結城勇太は勇者である   作:モンハン太郎ゆゆゆスキー

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第二話 結城勇太の平和な日常。

 俺が養子になってはやニ年、こっちでの生活にやっと慣れてきた。新しい高校では、親友と呼べる奴も出来たしな。お、ウワサをすれば親友が来たな。

 

「よ、春信」

 

「よう、勇太」

 

 親友の名前は三好春信。超がつくほど優秀な奴だ。だが、シスコンなのだ。ハイスペ残念イケメンというやつだ。

 

「なぁ、聞いてくれよ勇太ぁ! 夏凛ちゃんとあんま会話出来なくなって来てるんだよ〜……これも偏にクソ両親のせいだ! 夏凛ちゃんをもっと認めろー!」

 

「大変だな、三好スコン春信」

 

「三好とシスコンをくっつけるなよ! つーかシスコンじゃねーし?」

 

「いや、それは無理あるだろ……ま、お前が認めてあげたら良いんじゃねーの?」

 

「そうしたいんだけどさ〜、拒絶されそうで怖い」

 

「ビビリが」

 

「……クソッ、なんも言い返せねぇ。あ、お前さ、今度ウチ来いよ」

 

「……は?」

 

「夏凛ちゃんにお前を紹介したくてな。あと、親父にお前の話しをしたら、今度連れて来いって言ってたからな」

 

「お前……何を話しやがった?」

 

「俺とタメを張れるくらいの天才がいるっていうくらい」

 

「はぁ……んで、いつ行くんだよ」

 

「次の土曜?」

 

「ん、了解。んじゃその日は空けとくわ」

 

「ありがとな。相棒」

 

「うどん三杯で手を打とう」

 

「肉ぶっかけな。OK」

 

「おう、正解」

 

 チャイムの音が鳴る。朝のHRの時間の始まりだ。

 

「あ、もうこんな時間か。んじゃ、また来るわ」

 

「はいよ。後でな」

 

 そう言って自分の教室へと向かう春信の背を見て、俺も自分の席へ戻る。そしてHRが終わり、授業を受け、休み時間毎に来る春信と談笑していた。四限目が終わり、昼メシ時になった。

 

「勇太って今日は弁当か?」

 

「いや、違うけど?」

 

「そうか。なら借りを少しずつ返済させてもらおう……」

 

 クックック……と悪い笑みを浮かべる春信を見て、楽しそうだなコイツと思い、二人で学食へ向かう。

 

「春信、お前は何食うんだ?」

 

「煮干しうどん一択」

 

「それ美味いか?」

 

「美味いぞ。それに煮干しは!」

 

「完全食、だろ? 分かってんだよ」

 

「お前も煮干しの一部となるのだ」

 

「うわー、煮干し教教祖にオソワレルー」

 

「棒読みが過ぎねぇか……? まぁ良いや、ほら、並ぶぞ!」

 

「うーす」

 

 ◇◇◇

 

「いやー、食った食った」

 

「煮干しうどんは至高。はっきり分かる」

 

「出たな怪人煮干し仮面。正義の味方、勇者大盛り肉ぶっかけうどん大根おろしトッピングが成敗してくれる!」

 

「語呂悪ッ! あと勇者の名前どうにかならなかったのかよ……」

 

「お前が三好スコン春信だから仕方ないね」

 

「俺のせいかよ⁉︎」

 

「あ、煮干シスコン春信か」

 

「俺の苗字が⁉︎」

 

 そんな風にふざけていたら、もうすぐ授業が始まる時間になっていた。俺と春信はまた別れ、残った授業をこなして帰路についた。

 

「あー、疲れた。早く帰って風呂と飯を済ませて鍛錬と洒落込もう……」

 

「前から気になってたんだが、鍛錬って何やってるんだ?」

 

 特に隠すようなものじゃないし、教えても良いか。あ、なんなら春信にもウチの武術を習わせるか? 少し考え、言葉に出す。

 

「養子になる前に父親から教えてもらってた武術だよ。お前もやってみるか?」

 

「え、良いのか? そういうのって、門外不出なんじゃないのか?」

 

「……しらね、つーか誰かに教えちゃダメなんて言われたことねーし?」

 

 まぁ当然、聞いたことも無いけどな。門外不出ならそれを教えなかった父さんが悪い。うん、俺は悪くない。QED! 

 

「今度ウチ来いよ。そん時に教えてやるよ。あと、今の父さん達にお前を紹介したいしな!」

 

「おう、今度誘ってくれよ。んじゃ勇太、またな!」

 

「お、そんじゃあ春信、またな!」

 

 別れの挨拶を告げ、俺と春信はそれぞれの家に向かい、歩き始めた。

 

 ◇◇◇

 

「……御役目、ねぇ。結局のところ何をすりゃあいいんだろ」

 

 このニ年間ずっと考えてきた疑問をボソっと口にする。だが、誰もいないのだから答えが返ってくるわけがない。大赦から支給されたこのスマホも別に普通のスマホだしなぁ。

 

「まぁ、時が来りゃ分かるか。……よし! 早く帰ろう!」

 

 いくら考えても答えの出ない疑問を考える時間は無駄だなと判断した俺は思考を放棄して、高嶋家に向かい走り出した。

 

 高嶋家に着いた俺は驚愕することになった。リビングにオシャンティー仮面が出没していたからだ。あの見た目だったら小さい子泣くんじゃねぇのかな。まぁ、無視して部屋に行くなんてことは到底出来なそうなので、俺は意を決して仮面の人に話しかける。

 

「……御役目の件ですか?」

 

「流石です。高嶋勇太様、御役目の説明をさせていただきに参りました」

 

「やっと話して頂けるんですか」

 

「そのことについては謝罪を、御役目の説明が遅くなってしまい、大変申し訳ございませんでした」

 

「……お気になさらず。とりあえず、話して下さい」

 

「かしこまりました」

 

 ◇◇◇

 

 大赦の仮面から話しを聞いた後、俺は自室のベッドに身を預けていた。

 

「……御役目って命懸けなんだな。だから鍛錬をしておけって仮面の女の人は言ってたのか」

 

 大赦の仮面から聞いた話しをまとめると、俺はどうやら神樹様によって【勇者】とやらに選ばれたらしい。そしてその勇者というのは、四国を守る壁の外から侵略してくる敵、【バーテックス】を倒すという使命を果たさなければならないらしい。それが御役目の内容だった。勇者には、神樹様に選ばれた者しかなれないそうだ。中学生までは喜んだかもしれないが、もう俺は高校生だ。現実的に考えたら、

 

「正直言って、ただの高校生には無理だろぉ……」

 

 俺の小さなボヤキは、誰にも聞かれることはなく、部屋の宵闇に吸い込まれていった。

 




七月十二日、本文の内容を少し修正しました。
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