昼休み
学校の一施設
「エンパシーって、いいよね」
「……はぁ?」
急に、何言ってんだこの先輩。
「いや、エンパスとも違うか……。テレパシー? 心を読めるだけの能力? うーん、しっくり来ない」
「よーは、他人の心が読みたいってことですか? キモイですね」
「んだとコラ。……でもよ、便利だと思わね?」
「?」
「だってさ、嘘も見抜けるし理解出来るじゃん」
「先輩ガンダム好きですよね。特にゼータ」
「カミーユとハマーンの話や、シャアの絶望の話を言ってるわけじゃないぞ」
そう言って彼は、牛乳を飲み、
「それに、この議題にΖの話題は、合ってないだろ、どう考えても」
そう言って、彼は立ち上がった。
「俺が言いたいのはもっとシンプルだ。他人に共感出来る、嫌な事を嫌と言えないやつに合わせる事が出来る。他人の本気さがわかる」
「ニュータイプじみてますね」
眠たい私は、暇そうに答える。
「人類補完計画かな? 考えは。まあ、あれは個じゃなくて全だが」
「なら恨み言も、聞かなきゃなんないですよ。ハビタット世界みたいに」
「俺は、そっちの方が気楽かな。本音が言える世界がさ」
「うわ、地獄っすね。クラスの陽女グループ壊滅するんじゃないっすか?」
「でも、気楽じゃない? 変に気を使わなくていいじゃないか」
「気は使いませんが、傷つきますよ。緑川ルリ子が気づいたように、絶望しかないのだから」
「絶望ね……。果たしてそれだけかな? 本音だから分かり合える事も、俺はあると思うが」
「希望を持ちすぎじゃないですか? たとえ分かったとしても、理解されない事だってあるんじゃないですか? シリアルキラーの思考なんて、たとえ分かったとしても理解できないでしょ」
グダグダと寝てた体を起こし、私は問う。
「あの娘は可愛かった。だから殺した。そこに居た。だから殺した。今日は彼女と居て楽しかった。だから殺した。そんな奴ら、理解できる方がおかしいじゃないですか」
「そうかい、その人達はそんな人……殺人鬼だから殺人を犯す、そうじゃないのかい?」
「それは理解じゃなくて、思考放棄じゃないですか?」
「そうかな? 人の心は、人の数だけいるんだよ」
「わたしには、無理やり自分の型に当て嵌めてこいつはこうだからこうと、言っているようにしか見えないですけど……」
「俺の理解はそうだったのだが……そうか、そう考えるのか。君は」
「ええ、私はそう考えますよ」
「理解とは、人をキャラクター化して偏見で見る事では無いと思います。私は」
立ち上がり、彼に近づく。
「それに私は、そこまでして他人を見たくは無いですけどね。あなたがカミーユなら、私はハマーンです」
目の前に歩き、彼の方向へ振り向く。
「よくもずけずけと人の中に入る!
恥を知れ、俗物!」
引用し、ニコッと笑って言葉を続ける。
「……気持ちがいいものでは無いですよ。見られたくないものは誰にでもあるんで。……たとえそれが好きな人て会っても」
「そっか、俺は理解したかったんだがな。お前を」
「人の心は、人の数あるのでしょう。なら、あなたと反対の意見があってもおかしくないじゃないですか?」
「ふふっ、いい負かされたな。 」
「ディスカッションに、論破はありませんよ。それに、違う考え方のする人は楽しいですから」
「戻ろう、授業が始まる」
「ですね」
勢いで書きたくなった。