スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
リイ=ナに連れられてようやくたどり着きました、アールヴ族の村!
村の周りは土壁でしっかり覆われてるけど、レイナールの壁に比べれば規模はかなり小さい感じ。でも表面を覆ってる
欠片ぷにょから取り込んだ記憶によれば村の周囲に結界が張られてるってことだけど、確かに周期的に波紋が広がってくるような空気感があります。これって闇属性の魔力を使った結界なのかな?
このしっとりした感じは例のハンバーグみたいな名前のお貴族様を思い出させるので好きじゃない。私も同じようなことは出来るだろうけど、私の場合はスライム体を使って色々探ることが多いので似て非なるものなのです。
スライム体って一体何属性になるんでしょうね?
以前やった魔力測定でもスライム体自身については含まれていないはずなのです。それがわかるようなら頭の中のスライム脳やミーアボディに浸透してるスライム体の存在もばれちゃいますからね。頭割られたりしたらたまりません。
スライム体で出来ることを思えば普通の属性ではないような気がしますね。
ま、今考えることでもないですか。
とりあえずはアールヴ族の村にお邪魔させてもらってから、懐かしの湖に戻ってみることとしましょう。
通行門にいたシイ=ナはリイ=ナの幼馴染と言うことで、濃紺の艶々の髪をしたツンツン美人さんは私から見てもリイ=ナを意識してるのバレバレ。リアルツンデレさんのようでした。
そしてリイ=ナは典型的どん感さんのようでシイ=ナのそんな様子に全く気付く様子なしです。どうでもいいですね。
結界があるため、すぐさま私を中に迎え入れるとはいかないようで、シイ=ナがじじ様を呼びに戻っていきました。じじ様というのはアズ=イのことです。会ったこともないのにわかるのはほんと不思議な感覚ですね。じじいでいいと思います。
ちなみに結界と言っても物理的にはじくみたいなことは出来ないようで、「知らない人が入ってきたよ~」ってお知らせしてくれるだけみたいです。ま、侵入者だけをはじき出すみたいなご大層なものなんてそう簡単には出来ないよね。今までで知ってるものでもせいぜい魔法が使えなくなるとかぐらいだったものね。
それにしてもアールヴ族というのは揃いも揃って顔面偏差値が高くて爆発させたくなってきますね。アズ=イもじじいながら昔はさぞや……と思わせる面持ちの『イケじじ』です。総髪にした白髪に長く伸ばした口ひげや
どうやら結界を張ってるのはアズ=イを筆頭とする長老と呼ばれているじーさまたちのようです。取り込んだ記憶にもそこまで掘り下げた情報はなかったので、やはり現場に来ないとわからないことがあるということを実感させられます。
とは言っても村に入れないなら入れないで別にいいんですけどね。
好きにすればいいと思います。
じじいが結界魔道具への登録用プレート持ってきたようで、いつだったか冒険者ギルドでやったように魔力紋を登録して欲しいとお願いされました。
ペタっとさわってふんぬとそれなりに魔力を送ってやったらなんか虹色のプレートになってしまったね。
はい、わざとです。
魔石で出来るのならもしかしてと思ってやってみたら出来ました、虹色魔力紋プレート。
むふふん、えせ精霊様としてはこれで更に箔がつくってものでしょう、うん。
じじいも顎が外れんばかりに大口開けて驚いてくれてますからね、やった甲斐がありました。
これで心置きなく村の中に入れるんですよね?
「ミーア様、すごいです! あの、改めまして……私、シイ=ナといいます。ミーア様をお連れしたリイ=ナとは幼馴染なんです。私にぜひ村の案内役をさせてくださいっ」
うん、とても押しが強い子だね。
横に居たリイ=ナを押しのける勢いでアピールしてきました。私としては別に誰に案内してもらっても構わないので頷いておこう。
「うん、よろしく、シイ=ナ?」
そんなこんなでリイ=ナにシイ=ナ、ついでにじじいの三人に伴われて私はフィーラヴ村へと足を踏み入れたのでした。
***
ミーア様を迎えたその夜、フィーラヴ村を挙げての歓迎の
女神フェリアナ像と主フィーラヴの器が
村に住むアールヴ族のほとんどがこの場に
普段、酒精の入った飲み物を
宴にもそんな冬を前に樹海の樹々から取れた木の実を使った料理や、狩られた魔獣の肉を使った料理とか、太い丸太を割って作った即席のテーブルに多数並べられてる。今の時期の魔獣たちは特に丸々としていて脂ものっているから食べてもすごくおいしいんだ。ただ、その分活動も活発だから危険度も高いけど、汎人族との交流もない閉ざされたこの村で生きるには魔獣を狩ることでしか食肉を得ることは出来ない。
みんな命の危険も顧みず、狩りをしていく他ないんだけど、昔に比べて弱体化したとはいえ、易々と魔獣にやられるようなアールヴ族なんていやしない!
竜種や大型魔獣が出てきたら別だけどね。その時は一目散に逃げるのみだよ。
「ミーア様、これも食べてみてください」
シイ=ナが甲斐甲斐しくミーア様のお世話をしててすっごく意外だ。
ミーア様のお姿は今は背中の羽も消え、体から発する神々しいばかりの輝きも収まっていて言ってみれば汎人族の見た目になっている。けれど最初に輝きを帯びながら空に浮かぶお姿を見せつけたのと、じじ様の主フィーラヴ様に失礼があってはならぬとのきつい一言もあり、ミーア様を
っていうか、シイ=ナの態度を見ればわかるけど、どちらかというと皆ミーア様に気に入られようと次々と収穫した穀物や木の実、魔獣肉や腸詰めなどを貢いでいて、ミーア様の周囲はそれら貢物で足の踏み場にも困る状態になってきてる。
シイ=ナは要領よくミーア様の傍に居座ることに成功し、持ち寄られた貢物をさばきながら、手ずから食べ物をミーア様のお口へと運んでいるよ。
ミーア様はといえば、これも意外なことにそんなシイ=ナのされるがままになっていて、相変わらず感情の読みにくい無表情に近い面持ちではあるものの、特に不満に思われているご様子も見受けられない。
「はい、あーん」
シイ=ナのそんな言葉と共に口元に差し出される料理に、口を開けるミーア様。失礼ながらまるで親鳥からエサをもらう雛鳥みたいだよ。小さな口でも食べやすいようにちゃんと大きさを整えていたりして、普段、何事にも雑な行いが目立つシイ=ナとは思えないんだけど!
とはいえ、もぐもぐと食べ物を頬張る幼げなミーア様のお姿に、村のみんなも癒しを感じてるみたいで、周囲がゆるい空気で満たされていくのを肌で感じとれてしまう。
けどまぁ、日々厳しい暮らしを送る中、たまにはこんな時があってもいいか。
じじ様がそんな二人の様子をうらやましそうに見てるのがちょっと引いちゃうけどね。
とりあえず無事にミーア様をお迎えすることは出来たけど、この先じじ様たちの思惑通りにミーア様が動いてくれるかどうかはわからないと思う。
ミーア様がどういう行動をとるかなんて、僕には全く予測もつかないよ。
僕らの歓迎を受け入れてくれてるように見えるけど、ミーア様の行動は良く言えば自由、ぶっちゃけていえば無計画。
じじ様の言うことを素直に聞いてくれるかどうかなんて、それこそ女神フェリアナにだってわからないと思う。
僕はお役目を果たしたからね、後のことはしーらない。
そうは問屋が卸しません、きっとw