スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
ギルドマスターとの会談は夕刻も近づき、冒険者ギルドが一気に忙しくなるということでお開きになりました。私の扱いは明日以降に決めるとのことで、今日のところは帰って良しです。
帰れって言われても帰るとこ無いのですけれども?
「オレはまだギルドに用があるからよ。ドリス、あとのことは頼んだぜ。ミーア、とりあえずドリスと一緒に帰んな。こいつの
相変わらず威勢のいい、態度を変えないオルガの姿勢は尊敬に値します。この世界に神様がいるのなら、知り合えたことに感謝しておきたいと思います。
「任せといてよ。ブレンダの宿ならきっとミーアちゃんも気に入ってくれると思うよ。じゃ、行こうか!」
ドリスが私の手を取り
ブレンダの宿は、宿を切り盛りしてる女将さんの名前がそのまま宿の名になっているそうで、ブレンダさんはドリスと同じ村出身なんだそうです。出稼ぎに来た地方出身者が宿泊するため、必然的に長期滞在となる客が多く、宿に居る人はほとんど知り合いなんだとか。人付き合いが苦手な私にはちょっと居づらい環境ですね。
何はともあれ、異世界の町での生活です。色々楽しみにしておくことにしましょう。
問題事は先送りが正義!
前世の偉い人達も困ったことは皆先送りでしたし。
問題なしっ!
***
「ようボリス、ミーアはドリスと一緒にブレンダの宿に向かったぜ。で、オレに話ってなんなんだ? どうせミーアのことなんだろうけどよ、手短に頼むぜ」
オレはドリス共々帰ろうとしていたところでボリスに呼び止められ、さっきまで
一体何を言われることやら。
簡単な話であることを祈るしかねぇや。
「ああ、疲れているところ呼び止めて済まなかったな。少々頼みたいことがある。悪いがもう少しだけ付き合ってくれ」
ボリスがどかりと疲れた様子で席に着き、オレにも無言で勧めてくるので遠慮なしに向かいに座る。
「当然ながら今からの話は他言無用だ。さすがに
「あぁあぁ、わかってるって。で、話ってのは何なんだ?」
オレはまだグダグダ細かいことを言い出しそうだったボリスにそう言い、先を
「するってぇと何か、ミーアは、領主様の
オレは予想の上を行く展開に、逆にちょっと面白くなってきた。目を付けられた話って言うのがまた面白ぇものだったからだ。あのワイバーン二頭を魔法で消し炭にしちまうたぁ、マジ半端ねぇわ。
「スヴェン様の最終目的はミーアを保護し、とある貴族子女に託すことにある。いや、もう隠さず言おう、ハウゲン子爵令嬢、この方は現在スヴェン様が指揮する砦でその配下にあるのだが、
クハッ、お貴族様のご令嬢に気に入られたってか。まぁ、ずっとミーアの面倒見てたって話だから、あの見てくれに騙されて情が移っちまったのかね?
「なんだかすげぇ話だな。じゃなにか、下手するとこの先、オレたちゃミーアのこと「お嬢様」とか言わなきゃいけなくなるのかね? そりゃあ……、ぐはっ、きつい、きつ過ぎる冗談だぜ、ワハハッ」
「笑いごとではない、まったく……。ミーアが今レイナールに居ることは既にスヴェン様はご承知だ。間違いなく近いうちに何らかの動きがあるだろう。そこでお前への頼み事だ」
ボリスがすっと真顔になる。へいへい、頼みとやら言ってみろや。
「おそらくミーアを引き取りにいずれスヴェン様の手の者、最悪ご本人自ら……、ここに来訪されることが予想できる。お前にはそれまでの間、ミーアの教導や支援、保護を頼みたい。ギルドの見習い仕事だけでは行き届かないことも多い。協力者を使っても良い、報酬もきっちり用意する。どうだ?」
くはは、最悪とか本音漏れてるぜ。……綺麗ごとぬかしてるが、要はミーアが逃げ出さないよう、首に縄付けて監視しといてくれってことだろ?
さっきの話でもケーヴィック砦からまんまと逃げられてる訳だしよ。
マジな話、難易度めちゃ高くないか?
まだ直接ミーアの魔法を見たことはないが、聞いた話だけでも、風と火の魔法は相当なものっぽい。逃げ出したときも何らかの魔法を使ったらしく、警備隊員が
実際、野盗のアジトもミーアの風魔法でひどい有様だったしな。
そういや野盗の
いやぁ、ミーアに本気出されたら捕まえとくことなんて絶対無理だわ。
くく、でもまぁ、正攻法は無理でもあの呑気で能天気なミーアのことだ、逃げないよう縄付けとくことはやり方次第で出来なくはねぇかもな?
「わかったぜ、他でもねぇギルドマスターの頼みだ、引き受けるよ。ま、どうせ断ってもギルマス強制権発動って流れだろ? ただ、確実にって保証は出来ねぇ。努力はするけどよ。それでも良ければ依頼出しといてくれや」
「助かる、恩に着る。出来れば完遂を望みたいがそれは言っても詮無きことか……。では依頼はオルガ個人への非公開依頼として出しておく。くれぐれも内密に頼む。特にミーアに知られることだけは絶対に避けてくれ。あの幼子は、どう動くか予想がつかなすぎる」
ボリスが肩をすくめながらそう言うが、オレもそう思う。
ま、ドリスも居るし、宿の
***
ドリスのいつも泊ってるという宿は、町の大通りから二筋ほど離れた、中心街と比べればかなり寂れた雰囲気の場所にありました。夕暮れも迫り、ちょっと一人歩きするには気を使わないといけない感じの場所です。
一等地はやはり宿代もそれなりでしょうし、離れるにつれ安くなるのは異世界でも同じと言うことでしょう。地方出身者が多くなるのも頷ける話です。
中心地から離れた方が土地に余裕があるのか大き目の敷地に居を構える、三角屋根を持つ宿は、長手方向が道に沿っていて、部屋ごとにあるだろう窓の数から多くの部屋があることが窺えます。
所々に屋根の斜面から張り出すように小さな三角屋根が出ていて、
奥の方は見えないのでわかりませんが、なかなか住み心地の良さそうな雰囲気が漂っていて、まずは合格と言ったところでしょうか。
「ブレンダさ~ん、ドリスだよ~。部屋まだそのままある~?」
ドリスが五段ほどある階段を間を飛ばして駆け上がり、そのままの勢いでドアを開け宿屋の中に飛び込んで行きました。カランコロンとドアベルの音がしてそれもまた良きです。
うーん、異世界住環境、案外良いのではないでしょうか?
町中もそうですが、道に糞尿がまき散らされていることもなかったし異臭も気にならなかったです。ここも思ってたよりずっと衛生的な様子です。異世界なめてました。見下しててすみません。
やはり魔法とかあるおかげでしょうか?
くぅ、私が隔離されてた部屋はいったい……。あの壺のことは一生忘れないことでしょう。
いえ、使ってませんけどね!
「ミーアちゃーん、何してるの~、早く入っておいで~」
呼ばれちゃいました。
では異世界宿、お世話になっちゃいましょう。
……はっ、もしかして今日からがほんとの異世界ライフの始まり!
なのでは?
では?
以降飼いスライム化への道!
なんてw