スライムになった私が女の子の体を使ってどうにかなった話   作:あやちん

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終章です


Crossworld
転移?あるいは放逐


「んう……」

 

 

「んんっ……」

 

 

 

 …………。

 

 

 ……んん、何? なにか……に、つんつんされて、る?

 

 

 ……ううん…………。

 

 

 うっとうしい、なぁ……。

 

 

 

 ――――――。

 

 

 

 

 

「――くはっ、あんのクソ女神ぃ~!」

 

 

 

 

 いつから続いていたのかわからないまどろみの中、ぼんやりした気分に(ひた)っていたものの、外部から何かしらの刺激があるのを感じ、(わずら)わしく思ったのが最初の意識でした。

 

 

 そこから意識は急上昇、頭の中のもやもやも一気に晴れていきました。

 

 

 そこで思わず口をついて出たのが今の言葉。

 

 そう。

 

 あのフェリアナとかいうクソ女神、私をいいように使うだけ使って終わったらポイしてくれましたよ!

 

 結局女神の姿を拝むことすらありませんでした。

 してくれたのは、こんな存在にされた? のと頭痛だけという、とんでもない奴でした。

 

 

 きぃーーーっ!

 

 

 と、ともかく、結局私はどうなっちゃってるんでしょうか?

 

 

 さっきから私をツンツンしてる、意識が戻るきっかけになったものをまず確認しよ。

 

 どうやら横たわってるみたいなミーアボディをごそごそ動かし、上半身を起こします。何とか動きましたが久しぶり? に動かすせいかちょっとぎこちない。

 

 っていうかそれもそのはず、ミーアボディ……何とも凄惨な状態になって、スライム体で応急で欠損部位を補完してバラバラにならないよう誤魔化していたんでした。

 

 そのビジュアルのグロさに我ながらちょっと引きます。

 

 でもアンヌと再会するためにはミーアボディをあきらめることは極力したくない。

 

「ん?」

 

 目の前で三つの輝きが、目まぐるしい動きで飛び回ってます。

 時折勢いのまま私にアタックしてきたりもします。輝いてるだけの物体かと思いきや、こそばゆい不思議な感触が感じ取れます。中に核のようなものが存在してるんでしょうか?

 

 ま、いいですけど、そうか、この子たちがツンツンの原因だったのですね。

 

「君たち、どうして一緒に? でも起こしてくれてありがと」

 

 私の言葉が理解できるのか、途端に勢いと輝きを増して飛び交ってくれたので鬱陶(うっとう)しいくらいです。(言わないけど)

 

 

「私、どうなっちゃったんでしょう? それに、ここどこ……かな?」

 

 

 ミーアボディのことは、良くないけど横に置いとくとして、まずは状況確認したいです。

 

 私が横たわってたのは落ち葉交じりのふわふわした地面の上。木漏れ日が差し込んでくるぐらいの明るさがある森の中でした。感じるとれる気温も過ごしやすいと感じるくらいのもので、土の中とか、水の中っていうのじゃなく、クソ女神もそれくらいは気を利かしたってとこなのでしょうか?

 

 まぁどっちでもいいんですけどね。

 ああ、でもボロボロのミーアボディを思えば今の状況は随分マシというべきですかね。

 

 けれど、森の木の知識なんて全くない私にはこれだけでは何の判断の足しにもならないです。とは言ってもヴィーアル樹海の中でないのは間違いないとは思いますが。

 

 ってことで、周りの状況確認するためスライム体で目玉つくって、みょ~んと上に伸ばしていきます。

 上空から周囲確認です。スライム体もちゃんと普通に活動できてますが、でもいきなり自身で飛び上がるのはやめておきます。体もまだ万全ではないですし、油断禁物です。

 

 うーむ、けっこう森の奥にいるようですが、十メートルも伸ばせば森から先の景色も確認できるようになりました。

 

「こ、高速道路!」

 

 なんといきなりわかりやすいもの発見です。

 

「まじですかぁ……」

 

 はやる気持ちを抑え、さらに観察します。

 

 わかりやすいもの……、道路標識を注視。

 

 

「に、にほん、日本語……です!」

 

 長い時を生きていようが忘れたことは一度もない……。日本の文字。

 こ、これは、間違いなく……。

 

 

 私は読み取った地名から、気持ちがとても高揚しました。

 急いで更に高度を上げます。

 

 そうすることで見えてきた景色……。

 裾野からすぅ~っと優美に滑らかな曲線を描きながら伸び上がっていく雄大な景色。

 

 

「ふ、ふじ、富士山……です」

 

 

 ミーアの目から涙がにじんでいます。

 意識して出そうとしなければそんなこと出来ないかったはずなのに……、なぜか自然に、どんどんあふれ出してきています。

 

 

「まじ、帰ってきたのかよっ!」

 

 

 いけない、つい言葉が乱れてしまいました。

 

 

 女神は日本に帰すとか……、夢のようなことを女神痛で告げてきました。ですがそんなことが出来るものかって半信半疑でしたし、あの状況でいきなりでしたから、今更何言ってるんだって逆に(いきどお)りすら感じました。

 

 で、そのまま有無を言わさず意識を刈り取られた訳ですが……。

 

「日本に帰すって、ほんとのほんとにマジだったのか。だけど、だけどさっ、俺、ミーアボディで居て、スライム体のままなんだけどっ?」

 

 つい感情が(たかぶ)ってしまいます。ここは落ち着かなければっ。

 

 とは言ってもさ、グロなミーアボディそのまま、スライム体だってそのままで、どうやってこの日本生きていけと!

 

 ほんとに、あんのクソ女神ぃ!

 

 

 日本に戻れたっていうのは素直にうれしいけどさ……。

 それにしたって急すぎだろ!

 向こうでやり残したことだって……。

 

「ああ、あの後どうなったのかなぁ? 凶龍は倒したとはいえ、あいつが出す魔力に怯えた魔獣は相当浮足立ってたようだし……アンヌ大丈夫かな?」

 

 アールヴのみんなもいたし、オルガやドリスだってついてたし、大丈夫だと思うけど……、心配すぎる。

 

 

 

***

 

 

 ミーアボディは本当に損傷がひどく、本当なら新しい体に乗り換えたいところなんだけど、アンヌとの再会をあきらめていない私としてはこの体でなんとかいていきたいと思います。

 

 スライム体で体のコピーみたいなことが出来れば良いのですが、人の体もですが物質の完全複製とかは無理なのです。存在してるものの強化や増殖は出来ても同じものにはなれません。もちろん形を真似ることはでき、今もそうやってミーアボディを維持している訳ですけれど、見た目自体はスライム体であり、人の肌や、髪の毛、爪などなど、質感や色を再現するまでには至りません。

 

 無くなった足の代用はスライム体で出来ても、それを他者に見せればどうなるか……、考えたくもないです。

 ああ、欠損を治せる魔法でもあればいいのですが、無いものを無から創り出すなんてそんな都合いい魔法はありはしません。

 

 ちなみに魔法ですが。

 

 ためし撃ちとかしてみたところ普通に使えました。この世界に魔素とかは無いみたいですが、私の魔法の行使にはなんの影響もありません。

 

 ()()()()()

 

 スライム体(わたし)のお食事が出来さえすれば魔力は自身で賄えるのですけれどねぇ。

 

 魔獣のいない、この世界。どうやって燃料補給しましょうか?

 

 私に引っ付いてきた精霊たち。彼ら(彼女ら?)もその問題があるはずなのですが……、こ、こいつら、時折私にツンツンしてくるからよっぽど懐いてるのかな? と思いきや、どうやら私から燃料補給してる模様。

 

 

 …………。

 

 

 まぁいいんだけどねっ!

 

 

 とりあえず、ミーアボディで細胞の再生力を強化することで治せるところは治しました。が、やはり無くなった部位はどうあがいても無くなったままです。

 

 心臓はないし、左足は膝から下がありません。

 

 お腹の中もほとんど空っぽでしたが、残っていた胃から出口(おしり)までは、これもわずかに残っていた腸を増殖して伸ばすことでつなぎ合わせ、なんとか開通させました。これで口にものを入れるふりくらいはできますね!(まぁスライム体でごまかすことも出来ますが)

 

 うう、フランケンミーアです。

 

 ちなみに女の子特有のあの臓器は無事でした。でも、そもそも本来の血液がない状態、スライム体の力で生かされてる体なわけで……、もし()()を致したとして、出来るものなのでしょうかね? わが子孫。(ただしくはミーアの子孫だけど)

 

 ま、試したくもないですがっ!

 

 心臓は無くとも問題ないでしょうけれど、色々注意は必要ですね。血液は作れなくなり、その循環も無くなりました。体細胞の活動は完全にスライム体で行うこととなります。

 

 以前から血色の悪い肌だったわけですが、もうほんと不健康を通り越し死体のような肌色に……。これはちょっと対策しないとまずいレベル。

 

 どっかに心臓落ちてないですかねぇ? 

 

 …………。

 

 ま、スライム体を極力赤に近い色にして血管を循環させるようにしましょう。

 

 

 とりあえず。

 

 血液検査、ダメ絶対!

 いや、それ以前に異世界人の体がそもそもアウトでしょうけれど。

 

 ま、そんな心配、今してもしょうがないと言う。

 なるようになるしかないです。

 

 

 まだまだ確認しなけりゃいけないことがいっぱいあります。

 日本にまた戻れたことは素直にうれしい。

 

 けれどどうやって生きていくの?とか、問題も山積みです。

 

 それに。

 それに、このまま女神にいいように使われたままっていうのは釈然としないにもほどがある!

 

 

 元日本の……、おっと、ここはもう日本なのでした。

 

 ただの冴えない中年サラリーマンでしかなかった私ですが、あちらではそれなり……に頑張ってたはず!

 

 

 なので、もう少しあがいてみたいと思います。

 

 

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