スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

37 / 102
冒険者見習いスタート!


エリーネさんと座学

 ブレンダの宿で英気を養った翌日、いよいよ冒険者見習い生活の始まりです。

 

 朝も遅い時間、ドリスやオルガと共にギルドへ向かいました。

 

 

「ようエリーネ、ミーアを連れてきたぜ。ギルマスに連絡頼まぁ」

 

 オルガの雑な挨拶はともかく、昨日の小会議室に案内され、ブレンダさんが持たせてくれたおやつを食べながら待っていたらギルドマスターが現れました。

 

「待たせたな。今日からミーアには正式な冒険者として登録するための見習い期間を過ごしてもらうことになる。だがギルドも色々忙しい。ここまで小さな見習いも前例がない。そこでお前たち二人にもぜひともその見習い育成に協力をお願いしたいと考えている」

 

 マスターさんがドリスとオルガにそう語りかけます。

 

 オルガから前もって聞かされてはいたものの、ドリスはちょっと自信なさげです。

 でも心配は無用! 相手は私です。何を話しても知識になるわけで、不安になるだけその気持ちがもったいないと思います。

 

「基本毎日来てもらうが、おおまかには午前に座学、午後からは実技や実際の依頼も視野に入れて進める。あくまで予定だから、都度調整はしていくつもりだ」

 

 正直すっごく面倒くさい気分でいっぱいです。

 何もかも投げ捨ててすぐ逃げたい。

 

 でも、これからのことを考えれば冒険者登録だけはしておいた方が何かと都合いいと思うし……。

 仕方ないので見習いが外れ、正式に登録できるまでは頑張ってみようと思います。

 

「あ、あの……」

 

「なんだ、ミーアからとは珍しいな。疑問点は早めに解消しておけ」

 

「いつまでみならい? どうなればせいしき?」

 

 期間や条件の確認は大事。

 どうなれば達成なのかわからないと頑張りどころもわからないです。

 

「うむ、そうだったな。期間は特に設けてはいない、条件達成すればその時点で見習い期間は終了だ。逆に言えば条件を達成できない限り見習いの立場は続くだろう。条件については座学の時に説明があるだろうから待て」

 

 勿体ぶりますね。まぁいいですけど……。

 

 

 ――そんな感じで、いくらか疑問点とか気を付けなきゃいけないこととか確認しつつも、私のレイナールでの冒険者生活(仮)はスタートしたのでした。

 

 

 

***

 

 

「ミーアさんはまず本当の基礎のところから始めますね」

 

 ギルマスやオルガたちとさよならし、エリーネさん講師で座学が始まりました。

 

 有能なんですね、エリーネさん。

 けれど、いくら美人で有能なエリーネさんの話でも面倒なものは面倒です。

 

「――冒険者や、各職業ギルドのいずれかに所属することはヴィースハウン領の諸侯統治下の町で暮らす者の義務です。各ギルドは領主様以下、諸侯よりその任を(うけたまわ)っていますから、代表たるギルドマスターはそれ相応の地位と権力を持っていると思ってください」

 

 難しい言葉が連なって出てきて理解するのが大変です。

 スライム脳がんばれ~。

 

「ギルドへの登録は基本十二歳からとなります。それまでは親や、親族、それに代わる保護者の管理下に入ることで存在を認められていますが、人としてというより所有物に近い扱いでしかないと認識してください」

 

 うっわ、人権って言葉はこの世界にはなさそうです。

 怖い怖い。

 

「孤児となったものは孤児院に入り、その管理下においてのみ存在が許されます。()()()()()()()()()()()()ですが、未登録者はどこの町や村にも入れませんし、そもそも便宜上は存在しないものですから生きていくことはさぞや大変なことになるかと思います」

 

 まぁそうは言うけど、あってはならないことって実際すっごく多そうですね。

 前世地球でだってそんな人ってたくさんいたと思うし、ましてやこの世界です。いやぁ、私もその一員だったわけだし……、どこでも一緒、世知辛い世の中です。

 

 私としては別にどっちでも問題なく生きていけるのですけれど。

 さっき登録できるまでは頑張ろうと決めたばかりです。

 

 はぁ、面倒くさいなぁ……。

 

 

***

 

 

「魔道具はミーアさんも使ったことがあると思いますが、そこに使われている魔石について説明をします」

 

 小休憩を挟んで座学再開です。

 魔法がらみですか? これは真面目に聞きたいと思います!

 

「魔石は冒険者の仕事の中では重要な意味を持つ(アイテム)となります。ミーアさんは魔石がどうやって取れるかご存じですか?」

 

 ふむふむ、ラノベ定番だと魔物を倒せば体の中にある感じでした。ここで言えば魔獣ですか。はて……、そんなのあったかな? 魔力受容体(マナレセプタ)はあるけど……石は無かった気が。うーん、すぐ吸収しちゃってるし覚えがないです。

 

「わからない……」

 

 無難にそう答えました。

 エリーネさんは私のその返事に柔らかな笑顔を浮かべつつ頷くと、話を続けます。

 

「魔獣……、いえ、魔力を持つ生き物には体内に魔器官と呼ばれている臓器が存在します。魔石はその中から取り出されるもので、石と呼ばれていますが厳密に言えば鉱石ではありません」

 

 言葉と共に、手元に持っていた小さな品物をテーブルの上に置いてくれました。

 エリーネさんを伺い見れば頷いてくれたので、手に取って目の前で観察してみます。

 

 ほとんど無色に近い、中心部に淡く紫が残った、一見多面体の水晶のように見える石。

 

 昨日見た魔力測定の魔道具にもいっぱい()まってました。あれは相当大きなものでしたけど、目の前のはかわいらしいです。

 

「それが魔石です。後ろ(つの)ウサギのもので、当ギルドでは一番多く取れる大きさとなります。魔石は魔獣の種類や保有魔力により品質や大きさに差が出ますが、一番の要因は魔器官の大きさで、大きなものほど魔石も大きく品質が高いものが多いですね」

 

 情報量多い!

 

 魔器官って、私が魔力受容体(マナレセプタ)って名前つけたやつだよね。く~、ひねりのない名前だけど……、悔しいけどそちらのが単純で呼びやすいです……。

 

「魔獣が死ぬと魔力の流れは当然止まり、魔器官から出て行くはずだった魔力はそこで魔力溜まりとなります。ある程度放置しておくと魔力溜まりは凝固し、最終的には結晶化して魔石となります。ゆえに魔器官が大きいほど大きな魔石が取れやすいということに繋がるわけです。もちろん個体差もありますし、品質的なこともあります。傾向としてそうだとご理解くださいね」

 

 私はうんうん頷くしかない。

 

 でも今まで魔石を見たことがない理由はわかりました。

 私、倒したらさっさと吸収してましたからね。魔石出来る時間、全くなかった!

 

 くっしょ~~~!

 

 知ってたら今頃『魔石長者』になれてたんじゃないでしょうか?

 幾らになるのか知らないですけど。

 

「魔石は魔道具を作るうえで必須のものであり、需要がとても高い品です。ギルドへの依頼も採集系に次ぐ頻度(ひんど)で依頼が頻繁(ひんぱん)に入ります。常設で依頼を出しているところも多いです。この辺りの依頼は追々ミーアさんも受けるようになるかと思いますよ」

 

 ほーほーギルドへの依頼!

 

 やっぱ掲示板とかあって、依頼がいっぱい貼り付けてあって、冒険者がたかってて、気に入ったやつをべりって剥いだりなんかしてですねっ、「これ受けるわっ」とか受付嬢に言っちゃたり!

 

 やばい、さっきから色々ありすぎておじさん興奮しちゃうわっ!

 

 ワクワクが過ぎて、体中に魔力が巡っているような気がします。思わず手に持ってた魔石もギューッと握り込んだりしちゃいます。

 

 

「ミーアさん、どうしたの? 気のせいかしら、興奮してるように見えるのだけど……。 ああっ! それ、空魔石なんです。あまり握りしめては……」

 

 

 エリーネさんの言葉を聞くのとそれが起こったのはほぼ同時。

 そう、時すでに遅しでした。

 





先の展開ばればれ?(笑)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。