スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話 作:あやちん
「ぐは……」
ま、まじですか?
龍の尻尾?に貫かれたミーアボディはもう千切れてしまいそうなくらい、繋がってるところが少ないです。
胸のほとんどが穿たれ腕がかろうじて繋がってて、お腹も大穴、左足はどこかへ行っちゃいました。
頭は無事ですが、それがどうした?ってくらいの損傷具合です。
背中の翅はまぁ、スライム体なので即復元されて、今は普通にプルプルしています。
私をそんな状態にしてくれたにっくき尾っぽは引き抜かれ、今は私の目の前でフラフラユラユラ漂いながらも再度の攻撃チャンスを虎視眈々って感じです。
ミーアボディの心臓はぶち抜かれてすでになく、血がぼたぼたというか、ざばーっと流れ落ちてしまって、体の中はもうすっからかんに近いのではないでしょうか?
「くっそ、よくもやってくれたね! こんな状態じゃ、あんにゅに会えないじゃない。どうしてくれるのっ!」
とりあえずスライム体を謎空間からどんどん出してボディの補完をし、バラバラにならない様にします。後のことは今をなんとかしてからです。
凶龍本体はどうなったのかしらん?
尻尾の監視をスライム体で行いつつ、本体に視線をやります。
エクスプロ―ジョンに見舞われた凶龍もさすがに無傷とはいかなかったようで、わらわらと生えていた胴体の無数の竜たちのほとんどが燃え崩れていました。ですが、その跡地からまた肉芽がうごめいているのが確認出来るので放っておけばまたにょろにょろうざくなりそうです。
肝心の大本、三叉の頭は残念ながら健在ですが、うねっていたきもい鱗肌も焼けただれ、今はがちがちなひきつり状態になっています。
『グルルルぅ……』
うなりながらこちらを睨んできます。
爬虫類のような縦に長い瞳孔。
真ん中の首が大きく顎を開き、ドラゴンと言えばのブレスを吐き出してきました。
話によく聞くような
極太炎のブレスです。
放たれれば村一つくらいあっさり消滅しそうなやつです。
ま、来るとわかってれば避けるなんてた易い。と思ってたら次の首から二撃目が来ました。
放たれれば――、以下同文。
どちらもまともに、しかも長時間喰らえばそりゃ大変な被害になるでしょうけど、飛んで逃げ回る私にはぶっちゃけ効果は期待できないです。
「むだむだ~!」
といいながらも私にも決め手がない。
あのエクスプロージョン二連発で決められなかったんです。物理的な放射技では、倒し、滅しきる効果は期待できないし、出来たとしてもめちゃ時間かかりそう。
考えてたら三撃目がきました。
ブレスと言うか、予想の範囲、雷撃です。
真ん中の龍の角から放電が放たれ、うざいことに口からも普通にファイアブレスを放ってきます。ついでに両側の龍も再度同時に放ってきます。
「くぅ、めんどう!」
雷撃はちょっと苦手です。私は奴らの攻撃から逃げるどころか、いっそ凶龍に向かい飛び込んで間合いを詰めました。
「マッドドーム三重! そして、こっちも雷撃脳天直撃~、ライトニングブラストっ!」
マッドドームで防御しつつ、雷撃をお見舞いします。
ふふん、私だって雷くらい使えます。プラズマ発生なんてお手の物なんですからね。
つうかもう、魔法とか属性とか無視しまくってる使い方してます。
結局この世は
呪文とか、魔術とか、魔法陣とか……、そんな設定は人族でせこせこやっておいてください。
ぶっちゃけた。
凶龍の攻撃からなんとか逃れ、こちらが放った攻撃で凶龍の動きを少しの間
図体でかいと小回り利かないよね。
小回り役であろう、胴体のうねうね竜たちはまだ復活してないしね。今のうちだね。
尻尾もいるけど、本体に取り付いた私への攻撃はやりにくいみたいで右往左往しててうける。
うん。
やっぱ災禍の凶龍、あったま悪い。
本能だけで動いてる感じで、言ってみればひねりがない。地中からの尻尾攻撃が限界だね。
元日本のサラリーマン。そしてこの世界でも生き抜いてきたミーア様の頭脳をもってすれば貴様の攻略などた易い、うぇっ!
油断してたら復活しだしたうねうね竜たちが私の体に巻き付いてきた。
「ちょ、まっ」
いや待って。なんでここで触手プレイ!
さっきに比べてやたらサイズ小さくて細くて、こまかくない?
ここまでの戦いでまとっていた服は四散しボロ切れ紐状態、私は既に全裸といっていいわけ。
こんなの放送禁止です!
凶龍さん、復活時間を優先してダウンサイジングしやがってます!
そりゃ私のサイズならそれでも十分か? なにが? え? エロはないよ~~~!
ミーアボディは既に穴だらけですしおすし。(死語)
「いったぁい!」
め、女神ぃ、ええっ、っざけてないで仕事しろって?
女神から突っ込み入れられた件。
くっそぉ。
「出せる限りのスライム体出動です!」
そう、初めから狙いはこれ。
そもそも私の役割は浄化。
私は浄化の担い手であり、浄化を行う役目を持たされた精霊として世に広まっていくはずだった。
うまくいかなかったけど。
私悪くない。
ちゃんと伝えてない女神が悪いんだもんね。
ま、ともかく最後までがんばりますか!
災禍の凶龍。
その体にへばりついた私は、
やがて二百メートル以上の巨体、更には地中に埋まっている更に大きな部位、胴体以下をも覆いつくすことに成功した。
***
人に寄り添おうとした大昔の精霊たち。
それをいいように使われ、やがて人の悪意に染まっていき。
ついには魔素に侵され、その在り方を変えられてしまった精霊たち。
代わりに世を
魔素の増加と反比例するように精霊は減り、それにより更に魔素は増えて行き、いつしか世界から精霊は完全に姿を消した。
――なんてことらしいが、そこまでなるまで放っておくとか……、存外女神も厳しいというか放任主義というか……。
まぁ魔獣といってもピンキリだし。
それがために魔法技術だって発達したわけだし。
それでもまぁ、人を見捨てず俺……、元日本人サラリーマンであるこの私にこんな役割を与えてこの世界に呼び寄せたのは……、まだあきらめてなかったと言うべきなのか?
まぁ随分放置されてた気もするけれど――。
***
災禍の凶龍をスライム体で封じ込めてすでに七日は過ぎたと思います。
さすがのスライム体をもってしてもこの物量を吸収するには時間が必要でした。何しろ数百年以上にも渡る魔素の塊なわけで、いつもみたいに一瞬で吸収ってわけにはいかないのです。
それでも私はやり切りました!
これでやっとアンヌに会える。
スライム体により魔素を吸いつくされた、凶龍だったものはその巨大な体積を維持することは当然不可能。このままこの巨体を放置し腐敗させてしまうのもなんなので、火葬して送り出したいと思う。
ちなみに。ちなみになんだけど。
この災禍の凶龍の元になった精霊なんだけど。実は三体いました。凶龍だったころの三つ又の首。それがそのまま精霊たちに通ずるものだったみたいで、その元になった精霊たちがどうなったかというと。
「うわっ、ちょっと眩しいから!」
はい。
私の周りで元気に飛び回っています。目の前をキラキラしながら飛び回るのでうざ……、いえ、眩しくてしかたないのです、はい。
火の大精霊。水の大精霊。そして風の大精霊。
雷を駆使していたのは風精霊だったようです。
この子たちにひじょ~に、懐かれてしまいました。
「はぁ。面倒がまた増えました。どうしたものでしょう?」
荒涼とした大地。
破壊され、更に荒涼とした風景に拍車のかかった山の中腹で巨大な龍の亡骸が燃えています。
高火力の炎です。
すべては白き灰に。
やがて風に吹かれ、綺麗な塵となって世界に戻ってくれることでしょう。
「はっず」
え、っへん。
とりあえずアンヌのところに戻りま……、え?
なに?
久しぶりの女神痛です。
「な、なんだとぉ~! なに、勝手なっ」
い、今更日本に帰す……だって?
ざ、ざけんなっ。
私はアンヌのところに……、かえ……る――――。
次回から短いけど終章