スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
「あの扱いはあんまりです!」
アンヌがあの
「繰り返しになるがアンヌ。あれはどう見ても人ではあり得ぬ。呼吸もしていない、心臓も動いていない。それなのに腐りもせず、それどころか怪我が治ってきている。ある意味アンデッドのような特質を持つ存在を今まで同様の扱いにしておく訳にはいかぬ。隔離室に放り込んでおくのが妥当だ」
あの隔離室はある程度の魔法攻撃すら無効にする封魔結界が張られているし、土魔法士の
更には幼子の胸には魔力制御と集中を妨害する制魔陣を直接刻み込んである。あくまで暫定的な処置だが、あれ一つで上級一位の魔法士でさえ基礎四元魔法を使うのが精一杯となる。
「そんな、ミーアちゃん……、まだあんなに小さい子なのに」
まったく、聞き分けのない。
「しばらく面倒を見ていたのだから情が移ってしまったのだろうが、妥協はできない。今更あれを野放しにしておくことはあまりに危険。あきらめろ」
執務机の前に陣取り、中々立ち去ろうとしないアンヌに出て行けと手を振る。俺の横で控えていたヨアンが見かねて、半ば無理やり送り出すことでようやく静かになった。
「やれやれ……」
本当に頭の痛い問題ばかり続く。
壊滅したソルヴェ村の廃村処理。新たな監視砦の建設推進。ワイバーンの大挙襲来……。
「止めがアンデッド幼女ときた」
あの幼子がまさに死んだように眠って二日目。監視砦に連れてきてそのまま隔離室に放り込んだわけだが、こう何度も押しかけられてはおちおち執務も出来ん。
ひとまず領都からアンデッドに詳しい魔法士をよこしてもらうとしよう。今後の処置はその魔法士の意見を踏まえたうえでのことになる。それまではいかにアンヌの願いとて、
「
突如、ズズンと腹の底に響く重苦しい衝撃と音が伝わってきた。
そのあと、地震と言ってもおかしくない激しい揺れが続く。
発生場所は、もう考えるまでもない。あそこに決まっている。
「ちぃ、今度は何だ? ヨアンいるな? 付いてこい」
俺はヨアンを従え、衝撃の発生源へと急ぎ向かった。
***
うーん、まずはこの魔法陣じみた幾何学模様をどうにか消さないとだめですよねぇ。
相変わらずのパンイチのまま、私は胸にくっきりと刻まれている忌々しい幾何学模様を見下ろします。
先ほどから何度か魔法を使ってみようとあれこれやってみましたが、何というか魔力が集約できない……、えっとですねぇ、魔法を実行するための魔力が集まらない、というか集めようとしても模様から出るうざいノイズに邪魔されて集められない感じなのです。
ただ、ほんの軽い魔法、アンヌが桶に水を出してたやつ程度ならなんとかいけました。
きっと集める必要もない、魔力の最小単位で実行が可能な魔法なんでしょう。
お手軽だわ。
これでお尻とか洗えますわね!
あ、いや、もちろん美幼女ミーアちゃんはそれを必要とするような行為はしませんけどね!
今は。
ほんとですよ?
それにミーアボディは必要に応じて美肌ばっちりスライムパック! お風呂いらずです。
ごほん。
そんな話はさて置いて、幾何学模様の魔法陣もどきをなんとかしましょう。肌に描かれてるのなら新陳代謝をガンガン進めてやったらどうでしょう?
ミーアボディに浸透しているスライム細胞さん、出番です。表皮を次々入れ替えていくのです!
こするとぽろぽろといっぱいでます。
何がと疑問に感じてはダメです。乙女にそんなものは出ないのです。
『ミーアのないしょの粉』として売りに出せばマニアに売れるかもしれません。
消えないんですけれどっ!
ふざけてます。
どんだけ深いところまで刻まれてるんですか、コレ!
ちょっと疲れました。燃料不足です。
むーーーー。
仕方ない。
なんか怖いし、グロいからいやなんだけど……。
今からやることはとても言葉に出して言えません。
す~っごく痛いだろうけど、それは任意でカット出来るので無問題ですね。
でも道具をどうしましょう?
えぐり取るのはさすがに素手ではしんどいですからね。
最小単位の魔力でスパッといける魔法なんてないのかしらん?
ぱっと思いつくのは日本のカマイタチみたいなやつ?
ものは試しです。
「カマイタチの鎌、深めにすっぱり、カッティング!」
ぐぬぬぅ……。
やはり少しとはいえ魔力を使うと、ちょっとというか、かなり胸がざわついて気持ち悪い。
何かが私の胸の前でつむじを巻いて流れ去っていきました。軽く体にずるりとした違和感を感じましたが痛みはありません。痛覚カットはばっちりです。
くぅ、ちょっとやりすぎな感じです……。
片方だけですが、チ〇ビまで削っていきました。
でもなんとか発動できました、よきよき。
ちょっと離れたところにサヨナラしたブツが血まみれで落っこちてます。
見ないようにします。
ちなみに魔法の詠唱? というか発動するための言葉ですけど、こちらの方々、色々詠唱っぽいこと言ってましたがわからなかったので、自分で適当につくって唱えました。
よく言うじゃないですか、「詠唱なんて飾りです、厨二の人にはそれがわからんのです!」って。
え、言わない?
そうかもしれません。
結局、詠唱何てものは魔法を系統だって使うための道具、使い方や効果を一元管理するためのツールでしかないと思います。(暴論)
要は私が何をどうしたいのかが肝要。
イメージです!
最初の魔法暴発でいやでも理解しました。
ともかくですね、今は幾何学の模様のやろうがどうなったかです。
見下ろします。
…………。
うなぁ!
スライム細胞さん、ちょっ、ちょっと、新陳代謝がんばりましょうか!
燃料不足でつらい。
仕方ないので体中からエネルギーを得るしかないです。せっかく健康的な体になってたのに、またやせ細っちゃいそうでつらい。
二時間ほどかかりましたが、きれいさっぱり、玉のような青白お肌になったミーアちゃんです。
問題の魔法陣的幾何学模様もきれいに無くなり、これでレセプタの魔力操作も大丈夫でしょうかね?
お腹すきました、ごはん食べたい。
なのでとっととここから「ばっくれ」たいと思います。
ワンピースをしっかり着こみましょう。痴幼女は一部の人が喜ぶだけです。
で、テストかねて使う魔法はもちろん!(今度はちゃんと使い過ぎに用心しますから……)
「爆・烈・えくすぷろーーーーーじょん!……みにみに」
閃光と爆音が生じれば、前とは違う一点集中の素晴らしい炎の柱が天井を貫きました。
光や音が控えめ(当社比)だったおかげで、目も耳も無事です。
試運転成功!
「わぁお……」
夕暮れ時なのか、茜色に染まった空がよーく見えます。
うん、石の壁や天井と違って心に染み入りますね。
開いた穴から細かい瓦礫がぽろぽろ落ちてきてうざいです。
「これで外に出れます」
私はなんの未練も残さず、さっさとここを立ち去るのでした――。
なんてことはなく。
「あんにゅ~!」
これからも続くはずだったアンヌとのイチャコラがもう出来ないと思うと、未練たっぷりの私なのであった!
ミーア、残念な子……。