スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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前説的状況

「この俺を呼びつけるのだ、それ相応の話なのであろうな?」

 

「ふおっふぉ。おぬしはほんに度量の小さき男じゃのぉ。(あるじ)フィーラブ、お呼びと聞き、アズ=イ、参りましたぞ」

 

 シイ=ナにお願いして、二人に来てもらった。

 面倒な役目を押し付けてシイ=ナには申し訳なかったと思ってます。ほんとに。

 

 どうでもいいけれど、ほんとハンバーグさんは面倒くさそうで本来なら絶対関わりたくない人ナンバーワンです。アズ=イがいるとちょうどいい緩衝材になって良きです!

 

 訪れた二人の後ろにはぞろぞろ付属が引っ付いて来てたけど、シイ=ナの家に入り切れるわけもなく、シイ=ナ母が中に入るのは少数を除いて遠慮してもらってました。

 で、普段なら家族で囲んでるだろうテーブルに胡散臭い大人二人が並んで座り、その向かいに私、両隣に保護者然としたシイ=ナとアンヌが座ってます。狭いので互いに密着して圧がすごいんですが。アンヌは向かいのハンバーグさんの射るような視線を避けるように(うつむ)き加減ではあるものの、下がるつもりはないみたいです。

 

 リイ=ナはあきれ半分、心配半分みたいな雰囲気で私たちの後ろに控えてます。

 

 私は腰に下げてた収納袋(中は当然スライム体謹製無限収納ぷにょ袋)から暇があるごとに周辺で倒した魔獣から取った魔石で作っていたやつを取り出し、テーブルの上に並べていきます。こんなこともあろうかと!(すみません、うそ。適当です)、有り余ってた時間を活かし、ぷにょ転移であそび、いや転移を活用しながら、スライム体による物量作戦でもって行ける範囲をどんどん広げそこら中を徘徊してたのです。

 

 まぁ、とりあえず二十個くらい出しときましょう。

 

「これは虹色魔石! 大粒でしかもこのような数、どこに納めていたというのだ? 一体何を考えている。そもそも先ほど空を飛んでいたこと、アールヴ族に(あるじ)やら精霊などと呼ばれていること。女神像の破損。そして関連性があるのかわからんが、その方が意識を失ったことといい……、色々と確認せねばならぬことが多すぎるのだが」

 

 長々しゃべりながらハンバーグさんが(にら)んできました。

 アズ=イは黙って私を見ています。目元は良く言えば優し気ですが、ぶっちゃけ私にお任せって感じで思考を放棄してる気がします。

 

 けれど、面倒なんで質問なんてスルーです。あとでアズ=イたちに聞いたり勝手に考え、悩んでください。

 

 私は心底どうでもいいので。

 

「それあげる。いまからきっと、ひつよう。めがみ、ことば、あったので、つたえる」

 

「おおっ、女神様とお話をされたのですな! さすがは湖の精霊たる主フィーラヴ。感服いたしますぞ。それにそれは魔石ですな? 随分と大きく、しかも虹色とは見たことも聞いたこともありませぬが、なんとも神々しいものですなぁ」

 

 あぁ、う、うん。何かにつけて大げさだよね、アズ=イ。

 

 夢? の中のおつげ? 言葉として現れたものはとぎれとぎれで理解に苦しむものでしかなかったけど……、最後の盛大な頭痛と共に頭の中に嫌と言うほど押し付けられた強い願い、それでなんとか言わんとすることは伝わったのです。

 

 だから翻訳したものを聞かせます。

 

「さいかのきょうりゅう、っておおきな、まじゅう? が、あらわれ、る。めがみのふういん、やぶれる。ここのまじゅうたち、のがれるためにかいきょうわたって、そっちにいっぱいいく」

 

 うーん、説明するための語彙不足に悩まされますね。伝えるのって難しい。

 そもそも女神だって説明不足なわけですけれど。

 

「聞き取りにくいが、災禍の凶龍? それを女神フェリアナが封印しているというのか? なんだそれは、俺はそんな話、聞いたこともないぞ。ヨアン、知っているか?」

 

「いえ、私も聞いたことはないですね……。災禍の凶龍と言う言葉も今初めて……」

 

「わしも知らぬことでありますな。だがですじゃ、この世界で長きを生きたアールヴ族の長老たちは残念なことにみな過去の()()()()()で天上世界へと召されましたからの。偉大なる先人たちの中にそれらの話を伝える役を担っていたお方もおったのやもしれませぬ」

 

 ハンバーグさんたちの会話に被せる様にアズ=イがねちっこく語ってます。穏やかそうに見えて、相当過去の弾圧を(うら)んで、根に持ってるよね。

 

「……ふん。兎も角だ、魔獣の海峡渡りが増えているのはそれが為だというのか? フェリアナ様が封印しているというのなら、それがなぜ今破れてしまうのだ」

 

「さあ? まじゅう、ふえすぎ。とちがうのかな? よくわかんない」

 

 

 …………。

 

 

 とは言いましたが。

 

 

 実は私がもっと世の中の魔獣を間引きし、世界にある魔素?を、浄化しなきゃいけなかったっぽい。

 

 うん、私、湖にずっとひきこもってたしね。

 樹海から出たのもつい最近だしね。

 

 しかもまた出戻ってきたし。

 

 

 いや、私悪くないでしょ?

 聞いてないし!

 

 ねぇ?

 

 

 説明不足、というか、放置だったよね!

 

 

 私は絶対悪くな~い!

 

 

 それにハンバーグさんたちだって自業自得だよね?

 女神様の話を伝えてたはずのアールヴ族を弾圧しちゃったんだから。

 

 みんながもっと仲良くして、樹海もほったらかしにせず、色々やってれば良かったはずなんだよ、うん。

 

 

 きっとそう!

 

 

 だからまぁ、これは言わないでもいいよね?

 

 

 

 

 で、肝心の災禍の凶龍がどこに封印されてるかっていうと!

 

 

「なっ、わからないとはなんだ。それに結局、災禍の凶龍とはどこに封印されているのだ!」

 

 

 あ、今言おうと思ってたのに~。

 

 

「ここ。みずうみのさきにある、やま。そのした。でも、もうでてくる、よ?」

 

 

 

 そう、だから私、ここに転生したみたい?

 

 

 ほんと聞いてないし、そんなの。

 うん百年好き放題、自由に生きて来たのに今更そんなこと……、ねぇ。

 

 

「もう出て来る、だと? と言うかだ、その方が言っていることが正しいかどうか、(まこと)かどうかもわからないではないか。何か証明できるものはあるのか?」

 

 そんなこと言われたって。

 

「ない。しんじない、なら、べつにそれでもいい。わたしは、わたしで、かってする。いしはあげた。それでがんばる、といい」

 

 だからもう帰っていいよ?

 あ、アンヌは居てもいいんだからね!

 

 私とハンバーグさんとのやりとりにアタフタしてるアンヌ、見ててほっこりします。私はSっ気があるのかしらん?

 

 そんなやりとりをグダグダやってたそんな時。

 

 

 ずんっ、ずずぅん。

 

 っという感じの、お腹にがっつりくる、地の底から響いてくるような、細やかな、でも大きな力を感じる、空気を震わせるような振動が周囲一帯、かなり大きな範囲で拡散しました。

 

 うそじゃないよ。

 辺りに散ってるスライム体からの情報なんだからね!

 

 

「きゃ」

「なんだこれは?」

「おお、オルガ、何これ~」

「女神様~!」

 

 

 樹海のほうからも、ざわめいた魔獣の騒々しい鳴き声がここまで届いてきますし、鳥類とかもびびって一斉に飛び立ったみたいで、空にもかなりの魔獣たちが飛び交っているのがわかります。

 

 ここも、樹上宮(ツリーヴィラ)だって当然そうで、悲鳴と驚きの声が上がり、腰を落として警戒したり、床にへたり込んだり、キョロキョロと落ち着きなく周りを見回したりと、皆が浮足立っています。村の中だってそんな感じです。

 

「スヴェン様っ、ケービック砦から魔伝書簡(マナエピスル)が届きました。岸壁に居ついていたワイバーンの群れに動きが出ているとのこと。至急戻られたし、と、ひぃ~!」

 

「スヴェン隊長、実は会談中にダール伯クリスティアン様よりも魔伝書簡(マナエピスル)が届いております。領内のいたるところで魔獣が浮足だっている様子で、領都及び、各地の警備隊に注意喚起を促すと。それと、早く戻って欲しいとも」

 

 えらそうな雰囲気のお貴族様や美男子ヨアンさんがハンバーグさんになにやら報告してます。

 はかったかのように、一気に騒々しくなってきました!

 

「ミーアちゃん!」

「ミーア様」

 

 アンヌとシイ=ナが両側からその腕を回し、私の腕に絡ませてきます。

 あのぉ、そうされると身動き取れないんですが……。

 

「あんにゅ、しんぱいない。ちょっとわたし、いってくる。シイ=ナも。だから、ここのことはおねがい。ませき、ゆうこうにつかって、ね」

 

 関係ないと思ってたものの私に関わりの深い人はちゃんと守りたいとも思います。アンヌには虹色魔石を個人的にも渡しておきましょう。

 

 

 まぁあれです。

 アールヴの村くらいはきっちり守るようがんばりましょうか。

 

 ついでにハンバーグさんたちも……。

 

 

 あ。

 

 あんにゅ、いや、アンヌにはぷにょ袋を渡しておこう!

 そうすれば、いつでもアンヌのところに来れますからね。

 

「あんにゅ、これ、おまもり。いつもみにつけてて、ほしい」

 

 収納袋から取り出した小さな皮袋を手渡しました。もろ日本のお守り袋みたいなイメージ。

 収納袋としては使えません。口は閉じてますし、そもそもアンヌでは魔石の魔力を読み取れませんからね。

 

お守り(アミュレット)? まぁ、なんてかわいらしい。ありがとうミーアちゃん、大切にするね」

 

 その笑顔、まぶしすぎ。アンヌ尊い。

 

 …………。

 

 シイ=ナがすがるような目で私を見てきます。

 

「シイ=ナ……、にもあげるね。はい」

 

 うーん、ほんとはそんなつもりなかったけど……、仕方ないか。試しにいくつか作ったやつの一つをあげる。

 

「ありがとうございます、ミーア様!」

 

 思いっきり抱きしめられました。

 あきれてるリイ=ナの視線がちょっと痛い。

 

 リイ=ナ、すまないけど君にはあげないよ。キリないしね。ま、どんな効能があるかもわからないもの、そんなに無理して欲しがるモノでもないよね。

 

 

 微振動は断続的に起きています。

 時折、大きくなったりして、そのたびに周囲がざわめきます。村の外も中も。

 

「ミーア。その方、湖の精霊というのが真実なのだとすれば、この状況を打開できるというのか? 女神フェリアナの告げというものを我らは聞いたわけではない。そこのアールヴ族のことも信用できるはずもない。だが口惜しいことに俺はここに留まることが出来ぬ。よって、その方が懇意にしていたという冒険者二人と、アンヌを置いていく。先ほどまでの話が真実だと言うのであれば、結果を示して見せよ」

 

 なんかまたグダグダ言ってますけど、言ってることの半分も理解不能~。

 理解する気もありませ~ん。

 

 

 私は私の出来ることをするだけ。

 

 女神のことはちょっと思うところはあるけれど。

 

 

 ほんとさっさと終わらせて、こいつらとの関係もさっさと断ち切ろうっと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、アンヌは別ね。

 





長い……


冗長にすぎた……


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