結城勇太は勇者である   作:モンハン太郎ゆゆゆスキー

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第十四話 終わる合宿、戻る日常。

 コンコン! 

 

 俺はノックの音で目が覚めた。園子ちゃんは俺の手を握ったまま未だすやすやと寝ている。手を離すことに若干の罪悪感を感じながら、扉へと向かう。そういえば、園子ちゃん達の部屋は襖だったのに、なんで俺の部屋は普通の扉なんだ? まぁいいか。俺は扉を開ける。すると扉の前には、何やら焦った様子の須美ちゃんと銀ちゃんがいた。

 

「おはよう、二人とも。こんな朝からどうしたんだい?」

 

「兄さん、乃木さんが……!」

 

「兄ちゃん、園子が何処に居るか知らない⁉︎」

 

「あ、そういうことか。おいで、ただ、静かにね」

 

「「?」」

 

 まぁそうだよな、一緒に寝てたはずの友達がいなかったら驚くよな。それに直ぐに気がつかなかったのは疲れのせいか? やっぱ座って寝るのはダメだな。話しが逸れた。俺は二人を部屋へと入れ、園子ちゃんの寝ている布団を指し示す。二人は安堵の表情を浮かべ、座り込む。少しうるさかったのだろう。園子ちゃんが目を覚まし、挨拶をしてくる。

 

「おはよ〜、おに〜ちゃん」

 

「はい、おはよう。二人もおはよう」

 

「おはよう! 兄ちゃん! 園子!」

 

「あっ、えっと、おはようございます。兄さん、乃木さん」

 

「おはよ〜、わっしーにミノさん。……あれ? なんで二人がここに〜?」

 

「あなたを探してたのよ、乃木さん!」

 

「いやー、兄ちゃんのところにいて良かった」

 

「あはは、ごめんね? ちょっと怖い夢を見ちゃって」

 

「ありゃ、大丈夫か?」

 

「うん、おに〜ちゃんが一緒に居てくれたからね〜」

 

「ありがとうございます、兄さん」

 

「うん、どういたしまして。というより、妹が頼ってくれたんだから応えただけだよ」

 

 少し怒ったように話す須美ちゃんと、落ち着いている銀ちゃん。……やっぱり須美ちゃんはまだ、本当の意味で信頼できてないのかな。自然体の須美ちゃんならもっと冷静に行動できるだろうな。そんなことを考えていると、須美ちゃんがお礼を言ってきた。……確かにまだ信頼できていないのかもしれないけど、安堵の表情を浮かべる須美ちゃんを見ると杞憂に終わりそうだな。

 

 不意に何処かからくぅ、という可愛らしい音が聞こえた。

 

「〜〜〜っ!」

 

 俺も園子ちゃんも銀ちゃんも、音の聞こえた方を向く。そこには真っ赤になった須美ちゃんがいた。

 

「ははっ、もういい時間だね。朝ごはんを食べようか」

 

「さんせー!」

 

「私も〜!」

 

「…………」

 

 三者三様の返答が返ってくる。銀ちゃんと園子ちゃんは元気よく、須美ちゃんはこくりと頷いて肯定の意を示した。

 

 その後は部屋で何かを書いている安芸さんを呼んで朝食をとった。やっぱり料理は美味かった。頑張れば再現できそうだ。帰ったらやってみよう。

 

 ◇◇◇

 

 俺が帰る準備を終え、荷物を持って外へ向かおうとすると銀ちゃん達と出会った。銀ちゃんにこれから何をするのか聞かれ、帰ることを伝えると、銀ちゃんが驚きを隠せない様子で声を上げる。

 

「えー! 兄ちゃんバス乗らないの⁉︎」

 

「うん、走って帰ろうかなって。重りはつけないけど」

 

「え〜、一緒に帰ろうよ〜。ほら、わっしーも一緒が良いって言ってるよ〜?」

 

「乃木さん! ……でも、一緒に帰りたいのは、本当です……

 

「よし、バスに乗ろう。そうしよう」

 

 園子ちゃんの純粋な甘えと須美ちゃんの上目遣い、最高すぎるな。俺は二人の言葉を聞き終えた後、0コンマ1秒に満たないほどの速さで一緒に帰ることを告げた。

 

「よっしゃ!」

 

 銀ちゃんは歓喜していた。

 

 ◇◇◇

 

 小学生三人は先にバスへ乗っていてもらい、俺と安芸さんは旅館の偉い人に挨拶をしに行った。まさか女将さんが合宿初日に会った女の人だったとは思いもよらなかった。

 

 挨拶はつつがなく終わり、旅館を出てバスに乗り込む。すると銀ちゃんが須美ちゃんにお叱りを受けていた。その理由は遅刻が多いこと、それは良くないなぁ。ただ、銀ちゃんがそんなことを理由もなしにする訳がないよなぁ。というか見るからに何かを隠してるよな。まぁ銀ちゃんのことだから人助けしてるとかだと思うけど。

 

 安芸さんがバスに乗り、席に座る。そしてバスは大橋市へと走り出す。さらば故郷、また会う日まで。ふと気がつくと俺の両脇に軽い重みが乗っていた。須美ちゃんと銀ちゃんだった。そして俺の膝の上に座っていた園子ちゃんも、どうやら寝てしまったようだ。

 

「……やっぱり疲れちゃったか」

 

 三人はすやすやと眠っている。俺はそれを見て微笑を浮かべていた。

 

 ……さて、どうしよう。俺も寝るかなぁ。よし寝よう。そう決めた俺は直ぐに意識を手放した。

 

 ◇◇◇

 

 目が覚めると、神樹館まであと数分といったところまで来ていた。三人は未だに眠っている。そしてそのまま神樹館へと到着した。俺は三人を抱えてバスを降りた。起きる気配は微塵もない。

 

安芸さん、俺、三人を届けてそのまま帰ります

 

……分かったわ、頼むわね。それと、お疲れ様

 

はい、お疲れ様でした。それでは

 

 安芸さんと別れ、俺は歩きだす。

 

「えーと、ここから一番近いのは園子ちゃんの家だな。園子ちゃんの家に行って、須美ちゃんの家に行って、最後に銀ちゃんの家だな」

 

 ルートを決め、歩いて行く。三人を無事に届け終えた俺は家に着いた。玄関を開け、家に入ると異様に静かなことに気がついた。父さんと母さんは出掛けているのかな。そう考えながらドアを開け、リビングへと入る。すると、

 

「「おかえりー!」」

 

 大きな声で笑顔を浮かべながら二人が言ってくる。俺はそれを見て、笑みが浮かぶ。そして俺も大きな声で、

 

「ただいま!」

 

 と、そう言うのだった。




文章整形とやらをやってみたら心なしか綺麗に見えました。
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