スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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でもだいたいは大雑把です


冒険者ギルド
センチメンタルミーア


 こんにちは。いつも現実逃避中の美幼女、ミーア十歳です。

 

 独房っぽい部屋に閉じ込められて、つい反射的に逃げ出してしまった、元リーマンおじさんが中の人となります。

 

 それにしてもあの部屋の天井は手抜き工事だったのか『エクスプロージョンみにみに』であっさりぶち抜けたので良かったです。

 考えなしに高い天井に穴を開けたのでどうやって出たらいいの? ってちょっと考えてしまいましたが、人外的身体能力を生かしてぴょ~んと大ジャンプ。なんとか穴の(へり)に届いたら、スライム体をうまく使いつつ、あとは地道に瓦礫をかき分けながら外に這い出しました。

 

 出てからは、スライム体を滲み出させて全身を覆い、光の屈折率をいい塩梅(あんばい)に調整し俗にいう光学迷彩的なものを再現し、堂々とコソコソ抜け出してきました。

 疑似的に見えなくなっただけで、音は出るし、匂いもするだろうしで子供だましもいいところですけど、辺りが暗くなってきたこともあり最後までばれなかったです。

 っていうか警備ゆるくて余裕でした。魔獣相手の警備隊ですし内側はあまり警戒していないのかもしれません。私がいた場所には野次馬いっぱい集まってましたけどね。

 

 外から、抜け出してきた(ところ)を眺めてみれば、切り立った崖の上に石造りの壁と高い塔からなる砦が建ってました。高いといっても二階建てのビルくらいのものです。まぁ元々崖の上ですしね。崖の下はもちろん海。もう見たくもありません。

 あんな砦を作ってまであの樹海(もり)を監視するなんて人間は恐がりですね。大した距離じゃないにしろ、間に海もあるんだし心配し過ぎのような気がします。

 今思えば、いっぱい食料(ごはん)が居て、向こうからやって来てくれて、ひもじい思いをしなくて済むんだからある意味良い処とさえ思えます。

 

 まぁそれでも人が居るこちら側の方が良いのは間違いないので、樹海や故郷の湖に戻ろうとは思いません。人としてね!

 

 ああ、そういえばごはん! ごはんですよ。

 さっきはかなり無理して魔法使いましたから早急に燃料補給が必要です。このままではひょろスライムになってしまいます!

 この辺りにいい栄養になってくれる動物とか魔獣とかいてくれるといいのだけど……。

 

 

 

 

 ――日もとっぷりと暮れ、夜空を見上げれば満天の星々が空一面に広がって見え、とても綺麗で感動的です。

 

 星々の見え方は日本で見た夜空とは全然違います。

 

 けれど異世界でも日本でも、空は空。同じなんですねぇ。

 太陽は大小二つありますけど。

 

 ああ……、この空は元の世界に繋がっていたりはしないのでしょうか?

 辿って行けばその先のどこかに地球があったりはしないのでしょうか?

 

 日本も今は夏だったりするのでしょうか?

 

 実はもうすっごい未来になってたりしてね……、あはは。

 

 長い年月をスライムとして過ごし、一人なんて当たり前のはずなのに、ちょっと淋しい気持ちになってきました。

 

 結局、この日は(ろく)に集中も出来ず、終始しようもないことを考えながらふらふらして終わりました。

 

 なんのかの言いつつ、やっぱり淋しいはつらい。

 人のぬくもりに触れてしまったのは良くなかったのかも知れません。

 

 

***

 

 

 崖の上の砦から逃げ出して一週間が経ちました。

 

 アンヌは元気にしてるでしょうか?

 会いたいですが、見つかるとスライム娘の解体ショーになるかもしれません。生きた死体の謎を解く! みたいな。

 

 私は適当に野生動物を見つけてはスライム体で栄養吸収し、時には思いついた魔法を試してみたり、夜は魔法で作った土製かまくらで眠るという、ごくごく普通なアウトドアライフを送っています。ベッドもお布団もありませんがスライム体にくるまって眠るので快眠確約保障です。

 

 ほんと(スライム)が有能すぎて怖い。

 そして土製かまくらは新登場アイテムです!

 

 魔法で遊んでた中で、土系統でも何かやれるか試してて出来たやつです。

 ほら、小さい頃よくやる砂遊び。砂山作って横穴掘って、中に入って崩れて埋まるまでがお約束(テンプレ)のやつ。そんな感じのことを魔法でもやってみました。

 

 言っときますが、埋まらないから。魔法で作れば崩れないんだからね!

 

 詠唱的には『土よ隆起し横穴を穿(うが)て、マッドドーム(円蓋)』とかでしょうか?

『マッドハット(小屋)』でもいいかもですが帽子と間違えそうです。

 

 繰り返しますが、魔法はイメージ。私がこうと認識したことが、魔力受容体(マナレセプタ)により発現される流れっぽいです。魔法の発現はレセプタ次第。私の思考や想像、創造? に合わせたレセプタ教育が肝要です。

 当然、やろうとしたことがレセプタのキャパ(許容量)を超えたならそれはきっと発動出来ずに終わるのだと思います。私のレセプタは色んな魔獣のものを取り込んでごちゃ混ぜ仕様になっていて、よくわからないものと化しているっぽい。(理解放棄)

 

 まぁ燃料不足による不発はどうしようもないです。

 魔力量は比較対象がいないのでわからないないけど、かなり多いと勝手に自負してます。けれど当然限度はあるので、使いすぎたり威力の大きいのをドカンと使うと一気に消費しちゃうので注意が必要です。ゲームみたいにMP表示でもあればわかりやすいのに。

 

 魔法はやっぱり便利で楽しい。毎日なにがしかの発見があり、私の忘れ去られていた厨二心に再び火が灯ります。

 

 日々の暮らしはそんな感じです。

 

 

 

 

 さて、砦ではひどい目に遭いましたが、良いこともありました。なんと、労せずして人里へと向かうルートを確保出来たのです。

 それはもちろん砦へと繋がってる道のことです。日本の道路みたいに綺麗に舗装されたものじゃない、でこぼこで石とかもゴロゴロ、馬車かなにか通っているのか、深い(わだち)が刻まれた荒っぽい道です。

 

 逆にたどっていけばこれはもう町についたも同然! ミーア完全勝利!

 

 とはいうものの警備隊から探される可能性もあります。その点は留意しておかなければ!

 まぁきっとこんな小娘のことなどすぐ忘れ去られるに決まってます。(願望)

 

 

 私は一応十歳ということになってますが、見た目はご当地基準だと六歳程度に見えるそうです。元日本人の感覚だと八歳くらい。この世界の人は成長早めなのかもしれません。

 ともかく、そんなサイズ感で美幼女の私がぽてぽてと一人っきりで何も持たず、身一(みひと)つでのん気に道を歩いていたわけですが。

 

 

 さらわれました。

 

 

 この間のワイバーン襲来時に鍛え上げたスライム謹製魔力センサーで何か近づいてきてるなぁと、気付いてはいたのですが正直かなり油断があったと思います。

 

 何があったとしても大抵どうにかなりますし。仕方ないね。

 それに感知した魔力も大したことありませんでしたし。

 

 

 目隠しされ、簀巻きにされ、肩に担がれと、すっごく手慣れた感じで、私は呆気に取られなすがままでした。全てが流れるような作業であり、正直抵抗する間もなくお持ち帰りされてしまいました。

 

 こんなの銀虎に(くわ)えられて走りまくられた時以来です。

 

 

 ああ、スライム娘の運命やいかにっ?

 




あ~れ~!
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