スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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またキャラが……

作者大丈夫か!


アールヴ

(あるじ)フィーラヴの支配精魔域(サンクチュアリ)が失われて久しい。このようなこと代々この地に居を構える我らアールヴの記憶魔石(メモリアラピス)にも記されておらん、どうすればよいのか……」

 

 じじ様が神聖にして崇高なフィーラヴ湖を前に、もう幾度目になるかわからない(なげ)きの言葉を漏らした。

 長い耳が垂れ下がっていて、見た目にも元気がないことがわかりこちらまで悲しい気分になってしまう。

 

 アールヴの民は女神フェリアナがこの地を統べさせるために作られた気高い貴人種であり、現在栄華を極めている俗な種族、汎人(はんじん)族が繁栄するよりもはるか昔よりこの地にあった……と常々族長であるじじ様に聞かされてる。

 

 ちなみに汎人族って言い方はアールヴ側がそう呼称してるだけで、彼らを前にしてそれを言えばどうなるか……想像に難しくない。

 

 アールヴ族の現状はその汎人族に樹海にまで追いやられた、あと数世代もすれば誰も居なくなるのは間違いない絶滅まったなしの弱小種族で、魔獣ひしめくこの樹海で僕らが生き延びることが出来たのはひとえにこのフィーラヴ湖があったゆえなんだって。

 

 その理由の一番は魔器官を持った生き物が存在しない不思議な湖ってこと。

 

 この大地には至る所に大きな角や牙が特徴となる、極めて好戦的な魔獣が数多く生息しているけど、それをものともしない大多数を占めるのは角や牙のない普通の動物たち。

 

 だけど、そんな動物たちにも魔器官は存在してるんだ。

 じじ様に言わせるとその機能は魔獣に比べれば著しく劣っていて、弱い魔力は生命を維持するくらいがちょうどのものらしい。

 

 それは汎人族にも言えることで、彼らはこれ見よがしに魔法を使うけど魔獣みたいな角や牙はない。

 弱い魔器官を詠唱したり魔石を使ったりすることで誤魔化してるんだ。

 

 僕らアールヴは違った。

 おでこの左右にある短いながらも存在感をしめす角に、とんがった耳。

 

 発達した魔器官による強い魔力を武器に、詠唱なんかせずとも言葉一つで魔法に繋がり、華奢な体付きをものともしない身体強化だって得意で、魔獣とだって対等に戦うことが出来たんだ。

 

 汎人族みたいにすぐ魔力切れを起こして戦えなくなるなんてこともない。

 そりゃあ、アールヴも生き物だから無制限ってわけにはいかなかったけどね。

 

 そんなアールヴ族だけど、いくら個人が強くても限界があるわけで、汎人族の数の暴力には屈する他なく、だんだん魔獣の領域であるヴィーアル樹海方面へと追いやられてしまったんだって。

 

 樹海をさまよい、なんとかこの崇高なる湖にたどり着いたときには百人にも満たない数しか残っていなかったらしい。元の集落では五百人くらいの人口があったらしいから、当時の過酷さを思うと悲しくなってくる。

 一族の集落は他にもあって、それなりの数は居たらしいんだけど、そちらがどうなったか連絡を取る手段もなく、最悪僕たちが最後の生き残りって恐れもあるらしい……。

 

 湖で長年暮らす中、今では人口も二百人に届きそうなくらいにまでなったんだけど、そうなるまでには苦労も絶えなかったみたい。

 

 一番の問題は血が濃くなりすぎて生まれながら病弱な子供が増えてしまったこと。死産も多くなってしまい、更には子供を産める女の人の数も減っていき……、このままではアールヴ族の命脈が尽きてしまう。昔の長老たちは追いつめられ苦肉の選択をしたらしい。

 

 やったことは汎人族の村から若い女の人に()()()()()、アールヴの子を産んでもらう選択をしたってこと。

 産んだ子供はアールヴの方が優性? というものらしく、必ずアールヴ族の特性を持って生まれてくるということで、それはつい最近まで続いていたんだ。

 

 汎人族、それにアールヴ族も、生きていくためにはきれいごとだけじゃ済まないってことなんだよね。

 

 

 だけど長く続いた取引もつい先ごろワイバーンを使役していたアールヴの闇魔法士が儀式を失敗し、ワイバーンに食い殺されてしまったし、送り出す汎人族の村もワイバーンに襲撃されて壊滅したらしい。

 

 二者の間にどういう取り決めがあったのか僕は聞かされてないけど……、因果応報ってこういうことを言うんじゃないかな?

 

 

 それはともかく……、

 

 

 年を重ね繰り返していけば、死亡率が減るのと裏腹にアールヴの特性はどんどん弱体化していったそうで……。

 

 今ではここに移り住んだ当時のアールヴ族の、半分の力を出せればいいところまで能力が落ち込んでしまったんだって。

 アールヴ族は長命で、能力比べを世代間に渡って比較することも頻繁に行っていたため、皆がその事実を重く受け止めている。

 

 けれど、それはもう止めようもない現実なんだ。

 

 今年で十四歳になる僕だってそう。

 

 僕の実力は、母様(かあさま)いわく、汎人族より少し強い程度のものでしかないらしい。

 

 魔法も詠唱しなければ使えない。

 身体強化も汎人族よりは長く全身に渡って使えるものの、昔のアールヴみたいに一日中というわけにもいかず、一刻半がせいぜいといったところだし……。

 角だって耳だって目立たないくらいに控えめなとがり具合だし……。

 

 まぁそれでも自慢できるところだってあるけどね。

 

 

 ちなみに母様はアールヴ族だけど、この集落に純粋なアールヴ族はすでに存在しないんだって。

 長い年月で血が混じり、純血種が絶えて久しいらしい。

 

 きっとあと数世代もすればアールヴ族は完全に失われてしまうのかもしれない。

 

 ま、とは言ってもアールヴの寿命は最低でも二百歳は下らないんだし、じじ様なんて三百二十歳でまだまだ元気だ。

 

 そんな心配、僕がすることじゃないよね。

 

 

 弱体化著しいアールヴ族だけど、それでもこのヴィーアル樹海で生き抜いてこれたのはフィーラヴ湖があったおかげなんだ。

 

 じじ様はそんなフィーラヴ湖から(あるじ)フィーラヴの気配が無くなったと言ってるんだ。

 

 フィーラヴ湖に魔獣、そもそも魔器官がない生き物しかいないのは主が居たおかげなんだそうで、魔獣は湖に入ることを極度に恐れるため湖岸で過ごす僕たちは魔獣に必要以上の警戒をすることなく安全に過ごすことが出来ていたんだ。

 もちろん魔器官を持つ僕たち自身も湖に入れば急激に魔力が抜ける感覚に襲われるため、水に入ることは禁忌だし、一人での行動もしてはならないと叩き込まれている。

 

 とは言ってもすぐに死んじゃうって訳じゃないし、魚とかたくさん取れるから対策したうえで漁はきっちりやってるんだけどね。

 

 そんな湖から主が居なくなった。

 

 主がいつからこの湖に居たのかは長老たちも知らないんだって。昔、アールヴ族がここにたどり着いた時にはすでにこの状態だったらしいから。

 

 主のいた湖のことをじじ様たち長老はフィーラヴの支配精魔域(サンクチュアリ)って呼んで尊んでいたけど、それが無くなっちゃった。

 

 

 この先どうなっちゃうんだろ?

 





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