スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
すっごく微妙にグロ注意
朝晩の冷え込みが強くなってきて、季節は一応進んでるんだなぁと
と言っても私は暑いとか寒いとか関係ない訳ですが、温度感覚として掴めているのです、はい。
リイ=ナと二人、湖を目指して歩き出し、早くも三日目に突入しました。
一緒に旅を進める中、私はほとんど何をすることもなくリイ=ナの後を付いて歩いてる感じです。
彼は十四歳ということですが、美少年で上背もあり引き締まった体をしていて、ぶっちゃけとてもかっこいい奴です。こいつが日本の中学に現れたら女子の注目浴びるの間違いないです。
それに引き換え私ときたら……、小学生の女の子にしか見えないわけで。
日本男児であった時の自分の姿はもはや思い出すことは出来ませんが、ちょっと負けた気分にさせられます。いや、ぼっちコミュ症ぎみな中年サラリーマンだった私は、平凡を絵に描いたような奴だったに違いない訳で、比べるのもおこがましいってものでしょうけれども。
そんな
「これは……」
リイ=ナが眼前の有様を見て表情を強張らせています。
私も一緒に確認してみれば、狭い幅ではあるものの、地面に生い茂っている低木や下草が一定の方向に折れたり倒されたりしていて、比較的体格の大きな生き物が通り抜けたのではないかと想像できます。
「この樹々の倒され方からすると、体高はあるけど細身の魔獣かな? この辺りで確認できてるものだと
「折られた樹々の様子がまだ瑞々しいです。ここを通ってそんなに時間が経ってないみたいです。警戒しながら進みましょう」
リイ=ナが緊張した面持ちで私に声をかけてきます。
「うん!」
そんな彼には悪いのですが、私は新たな竜に出会えるかもと思うと、少しワクワクした気分になってきました。
状況が変わっていく中、警戒しつつ再び歩きだします。進む方向が地竜が通ったと思われる道と重なってくるのがなんとも危険な感じがして
魔力センサーには相変わらずそれらしき反応はありません。
雑魚魔獣ならいっぱい引っかかるのですけれどもねぇ。
樹海では魔力反応が多すぎて埋没してしまい、はっきり言って魔力センサーは開店休業に近いです。したがって接近してくる魔力だけに気を付けておく感じになります。
リイ=ナは大きな耳をぴくぴくさせて周囲の情報を探りながら歩いています。私も負けじと周囲の音や気配に気を配りながらリイ=ナに付いてぽてぽて歩いてます。
そんな最中。
「にゅわ~っ」
「えっ?」
何かが私の胸周りにぐるりと巻き付いてきたかと思えば、私の体がぐぃっと、一気に舞い上がります。
ぐんぐん離れていく私を、状況をまだ理解出来ていないリイ=ナが、呆けた表情で見ています。
「ええっ? ミーア……様?」
警戒しながら歩いていたはずなのに、あっさり私は何者かに
すごい勢いで背中向きで、宙を舞いながらも引っ張り込まれています。もちろん自分で飛んでるわけじゃありません。
スライム体から目玉をにゅるりと出し、引っ張られてる方を見てみますが、おかしい!
「何もいないんですけど~!」
なにそれ、なにそれ?
視線の先には樹齢何年なのっていうくらい太い幹をした大木が数多くそそり立つばかりで、引きずり込もうとしている
胸周りに巻き付いてるものから逃れようともがきもしましたが、どうにも
き、気持ち悪~!
「ああっ、わかりました!
リイ=ナの叫び声が耳に入ってきたのを最後に私の視界は真っ暗になりました。
ぐぬぬぅ。
せまい、くらい、ぬめぬめ。こ、これ、私、食べられた?
暗くなる寸前、一瞬ですが引きずり込んでくれた奴の姿が見えました。
カメレオンの姿に似た魔獣です!
リイ=ナは、
不覚です。
まさかこの私が
現在進行形で頭からどんどん奥の方に飲み込まれてます。
体が熱くなってきた感覚がします。
喉から食道、胃に向かうにつれ熱さがどんどんひどくなっている感覚です。これってやっぱ消化されていってる感じでしょうか?
スライム娘は吸収することはあっても、消化されることは断固拒否します!
ああ、内臓の
でも、スライム体が浸透した強化ミーアボディはこれくらいじゃ潰れたり骨折したりなんかしませんから!
かと言って、このままではじわじわ溶けてしまうのは間違いない事実。
まぁ再生出来るのでどうということはないでしょうけれど、さすがに理科室の人体模型みたいな姿をリイ=ナに見せるわけにはいきません。
反撃しましょう。
風の魔法を放射状に放って差し上げます。
「シャープエッジの束、ウインドブラスト!」
…………。
あれ?
発動しません。
もしかしてこんな隙間のない肉壁の圧力に満ちた空間では風魔法は発動の余地がないのでしょうか?
じゃあ、これでどうでしょう?
「氷の針千本! サウザンドアイスニードル!」
……。
で、出ない!
ど、どーしてよ?
いや、お、落ち着け私。魔器官の魔力、魔力をよ~く練って……って、あれ?
「魔器官の魔力、どんどん持ってかれてるんですけど!」
こ、この
もちろん魔力はまだまだ練りだせますが、時間をかければ理科室人体模型化が進んでしまいます。ここはもう面倒くさいので一気にスライム体で方をつけます!
謎空間のスライム体をどばっと開放して差し上げましょう!
体中に浸透したスライム体もガンガン活性あげちゃいます。
「破裂しちゃえ!」
気合の一言と共にスライム体を全方位に開放してやりました。
私をギュウギュウ押しつぶしつつ消化せんとしていた胃袋は、体積をどんどん増していくスライム体により空気を送り込まれた風船のごとく、一気に膨れ上がっていきます。穴と言う穴から漏れ出るスライム体も出てきます。
出て行く以上にばんばん放出し続けてあげます!
そしてとうとう限界の時が訪れます。
魔獣の臓器が断末魔の小刻みな痙攣を起こしています。
中に居るわたしに嫌と言うほど伝わってきます。
それは一瞬でした。
私を完全に覆ったスライム体のせいで破局の音は何も伝わらず静寂が支配しています。
ただ色彩の変化としてのみ、それを感じとることが出来ました。
真っ暗だった視界が一転、真っ白な世界に変わります。
すぐさま外の明るさに目がなじみ、周りが見えてきます。
大木の幹に
私はすかさず翅を形成し、浮遊します。
変彩竜は大木のかなり上の方に居たようで、そうしていなければ落っこちちゃたことでしょう。
私は下で棒立ちのまま、唖然とした様子でこちらを見上げていたリイ=ナのもとにゆっくりと降り立ちます。心配をかけてしまったでしょうか?
翅をしまい、ミーア魔器官とスライム体の魔力をおさめたところでリイ=ナの顔を見てみれば、色白な肌を赤く染め、いつかみたいに口をあうあうさせてあたふたしています。どうしたというのでしょう?
「み、ミーア様……、そ、その、御身のふ、ふく、服が……」
「服……?」
リイ=ナの言葉を疑問に思いながらもうつむいて下を見てみます。
「あ……」
服、ないです。
見えるのはツルペタの素肌。
ピンク色したぽっちが丸見え。
かぼちゃパンツも当然……ない。
すっぱだか。
服、溶けちゃったみたい……、ですね。
あは……は。
てへぺろ~!
まぁ、子供ですし……ねぇ?