スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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軽いうんちく回



※内容微修正


◆女の子(気絶中)とアンヌさん

 木陰で寝かされている女児をアンヌが見ています。

 女児は身一つ(からだひとつ)で打ち上げられていて、他に手荷物などは見つからなかったようです。女児自体は、エリクも言っていたように特に問題があるようには見受けられません。アレな外見を除けばいたって普通の六、七歳程度の女児でしょう。ですが素人判断は危険です。アンヌの診断結果を待ちましょう。

 

 

 

 ヨアン副長から、浜辺に打ち上げられていた女の子の診断任務を授かりました。この子のためにもきっちり見てあげなければ! 

 

 はっ、でもその前に。

 

「男性の方々はもう少し離れたところに移動お願いできますか? まだ小さいとはいえ女の子なんです。気遣ってあげてください」

 

 興味津々でこちらを覗き込んでいる男共にチクリと言ってやりました。ほんと、デリカシーのない人達で困る。

 私の言葉に「子供相手にそこまでする必要あるかぁ?」なんて言うクルトとかいうガサツな人がいましたが、副長に腕をつかまれ引きずられていきました。いい気味です。

 

 さて、不躾な目がなくなったところで診てみよう。

 

 ……なんだかもう、何て言えばいいのか。

 

 女の子は小さな体にひざ丈の毛皮をまとってます。縞模様の入った銀色の毛皮はどんな動物の毛皮なのかな? 海水で水浸しになったのと急に乾いたためか、ひどい状態になってます。

 そんな毛皮に頭を通して前後ろを体の横で重ね……、本来なら腰紐かなにかで縛ってあったのだと思うのだけど今それは無く、立って歩けば横から隠すべきところが丸見えになってしまうのは間違いありません!

 

 むうう、発見者二人の記憶を忘却の魔法で抹消しないと!

 けれど今は緊急時、仕方ないので見逃すしかありません。でも次はありません。

 

 いずれにしても、マジこれを衣服と言っていいのかはなはだ疑問だし、問題はまだまだあります。

 靴も履いていないし、何よりです、下着すら付けてないのです。もうほんと、やヴぁいです。

 

 女の子の身長は隊で一番小柄な私よりも頭一つ分以上は小さく、こんな小さな子が荒れる海の中でもみくちゃにされていたかと思うと涙がでそうです。長い髪は首の脇から胸の前にまとめられてますが、見たこともない淡い紫色をしてます。綺麗……。

 気を失っているので目の確認はできないけど、顔立ちは幼いながらもとても可愛らしく、将来はすごい美少女になりそう。ただ肌の色がとても青白く、健康状態がどうなのか気になるところ。華奢(きゃしゃ)ではあるもののやせ細っている訳ではないので、ここは私の魔法の出番です。

 

 手早く状態を確認しよう。女の子には悪いけど毛皮をよけて体を露わにします。なんだろ、傷一つない綺麗な体にちょっと違和感。

 

 ですが、見た目はともかく中までそうとは限りません。

 私は左手に補助・治療系魔法士ご用達、一人前の証でもある魔導ボードを持ち、女の子の胸に右手のひらを軽く添えてトリガー句を唱えます。

 

インタナルスキャン(体内走査)

 

 胸の奥の魔器官がうずく感覚と共に、引き出された魔力が手のひらに伝わり、それが女の子へと伝わる。

 

 集中だ、私。

 私の魔力を女の子の体に巡らせ、それを戻す。その過程を繰り返し体内の悪いところを見つけ出す。

 

 魔導ボードは集めた情報を視覚化できるよう作られた魔道具で、決められた様式に(のっと)ってボード上にそれを見せてくれます。情報は残しておくことも出来るのでとても便利。これを持っていないとスキャンとかで取り出した情報はすべて記憶頼りに。報告書にまとめる時とか……、もう最悪です。

 

 ところで、他人の魔力や属性の違う魔力を人は通常受け入れません。ですので補助や治癒系の魔法士には主に無属性の人がなります。もちろん、無属性といえども他人の魔力。だから補助・医療系の魔法士として認められるには、それなりの技術や訓練が必要なのは言うまでもありません!

 

 (よわい)十八にして中級二位と認められたる私、アンヌ=ハウゲン! すごいでしょ。

 

 ちなみに属性が合う人同士ならばやってやれないことはないのだけど、それでは対応できる人が限定されてしまうよね。やはりそこは適材適所というものだ。

 

「うんうん、よしよし」

 

 心配は杞憂だったみたいで体はもう見た目通り、普通に健康そのものだった。頭のほうの状態に少し不明な点があるけど、そこは気を失っているせいだと思う。あとは扱いに最も気を遣う魔器官に魔力を巡らせれば終了……、

 

「ん? んん? んえ~っ!」

 

 つい乙女にあるまじき変な声を出しちゃった。

 

 な、なんなのこの子。やばい、やばい、やばすぎる!

 ま、ま、ま、魔力半端ない!

 

 魔器官、異常発達してる!

 もう、やばいなんて一言で言い表せないレベル。どうすればここまで発達するのか理解不能!

 それにこれなに? 全身にくまなく魔力が巡ってる……。どうして? ありえない。

 

 これダメ。もう私の手に余る。余り過ぎる。

 

 幸いなのはまだ非活性(パッシブ)状態なこと。きっとこの子、自分のこれにまだ気付いてないと思う。

 

 女の子は放っておいてもそのうち目が覚めるだろう。そこは本当に良かった。

 いいえ、嵐にもまれてた状態でケガ一つないなんて、それはそれでどうなの?って気もするけど。それはまあ置いておこう。

 私は女の子の胸から手を放し、毛皮の衣服もどきを元に戻してあげたところで、小さな頭をナデナデする。本当に可愛い。早く身綺麗にしてあげたい。

 

 離れたところから興味深げにこちらを窺っている副長たちの方を見た。

 きっと私の()()()顔は、安心と不安が入り混じった、何とも言えない表情を浮かべて見えているに違いない。

 

 あとは副長や、そのうちまた来るスヴェン隊長に丸投げだ!

 そう思う私なのだった。




男共、空気(笑)


おーい主人公、仕事しろ~
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