スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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色々ごちゃごちゃ


オルガの苦悩

 強引に休憩にもっていったけど、正直オレにはもうどうしたらいいのかわかんねぇってのが本音だ。ミーアは不貞腐れながらも用意してあったおやつを嬉しそうに食ってやがる。

 

 そこだけ見てると、どう見ても年齢以下に見える幼子で、可愛いらしいもんなんだけどよ。

 正体はあれだからなぁ――。

 

 

 ボリスとエリーネは実はオレらより先にここに着いてて、ミーアの様子を裏からずっと見てやがったんだぜ。

 

 依頼を受けた時、なんでまたそんな面倒くせぇことすんだよって聞いてみたけど、「余計なプレッシャーを与えず、ありのままの魔法用法を見たい」とか訳の分かんねぇこと言って、段取りは全て押し付けられちまった訳だ。

 

 

 最初に使った二つの魔法。

 

 ミーアが使ったのは風魔法だと思うけど、魔法の形態を決める詠唱は、俺の知ってるのと全然違うどころか、詠唱にすらなってねぇ気がするし、発動のトリガー句(魔法名)は一応言ってるみたいだが、合ってるのかどうか良くわかんねぇ。

 

 まぁ舌ったらずで、しかも片言だから仕方ねえのかもしれねぇが……。

 

 一つ目の魔法は、パンパンって具合に丸太にちいせぇ穴が二つ開いただけで、オレ的にはすっげぇ地味に思ったけど、ボリスとエリーネは驚いた顔をしてたな。

 シャープエッジって魔法は本来あんな小さな穴が開く魔法じゃなく、圧した風を瞬間的に放って、その一瞬にかかる圧で対象物を切り裂くなり、えぐり抜いたりする魔法らしい。ミーアがやったみたいに、小さくて丸い穴をしかも連続で隣り合って空けるなんてことは、とんでもない高い圧と精度が要求されるらしく、それだけで相当な魔力が必要みたいだ。

 

 

 二つ目の魔法はかなりえぐかったな。

 対人戦であれを使われたらオレはさっさと逃げを打つね。防ぎようがねぇ。一つ目のも喰らえばヤバいだろうけど、まっすぐ向かってくるからまだ対処のしようがあるってもんだ。

 

 けど二つ目のはヤバい。

 

 刺突数十回を一瞬で受けるようなもんだ。しかもすべて貫通ダメージとくる。オレは身体穴だらけのグズグズになって死にたくはねぇな。

 しかもそれが広範囲に来るんだからたまったもんじゃねぇ。丸太組み両隣もダメ喰らってたから少なくとも十メートル幅くらいの射角があるってことで、しかも届いた距離だって四十メートルだ。一つ目の二十メートルでも大したものなんだが、威力は恐ろしいわ、射程もあるわ、なんてしゃれになんねぇだろ。

 ウインドブラストって魔法は、シャープエッジの効果をより広い範囲に与える魔法ではあるけど、その分一つ一つの威力は落ちるものらしい。まぁそれでも切り裂く風の束が襲ってくるのはたまったもんじゃないがな。

 ミーアの魔法は二つ目も全然違う物ってこったな。魔力だってあれだけの威力を出すためにどれだけ必要になるのか……、気が遠くなりそうだってボリスが嘆いてたな。

 

 くくっ、おっさん、心労で禿げるんじゃねぇだろうな?

 

 

 ――ま、そんなことから休憩させろって話になって、ミーアに声をかけようとしたんだが……、あいつとっとと次の魔法を撃とうとしてやがるんだよ。

 

「ちょ、ちょっと、ちょっと待てやミーア!」

 

 オレは慌てて、ちみっこいミーアをかまわねぇから後ろから羽交い絞めにして、無理矢理やめさせた。

 

「な、なに? おるが」

 

「何ってお前、そんなにぶっ続けでデカい魔力使って大丈夫なのかよ?」

 

 ギルマスたちの受け売りで聞いてはみたものの、オレも良く分かってねぇもんだからあいつに隙を見せちまった。

 

「まだじゅんび運動! 今からがほんばん、だよ? はい、お約束、火のたま、ふぁいあーぼーる!」

 

 なんだよそりゃ、半分しゃべってるじゃねぇか。どっから詠唱なんだよ? ファイア―ボール? なんだよそれ!

 

 何て具合にオレが混乱してる間に、ミーアが膝を抱えたら収まっちまうくらいの火の玉が空中に出来やがった。けど不思議と熱くねぇんだよな、どうなってんだ?

 と思ったのも束の間、驚いたことに一番奥の的、二百メートルも先の丸太組みに向かってぶっ飛んでいきやがった。

 

 丸太組みは近くで見りゃオレと同じくらいのサイズがある。そりゃそうだ、遠くまで置くんだ、小さすぎたら目視もままならねぇ。

 遠くにあるはずの、その丸太組みが火の玉を喰らった途端、一瞬で真っ赤に燃え上がったかと思えば、形を保ったまま真っ白な(オブジェ)になった。なんだそりゃ。

 で、中はまだ熱いままなのかどうなのか、丸太組みは内側から弾けるように吹っ飛んで、灰から変わった真っ赤な火の粉が雪のように降りしきるなんて馬鹿な光景を見る羽目になっちまった。

 

 しばらく呆然としちまったね。

 ボリスもエリーネも同じだろうさ。

 

「こんのお調子もんが! 一旦休憩だ、休憩。今度撃ちやがったら、おしりペンペンするからな、覚悟しとけや!」

 

 オレはふざけてミーアをどやしつけたものの、正直こいつが恐ろしいものに見えてきやがる。

 

 

 …………。

 

 

 ふざけんじゃねぇ!

 

 

 なにビビッてやがる。

 

 

 後頭部に頭突きかましてやったからな、涙目になってこっちを(にら)んで来るミーアはなんとも可愛らしくて無邪気なもんだ。

 

 

 ボリスが何を考えてるのかは知らねぇけどな、お貴族様に言われてはいそうですかって簡単に従うほど、オレは出来は良くねぇんだ。

 ミーアは今もそうだが周りのことに無頓着で、あまり警戒することもせずに言われたこと、やれることを素直にやっちまいやがる。

 悪いことじゃあねぇけど、この先お貴族様がらみになってきた時、それが悪い方に転ばなきゃいいんだけどな……。

 

 ま、どう転ぼうが乗りかかった船だ。こんなチビをほっぽり出して、はいさようならってことだけはしたくねぇしよ。

 とりあえずはそのうち来るだろうお貴族様が、ミーアにとって良い奴らなことをフェリアナ様にでも祈っとくことにするさ。

 

 

 ――そんな訳だから休憩に引っ張り込んだミーアにエサを与えて機嫌取って、そしてこの後もせいぜい好きにやらせてやるとするさ。

 

 どうせギルマスたちに知られるなら、オレだってきっちり把握しときてえ。

 

 あーあ、このオレがこんなにも頭を悩ませてるってえのに、こいつはきっとなーんにも考えてねぇんだろなぁ……。

 

 

 

 うらやましいもんだぜ、ほんと。

 





脳筋なだけじゃない模様……
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