祝、UA5000回突破!嬉しいっす。
前回の話を修正しました。銀ちゃんが着てたのドレスじゃなくてワンピースだよなって。
「おおっ、いいじゃん須美! アイドルだってなれるぞ!」
「私ファン1号になるよ〜!」
「兄ちゃん! 須美のこの格好に感想プリーズ!」
「かわいい!」
「に、兄さん!?」
やべぇって、須美ちゃんにピンクめっちゃ合うじゃん。首元のリボンもイイ! ……顔が少し曇ってるのは気になったけど、鏡に映る自分を見つめてときめいていたから多分楽しめてるだろう。
須美ちゃんを見つめ満足げに頷いていると、須美ちゃんの号令がかかる。
「そのっち、銀?」
「もっちろん!」
「分かってるんよ〜!」
寒気が走る。これから恐ろしいことが起こると俺の感覚が騒ぐ。ま、まぁ別に、予感が当たる訳じゃないんだから、大丈夫だろう。あー、怖かった。よし、脱出しようそうしよう。
「おに〜ちゃん? 逃さないんよ〜」
「えっ」
園子ちゃんはそう言うと、満面の笑みで唯一の出口を塞ぐ。
「兄ちゃんも着替えるべきだよな! ファッションショー開かないと!」
「えっえっ」
目を爛々と輝かせた銀ちゃんが手をわきわきと動かしながら距離を詰めてくる。
「ふふふふふ、さぁ、観念してくださいね。兄さん」
「えぇ……」
須美ちゃんは黒い笑みを浮かべながらにじり寄ってくる。手には何やらたくさんの布がある。……十二単だアレ!? なんであるの!? てか重くないの!? 小学生には重いと思うんだけど!?
俺は多分どう足掻いても逃げられないことを悟り、諦め、そして覚悟を決めた。
「女装なのかぁ……」
たった一つ、嘆きを残して。
◇◇◇
「こ、これは……やばいな、須美!」
「ええ、写真に収めなくちゃ!」
「想像以上に似合ってるんよ〜!」
アタシ達は兄ちゃんのファッションショーを開いた。それもただのファッションショーじゃなく、女装だ。アタシは普通の服でも良かったんだけど、須美と園子に従って良かった。半端なく似合ってる。最初に兄ちゃんに着せたのは兄ちゃんの高校の制服で、スカートの丈が短くって驚いた。
兄ちゃんは女顔みたいで、赤色の短い髪がボーイッシュな女の子っぽい。……アタシに近い感じの格好だ。兄ちゃんからしたら災難かもしれないけど、見てて悪い気はしないな。
「足を軽く開いて、少し内股気味で。それから右手を前に出してピースをして欲しいんよ〜」
「……はい」
園子の指示に従ってポーズを取る兄ちゃん。ビシッと決まったはずなのに何かしっくりこない。何が足りないんだろう。アタシはその違和感の正体に気がついたから、つい言ってしまった。
「兄ちゃん、笑顔笑顔!」
「……」
「良いわ! これは逸材ね!」
「」
アタシの言葉を聞いた兄ちゃんは、鏡を一瞬見て自分の姿を確認し、その姿にバッチリと似合う無邪気な笑顔を浮かべた。それを見た須美は鼻血を出しながらシャッターを切りまくっていた。……今日だけで貧血になっちゃうんじゃないかと心配になった。園子は……、目をキラキラさせながら
あれ、もしかして兄ちゃん意外と乗り気なのか、アタシは次の服を何にするか聞く。
「五衣唐衣裳がいいわ!」
「それなぁに〜?」
「十二単のことよ、平安時代後期に成立した公家女子の正装なの」
「平安時代、紫納言さんのいた時代だっけ?」
「混ざってるんよ〜。紫式部さんと清少納言さんだよ〜」
「あり、そうだっけ。てかさ、平安時代の格好ならアレじゃない? 髪長い方がいいんじゃない?」
「銀、素晴らしい案よ! そのっち!」
「は〜い、これで良い?」
「なんでカツラ持ってるんだよ……」
園子が取り出したのは、黒髪のめちゃ長カツラだった。つーかどこから取り出したんだソレ……。そんなことを考えていると、
「あ、カツラもらうね」
「もう着終わってる!?」
「アリアリアリアリ!」
「こんなのどう?」
「アリアリアリアリ!!!」
着替え終えた兄ちゃんは割とノリノリでカツラを被った。もう受け入れてる!? いやいやいやいや、流石に兄ちゃんといえど女装を受け入れるの早すぎないか!?
アタシが混乱しているのを見た兄ちゃんが言った。
「銀ちゃん、受け入れた方が気が楽になるんだよ」
そう言った兄ちゃんの顔は多分一生忘れないと思う。だって、あんな全部を諦めた顔の兄ちゃんは初めて見たから。
その後も兄ちゃんは着せ替え人形になっていた。物語の中のお嬢様みたいな格好だったり、バニーガールだったり、色々な服を着せられていた。
兄ちゃんも混乱してたんだろう。めちゃくちゃノリノリだった。
◇◇◇
「知ってる天井だ……」
どうやら俺は疲れていたのだろう、いつのまにか寝ているとは。
白い天井を見ながら今日あったことを思い出す。日記に書くために。
「今日は、銀ちゃんと須美ちゃんのファッションショーを見たんだよな。でも、それ以降の記憶は一切ない……」
「うーん、謎だな」
いくら考えても答えは出てこない。仕方ない、諦めるか。
ふと時計を見ると、もう深夜だった。今起きたばかりでもう一度眠るのは流石に無理だ。
「うん、風呂行こ」
俺はベッドから起き上がり、重い身体に鞭打って風呂へと向かった。
浴場の鏡を見て、何故か内股気味になっていることに気づいたのは、また別のお話……
執筆遅すぎwww