スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

42 / 102

誤字報告いただける方々、いつもありがとうございます。

とても助かります!


市場へいこう!

 冒険者ギルドを出た私は背中に一応背負い袋をしょって、ドリスに手を引かれながら大通りを意気揚々と歩いています。

 

 ずっとお預けをくらってた市場にようやく行けるとなれば私のテンションは爆上がりです。

 市場の場所は最初、町に入った時に把握済ですからね、ドリスの前に出る勢いでずんずん先へ進んじゃいますよ!

 

「おおぉ、ミーアちゃんが自分から進んで行動するなんて珍しいねぇ。こんなに喜んでくれるのならもっと早くに行けばよかったね~」

 

「うん!」

 

 ここは素直にそう答える。

 まだ正式な登録が済んでない、見習い冒険者である私ですが、それが理由での町歩きは特に制限されていません。そう制限されてないのです。だから好きな時に好きなように町を歩き回れる、はずなのですが!

 

 オルガとかドリスとか、そして止めにギルドマスターまでもが私に勝手に出歩くなと釘をさしてくるのです!

 

 ひどくない?

 

 まぁ年齢の割に幼く見えるというのもあるけれど、なぜ一人で出歩くことを許してもらえないのでしょう?

 

 魔獣が闊歩(かっぽ)する樹海を一人で生き抜いてきた私が、たかが小さな町の中ですら一人で歩くことが出来ないこの現実。

 

 とは言え、私の能力をもってすれば出ようと思えばどうとでもなる訳ですが……、皆に世話になっている手前、あまり勝手をやるのもどうかと思ってしまうのが、元日本人のサラリーマンである私の悲しい(さが)

 

 だからこうして出歩けるとなれば、連れて行ってくれる人のご機嫌を損なう訳にはいきません。

 しっかり媚びを売っておこうと思います!

 

 ギルド前の通りは歩道まである石畳のしっかりとした道で、二頭立ての馬車がすれ違えるほどの幅があります。市場のある町の中心方面へと歩みを進めれば更に道幅は広がり、道の中央に緑地帯まである完全な二車線の通りへと変わっていきます。緑地帯は幅がかなり取られていてベンチとか所々にあって小公園めいていたり、切れ目とかで馬車がUターン出来たりとか、中々考えられた造りになってます。

 

「この先に商業ギルドがあるんだよ。市場はギルドのあるところで右だね」

 

「うん、わかってる、はやくいこ」

 

 ちょうどT字路の要のところにギルドが居を構えてる感じです。見ようによっては商業ギルドからまっすぐ前に伸びた道の先に市場があるわけで、ギルドの力の一端を見せつけられてる気もします。

 

 まぁそんなことはともかく、通りを右に曲がれば、そこにも同じ道幅で通りは続いていて、道沿いには多くの店が軒を連ねています。店の入り口付近には意匠をこらした看板が壁から道に突き出るように吊るされていて、それを見ればどんな店かすぐわかります。

 

 ちなみに職人ギルドは市場のある大広場の向こう側、ちょうど商業ギルドと対となる場所に居を構えてるそうです。

 

「ミーアちゃん、目が輝いてきたよ。後でお店にも寄ろうね。服とかいっぱい買わなきゃ!」

 

「あ、う、うん~」

 

 むぅ、確かに服は未だアンヌにもらったワンピースを着まわしてるだけ。なによりズボンが欲しい。別にパンツ見えてもかぼちゃだし、そもそも幼女に色っぽさは皆無なので気にはならないけど、生足さらしてるのは冒険者としてはどうかと思います。

 ファンタジーあるあるの女性冒険者のビキニアーマーとかはまだ見たことないです。オルガもせっかくのダイナマイトボディはしっかり布と防具で覆われてますしね。

 

 ちょっと残念です。

 

「おお~、今日も屋台いっぱい出てる、う~ん、いい匂いが漂ってきたよっ」

 

 ドリスもけっこう嬉しそうです。

 きっと自分も来たかったに違いないのです!

 

 

「うまいようまいよー、斑大猪の串焼きだー」

 

「煮込み肉詰めパンのチーズ乗せはどうだい、一度食ったら病みつきまちがいなしだ!」

 

 屋台の呼び込みが元気いっぱいで目移りして困ります。

 

 市場に出てる屋台は荷馬車ベースのものがほとんどで、屋根付きの荷台の部分がそのまま店舗の役目を果たしてる感じです。屋根から日よけ(オーニング)を伸ばし、その下に簡単なテーブルセットとか置いて座って食べれるようにしてるところも多くあります。

 

 そんな屋台が、市場の拠点となっている大広場の噴水を中心として、輪を描くように連なって配置されています。しかもその輪が二重、三重と重なっているのですから、その数も相当なものです。でも噴水はどういう仕組みで動いてるんでしょうね。大がかりな魔道具なのかもしれません。

 

 

「んまー」

 

「あーあ、ミーアちゃん、お口が油だらけだよ」

 

 ただいま両手に串焼き持ってパクつき中。あっさり塩味と、謎の緑色ソースが掛かったやつです。緑色のはピクルスみたいなのをすり潰したやつっぽくて、酸味が強くお肉にとても合ってます。

 

 ああ、けれどこういう時はいつも思います。

 やっぱ日本のタレが懐かしい……って。

 

 ドリスに口元を拭われながらもそんなことを思う私なのです。

 

 肉詰めパンも煮込み肉とチーズのハーモニーでとてもおいしそうですが、かなりのボリュームで、食べたらミーアの小さな胃ではそれだけでお腹いっぱいになってしまいそうです。

 

 おいしく頂ける屋台の食べ物はだいたい銅貨一枚から三枚程度の物が多く、お財布にも優しい、まさに庶民の食べ物だと思います。

 

 屋台はなにも食べ物だけではありません。

 生活に必要な小道具、アクセサリーにカバン、帽子などの小物類、いかにも怪しい武器や防具に見たこともないグッズの数々。

 

 この世界に生まれてけっこう経ちますけれど、こんなにワクワクしたのは魔法の存在を知って以来かもしれません!

 

 今日は無理そうですが、ぜひそちらも見て回ってみたいものです。

 

 

 

「ほれ、かわいいお嬢ちゃん、一本サービスだ、いっぱい食べて早く大きくなんな!」

 

 マスタードっぽいのがたっぷりついた特大フランクフルト風腸詰めを、ほっぺを目いっぱい膨らませつつ食べてたら、屋台のおっさんがにかっとした笑いと共に差し出してきました。

 

 うげ、おじさんお腹いっぱい、これ以上は無理。

 出ちゃうよ。あれが。

 けどその厚意を無下にすることなぞ出来るものではない!

 

「おじちゃん、それおねえちゃんにあげていい? いつもおせわになってる、から」

 

 うへへ、ドリスに押し付けてあげます。

 

「くぅ~、泣けるね。小せぇのにお姉ちゃん思いのいい子じゃねぇか! こうなったらもう一本サービスだ。二人で仲良く食べな!」

 

 

 げげ、なんやてー!

 

 

 ちょっとおかしなこともありましたが、串焼き、腸詰め、骨付き肉と、定番の……日本で言えばB級グルメを()()()()()()食し、オレンジに似た味の搾りたての濃厚ジュースをごくごく飲んだところでドリスの目がきらりと光りました。

 

「よーし、ではいよいよ今から古着屋と防具屋さんに行くよ~。ミーアちゃんの着替えをいっぱい揃えなきゃだし、それに冒険者として活動するにも相応の服装を用意しないといけないからね!」

 

「あ、あう、その、おてやわらかに……」

 

 言い切る前に手をぐいと引かれ、私は抵抗することもかなわず成すがままに付いていくしかないのでありました。

 

 古着屋さんでは店主さんとドリス、そして私、三つ巴のお着換え攻防となり、私のおじさん力は全ては削りとられ、小さな女の子力はやたら鍛えられてしまいました……。

 

 おじさん力のHPはもうゼロよ!

 

 

 あと防具はさすがに小さな子供サイズは無かったので特注でオーダー入れてもらいました。

 ドリスもしていた胸の下からおへその下あたりまでを覆う、コルセットタイプの奴です。

 まぁ私もドリスも胸はないので、おっぱいを支える役目は全く果たさないのですけれども。

 

 ドリスが血の涙を流しそうなので、口に出して言ったりは決して致しません。

 

 

 

 まぁなんのかんのと一日楽しかったです。

 

 まる。





ちょっと駆け足、まぁ雰囲気だけ……

町の遠景を活動報告のイラスト置き場にあげてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。