スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
※内容微修正
これはちょっとまずいのではないかしら?
どう誤魔化せばよいと思って?
絶賛現実逃避中のスライム娘、ミーア十歳です。
両目、両耳共にぶっ壊れてしまいまして修復、いえ、治癒中とも言えます。グロ注意。
屋根がなくなった部屋は外の日差しが遠慮なく差し込み、軽度の火傷を負った肌を刺激します。
「逃げちゃおっか……」
魔法も使える目処が立ち
ああ、でも私、十歳。幼女だし、まだ会話だってたどたどしいし。わかんないふりして、しらを切り通しますか?
はい、無理です。
困りました……。
それとちょっと、どうしよう。
非常に、眠いです。
この体が異常に眠りを欲してます。スライム体までつられて活動が鈍くなってきました。治癒がはかどらないじゃないですか……。
こんなことは初めてです。
むむぅ、これはレセプタ、魔力受容体から魔力が一気に引き出され、過ぎた……せい……です……か、ね。
ぐぅ。
***
「生き残っている個体は無し。飛び去った三頭についてもレナートの
「よしご苦労、これでひとまずは落ち着いたか……」
そこかしこに点在するワイバーンの死骸。
止めを刺し切れていない個体がないか確認させていたヨアンが戻り、問題ないとの報告を受けたことで、今回のソルヴェでのワイバーン戦は
あくまで一応だ。
俺はワイバーン討伐の任が終了したにもかかわらず、気が抜けない状態が続く要因となっている警備隊の詰め所を見やる。もう詰め所跡と言った方がいいかもしれんが……。
ワイバーンとの分の悪い戦闘が続き、籠城しながらでも勝機を見出そうとしていた矢先、あの事態が起こった。
目もくらむばかりの閃光と共に、天にも届きそうな勢いで立ち
ただ幸運なことにその激しい炎の奔流にまかれ、ちょうど上を旋回していたワイバーンが二頭巻き込まれ、跡形もなく消滅した。消し炭すら残らなかっただろう。
更にはそれに驚いたワイバーンが三頭この場から飛び去り、残った二頭も火柱と爆音によるダメージを少なからず受けていたため、それを倒し切るのは容易なことだった。
結果、七頭残していたワイバーンのうち、飛び去った三頭を除けば、すべて打ち倒すことが出来、今に至るという訳だ。
「さて、ヨアン。この事態の説明が出来るものならぜひ聞きたい。あれは一体どういうことだ? 何が起こった? すぐさま検分したいところだが、我々が近づいて大丈夫なのか?」
俺の言葉に苦笑いを浮かべるヨアン。奴にしては珍しいことだ。
「そのですね、実はですね、あの詰め所には一人残っていた人物が居たのですが……」
随分歯切れが悪いな。戦闘で頭でも打ったか?
「一人残っていただと? 確か今戦闘には全員参加したのではなかったか?」
職人ギルドの連中八人を守りながらのワイバーン戦、人を遊ばせる余裕などなかったはずだ。
「ま、まぁそれはそうなんですが。色々事情がありまして……」
本当にどうしたヨアン。いつもの冷静なお前はどこへ行った。しかも後ろにいるアンヌまであたふたしているではないか。
「もういい。とりあえず検分に入っても問題はないと思っていいんだな? 時間が惜しい、行くぞ」
***
あああっ、スヴェン隊長が詰め所の方に向かって行くー。ヨアン副長の役立たず~!
ワイバーンの確認に隊長を一緒に連れて行ってくれれば、その隙にミーアちゃんの様子を先に見に行けてたのに。
さっきの火柱……、絶対ミーアちゃんの魔力が何らかの原因で暴走したに違いないのに。
副長はこうなる可能性を恐れて、ミーアちゃんの魔器官の
ミーアちゃんの魔器官はどうして
身体を巡る魔力といい、色々謎なところが多すぎるミーアちゃん。
どうやって樹海で生きていたのかも、未だ確認できていません。早く会話レベルを上げるよう副長につつかれてます。そんな訳で、ずる賢い副長は一見受け入れたように見せてますが未だに警戒を完全に解いてはいないのです!
普通の子供じゃないことは私だってわかってます。でもまだ十歳で、しかもその歳にすら見えない幼子だと言う事実に違いはありません。
だからスヴェン隊長やヨアン副長の魔の手から私が守ってあげなければ!
出来る範囲で……だけど。
***
「わかってはいたが、これはまた、ひどい有様だな」
元村長宅だった詰め所は外観同様ひどい有様を
ただ、奥に進んでいくと比較的破壊から
食堂の奥にある小部屋。アンヌはともかくヨアンまでも、あからさまに表情を変えた。
「ミーアちゃん!」
アンヌが俺を押しのけるようにその部屋に入っていく。ドアは吹き飛んでいてすでになく、中の様子も窺えた。
ミーアちゃん? 誰だ、そいつは?
そんな名前の者は隊にはいない。しかもまるで子供を呼ぶように……。
古びたベッドに小さな人影があった。ベッドの周りは不思議と破壊された様子がない。
アンヌが縋り付き、泣きながら介抱をはじめた。
ベッドに横たわっていたのは女の幼子だった。
薄い紫色の珍しい髪をもつ幼女は、肌が赤く腫れ、両目、両耳から血を流し気を失っていた――。
寝てるだけですよ~