スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
あの食虫植物? に食べられかけてから早十日がすぎ。
はい、スライム娘はいまだに全裸。相も変わらずまっぱだか。当然靴すら履いておりません。羞恥心? そんなものはスライムにはありませんから。元日本人? いや、いつの話です? それ。
そもそもここ、人間いません! 見られて困ることはない!
あしからず。
なーんて強がって言ってはみたものの。そもそも服がないんですよね。着たくとも!
まぁ服のことは置いておくとして。
人はいったいどこにいるのでしょうね? 私のこの体は一体どこから連れてこられたのやら? 別に人に是が非でも会いたい、と言うわけでもないのですが、せっかく
そんなことを考えながら、小さい女の子のリーチのない足で
さてどうしたものか。
一時の浮かれ浮かれ気分はとうに醒め、何をすればいいのかなんて皆目見当もつかない。元日本人、ただの電化製品設計者の生活力の無さをなめんなと言いたい。正直道具一つすらない私にやれることなんてこれっぽっちもない。
まぁぶっちゃけ、生きるだけなら体からスライム体をみょ~んと出し、樹海にいるたくさんの生き物たちから栄養を分けてもらえばいいだけだ。どこからでも出せるから超便利。がばっと包んでちゅるりといただき。簡単な作業! なんでも頂いちゃうよ。ああでも、気持ち悪いのは除く。
む、スライムは気持ち悪くなんかないんだからね!
人間らしくないね。
スライム癖抜けないね。
でも無意識に栄養とか言って頂いているけど、それって一体何なのだろうね? スライムとして当然のように行っていた行為だけど……、人の体で動くようになったら何気に疑問に思えてきた。
いつか普通にごはんも食べてみたい……、
などと考えながらぶらぶらしていた矢先、体にがつんと衝撃を受け、そのまま横になったかと思えば風になった私。
ああ、またですね。
すごい勢いで樹海の中を滑空するかのように移動させられてる私。幼女、見た目推定八歳くらい。紫色した長い髪を今まさに、ばっさばっさ振り乱されてる女の子。ああ、あたま振られてがくがくするわ~。
樹海を歩くようになってからときたま起きる出来事。
はい、襲われてます、
……いい加減、どうにかしたいね。
大きな獣。
そいつに
こいつらってやっぱ哺乳類、なんでしょうかね。
湖ではまったく見かけなかった種類だけど、樹海には大小かかわらず、やたらいる。
今私をさらってくれたのは大きな虎のような姿をしています。しかもこいつは額から長く立派な角を生やし、鋭い歯が並ぶ大きな口からもまた長い牙が覗いてる、地球にいた虎より一回り、いや二回りくらい大きな、やばそうな銀色虎。よし、ラージホーンシルバータイガーと名付けよう!
ま、名前はともかく何とかせねば食べられてしまう。
「は~な~せ~」
叫んでみた。
気にせず走ってる虎。いやラージホーンシルバータイガー。
無視された。
仕方ない。
さしもの虎も驚いたのか、走っていた足をとめ、顔にへばりついた異物を前足で必死に
「ふぐぇ」
胸から落ちて変な声が出る。くっそ虎。もっと優しく離せー!
勢いよく放り出されたため、虎の中に浸透させたスライム体と切り離されてしまった。こんなことはスライムとして生まれ変わって長いけど、なにげに初めて!
ここは遠隔操作でひとつ!
むむむぅ……。
――無理でしたっ。
ここまで完全に離されてしまってはどうあがいても連携が取れない。いいとこまでいったのに。
また減った分頑張って増殖しなきゃです。
相変わらず顔をぺしぺしやってる、今となってはお間抜けな虎に向かう。切り離されたスライム体はそのうち死滅しちゃうだろうけどまだ頑張ってくれている。君たちの死は無駄にしないよ!
「とりゃ!」
ガウガウ暴れてて近寄りづらいけど、スライム浸透強化の動体視力と身体能力で無難に近づいて、ガタイに似合わず意外と可愛らしい耳の後ろ辺りにがつんと一撃を入れる。相手が大きいので飛び上がっての打撃。普通なら力があまり入らない態勢。
でもしっかりと脳に衝撃を与えられたようで、びくりとその巨体を震わせたかと思うと、そのまま力が抜けるように地に伏しました。
落ち着いて見れば銀色の体がとても美しい。ちょっと罪悪感。
いいえ、ここは気にしてはだめです。
「――うむうむ。今までで一番のすばらしい獲物。これはいっぱい栄養ももらえそうです。こんな立派な角が生えてるのは初めてだし。これが馬ならユニコーンだね」
脇から下腹部のあたりまで。
そういうとこだよ私。まだまだ人としてだめだね。にわか人間だ。
栄養を吸収するだけでなくお肉とか普通に食べてみたい気もする。それこそ人として!
けど、火も、道具も、何にもないし……。生で? いや、それはちょっと……。
ああっ、文明的生活がしたい!(願望)
TS風味が乏しいね……