スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
日々平凡
平凡が一番です
「よぅ、ミーア。今日もきゃわいいなぁ。おじさんの子供になるかい?」
「ばっかじゃね? てめぇみたいなむさいうんこ野郎んとこに、ミーアちゃんを行かせるなんざ、ここにいる全員で却下だぜ!」
「ちょっとおじさんたち、ミーアちゃんが困ってるでしょ! 毎日毎日同じこと繰り返してさぁ。依頼受けたんならさっさとお仕事行ってきたらどーなの?」
「おいおいドリス、おじさんはひどいな。僕はまだ二十七さ。そこいらの三十越えのロートルじじいたちと一緒にしないでほしい。ミーア嬢、ぜひお兄さんと呼んでくれ!」
「かぁ、なーにが
「ミーアちゃん、これどうする?」
どうするって言われたってですね、どうしろと?
この騒ぎが何かといえば、依頼を受けた冒険者共が仕事に行く前の軽い一服って感じで、酒場でだべったりしてるわけで、そいつらが私にちょっかいかけに来るのです。
最初のうちはオルガとかエリーネさんが私の周りに張り付いてたので遠巻きに見られてるだけだったんだけど、
「おにいちゃんたち、いらいがんばって、ね! みーあも、がんばる~」
あ゛あ゛~、喉の奥がムズムズするぅ~~~。かゆいかゆい!
何言わせるんですかね、このおっさんたちは。
私だっておっさんだぞ、このやらう!
「おいおい聞いたか! 俺のことおにいちゃんだってよ~!」
「誰がお前のことだって言ったよ? そんなのオレに決まってんだろが」
「なんだと、ごるぁ!」
ほんと馬鹿ばっかりです。
「はいはい、ミーアちゃん。これ以上ここにいると馬鹿が移るからさっさと部屋に行こうね~」
「うん」
いつもの悪ふざけを楽しんでる冒険者たちは放っておいて、エリーネさんから先生役を引き継いだドリスといつもの個室へと向かいます。
修練場で魔法を見せた翌日以降、ギルドマスターは特に私に何を言ってくることもなく、普通に見習い生活を送ってる感じです。
魔力測定に虹色魔石のことと言い、色々やらかしたって認識はさすがの私にもあるわけで、こうも静かだと逆に不気味っていうか……、ねぇ?
とは言っても私が気にしても仕方ないことでもあるし。
今はこの平和な日々を存分に過ごしていきたいと思います。
――ドリスからはまず冒険者ギルドの仕組みとか、教えてもらいました。
まぁほんとに簡単にさわりだけですけれども。
依頼を出す人がいて、冒険者ギルドが受ける。
それを事務方さんたちが内容に応じて、種別、難易度分けをする。
処理が済んだものから依頼受付発注係に回す。受付嬢さんたちは受理と冒険者への依頼発注の両方の面倒を見てるんですね。
採取なんかの軽依頼や難易度の低い常設の依頼は、
掲示板からぺりって奴ですよ!
危険度の低い採取系依頼はまさに王道ですね。
まぁ絶対安全っていう訳でも無いでしょうけどね。
それ以外はエリーネさんたち受付嬢が、依頼を受けに来た冒険者さんの等級、位階に合わせて、個別に振り分けて行く……って感じです。
うん、冒険者ギルド、けっこう大変そうです。
これで複雑じゃないって……、十分面倒くさいですね。
「今日は冒険者の等級とかの話をするね~」
そう言って説明してくれたのは、ラノベとかだとSからA・B・C級って感じでランクがある、あれの話でした。
「大きなくくりとしてまず
へー、そですか。
ギルマスはどうでもいいです。
「むぅ、ギルマスに全然興味なしだね……。こほん! でね、修練級っていうのは最初にまずなる等級だね。ミーアちゃんはそこにも至ってない見習いさんだけど、まあ普通は修練級から始まるんだよ」
まぁ身元保証なしの怪しい奴で、登録自体が目的だもんね。見習い取れて冒険者になれればそれでいいわけだし……。
「そこから地道に依頼とか受けて実績を重ねて、もちろん自分自身の技能も磨きながら、がんばって等級上げていくんだよ。ちなみに昇級には試験もあるんだからね~」
大変さを思い出したのか、ドリスの表情もちょっと険しくなります。
私も努力や試験、面倒くさいのはきらいです。
まじ、登録さえ出来れば等級とか上げなくていいです……。
「どりすは、どう……なの?」
「おお、それ聞いちゃう?」
ドリスはちょっと照れながらも教えてくれました。ついでにオルガのことまで。
「私は魔力もたいしたことないし、身体能力に特段秀でてるってわけでもないけど、目立たないなりにそれを生かせるよう努力してるよ。
私は何事も適当で行きたいですが、がんばる人のことは素直に応援したいと思います。
「それでね、等級はさらに分けられてて、それが
ふむふむ、スライム脳にインプットしました。
ということは通しで考えると一番下、修練級からスタートして特級になるためには、七段階上げる必要があるわけですか。
ほうほう、上級三位だというオルガもがさつな脳筋なりに相当頑張ったんですね、エライエライ。
「あ、それとこの制度はどのギルドでも同じだし、どこの領地に行っても通じる共通の制度だからね。魔法士や剣士、槍術士や弓士、他の職業だって基本は同じだからわかりやすいよ。けど実際はそこに魔力とか、職業固有の技術とかも絡んでくるから、等級や位階がだけですべての実力を計れるってわけじゃないけどね」
そう言って、私のことをじーっと見てきます。
むむ、何か含みのある顔つきです。
でもミーア子供だからわかんな~い、しーらない。
「ふふっ、まぁ等級の話はこんなところだね。あとは実際に経験してみるのが一番だしね!」
そうそう、話聞いてても眠くなるだけ。
必要になった時点で聞きますからね、大丈夫です、きっと。
「じゃ、お勉強ばっかりじゃミーアちゃんが逃げ出しちゃうといけないから、この後は市場に出てお買い物とかおいしいもの食べ歩きとかしよっか?」
ま?
こいつはおじさん一本とられちゃったね。
「おおっ、ミーアちゃんの表情がゆるんでる! 嬉しいみたいだね? ほんとにさぁ、もっと感情だしていいんだからね」
ぐぬぬ、そうは言ってもなかなか表情筋は手ごわいのである。
だから――。
私は感謝の気持ちを思いっきりこめて、ドリスにぎゅーっと抱き着いて、薄い胸に顔をぐいぐい
なにげに市場とか買い物は初めてなのでめちゃ楽しみ!
わーい市場だ~