三年E組にあの二色のハンカチ、仮面ライダーWが入るらしい。その一年間の成長記録   作:春瀬紫苑

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Kの時間/騙し討ち

「君達は強いな。俺も久しぶりに本気を出したが……二人だとはいえ俺を圧倒させた。これからの成長も楽しみだ」

 と、烏間が二人の戦い方について生徒に解説するとともに二人に戦いの感想を素直に述べた。とはいえ、翔太郎もフィリップも謙遜していた。曰く、これくらいできないと『俺/ぼくたちの街は守れないから』、と。

 

「クラス全員が、翔太郎君とフィリップ君のようにとまではいかなくても、俺に当てられる位になれば、少なくとも暗殺の成功率は格段に上がる。

 ナイフや狙撃、暗殺に必要な基礎の数々、体育の時間で俺から教えさせてもらう!」

 

 烏間がそう言い終わると同時に、チャイムがなる。五時間目終了の合図だ。それを聞くと、生徒は校舎に向かって散り散りに帰っていった。どうやら烏間と殺せんせーは何か話しているようだが、生徒の耳には一切聞こえていない。

「六時間目小テストかー」

「体育で終わってほしかったよね」

 杉野が小テストに対して愚痴をこぼす。渚はそれに返しながらも、あの赤髪の青年を見つけた。どうやらいちご煮オレが好きらしく、わざわざここに来るときに買ってきたようだ。

 

「カルマ君…帰って来たんだ」

「よー、渚君。久しぶり。わ、あれが例の殺せんせー? すっげ本トにタコみたいだ」

 カルマがケラケラと笑いながら殺せんせーに近づく。殺せんせーもカルマに気づいたようだ。

 

「赤羽(カルマ)君…ですね。今日が停学明けと聞いてました。初日から遅刻はいけませんねぇ」

 殺せんせーが顔の色を青地に紫色のばつ印をにする。カルマは生活リズムが戻らない、と言って笑う。

「下の名前で気安く呼んでよ。とりあえずよろしく先生!」

「こちらこそ。楽しい一年にして行きましょう」

 カルマの右手と先生の触手が握手をする。と、カルマの手のあたりの触手が溶けた。そしてカルマが左手のいちご煮オレのパックを離し、袖から、対先生用ナイフが飛び出したのを先生が驚きながら見ると、音速で数メートル離れた。

 

 シュウ、と音を立てながら触手が溶けていく。

「…へー、本トに速いし、本トに効くんだ対先生(この)ナイフ。細かく切って貼っつけてみたんだけど。……けどさぁ先生。こんな単純な『手』に引っかかるとか…しかもそんなとこまで飛び退くなんてビビリ過ぎじゃね?」

 カルマが殺せんせーの方に歩みを進める。その間に、殺せんせーが触手を再生する。

 

 …初めてだ…殺せんせーにダメージを与えた生徒(ヒト)は!!

 生徒一同がそう思ったであろう。これまで手も足も出なかったダメージを与えることも、退学明けのカルマがひっそりとやってのけたのだ。

 

「殺せないから『殺せんせー』って聞いてたけど…あッれェ、せんせーちょっとしてチョロイひと?」

 先生がイライラしているようで、ピクピクと血管が浮き出ている。

 

「渚、E組来てから日が経ってないから知らないんだけど、アイツどんな人なんだ?」

「翔太郎、ぼくに聞けばいいのに……」

 翔太郎が渚に質問をする。フィリップもここにきて日が浅いのに、ぼくに聞けという。

「お前に聞いたら『検索』のこと知られるだろ!?」

 翔太郎が小声でフィリップに注意するが、近くにいた渚やカエデには聞こえていた。が、なんのことか分からない。でも、渚は今年から入った茅野にも説明するように口を開いた。

「…うん。一年二年が同じクラスだったんだけど、二年の時続けさまに暴力沙汰で停学食らって。このE組にはそういう生徒も落とされるんだ。

 でも…()()()()じゃ優等生かもしれない」

「…? どういう事だい? 潮田渚」

 フィリップが質問をする。渚はフルネームで呼ばれた事に少しだけ顔を顰め、訂正を含め先程の答えを口にした。

「フィリップ君、僕のことは下の名前で呼んでくれないかな? ちょっと事情があって……それで、カルマ君がこのクラスでは優等生かもしれないってことは……凶器とか騙し討ちの基礎なら…多分カルマ君が群を抜いてる」

「ああ、すまないね。ぼくは過去のこともあって人をフルネームで呼ぶことの方が多いんだ」

 フィリップが素直に謝る。よろしくね、渚。とフィリップが言うと、こちらこそ、と渚が答える。そして、渚が言葉を続けた。

「翔太郎君とフィリップ君が正面戦闘や銃の扱い方が上手いことで殺すことができる兵士(ソルジャー)だとしたら、カルマくんは騙したり、詐欺みたいなことをしたりして正面戦闘に移る遊撃部隊(オールマイティ)みたいな感じだよ。でも…きっと彼は暗殺者(アサシン)の方が向いてそうだけどね」

 そう言ってへら、と笑う彼は、自分は絶対にあの人には勝てない、と思っている人の笑顔だった。

 

 

 

「カルマってそういうやつなんだな……。ありがとな、渚」

「感謝する」

 一通り聞き終わると、二人一緒に駆け足で渚と茅野の元を去って行く。少し走った先で、何やら小さく言い合いをしている。

 

「ねえ茅野。あの二人、ちょっと不思議だと思わない?」

「…うん。否定はできないね」

 茅野が渚の方を向いてにこ、と笑う。そして、渚はポケットから、メモ帳とペンを取り出す。メモ帳は殺せんせーの弱点を書いているものと同じものだったが、表紙には対殺せんせー用、とは書かれていない。そして、そのメモ帳を顔の前で少しだけ振ると、ようやく取り出した意味を教えた。

「翔太郎君とフィリップ君の気になったところを……書き留めておきたいなって思って」

 渚はメモ帳にペンを走らせる。

 

気になること1

・翔太郎君の言っていた「検索」ってなに?

 

「確かに……検索って、某先生とか考えるけれど、カルマ君は暴力沙汰起こしてるからといってそんな載ってるはずないもんね……」

 本とになんでだろうね、と茅野が呟く。渚は、これまでに出てきた気になることを、書き留めようと心に決めた。

 

 

 

 

 

気になること2

・何故二人は烏間先生を圧倒させる程に強いのか。

→実戦経験があると言っていたが、Wになれること関係がある?

 

気になること3

・なぜ仮面ライダーWに変身できるのか。そして何故フィリップ君の体が倒れWから声が聞こえるのか。

 

気になること4

・表向きのE組行きの理由が分からない。

 

気になること5

・なぜ二人は一緒にいた方がいいのか。

→Wになる時に何か都合がいい?

 

気になること6

・フィリップ君が面倒だから、と偽名なこと。

 

気になること7

・烏間先生と翔太郎君、フィリップ君、保護者名義という照井竜さんの関係。

 

気になること8

・ガイアメモリの件、既にベルトがつけられていた事。いくらなんでもガイアメモリを持っていたことに僕達普通の中学生なら気づかない。

 

気になること9

・ガイアメモリの専門家、とはどういうことなのか。

 

気になること10

・一体年齢は幾つなのか。

→少なくともバイクに乗れる年齢である。

 

 

 

 渚は一足先に着替え終わりメモ帳に気になったことをメモしていく。現状の殺せんせーの弱点メモより多い。

 翔太郎とフィリップに悟られぬ様、厳重に隠して、水曜日の六時間目、小テストの時間のチャイムが鳴り響いた。




やってみたかった殺せんせー弱点メモならぬ翔太郎&フィリップの気になることメモ。
伏線かもしれないし伏線じゃないかもしれない部分は結構作ってます。先は未定。
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