スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
アンヌが出て行ってしばらくすると、外の様子がどんどん物騒なものに変わっていきました。
もう私を気にかけるような人は誰も残ってません。
そんな今は
出しちゃうよ、あれを。
スライム体を手からみょ~んと伸ばし、外の様子を直接ばっちり見てみようと思います。
そして魔法の使い方を盗み見るのだ!(使えるのかもわからないんだけど!)
今回はよく見るために特別製。さきっぽに目玉を模したものを作り、人の目で見たのと変わらない視界を確保したのですわ!
ふふっ。これで魔法使ってるところをじっくり観察させてもらいます。
百聞は一見にしかず!
おお、ワイバーンの群れがこれでもかと湧いて出来てきてますね。えーっと、全部で十三匹。
飛んでる相手とどうやって戦うんでしょう?
鉄砲とかあれば便利そうですけど、この世界、鉄砲とか銃器の
うーん、目が一個だと見逃しが多そうなのでもう一個。いや、この際です。指五本分出しちゃいましょう。大サービス!
でも慣れてないからこのくらいにしておきます。
超優秀スライム脳の処理能力でもこれはちょっときつそう。酔う、酔っちゃう。
ああ、ついでに音も拾いましょう。音、大事です。エッチな動画も音がないと……、げふんげふん。
えっと、音は耳の形してなくても肌で、いや、ぷにょで感じればOKです。適当に伸ばして網を張っておきましょう。
久しぶりにスライム体大活躍です。
俺のスライム体が火を噴くぜ!
さて、現場です。
始めて見る強面イケメンがなんかやりそうです。ワクワク!
「風よ、
えっ……。
ゑっ?
「わかるか、あほぼけかすぅ!」
つい言葉が口をついて出てしまった。
お下品ですみません。
ぶつぶつ何言ってるのか、まだ言葉習ってる私ではぜーんぜんわからないんですけど!
後半の言葉は定型文っぽいけど……。そのまま言えばいいみたいな?
あかんわぁ、役立たんわぁ。
初めて見た魔法は風系だったみたいで、ワイバーンの更に上に瞬く間に霧状の密度の濃い雲みたいなのが出来て、そこから一気に激しい下降気流が発生し、対象を巻き込んで地面に向かって叩きつける……という、えげつないものでした。
直撃を受けたワイバーン、哀れ地面にプチっと。周りにいた数匹も余波を受け、更に一匹落ちて、二、三匹はふらついたもののなんとか立て直してました。
落ちた二匹は、うざいクルトと
ああ、ワイバーンのお肉……、吸収してみたかった。
他にはヨアンや、タカビー兄ちゃん、知らない魔法士たちの魔法、火や、風、それに土? 色々見たけどやはり言葉の壁は厚かった……。
方針転換。
言葉は無理。
使ってる人の体に着目しよう、そうしよう。
魔法使ってる人を手当たり次第にじーくり見て行きましょう!
元リーマンおじさん、現状把握や要因分析は得意です。
視覚情報の収集は最小限とし、変わりに魔法を使っているときの力、端的に言えば魔力の出方や謎器官がどういう働きをしているのかの把握に注力し、得た情報を分析、把握し、自分にそれを反映してみます。やはり謎器官が一番の肝。
謎器官……。ふむぅ、いつまでも謎器官じゃ芸がないです。そうですねぇ、魔力の受け入れや取り出しを行い利用する器官、さしずめ
こんなことやってる間にも着々と双方に被害出てます。魔法もいっぱい使ってくれてサンプル豊富でミーアうれしい悲鳴。
魔法を使っている人にはやはり強い魔力の流れが感じられます。ついでにワイバーンにも相当の魔力溜まりが確認できるので、やはり奴らにもおなじく魔力受容体があるのでしょう。それも強力なやつが。たくさん調査したのでスライム体謹製魔力センサーの扱いにも慣れてきましたとも。
それを踏まえ、部屋のベッドでくたっと横になってる自分の体を見てみましょう。
むむ。
むむむぅ。
うん、動きがないです。
私の
例えるならバッテリー。このバッテリーには入力はあるけど出力がありません。だから充電しっぱなしです。そう、しっぱなし。
ということで、私が魔法使えないのは出力側がつながってないせいだと思われます。
思うに
だからきっと生まれた後、物心ついてから使えるようにする感じなんだと思う。
「くっそ、村の奴らshi〇e!」
あ、もう全滅ってたね、ざまぁ。
さて、魔法使うためにやること分かったし。
バッテリーの出力、あ、違った、
繋げ方調べるのは、それこそスライム体の
「魔法使えるようになったら何するかな~? とりあえず爆裂魔法は魔法少女のロマン? あ、電撃バチバチっていうのも……。いや、あれは超能力だっけ?」
本来なら脳からの神経系とレセプタの体組織をなんらかの方法で繋げるんだろうけど。スライム娘の頭の中はスライム脳ですから。万能決戦兵器、スライム体細胞の出番。
「むふふ、やっぱ桃色髪のほうが威力はあるかなぁ。エクスプロージョン! なーんてね」
よし、繋がった!
その瞬間。
「カッ」と周囲が真っ白にとんでしまう目が潰れるの間違いない閃光と共に、耳をつんざく凄まじいばかりの爆音。
それに続いて滝が逆流したかのような炎の柱が上空に向かい、それはもうもの凄い勢いで吹き上がりました。
部屋の屋根、というかこの建物全体の屋根、吹き飛んだ。
ごめんなさい。
そして私の目と耳も死んじゃったよ。
けど、ワイバーンだって数匹、確実に巻き込んじゃってると思うし。
だから……、悪いとは思うけど、反省はしていないっ!
以上。
以上(笑)
長くてすみませぬ