スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
謎空間。
私がこう呼んでいるところは、元中年おじさんサラリーマンの中途半端なヒキオタ系知識を持って例えるなら、亜空間とか、次元の断層とか、そんなもので表現されるようなところで間違いないと思います。
たぶん。
まぁ少なくともずっと居たいと思える場所じゃありません。
なにしろ光の存在しない空間なので視覚が全く役に立ちません。それどころかここには音の発生する要素もなくひたすら無音で何も聞こえません。
果てがあるのか、ないのか。それすらもわかりません。
でも何もないのかと言えばそうでもなく、何らかの物質で空間が満たされているような気もする……、マジ何とも言えない場所なのです。
学のない私には説明も理解も出来ない場所。
まさに謎空間です。
私自身を弁護しますけれど、きっと世界中の頭のいい学者さんが集まったとしてもきっとわからないに決まってます!
はっ。
そんなことは心底どうでもいいことでした。
ともかく。
今はアンヌに再会することだけを考えて、ぷにょの
「――う、くうぅ!」
そんな矢先。
私の頭に久しぶりに感じるあの痛み。
謎空間に入り、あの世界に戻ろうと意識を向けた途端、これです。
「くぅ、クソ女神~。やっぱきましたか!」
まるで波状攻撃のように私の頭に強烈な痛みが襲ってきます。
【……戻り……なさ……い。あなた……の居る……べきところ……は、ち、きゅう……】
うっさい!
うっさい!
うっさい!
勝手なこと言うな!
【私の世界、……で、あなた……は、もう必要ありま……】
やかましい~!
かつてないほどの頭痛に襲われています。
スライム体である私に対し、どうやってこんな痛みを与えているのか? ほんと謎ですけど、一種の精神攻撃みたいなものなんでしょうか。病は気からといいますし?
違いますか?
そ、それはいいです。
クソ女神が何も干渉してこないのなら、このままアンヌのところに戻ろうかと思っていたのですが。
手を出してくるのなら話は別です。
いつまでもそっちの思惑通りにいくとは思わないことです。
「今からそっち行ってやる、待ってろっ!」
ああ、つい言葉使いが乱れちゃいました。
【 ! ……なにを……おろか、な……。来れるはずも……な――】
あま~い。
謎空間転移。私はぷにょを目印にして転移を行っているわけですが。
何も絶対ぷにょじゃなきゃいけない、って訳じゃないはずです。
要は私がその場所、座標を認識出来れば問題ないのです。
私だって進歩していってます。
座標さえわかれば、そこに謎空間を繋げて見せましょう!
三精霊。
火、水、風の大精霊たち。
あの子たちはあの世界で災禍の凶龍と化し、元に戻ってからは私に付いて地球までやってきました。
付いてきたと思ってましたが実際のところはどうだったのでしょう?
あのクソ女神の差し金であったとしても私は驚きません。
三精霊たちは地球で劣化版とはいえ再び凶龍化するという憂き目にまであいました。
そんな悲しい
結果。
精霊たちが生み出されしその地。
私には女神の居場所、天国だか、天界だか、もっと別の場所なのか……知る
そこに転移することが出来るのです!
寄り道になりますが、仕方ありません。
邪魔するクソ女神が悪いんです。
***
【ありえない。ありえない!】
こんなことがあっていいはずがない。
――我が世界にある『魔素』は毒にも薬にもなる
何事も過ぎたるは毒と化す。今回は悪いことに我が生み出したる大精霊たちが
これを放置すれば凶龍化まで行くのは必然。
しかるに世界に対して我は直接力をふるうことは出来ぬゆえ、
無作為にたまたま命の
我の世界より成熟した高次世界である地球の魂は、力強く、魔素の影響を受けにくい。
それが悪影響を及ぼしてしまったのか……、転生せし魂はまずいことに地球世界での自我を引き継いでしまい、我の影響力を及ぼすことが
啓示を行おうにも魂の力が強く、それがなかなか叶わず、苦慮するうちに数百年の無為な年月が過ぎてしまった。
怠惰なる地球の魂が生まれいでし湖のほとりは、我の守護するヒト種の民が住まうところでもある。
ああ、悲しいかなわが
だが地球の魂は我の意図せしものとは違う、なんとも面妖なものへと進化?を遂げていたものの、それでも災禍の凶龍の討伐を果たしてくれた。
だが、である。
我の想像を上回る力をもって、凶龍を倒したそれ。
あれをそのまま我の世界に留めおいてよいものだろうか?
我は即断した。
今であればあのものの力を分断するに好機。直接滅することは叶わぬが、分断するは可能。
あのものが前世の魂に引きずられヒト種の姿で行動していることも幸いした。
我はそのものを元の世界、地球へと
元の世界に帰ることの
合わせて、もとの姿に戻った精霊たちには悪いが、私の影響力を残すため、あのものと一緒に地球へ送った。地球に魔素はないゆえ、あのものの力も次第に
それは精霊たちにも言えることだが、それは致し方ないこと。高次世界である地球へと還元されることを是として受け入れてもらうしかあるまい。
そう。
それですべてはうまく収まるはずであった――。
なのになぜ?
「やあ、女神さま。初めまして……、ですかね?」
どうしてこのものがここに居る?
***
【そ、そなた……】
転移した先にいたクソ女神。
いやまじいたよ。
存在感やばい。
アールヴの
「前から文句言ってやりたかったんですよね……、め・が・み・さ・まっ……って、いったっ!」
私がそう言った途端にまた例の頭痛が襲ってきました。
そうきちゃうわけ?
「くぅ~、バカの一つ覚えめ~!」
私は一気に内包していたスライム体を解放し、背中の翅からも魔力全開で抵抗します。全身からは女神の金色の光に対抗するかの
私の小さな女の子の背中から扇状というか放射状にドンドン
そのすべてから青白い光が放たれていることもあり、私と女神のいる空間はもう青白い光で満たされた世界と化し、我ながらなんとも神々しいな……なんて感心してしまうほどです。
【な、なんなのです、この力……】
女神の発している
【むううっ……】
女神様の苦しそうな思念が私の頭に響いてきます。
くふふっ、だって私は今スライム体から女神の力を吸収しちゃってますから。
おかげで私の力は倍々ゲームで増えて行っています。
ああ、この万能感。
ミーア、このままなら神様にだってなれそう!
おっと、それはさすがに
女神も相当抵抗してはいたのですが今の私にとってみればそんなものはそよ風みたいなもの。
更に魔力強化、あーんど、吸収強化!
【や、やめ……。は、話し合い、ましょ……う】
女神の金色の輝きが衰えてくるとともに、なんと人の姿が現れてきました。
うん、女神像と同じ姿。
その姿はさすがに神々しくて美しいのですが色素が全く感じられず、まるで大理石でできた像のようにも見え、やはり生物ではないのだな……なんて思ってしまいます。
お話ですか。
むぅ……、ま、いいですか。
お話は大事です。
私にとってはクソ女神でも、あの世界にとってはやっぱ必要な女神様。
色々文句がありすぎて困りますが、あの世界を守るためには必要なことだったのでしょう。
ここでつい調子に乗りすぎたことで、手痛いしっぺ返し食らうってことだってあり得ます。例えば他の神様が出てくるとか……ね。
居るかどうかも知りませんけれど。
うん。
お話しようではありませんか!
平和的解決方法。
お話し!