 

「嘘でしょ……。気持ち悪いのがうじゃうじゃと……!」

「ああ。面倒臭いことになったな」

 

 グロテスクな見た目に吐きそうになるリベードと、困った様子を見せるアクト。

 いくら破壊力やスピードが凌駕していたとしても、己らを囲む軍隊を完全に殲滅するには時間を有する。後にラスボスを倒す力が残っているかどうかは、はっきり言って判らない。

 

「こういう時、質より量の方が勝っちゃうのよね……」

「……いや、『適材適所』っていう言葉もあるぞ」

 

 剣を地面に突き刺したアクトは1枚のカードをリベードに見せた。

 カードの絵柄はビルの窓に白色の龍が映っているというもので、下部には「KAMEN RIDER TSURUGI」と印字されている。

 

 それを見たリベードは仮面の下で微笑むと、

 

「そういえばそうだったね」

 

 同じように剣を刺してカードを取り出した。

 名古屋タワーの周りを白い鳥が飛んでいる様子が描かれていて、「KAMEN RIDER BYAKUA」と下部に印字されている。

 

 裏返したカードを取り外したトランスフォンに装填する。

 

『”TSURUGI” LOADING』

『”BYAKUA” LOADING』

 

 電源ボタンを押すと鎧が解け、上に現れたゲートから白い龍と羽根が青色の白い烏が姿を見せる。

 2体の獣は雄叫びや羽根を使って威嚇し、軍隊を一切寄せ付けない。

 

 そしてドライバーにトランスフォンを挿し込んで、分解されて生まれた鎧達を装着した。

 

『『Here we go!』』

 

 アクトに装着されたのは白銀の鎧だ。肩にある独特なパーツは何処か龍騎を彷彿とさせるのだが、真っ白な他のものが別物であることを分からせる。頭部はまた仮面で隠され、僅かな隙間から複眼が見えるのみだ。

 リベードの胸部と両手、両脚に付いた、金色の模様が入った白い鎧は和を彷彿させ、羽根によって作られた青色の大袖は山伏を思わせる。そして腰から白いローブが垂れ下がっている他、頭部には大きく翼を広げる鳥の形をした仮面が付けられた。

 

『I’m KAMEN RIDER TSURUGI! The cry of fate, the end of a wish.』

『On, Karuka, Kan, Kanra! I’m KAMEN RIDER BYAKUA! The mask of a white crow, please give me force for fighting.』

 

 仮面ライダーアクト ツルギシェープと、仮面ライダーリベード ビャクアシェープ。

 三度、他の世界の仮面ライダーの力を受け継いだのだ。

 

 アクトとリベードはもう1枚カードを取り出す。

 アクトのカードには、仮面ライダーツルギが使っているのと全く同じ絵柄があって、「DRAGSLASHER」と書かれている。

 リベードのカードには、青色の鋼で作られた鎌が描かれ、下部には「3: SCYTHE」と印字されている。

 

 それらをドライバーに装填されているトランスフォンの裏側にかざした。

 

『ADVENT』

『Number 3 of tools to slay monsters. That scythe cuts cloud as well.』

 

 するとビルの窓から雄叫びを上げながら白銀の龍──ドラグスラッシャーが現れる。さらにリベードの手元には大きな鎌──雲薙ぎの大鎌が握られる。

 

「いけ」

「ハイヤー!」

 

 アクトの合図でドラグスラッシャーは翼を羽撃かせて斬撃波を放ち、リベードは気合いで5メートル程まで巨大化させた鎌で軍隊を斬り裂いた。

 たった一撃であるのだがその勢いは凄まじく、あっという間に全滅させてしまった。

 

 不味いと思ったアントロードは、三又の槍を使って再び軍隊を呼ぼうと画策する。

 だがそこにドラグスラッシャーが猛スピードで向かうと、尾の先端にある矢のような部分で槍を切り落とした。これでもう仲間を呼ぶことは出来ない。

 さらに鋭い爪で斬りつけると、アントロードは槍を手放した状態で吹き飛ばされてしまった。

 

 これで分かった。

 アイツはただ仲間の力を使っているだけ。さすれば、仲間を呼ぶことの出来ない今の状態であれば、優に倒すことが出来る。

 

『Number 7 of tools to slay monsters. Who use this shoes can run faster and faster.』

 

 リベードの両足に、白い羽の装飾が付けられた朱色の下駄──韋駄天の鎧下駄が装着される。

 もう準備は整った。

 二人はドライバーのプレートに触れた。

 

『『Are you ready?』』

 

 トランスフォンを下の方へ押し込み、ドラグスラッシャーが大きな雄叫びを上げたのと同時に跳び上がった。

 すると何とリベードが計7人に分身し、アクトと共に最後の技を放つ準備をする。

 

『OKAY. “TSURUGI” DISPEL STRIKE!』

『OKAY. “BYAKUA” DISPEL STRIKE!』

「おりゃああああああああああ!」

 

 ドラグスラッシャーが再び大きな斬撃波を放ったことで、それに後押しされてアクトとリベード達は加速。計八人の戦士が交代交代に強烈なキックを食らわせてアントロードを吹き飛ばした。

 

 二人が着地をしたタイミングでアントロードは立ち上がる。

 だが頭上に白く美しい輪っかが現れた瞬間、大きな爆発を起こして姿を消した。

 

 こうして三体の怪人は全て消えた。

 一仕事を終えたアクトとリベードは大きく深呼吸をし、後ろを向いて帰り始めた。

 

 

 

────────────

 

 

 

 店のドアを開いて戦いを終えた春樹と碧が帰って来た。

 やはりあれだけの敵を相手していたため、疲弊を隠せない。

 

 先の戦いで、使ったカードがかなりの即戦力になることが分かった。

 これならばパラレインに容易に対抗出来るやもしれない。

 その希望から顔色は明るかった。

 

「あのカード結構良いな。使えるぞ」

「うん。これなら零号に──」

「それなんだけどさ……」

 

 検証が成功したにも関わらず、八雲の表情は浮かばれない。いつもなら自分の実力や才能を自画自賛するというのに。

 

「作ったカード、1回使ったらロックがかかって使えなくなるみたいで……」

 

 その発言で春樹と碧は落胆した。

 

「つまり……振り出しに戻ったってこと!?」

 

 黙って頷く八雲。

 二人は、先程の戦いは一体何だったんだ、と思わず溜息を吐いた。

 

「ということで、一旦撤収だ」

 

 八雲の言葉で春樹と碧は三人で帰ろうとする。

 だがここで春樹がある疑問を思い付いた。

 

「……で、どうやって帰るんだ?」

 

 彼ら三人には別世界を行き来するための能力も道具も無い。故にここに来る術が無いのと同様に帰る術も無い。

 すると八雲は着ているアロハシャツの胸ポケットからあるものを取り出した。

 

「これで俺達の世界とこの世界を自由に行き来出来る」

 

 そこにはこの喫茶店にある特殊な黒電話が描かれていて、下部には「HAMELN」と印字されている。

 そのカードを八雲は、左の手首に付いた黒い腕輪にかざした。

 

『Exit from Hameln』

 

 試しに八雲が店のドアを開いてみると、先に広がっていた光景は見慣れた街並みであった。

 活気付いている商店街は、間違い無く自分達の住んでいる世界の東中野である。

 

 信じられないものが目の前で広がり、呆然とする春樹と碧の背中を押して強制的に退室させる八雲。

 

「あ、折角だしやるよ」

 

 八雲はカウンターを指差す。そこにあるのはカードの束が入ったアタッシュケースであった。

 其方を向いてから章太郎は再度前を向くのだが、もう三人の姿はいなくなっていた。

 

 店の中で一人になった章太郎はカウンター席に座り、カードの絵柄を一枚一枚眺めた。

 

「あ、キッド姉ちゃんのカードもある。これは千里兄ちゃんで、これが紫乃兄ちゃんか……。何か、ガッチャードのカードみたいだな」

 

 様々な絵柄のカードに仮面ライダー達の姿は一切無く、それぞれの特徴を風景や生物が描かれているだけだ。

 それが何だか一人一人を正確に表しているようで面白く思える。そのカードを眺めながら、章太郎は自然と笑みを浮かべた。

 

 

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