スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
うわぁ、文字だらけだ~
「レイナール卿、久しいな」
「ご無沙汰しております、ソールバルグ卿。相変わらず無茶をされているようで、母君がお
「ふっ、パウル、会って早々手厳しいな。最近自領に全然戻っていないからな、小言を聞かされることもない」
俺はレイナールのギルドマスターからの
「なるほど……。自領には戻らない代わりに、こんな片田舎の町には、なにがしかの問題を伴って現れて頂けるわけですね。大変ありがたいことです」
「まぁそう皮肉を言うな。それで……、もうギルドマスターは来ているのか? であるならば早速話が聞きたいのだが」
俺の言葉に頷きで返したパウルがハンドベルを鳴らせば、執事が体格の良い壮年の男を伴って現れた。既にパウルとの挨拶は済んでいるのだろうその男は、俺の方に向かい一礼したあと、言葉を続けた。
「ソールバルグ卿にはご機嫌麗しく、私はレイナールの冒険者ギルドにおいてギルドマスターを拝命しておりますボリスと申します。何分慣れない……」
「ああ、挨拶は良い。敬意は十分に受け取った。俺は領境警備隊の隊長でもあり、部下には平民も多い。そう固くならずとも良い。普段の口調での会話も許すから話を始めよ」
堅苦しいままでは話がなかなか進まんからな。俺は早く用件を済ませたい。
パウルに勧められ席に付いたところで会談は始まった。
「まずは大まかな経緯をご説明いたします。事の発端は商人の隊商が野盗の襲撃を受けたことです。残念ながら護衛の甲斐なく多数の被害を出し、身柄を
「うん、報告は受けているね。複数の野盗が徒党を組んだ、相当な規模の襲撃だったらしいね。それでも隊商の本体自体は守れたというし、多少の被害は仕方ないだろう。……ああ、すまんね、続けて」
パウルの言う通り、野盗の襲撃は頭の痛い問題だ。毎日どこかしらで被害の報告が上がっている。隊商本体を守れたならそれはもう
魔獣という恐るべき存在があるのに人同士で争うなど、人間とはなんとも愚かなものだ……。
「実は襲撃から三日ほど経過したころ、行方不明となっていた冒険者より
「ほう、それは素晴らしいね。冒険者たちもただでは済まさなかったわけだね」
ギルドマスターが俺を見て来る。まぁ、この辺の話は彼からの
「はい、その野盗は頭目を含め、十七名が全滅。奪われた金品も一部は既に失われていましたが、逆にため込んであった財も多く、当ギルドとしては多少なりとも救われた結果となりました」
「ふーん、なるほど。けれどそれで済むような話ではないんだね? わざわざスヴェン様が来館され、私を交えて話をするというんだからね。いや、どんな話が飛び出してくるのか楽しみだね」
パウルめ、相変わらず口がよく回る。
「討伐を果たしました冒険者は簡単な事後処理をした後、ギルドに戻ってまいりました。その際に拉致されていた女子供も連れ帰ってきたのですが、そこで一つ問題がありまして……」
「なんと、子供とはね。野盗どもは本当に見境ないようだね」
パウルが自らの執務机から身を乗り出し、興味を示している。
「女は三人居ましてレイナールの商業ギルド登録でしたが、子供の方が未登録児だったのです。そのままでは町に入ることが出来ないため、現場判断で通行保証金を払うことで通行許可を得て、町に入る次第となりました」
「子供が通行保証金を払えるとはすごいね。確か金貨十枚が必要なのではなかったかな? ふふ、なんとも興味深い子供だね……、続けて?」
パウルめそろそろ、どこが話の要点か掴んだか。私としてもここからが確認しておきたいところだ。
「あらましはこれくらいにして、そろそろ主題をはっきりいたします。ご報告差し上げたいのはその子供についてです。本人曰く、名前はミーア。年齢は推定十歳の女児です。外見はさらに幼く髪色も珍しいため、お目にかけることがあるならば驚かれることでしょう。出自についてはまだ未確定ですが、今日この場で判明するかもしれません」
ギルドマスターが強い視線でこちらを見て来るので頷いて返す。こちらとしてもそれこそ望むところ。アンヌへ良い話が出来ると期待している。それ以外については頭が痛くなりそうではあるが……。
「その女児、ミーアを冒険者ギルドのルールに
ギルドマスターがそこで間をとり、俺とパウルの方を見据え、一つ大きなため息をついた後に覚悟を決めたように話し出した。
「まず魔力測定を行いました。魔力紋の登録と属性確認、合わせて魔器官の発達深度を確認するためです。結果は驚くべきものでした……」
「なんだい、もったいぶらずに早くいいたまえ」
「はっ、では……、今から言うこれは事実です。ミーアは
「ま、待ちたまえ、ボリス! それは間違いのない事実なのかい? そのようなこと、あ、あり得るのか?」
「はい、まごうことなき事実です。ギルドの記録でも
さすがのパウルも開いた口が塞がらないといったところか。俺ですら
だが言葉だけでは何とでも言える。
あとは実際にミーアと会い、俺の目でもしかと確認しなければならぬ。
「お二方、本日はもう一つ報告があるのです」
なに?
くく、ボリスめ。俺にまで伏せてある話がまだあるとはな。
「まずは言葉よりもこれを見ていただきたく」
ボリスが腰元から皮袋を取り出し、それをテーブルへと置いた。
拳大ほどの塊がいくつか入っているのかそれなりに膨らんでいるそれにボリスは手を差し入れ、我々に中身を取り出して見せた。
「美しい……、なんと美しい。これは魔石……、魔石なのかい?」
「そうです、魔石です、子爵様。通常、魔石は魔力を込めたものの属性によって色付きますし、最初、魔獣から取り出した際は、その魔獣固有の属性色で染まっているものです。それを鑑みればおのずとこの魔石の正体がわかって頂けるかと存じます」
俺はパウルやボリスのことなど目もくれず、その魔石を手に取ってじっくりと眺めてみた。何色もの色が絡み合い、外からの光を受け幻想的な輝きを見せる、まさに虹色と言うしかない不思議で美しい魔石だ。
「ミーアがこれに魔力を込めたのだな? なんとも常識外のことばかりを仕出かす女児だな、あいつは」
「おや、スヴェン様はやはり、そのミーアという女児をご存じなのですね? ふふ、お人が悪い。しかしこれは驚いたで済ませられる話では到底ありませんね。いかがするのです?」
「まだ本人を前にしていないので確実とは言い切れぬが……、ミーアは以前、領境警備隊で保護したソルヴェ村の生き残りで間違いないだろう。ある事情により、我らの手から離れてしまい、極めて小規模ではあるが今まで捜索を続けていたのだ。今回ボリスからの連絡を受け、急ぎ確認のためここに来ることになったのだが……、別れた時以上に更に問題を増やしてくれたな」
俺はボリスとパウルを交互に見つつ、話を続ける。
「全属性持ちであるうえに、虹色の魔石を創りだす女児か……。とりあえず、まずはミーアに会おう。それにミーアに会いたいとうるさい奴もいるのだ。レイナール子爵、私と、もう一人呼ぶが滞在させてもらいたい。ギルドマスター、ミーアの方、段取りを頼めるか? いつ会うかは追って連絡を入れる」
「私の方はかまいませんよ、準備させましょう。しかし、あのソルヴェ村の生き残りですか。中々面白いことになりそうですね」
ぬかせ。
楽しんでいるかのように見えるパウルに俺は内心で悪態をついた。
顔色が悪いボリスを執事に送り返させたが、俺はこの先のことを思うと頭痛がしそうで、ボリスのことを気の毒とはとても思えぬ。むしろ俺の方が気の毒だろうという思いの方が強くなる。
問題ばかり引き起こす、得体の知れないソルヴェ村の生き残り。
ミーアのやつめ、一体どうしてくれようか。
話が小難しい、今日この頃……
作者も頭がパンクしそうです(笑)