スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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おまけ付き!


リイ=ナの帰還。ミーア付き

 ミーア様が変彩竜(カラードラゴン)に飲み込まれたときにはどうなるかと思ったけど、まさかあんな風に倒しちゃうとはちょっと今でも信じられない気分。

 

 まぁ精霊様なんだし心配するだけ無駄な感じだったのかも?

 着ていた衣服が変彩竜の消化液で溶けちゃってて裸でお戻りになられたのにはびっくりしちゃったし、目のやり場にとても困る事態だったけど、ミーア様はあまり気にされてないようで、恥ずかしがるそぶりも見せず僕の方があたふたするばかりだった。その辺の感覚はやっぱ人とは違うということなのかな?

 見ない様にちょっと目を逸らしていた間に、例のごとくどこからか代わりの衣服を用意され、着衣していただけたのでずっと裸のままなんてことは免れたんだけど、ちょっと残念な気がしたのは絶対言えない秘密だ。

 

 とにかく実体としてのミーア様はまだまだ幼い女の子なんだってことが良く分かった……、うん。

 

 それにしても湖の近くまで戻ってきて、変彩竜と遭遇するなんて……これもフィーラヴ湖から主様が居なくなってしまった影響が出てきているのかな? う~ん、関係ないかな?

 変彩竜は身体の色を周囲になじませ気配を消すことで存在を隠して獲物を襲うんだよね。おまけに獲物の魔力を吸い出すこともするし、魔法攻撃も生半可なものは無効化されちゃうからアールヴには天敵のような竜なんだ。

 

 比較的小型で動きものんびりしてるとは言え、竜は竜。気を付けないといけないな。

 ミーア様だったから無事だったものの、僕なら普通に死んじゃってたよ……。

 

 

***

 

 

 そんな風に危ないこともあったとはいえ、ミーア様と邂逅(かいこう)してから五日目の昼過ぎ。

 ようやく村のあるフィーラヴ湖のほとりへと到着した。

 

 村の周囲は大人の身長の倍ほどの高さの土壁で一応囲われていて、壁の表面は細かい棘がびっしりと付いた(つる)植物で一面覆われてる。アールヴ族の労力と土魔法を駆使した長年の成果で結構しっかりした造りではあるんだけど……。

 そんな壁に村で唯一の通行門は一つだけ。そこを村の人達が二人一組の交代制で立ち番をしてる。基本、人が来るような場所じゃないから警備はゆるゆるで、壁にしたって結局のところアールヴの子供だって頑張れば乗り越えちゃえると思う。

 

 ま、ないよりマシなレベルでしかなく、小型の魔獣除けにはなってるから良しとする感じだね。

 

 真の守りは長老たちの作った結界魔道具だ。村の周囲を覆う、魔力による見えない膜が張られ、登録されていない魔力紋がそれに触れればアールヴ族の耳には聞こえる音が鳴る仕組みになってる。他にも樹海からの魔滓(まおり)流入を軽減する役割もある。

 魔道具の動作には闇属性の魔力が必要で、それが出来るのはじじ様と僕、あとはエボ=ツ様と、父様と仲のいいイル=ムさんの四人だけだ。

 

 僕はゆっくりと門の前まで歩み寄った。

 ミーア様には少し離れたところで待ってもらってる。なにしろ見た目は汎人族。そのままだと警戒されちゃうし結界がどう反応するかわからないし、色々仕込みしなきゃね。

 

「やあシイ=ナ。ただいま」

 

 暇そうに通行門で立ち番をしていた幼馴染のシイ=ナに普通に声をかけた。同い年のシイ=ナは僕より少しだけ背が高く、お姉さん風をふかせる女の子で水属性の適性持ちだ。美人だけどちょっと冷たい面持ちで初対面だと声をかけるのに躊躇(ちゅうちょ)しそうな子だけど、実は演技で実際は人と話すのが苦手な人見知りだと僕は知っている。

 濃紺の髪を後ろで一つに結んで垂らしてて、先端はお尻にかかるくらいまで伸ばしてる。以前ふざけて引っ張ったら冷静を装った顔から可愛らしい声の悲鳴が出たんだけど、絶対他にしゃべるなって脅された。しゃべったら、髪を引っ張たことを母様に言いつけるって澄んだ青い目で睨まれた。こわい。

 

「リイ=ナ! あ、あなたねぇ」

 

 僕を見るなりシイ=ナが詰め寄ってきた。

 どうやら僕が一人で主様探しの旅に出て行ったことが不満だったようで、グチグチ文句を聞かされた。幼馴染の僕は人見知りの対象からは外されてるんだ。

 

「シイ=ナ、わかった、わかったから。誘わなかったのは悪かったよ。でも仕方ないだろ、じじ様に急に呼び出されてすぐにでも出立(しゅったつ)しろって()かされたんだからさ……」

 

じじ様(としより)の言うことなんて話半分で聞いておけばいいんだから。いい、次はないからね、絶対よ!」

 

 ひどいなこいつ。

 でもまぁこれ以上機嫌損ねても面倒だし。

 

「うん、わかった。次あれば必ず声かけるよ」

 

 シイ=ナの顔を誠意を込めて見つめつつ、そう答えた。

 

「わ、わかればいいの、わかれば」

 

 なに顔赤くしてあたふたしてるんだ、こいつ。

 っと、そんなことより……、

 

「それでさ、主様と無事出会えたのでお連れしたんだけど……。ちょっと訳アリなんだ。まずはじじ様に会ってもらいたいんだけど、呼んで来てもらえる?」

 

「ええっ! なにそれ。ほんとに? さ、先に言いなさいよ、先に!」

 

 いや、話させてくれなかったのはそっちでしょうに。

 シイ=ナは立ち番のペアに声をかけてから足早に村の中へと駆けていった。

 

 

***

 

 シイ=ナがじじ様の腕に自分の腕を組んで、半ば強引に通行門まで連れてきた。人見知りの癖に気を許した相手にはこうやって強気に出るんだから困ったものだよね。でもじじ様も満更じゃない顔してるよ……、このエロじじい。ちなみに言うとシイ=ナの胸はほどほどに育っていてスタイルだって村の男たちの目を引きまくるくらいには良いと思う。

 

「リイ=ナよ、よくぞ無事に戻った。して主フィーラヴはいずこにおわすのかの? 早くわしにも面通しさせておくれぇ」

 

 期待に目を輝かせるじじ様。じじいのそんな目はみたくないや。ついでにシイ=ナも興味津々のようでこの場を遠慮する気持ちは微塵(みじん)もないようだ。

 

 じじ様も何も言わないし、ま、いいか。

 

「主様、お姿見せていただけますか?」

 

 僕は背後の虚空に向かって声をかけた。正直僕にだってどこに居られるのか見えないから適当だ。

 じじ様もシイ=ナも訳が分からない中でも期待に目を輝かせている。

 

 なんかこの二人似てるな……。

 

 呼びかけてすぐ、四、五歩ほど離れたところ、少し上を見るくらいの高さに淡い光がにじみ出てきた。それはじわじわ明るさを増していき……、人の輪郭をなぞったような光の塊になってくる。

 

「おおおっ……」

「綺麗、素敵……」

 

 お気に召したようでなにより。でも今からもっと驚くよね、きっと。

 

 一層輝きを増し目を開けていられなくなるほど(まぶ)しい。輝きを増した人形(ひとがた)の背中には大きな羽のようなものが四枚、左右に大きく広げられその存在を主張していた。

 光を放つそれはあまりに神々しくて、すでに知っている僕にしても自然と(かしず)きたくなってしまう。そんな大切な存在なんだ。

 一時の輝きが収まっていくと共にその姿、形がはっきりと(うかが)えるようになる。宙に浮かぶ、羽の生えた子供ほどの大きさの神々しきお姿。人とは思えない、青白くも透き通った肌。淡い紫の髪が自然なままに腰下へと伸び、ただよっている。美しさと可憐さを兼ね備えた、けれど無表情なそのお顔はまるで人形と見まごうばかりだ。

 

 ――ミーア様ってあまり表情が動かないんだよね、ほんと感情が読み取りにくいというか……。ほとんど話さないし、話したとしても片言だし……、それにどこか人とは違う感性というか、その、やばいし――。

 

 ともかく、そのお姿はまさにフィーラブ湖の水の精霊様にふさわしき神々しさに満ち溢れていた。

 

「むおぉ、なんとありがたや、主フィーラヴぅ……」

 

「うそ、みたい……。奇跡、泣けてきちゃう……」

 

 二人のリアクションに僕ちょっとひいちゃうな。

 いや、確かに神々しいんだけどね。

 

 血まみれ肉片まみれなミーア様を見ちゃってるからなぁ……、そんな気持ちになりきれないや。

 

 ちょっとしたギャップに苦笑しつつも、僕は無事ミーア様を村に案内できたことに安心し、こっそり息をこぼしたのだった。

 





家に帰るまでが旅行です(*´▽`*)
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