スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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ミーア、行先混迷しその後……

 一人っきりの旅暮らしに戻ったスライム娘、ミーア()()……です! 

 

 ワイバーンってどこに行けば会えるのでしょう?

 私にわかるワイバーンポイントと言えば、アンヌと出会ったあの場所くらいしかない。

 

 う~ん、あそこに行くのはねぇ……っていうか、あの場所って正確にわからないんですよね。

 嵐にもまれて流れ着いたところだし、知らない間に例の砦に運び出された訳だし……。

 

 まあ、とは言ってもおおよその場所はわかるのですが……うん、戻るのは無しでしょうか。

 とりあえず海岸線が見えるルートで適当に魔獣を狩りながら旅をするって感じで行きましょう。

 

 ここの地形の断崖絶壁ぶりは相変わらずなので、街道を外れた森の中を行きつつ、海岸線が見えるところがあれば確認する感じで行きます。

 

 もうね、道なき道を踏破していくのはこりごりなのですよ。町暮らしで楽を覚えたスライム娘のスライム脳から、苦労と言う言葉は抹消されております。

 幸いワイバーンの魔力は一度体感しているのでその辺も探りつつ、楽をしながら進めていきたいと思います!

 

 

 

***

 

 

 だめじゃないですか!

 

 私は圧倒的に選択ミスをしました。

 街道沿い、しょぼい魔獣を狩りながら海岸線を確認しつつ、歩みを進めること二日ほど。

 

 なんということでしょう、向こう岸がだんだん遠のき(かす)んでいきます。

 

 そうです。

 

 海峡の幅がだんだん広がり、樹海が広がる向こう側は随分離れてしまったのです。

 いくらワイバーンが飛べるとはいえ、あいつらはあまり長距離を飛べる生き物じゃないのです。(たぶん)

 

 もちろんこちら側に巣作りしてる個体もいるかもしれませんが、対岸からの飛来の方が多いのは必定!

 離れてしまっては出会う確率が減ってしまうじゃないですか。

 

 

 うーん、どうしよう。

 ワイバーンをあきらめてこのまま先に進むか、はたまた、あの村方面に戻るか。

 

 何をするってわけじゃないからどっちでもいいといえば、いいんだけど。

 

 むぅ~。

 

 決めました。

 やっぱ戻ってみましょう。

 

 先に進めば領都とやらに近づいていくことになります。人里も増えていくし、きっとお貴族様もいっぱいいるでしょう。

 

 人が増えれば警備隊の砦とかも多くなり、面倒ごとに遭遇する確率が倍々で増していきそうです。

 

 どんなことになってもどうにか出来るとは思いますけど、触らぬ神に(たた)りなしですね。

 

 

 決めてしまえばあと行動あるのみ。

 ちょっと楽をしたいと思います。

 

 街道を戻っていく方向に走る馬車を見つけ、その天井に便乗させていただこうと思います。

 天井はミーアの指定席ですからね、いつも空席で待ち無しなのです!

 

 

***

 

 

「困ったもんさ、至る所で検問をやられては荷の引き渡しに遅れちまうってのによぉ」

 

「そのたびに待ちの渋滞が起きるからな、半刻、へたしたら一刻以上待たされるのもざらだってよ。いつまで続けるのかねぇ?」

 

 乗り込んだ荷馬車の天井席でごろりと横になり、澄み渡った青い空に流れる雲を気分よく眺めつつぼーっとしていたら、中の会話がスライム地獄耳に入ってきました。

 

 検問……ですか。

 

「聞いた話だと、ソールバルグ公と派閥貴族が治める町や村の通行門は一斉にやってるらしいぞ。ギルドも巻き込んでるし、他にも街道で抜き打ちでやってるところもあるとか。一体なにがあったのかねぇ?」

 

「検問やりだしてもう七日以上経つがなぁ、まだ探してるもんが見つからないんだろうさ。門番にちょこっと()()()聞いたんだがな……、探してるのはちいせぇ子供らしいぜ。それも女児だ。お貴族様やギルドが総出で探すなんざ、そのガキにいったいなにがあるのやらだ」

 

「ほ~、女の子供ねぇ。ガキ一人にお貴族様がそれほどの労力かけて探しまわるたぁただ事じゃねぇな。これで変な趣味の為っつうんじゃ(たま)ったもんじゃねぇが……、んなこたぁねぇか、カハハッ」

 

 

 な、なんですと!

 

 な、なにそれ、今のって絶対……私のことだよね?

 

 まじですか~。

 あのお貴族様、そこまでするんですか!

 

 く~~、あのまま街道沿い進んでなくて良かった~。

 っていうかこの荷馬車もこのままだと危険!

 いくら気配を消して光学迷彩で姿を消していてもどこからばれるかもしれません。

 

 あの強面イケメンお貴族様みたいに……。

 

 

 けっこう距離も稼げたし、ここからはまた森の中を行くこととしましょう。

 楽をしながら旅しようって思ってたのに、結局こうなっちゃうのですね。

 

 

***

 

 

 海峡の幅もだいぶ狭くなってきて、目の前の風景に記憶と重なるところがあるように思えてきたころ、その魔力を感じました。

 

「みぃつけた~!」

 

 野生のミーアのスライム謹製魔力センサーにビンビンに感ありです!

 ワイバーンさん、どうやらこちら側に巣を作ってるみたいで、少なくとも六頭の感があります。

 あの村を襲ったワイバーンもあの中に居たりするのでしょうか?

 結局あの後どうなったのか私は知らないんですよねぇ。確か十三頭いて半分以上はやっつけてたと思うんだけど……、どうなんでしょう?

 

 私は感知した魔力目指して歩みを早めますがそこは人の踏み込んでいない森の中、少々手こずってしまいました。場所によっては草原に低木が所々生えてるくらいの開けた場所とかもあるんですが、ここは最後まで樹々が生い茂っていて鬱陶(うっとう)しいったらない。

 

 ついでに魔獣もでるよ!

 

 けれど苦労の甲斐あって、やっと確認できるところまで到達できました!

 ワイバーンが居るところからは少し離れた崖の淵で、海面からだと五十メートルはありそうな高さです。落ちたら余裕で死ねますね。

 

 崖には筋状の裂け目が幾重にも走っていて、そんな中にはワイバーンが潜むのにちょうどよい段差や深さが付いた場所もあるようで、ニケ所ほどで営巣してるみたいです。

 

 それぞれの巣に一頭が籠ってて、まず二頭。

 上空を旋回しながら飛んでるのが二頭。

 巣の脇で羽休めしてるのが二頭で、合計六頭。スライム謹製魔力センサーはばっちり正確です。

 

 さてどうしましょう。

 全部やっつけるか、おびき出して一頭だけにしておくか。

 お肉を頂かなければいけないので、火や氷なんかの魔法はご法度ですね。

 

 でもおびき出すって言ってもねぇ。

 都合よく一頭づつ来てくれるものでしょうか?

 

 面倒です。

 

 とりあえずこちらに気付いてもらいましょう。

 その後どうなるかは出たとこ勝負です。

 私はずっと気配を消すため抑えていたミーアの魔器官の活動を全開にしました。

 

 更に抑えていた体の活動も全力全開、身体強化も行けるとこまで行っちゃいます!

 

「うにゅにゅわ~!」

 

 ここまで全開にしたのはめちゃ久しぶり……、いえもしかして初めて?

 つい変な声まで出てしまいました。

 

 ついでに浸透させたスライム体自身の魔力もがっつり引き上げます。

 

 ふふ、スライム体はミーアの体以外の謎空間にも今やとんでもない質量になって存在しているのです。長年色々吸収してきた賜物(たまもの)、私にだってどれだけあるなんてはっきり言えやしないのです!

 

 

 身体に力がみなぎります。

 

 ぬ?

 

 なんだか体が薄っすら青白く透けて、しかもぼやっと光って見えるのは気のせいでしょうか?

 

 ま、いいか。

 

 

 さてワイバ……、

 

「うっわっ」

 

 目の前が暗くなったかと思えば、大きな鉤爪(かぎづめ)が私の頭を掴もうと迫ってます!

 

 わわ、ワイバーン!

 

 はっや!

 

 さすが野生、魔獣の反応早すぎです!

 とっさにしゃがんでそのまま前にぴょ~んと飛び出しましたが、私馬鹿?

 

 そこには何もないでしょうが~!

 

 

「うっそぉ~~!」

 

 

 落っこちました。

 

 

 けど落ちていく感覚は、胸やお腹から伝わってきた痛みの感覚と共に、あっさり去りました。

 

 はい、ワイバーンの鋭い鉤爪で、バタついてたローブや服に半ば引っ掛けるようにして確保されてしまいましたとも!

 華奢なミーアぼでーを両足で容赦なくぎゅうぎゅう締め付けてくれるワイバーン。鉤爪がこれでもかと食い込んできます。

 

「こら、は~な~せ~!」

 

 私はまさかの展開にちょっと焦ったもののここは冷静にならなくてはいけません。

 

 食い込んだ爪で普通なら皮膚がさけ、血だらけなっていてもおかしくないはずなのですが、擦り傷一つなさそうな青白く透けた肌は淡い輝きを帯び、何とも幻想的な(おもむき)をもたらしてます。

 

 これは浸透したスライム体がめいっぱいの魔力で満たされたせいなのでしょうか?

 

 まぁそんな考察は後にして、ワイバーンさんはとっとと私に吸収されちゃってください!

 

 ミーア対六頭のワイバーン。

 

 始まります!

 






どこの魔砲少女かw
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