スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

69 / 102
年末投稿間に合わず。

忙しかったのです……。


あけおめ~(笑)


湖底の蹂躙戦

 湖で心置きなく全スライム体をびろろ~んと開放し漂うがままに彷徨(さまよ)い、周囲から色々吸収して糧を得ながらぐうたらして過ごす。

 

 なんともお気楽でストレスフリーな日々を過ごしているスライム娘、ミーア九歳です。ただしミーア休眠中につき、現在はスライム体ミーア、年齢不詳でっす!

 

 湖に入ってどれくらい経ったのかよくわかりませんが、幾分湖の水が綺麗になってきたんじゃないかな~?と思える今日この頃であります。

 

 

 漂っているうちにおぼろげながら湖の形がわかってきました。

 外周はほぼ長方形に近く、北を上に、時計で方向を言えば右側が四時の方向に傾いて、当然左側は十時です。斜めった長方形ですね。もちろん岸はまっすぐなわけではなくある程度の起伏もあり、小さな入り江や岬なんかもあって入り組んだ形にはなってますけれど、何しろ大きい湖なので全体から見ればほぼ長方形で間違いない!

 

 つうか長く居座ってて、今頃わかったんかいって話なんですが、仕方ないじゃありませんか! 地形とか遠くの様子なんて今まで気にする必要もなかったのですから。

 

 まぁそんな話は置いておいて、漂ってるうちにやたら濁りの激しいところを見つけました。

 長方形の十時側、北西方向になりますが、私が主に拠点としていた場所から一番離れたところで、アールヴの村もそうですが、過去の私が確認しきれてなかった……というか、しようともしてなかった場所です。

 

 うーん、どうしたものでしょう。

 

 別に放っておいても私はどうということもないですが……、そうは言ってもこの湖は長年過ごしてきた家ともいえる場所。気付いてしまったからには見て見ぬふりは出来ないというか……。

 

 仕方ないです。

 ちゃっちゃと様子を見てさっさとぐうたらな日々に戻りましょう!

 

 ああ、でもやだなぁ、あんなばっちい奴の中に入るの……。

 

 

 なんでしょうこれ、濁りがひどすぎてまるで毒々しい紫色した絵の具、それも油絵具の中にでも入ってしまったかのようです。濃厚で粘りのある汚泥のようにな状態になっていて、こんなの生身の人間が入ったらどうなってしまうのでしょう?

 毒々しい紫色をした汚染水、いえもうこれは汚泥(おでい)の層に突入したと言った方がいいかも。そんな状況にさすがのスライム体も思うように汚泥の奥深くに入り込むことが出来ないでいます。つうかマジ入りたくないよー!

 

 でもこんなの、さすがの私でも放置すればまずいってことくらい理解できます。

 

 スライム体魔力センサーで奥を探ります。

 

 くぅ~!

 

 なんでしょう、魔滓(まおり)が元になった汚泥のせいなのか、周囲がノイズだらけで全然様子が探れません。

 ここに来るまでも多少そのきらいはありましたが、ここまでひどいともう全く魔力センサーは用を成しません。仕方ない、スライム体自身で様子を探りながら地道に侵入していくしかないです。

 

 と思っていたところに汚泥の奥の方からけっこう強力な力で魔滓を吸いこもうとしている力が発生しています。今でもかなり凝縮されてそれこそ泥のような状態になっている魔力の残滓である魔滓が、更にギュウギュウと奥の方に向かって押し込まれるかのように吸い寄せられていきます。さっきまではそんな力は働いてなかったはずです。

 

 っていうか私の体の一部も持っていかれそうです!

 

 脈動を思わせるその動きは、明らかに生物っぽい何者かを想起させます。ギュウギュウ固めて集めて一体何をしているのか?

 いや、考えるまでもなく、私と同じように魔力の残滓を(かて)にしてるんだと思われます。でも固めてから吸い込んで食べる? なんて余計な手間をかけてます。私なんてなにもしないでただあるがままに吸収してるのに。やってることもとても局所的で私に比べなんと小規模であることか。

 

 ふふん、雑魚ですね!

 

 私はまだ見ぬ雑魚に対抗すべく、周囲の魔滓をこの辺り一帯のスライム体の全力をもって、がっつり吸収します。ちょ~と油絵具のような汚泥になっているものを吸収することに忌避感を感じますが原料はもとはといえば魔力。魔力として使われた残滓(ざんし)ですから気にしてはダメです。ダメなのです!

 

 私は吸い込もうとしてくる力に(あらが)いながら、こちらでもどんどん吸収していきます。手加減なんてしません、ああ、しませんとも。(ひらきなおり)

 

 どれくらい経ったでしょう。

 

 周囲の汚泥化した魔滓の密度が随分薄くなってきました。

 それとともにノイズが薄れ、スライム体魔力センサーの働きも復活してきました。

 

 います。

 

 私の漂っている層よりも更に深い処。湖の底にへばりつく感じでかなり大きな塊感のある物体が存在しているのがわかります。どんなやつなのかちょっと肉眼で確認してみたくなりました。

 

 スライム体で作った目玉で見るよりミーアの目で見た方がより理解しやすい。

 ほら、やっぱり元日本人中年サラリーマンである私は人であることをアイデンティティとしておりますから。どれだけ長くスライム(っぽいもの)で居たとしてもやっぱり人の形が良いのです。

 まぁそう言いながらも湖でぐうたらするときはスライム体一択ですが。だって仕方ないじゃないですか、湖の中で人の体では生きづらいですから!

 

 はぁはぁ、ま、そんなことはどうでもいいですね。

 

 謎空間からミーアボディを出し、汚泥を間違っても吸いこんだり飲んだりしないよう、スライムコーティングで防御。久しぶりにスライム脳としてミーアボディに戻りました。昼夜関係ないスライム体ゆえ、時間の認識が薄れるので、どれだけ経ったかはとんとわかりません。

 

「うーん、随分きれいになった感じです。さすが私!」

 

 ミーアアイで湖の様子を窺えば、入水したときとは大違いの透明度になっています。入った時は視界なんてないようなものでしたから。この辺りに至っては汚泥! 視界? なにそれって感じでしたし。

 さすがにまだ普通の人が泳いだりはできないでしょうけど、それだって近いうちに出来る様になるでしょう。あ、まぁ、私が漂ってるうちは魔力吸っちゃうから無理でしょうけれども。

 

「さて問題のブツはどーれかな?」

 

 魔力センサーの示す方向。

 湖の底。

 

「うげっ」

 

 いけない。美幼女らしからぬ声を出してしまいました。

 ちなみにスライム体コーティングされた体は普通に声を出せます。が、もちろんそれが伝わる先はないのでとても無意味な行為です。けれどねぇ、やっぱしゃべりたいんです。独り言でもいいじゃないですか!

 

 兎も角、そんな声を出さざるを得ないものが存在していました。

 

「き、きもぉ……」

 

 湖の底、露出した岩盤にびっしりと根を這わすかのように細かい足が四方八方に伸びていて、その中心から茎のようなものがみょ~んと伸びあがっています。しかも結構図太い、土管みたいな茎です。茎と言ってもうねうね動いているので動物、いえ、あれはきっと魔獣の一種なのかも知れません。

 茎の先には大きな釣鐘(つりがね)のようなものが付いていて、開口部となっているのはもちろん口ということなのでしょう。

 その体は魔滓の影響なのか全体的に濃い紫がかった半透明なもので、どこかスライム体にも通じるものがあります。いや、あんなものと同じだなんて私は断固拒否ですが。

 半透明ゆえに体の中の動きが半ば透けて見え、とてもぐろい。釣鐘の口はまさに口でイソギンチャクみたいに細かいひげみたいなのが周囲にわさわさついていて、中は中で、細かい触手がさらにうにょうにょしててマジやばい。何がって、とにかくヤバい。

 

 大きさは優に私の三、四倍ほどの高さがある感じ。けっこうでかい。

 この期に及んでまだ私のことを吸いこもうと必死になってるところがまたイラっとします。

 

 足元の大量の足もよく見ればうにょうにょしてて、何あれ、移動していってない?

 ああ、大量の足の動きに背筋がゾゾっとした気になってしまいます。

 

 しかしまあ、生き物だし動きもするのか……。

 

 つうか考察なんてどうでもいいわ!

 

 更に恐ろしいことにそんな奴が、しゅ、集団でいました!

 最初に見つけたやつの奥に三匹も居やがるのです!

 

 げきやば、きも!

 

 魔法で抹殺する。

 渦潮だ、渦潮。それに真空のカマイタチを混ぜよう。

 この辺り一帯にいる釣鐘イソギンチャクもどきを全てヤル。

 

「でっかい渦巻きカマイタチ付き、ホワールプールアンドウインド、ラピッドローテ!」

 

 いつも通り適当な詠唱だけど、イメージです、イメージ。

 気分よく放てればそれでOK!

 

 直径五十メートルは下らない大きな渦。その渦に時折混じる鋭い刃風。いや、水の中でそれはありなの?って思うけど、魔法にそんなことを問うてはいけないのです。何より発生しています。

 まるで飛行機のタービンがごとく凄まじい勢いで回る水の渦に、タービンの(ブレード)のような真空の刃が入り混じって周り、湖底を根こそぎ削り取っていきます。削り取っていきます。

 

 放った私もドン引きの魔法になっちゃいました。

 スライム体全出しで魔力も大量だったのがいけなかったのか……。

 

 渦は豪快に周囲を切り刻みかき乱し回転しながら、更に移動なんかしちゃってくれてます。

 

 それはもう大変。

 

 対象物はもう粉みじんで跡形もありません――。

 凄まじいまでの過剰魔法でした。

 

 湖底すら通ったところはえぐり取られてます。

 

 

 なんというか、その……。

 

 

 すまんかった。

 

 

 

 

 

 ついでに私も巻き込まれそうになって、必死にカウンター魔法放って抗ったのでなんとか巻き込まれなかったのはナイショということで一つ……。

 





一方的じゃないか……

我がぐ……ゲフンゲフン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。