スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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面倒くさいね


混迷魔力測定!

「ん~、まぁ、いっか」

 

 属性把握だ、魔器官の確認だ~とか聞いて、思わず身構えてはみたものの、考えてみれば結果がどう出ようと私は私。

 

 出来ることをわざわざ出来ないふりするとか真っ平ごめんだし、私にそんな器用なことが出来るとも思えない。

 

 あれこれ考えるなんて馬鹿らしいし、スライムらしくないです。

 

 それになによりオルガがうるさい。(これが本命)

 

 私はテーブル上に用意された卓上扇風機を思わせる魔力測定用魔道具? に歩み寄り、エリーネさんに教えられた通り、魔道具の台座に填まってるアメジストのような紫色をした石に手を乗せました。

 

 おやつ食べてたから手が油だらけだけど、まあいいよね?

 みんな測定に興味津々で、よく見ようと私の後ろに回り込んできて何気にうざい、気が散るんですけど。

 

 ほ~れ、魔力ちゃん出ておいき~!

 

 私は魔力をガシガシ送ります。

 

 変化はすぐ現れました。

 

 魔道具の二重円の枠に放射状に配置されてる石たちが、中心から外側に向け輝く石の輪を広げていきます。赤、青、黄、緑……、いろんな色の石が次々と輝きだし、ついにはすべての石が輝くことになりました!

 

 面白くなってきたので私は魔力を更に送ってみます。

 おおぉ、輝きが増したような気がする。魔力の強弱で(またた)く石さんたち。電気の実験してるみたいでワクワクしてきました。

 

 なんだか綺麗です。

 形は随分違うけど、カラフルな光の明滅がクリスマスツリーを連想させなくもないです。

 

 日本のクリスマス、懐かしいです……。

 

 ふに? あ、手に違和感。

 

 手元の石がぷるぷるしてます。

 何より最初、痛み的な刺激を感じました。

 

 これはちょ~っと……、まずかったりするのかな? かな?

 

「ミーア、も、もういい。これ以上は魔道具に負荷がかかりすぎる」

 

 ギルドマスターの声を聞くが早いか私は急激な浮遊感を感じ、気付いた時には魔道具から引き離されていました。

 激シブギルドマスターが焦ったのか、背後から私の脇に手を入れ、そのままぐいと持ち上げられたみたいです。

 

 どうせ私なんか小さくって、軽い小荷物扱いですよ~~だ。

 

 

 よ~だって……。

 

 

 ……なんだか私、思考形態が幼児化してきてないかい?

 見た目は幼女、でも中身は元日本の中年サラリーマンおじさんなんですけど?

 

 まぁスライムになって相当長いし、幼女生活もそれなりだけど……、そんなことありえるんですかね?

 

 って、今はそんなこと考えてちゃダメじゃん。

 

 

 なんだか妙に静かです。

 

 

 振り向いて見れば、皆が私を見て、まるで示し合わせたかのように口を開けたまま固まっています。

 

 綺麗で女性らしさの権化、エリーネさんですらそうなのです。

 美人さんは口をポカンと開けててもやっぱ綺麗です。ずるい。

 

 ドリスはもちろんのこと、オルガも例外ではありません。

 唯一、真面目な顔をして私を見て来るのはギルドマスターです。

 

 高い高い状態から床に下ろされ、座るよう促されました。

 いや、椅子が高くて座るに座れませんから。実は最初もオルガに座らせてもらったのです!

 黙ったまま再び持ち上げ、椅子に乗せてくれました。

 

 ギルドマスターが皆の顔が見れる位置に移動し、眼光鋭く皆を見据えます。

 

「……ここに居る皆にᚲᚨᚾᚲᛟᚢᚱᛖᛁ(箝口令)を敷く。先ほどミーアが成したことについて、ここに居る関係者間を除き、決して話してはならない。文書として残すことももちろんダメだ」

 

 そこまで言って一度皆の顔を見回すギルドマスター。

 か、顔が怖い。渋いおじさんが(にら)みを利かしてくるとすごいプレッシャーです。ないはずの()()がキュッとする感覚に襲われる気がします。

 

「ミーア。お前……、自分がいかに大変なことを成したのか全く理解していないだろう? 精々魔石が光って綺麗だ……くらいの感覚なのだろうさ。だが、その認識は大きな間違いであり、大変危険なものでもある――。幸いなことにお前は今よりギルドの見習いとして過ごすことになるわけだし、それについては今後しっかり覚え込ませてやる。わかったな?」

 

 ひぃえ~~。

 

 やっぱ逃げておけばよかったですぅ、ぐっすん。

 後悔先に立たず、覆水盆に返らず。

 

 スライムらしくないとかどうとか言ってた少し前の私を、乾燥させまくった寒天にして粉にして、トラウマな海に()き散らしてしまいたいです。

 

「返事は?」

 

 ギルマスがいじめてくる~。

 

「ふ、ふあぁい……」

 

 頼りない返事をした私の頭に、ギルドマスターの大きな手がポスンと乗せられ、予想外に優しい手つきでナデナデされた。ふと顔を見れば口角だけを上げて笑ってます。こわいよ~。

 

「よし。――オルガ、それにドリス。お前たち二人には、闇属性特級魔法、強制誓約(ギアス)を受けてもらう。決して信用していない訳ではない。人の意志ではどうにもならないこともあるということだ。理解してもらえると助かる。費用はこちら持ちだ。安心して欲しい」

 

「ちぇ、しょうがねぇなぁ。いいもん見せてもらった駄賃として諦めるとするさ。ボリスの言ってることだってちゃんと理解もしてるんだぜ。なっ、ドリス!」

 

 オルガがそう言いながら残念体形のドリスの背中をバンバン叩く。ドリスは迷惑そうな顔をしつつも案外平気そうに受け流してる。素朴な田舎娘って印象が強いドリスもやっぱ冒険者ということなのでしょう。

 

「うん、さすがの私だってあれが知れ渡ったらマズイことくらいわかるよ。ほんと、今でもまだ信じられない気分なんだけど!」

 

 オルガとドリスは普通に言葉を交わしてて、あまり恐れた様子は見られません。ギアスという言葉にあまりいい印象を持てないのはアニメ大好きな日本人だった所為(せい)なのでしょうか?

 

 変な先入観を持ちすぎなだけとか……、ええぇ~?

 

「あとエリーネについてだが、ギルド職員は例外なく強制誓約(ギアス)を受けさせている。したがって、彼女からの情報漏洩の心配は無用だ」

 

 ほうほう。職員さんは全員受けてると。

 っていうかですよ、そんな都合よくポンポン受けさせられるなんて、もしかして闇属性のギアス持ちとはギルドマスターのことではないのですか?

 

 いえ、イメージ的にもピッタリだなって……、思っただけです。根拠などない!

 

「ああ、言い忘れたが、もし強制誓約(ギアス)を受けず情報を漏らしたことが発覚した場合、罰則金として一律金貨百枚。払えなければ借金奴隷落ちが待っているぞ。更に漏れたことによる影響も精査する。内容に応じて処罰は決定されるからそれについては今は何とも言えないが……、気を付けろよ」

 

 金貨百枚!

 いえ、それもすごいけど、内容に応じた刑罰っていうのも底知れない怖さを感じます。

 

 恐ろしや、異世界。

 

 けど、罰則とかは地球世界でもひどいところは悲惨そうだったし、あまり異世界がどうとかは関係ないかもしれない……。

 

 

 げに恐ろしきは人間なり。

 

 

 それとですよ、結局私の属性についてはどのような扱いになりますの?

 他にも魔力や魔道具について、教えて欲しいことが山とあるのですけれども?

 

 そんな私の想いを他所(よそ)に、皆様もうお開き気分で片付けに入っています。

 

 

「ああっ、マスター。測定用魔石に、ひ、ヒビが入っています! どうしましょう」

 

 

 ぎくっ。

 

 

 し、しーらないっと。

 




さあ、話を進めよう!
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