スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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ちょっと短め


◆その一方では?

「これは本当に、ひどいな」

 

 目の前に広がる光景に、俺は思わずかすれた声を出した。

 

 魔獣の領域である「ヴィーアル樹海」と接する我らの領、「ヴィースハウン」の領都にその知らせが届いたのは三週間前のことだ。

 報告によれば牧畜と穀物類の栽培を主に暮らしている百人に満たない小さな村、ソルヴェ村がかなり悲惨な状況なのだという。知らせはその村と交易していた都の商人からで、隊商を伴って訪れたところがその様子だったため、慌てて最寄りの監視砦に報告を入れたようだ。その知らせは瞬く間に、各地にある監視砦へと伝わるほどの事案となった。

 

「そうですね。見回った部下たちからの報告を一通り確認しましたが、それはひどいものでした」

 

 少し後ろに控えた位置に立つ、副官であるヨアンがそう答えた。俺たちはヴィーアル樹海の魔獣監視が主な職務で、監視砦には常に一定数の人員が配置されている。俺は隊長であるスヴェン。二人いる副官の一人、ヨアンと更に部下たち十名を引き連れてここにいる。

 

「ほう、報告しろ」

 

「はい。ここからも見て取れますが集落の家屋は上部から屋根を崩されているものが多いですが、焼け落ちているものもそれなりにあります。牧場の羊や豚なども全滅です。肝心の村民ですが、そちらについても生存者は確認できておらず、見つかった遺体もひどい有様です。大変残念ではありますが、この村はもう全滅したとしか」

 

 くっ、生存者はやはり無しか。

 報告が上がった時期と、その内容からしてもあまり期待ができるものではなかったが。しかし……、

 

「そうか、残念だ。それで、この惨状をもたらしたものの正体についてはどうだ?」

 

 村の惨状は大変心を痛める出来事ではあるが、俺の仕事は心を痛めることじゃあない。

 

「はい、やはりこれはワイバーン、あるいはファイアードレイクなどの襲撃を受けたのではないかと。全ての村民が死亡、或いは行方不明であり、先ほども言いましたとおり家屋にかなり火による被害があります。更に、羊、豚などの家畜が確か三十頭はいたはずですが、食い散らかされた様子と一頭も生きて残っていない現状もあり、それらを全て食らう、あるいは運び去るのであれば少なくとも十頭以上、複数の群れが現れたのではないかと愚考します」

 

 むうぅ、ワイバーンにファイアードレイクか。

 

 ま、そうだろうな。村丸ごとに被害を与えることができる規模は相当なものだ。

 野盗、盗賊の(たぐい)でここまでするのは無理がある。もし、例え出来たとしてもだ、いくら非道な奴らでも、ここまで破壊しつくす労力を考えれば得どころか、むしろ損だろう。

 

「わかった。報告ご苦労。これよりは残っている村人の遺体を葬ったのち、撤収とする。また五人を村周辺の警備として残す。人選はまかせるので後をよろしく頼む。ああ、それと慰霊をしておかねばならぬ。準備が整ったらまた連絡をくれ」

 

 胸に右手を添え、敬意を表し去っていくヨアンの姿を見つつ、深く溜息をついた。

 まったくもっていやな仕事だ。生存者がいないというのが余計にくるものがある。望めるものなら、逃げおおせたものが少しでも居ればいいと思う……。しかし、事件報告からでさえ四週間近くたつ。それを望むのも無理があるか。

 

 ヴィーアル樹海と接する我が領。その中でもこの村の立地は境界に近いところにある。海峡で隔てられ、砦でも監視を行っているとはいえ完全ではない。今回のように飛べる魔獣であれば、監視の目をかいくぐって襲来することは十分に可能。

 

 もっと領内の守備に力を入れられていたならば。

 

 魔獣の襲来は長い間起こっていない。いや、いなかった。

 海峡があるというのも安心感の一つだったろう。そのせいもあり監視砦の数は年々減らされていた。

 

 だがそれは今回の件で大きく(くつがえ)されるだろう。ここ以外でも最近ちらほらと海峡を渡ってくる魔獣が出ていると聞く。

 

 この先どうなることやら。

 

 俺の心に、平穏だったヴィースハウン領、その先行きに一抹の不安がよぎる。それを解消するために出来ることは、現状あまりに少なく歯がゆさだけが残った。

 




あらやだ別視点でしたの

言葉とか固有名詞とかもろもろ。主人公と今回の視点では別の言語である!
そういうことでどうかよろしく!
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