スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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そしてずっと襲われる……


作りました?

 ラージホーンシルバータイガーさんには私お手製、初めての衣服になってもらいました。

 

 艶やかな銀色に黒っぽい縞模様が入った毛並み。なんとも優美で綺麗な毛皮なので、そのまま放置してしまうには惜しく、やっぱいつまでも裸というのもあれなので根性入れて作ってみた!

 

 銀ピカ縞模様の虎毛皮のワンピース?

 

 苦労しました、作るの。

 

 銀色虎さんの中身をスライム体総動員でくり抜き、皮だけにするのに二日。中身の腐敗が進む前に終えたく、時間との闘いでした。残った骨は女の子の体で直接ぽいぽい。

 ドンガラになった毛皮の裏側に、スライム体謹製、謎成分粘液をこれでもかと浴びせかけて変質させた。乾いてカチコチになったりしない、しっとりした触り心地、しかもそこそこ丈夫な虎の毛皮ができました。

 

 スライム粘液万能説。

 

 あとは体が覆えるくらいのシート状にし、それを二つ折り。頭頂からかぶって頭を通す穴を開け、動きやすさ重視でひざ上丈とし、体の横で重ね合わせつつ腰を尻尾皮を活用した帯でギュッと縛れば――、

 

 はい完成!

 制作総日数まる三日! 私苦心の作!

 

 縫う? そんなことできるわけないので。

 

 どこがワンピースか?って。

 

 やかましい。

 

 縫う道具もハサミもないのにどうしろと? 毛皮を切るのは銀虎さんのご立派な牙や、適当に拾ったとがった石とかで、むりくり裂くように切った。そりゃあ無残な切り口さ。それがどうしたというのです。裸より何十倍、何百倍もましでしょう。

 

 ノーパンだけど。

 虎のパンツは難しすぎですのでね。仕方ないね。

 

 頭部や四肢は効率UPのため、止む無く未使用廃却。余分を持ち歩く余裕もなし! 他の獣たちのエサとなりました。タイガー〇スクにするには大きすぎだな!

 

 あとこの銀虎さんにも()()()()、私のこの体にも有ったよくわからないものが存在してました。よくわからないものだけど、気にするのも今更だしその他諸々と一緒に吸収した。湖で遭遇した生き物には、私の知る限りそんなものは無かったと思うので一体どういうものなのか? 興味は尽きません。

 

 ラノベとかのお約束だと、魔力を発生とか蓄える器官とか、よくある話だけど。そんな都合いい話早々あるわけがない、と普通なら思う。けど、私の今のこの状況自体がそもそも――。

 

 ま、足りないお頭(おつむ)で悩んでも、わからないものはわからないのでとりあえず放置。そのうちわかってくることもあるでしょう。

 

 

 

 文明的生活にほんの少しだけ近づいた私は、意気を挙げ樹海探索を続けてます。

 虎に銜えられて穴と血だらけだった体はもう綺麗なものである。傷跡ひとつない。回復力! スライム体浸透の影響がもちろん一番だけど、元々この体の性能自体も良いみたい。やせ細ってたし、何より死んでたんだけどね。

 

 はっ!

 

 もしかしてもしかすると、見方によっては私って、ゾ、ゾンビ? い、いや、この考えは危険だ! 心の奥底にそっ閉じしよう、そうしよう。

 

 なんにせよ、こんな樹海を歩き回ろうというのだから、ケガの直りがよいのは重畳(ちょうじょう)だっ。

 

 しかし、想像以上に道のりは厳しい。厳しすぎる。なにしろ道のりと言葉にするのはた易いけど、そもそもここには道がないのだから。

 

 で、道がないといいつつ、実は獣道という道がある。ガンガン活用させてもらっています!

 

 舌の根がかわかないうちにすまない。

 

 密集する低い木々や藪の中を小さな女の子の体で掻き分け進むことを考えるなら、それでも十分役に立ってくれている。ただ、それが私の目的ときっちり一致しているかというと話は別である!

 

 それをたどると餌場とか水場とか、散々歩き回ることが多いとはいえ、たどり着くことができ助かるわけですが、苦労してたどり着いた先が断崖絶壁だったこともあり、油断ならない。ちなみにカモシカ系の獣道だったっぽい。

 高いところから落ちたらさすがの私も死んじゃう? 死ぬかな? まぁ、スライム体はともかくこの体はダメになるかも……。もったいなすぎる、落ちるのダメ絶対。

 

 思考がすぐ逸れる。これだからぼっちは……。

 

 えーっと、それにです、獣道をたどるとですね、その道の本来の主たちとも遭遇しやすい罠! 意思疎通ができない野生の獣との遭遇戦はそれはもうしんどい。遭遇と言っても一番多いのは小動物だから、そんなのはむこうから逃げてくれるのでいいのだけど。

 

 ダメなのは縄張り意識強い、雑食系の大型哺乳類?

 奴らはだめです!

 

 私がそこに侵入したらほぼと言っていい確率で襲い掛かってくる。こんな小さくて弱々しそうな女の子の()()()襲いたくなる要素があるというのか?

 

 え、それがダメ?

 仕留め易そう?

 おいしそう?

 

 えーーーーー!

 

 銀虎毛皮着てるのに?

 強そうにだよね? 虎毛皮。銀色艶々まだら縞のきれいな毛並み。それはもう素晴らしい毛皮なのに! 皮の端々がズタズタにすぎるのだけども。

 

 また逸れた。

 

 ラージファングボア。大牙猪。

 

 ここ最近だとこの種類がすぐケンカ売ってくるんだよね。ちなみに名前はもちろん私がつけたやつね。見たままだからで分かりやすくていいでしょ?

 樹海の生き物たち、角付きとか牙デカとか……、なぜか私に襲い掛かってくる。やり過ごそうと隠れたり、潜んだりしていても見つけ出してくるんだよ。

 

 そんなのに好かれても私困る。

 

 いくらスライム体で上げた身体能力と、いざとなれば相手にスライム体を侵入させるなんて力技があると言ったって。体術に優れるとか武器が上手く扱えるわけでもない。

 最低でも私の十倍、下手したらそれ以上の体重差があるだろう化け物(やつら)。そんなものが鼻息荒く、デカい牙をこれ見よがしに見せつけながら! 涎たらしながら! 突っ込んでくるんだよ。ドロが乾いてカピカピになった毛皮で、デカくて臭い狂暴獣が突っ込んくる姿を想像してみて? マジいやになる。

 

 はぁ……。

 

 あれ、道のりが厳しいって話だったよね?

 

 すまない、私、コミュ力ないので。

 何にしろ、この樹海を元リーマンおじさんでしかない私、今小さい女の子が一人で歩くのは相応に大変ってこと!

 

 ああ、穏やかな生活がしたい!(切望)




やっぱTS味が……
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