結城勇太は勇者である   作:モンハン太郎ゆゆゆスキー

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第二十話 国を守る者達

「国を護れと人が呼ぶ……」

 

 紺色の軍服に身を包んだ少女が呟くように謂う。

 

「愛を護れと叫んでる〜!」

 

 カーキ色の軍服に身を包んだ少女が叫ぶ。

 

「憂国の戦士、国防仮面ッ!」

 

 真紅の軍服に身を包んだ少女が笑みを浮かべながら云う。

 

「「「見参!!」」」

 

 三人が声を揃えてポーズを決める。

 

 ……さて、妹たちが護国思想に染まりました。どうすれば良いですか? 

 

「へへ、兄ちゃんどうだった!?」

 

「すごく驚いたよ」

 

「大成功だね〜」

 

「完璧だったわ! そのっち! 銀!」

 

「えっと、この国防仮面を一年生とのレクでやるの?」

 

「そうだよ〜」

 

 すごくカッコよかったし、一年生へのウケも良いと思うんだけど……うーん、なんだろう、不安。安芸さんに怒られないかなぁ……? 

 

 ……まぁ、楽しそうだし良いか! それに、そこまでは怒られないでしょ。昔、家庭科準備室を勝手に使ってたけど怒られなかったし! ……バレてた筈なのになんで怒られなかったんだろう? 

 

「というわけで、兄さんにも国防仮面になってもらいます!」

 

「えっ?」

 

 須美ちゃんの言葉に困惑する。その衣装自作だよね? なんで俺のあるの? そんなことを言おうとすると、銀ちゃんと園子ちゃんに両腕を掴まれて隣の部屋へと連れ込まれた。ちなみに二人は俺をこの部屋に置いて須美ちゃんのいる部屋に戻っていった。

 

「完成度高いなぁ……。よくここまで作り込んだね」

 

 俺の前にあった衣装は、白地に桜の刺繍があしらわれた軍服と、淡いピンク色の軍帽、目元を隠す赤い仮面、軍帽と同じ色のマント、そして日本刀(模造刀)の五つだった。

 

「刺繍細かいな……器用すぎない?」

 

 さらっと袖を通す。なんでだろう、園子ちゃんの家で着替えると言いようのない不安に襲われる。背筋に冷たいものが走る。……考えない方が良さそうだな。うん、そうしよう。

 

「……んしょ、こんな感じかな?」

 

 マントをつけ、軍帽を被る。鏡を見てみると、そこには国防仮面がいた。

 

「自分で言うのも何だけど、似合いすぎじゃない……?」

 

 腰に刀を差すと、どうやらスイッチが入ったらしい。須美ちゃんたちが言っていた名乗り口上を思い浮かべる。

 

 そして襖を勢いよく開き、ノリノリでその口上を述べる。

 

「国を護れと人が呼ぶ……」

 

 軍帽の鍔を持ち深く被った状態で、目を閉じて立つ。足は肩幅に開き、鍔を持っていない左手を腰の後ろに。

 

「愛を守れと叫んでるッ!」

 

 ポーズは変えず、力強く叫ぶ。

 

「憂国の戦士、国防仮面」

 

 ゆったりとした動作で腰の刀を持つ。

 

「見……参ッ……!」

 

 スラリと刀を抜き、切り払うように振る。

 

「流石おに〜ちゃん、予想を遥かに超えてきたんよ〜!」

 

「これが大和男子……!」

 

「スゲー! 御免ライダーみたい!」

 

 なかなか良いな、この格好。純粋にカッコいいし、うん、気に入った。なんでサイズがピッタリなのかはちょっと気になったけど、まぁ良いか。三人とも気に入ってくれたみたいだし。

 

「最高なんよ〜! 夢で見た姿そのもので、完璧なんよ〜!」

 

「兄さん! これから私と共に国防に励みましょう!」

 

 須美ちゃんと園子ちゃんの熱量がすごいなぁ。火傷しそうなくらい熱々だよ。銀ちゃんは落ち着いてる……ように見えたけど違う! なんかプルプルしてる! あっ、目が、須美ちゃんたちに引けを取らないくらい輝いてる! 椎茸の飾り切りみたいな光が見えるなぁ。

 

 ……なんでだろう、喜んでもらえるのは凄く嬉しいんだけど、やっぱりなんだか背筋が凍るんだよなぁ。

 

 くぅ、と可愛らしい音が鳴った。

 

「あ、そろそろ昼時だね」

 

「あら、銀。可愛らしい音ね?」

 

「ミノさんかわい〜」

 

「やめてよぉ……」

 

 にやにやと悪い笑みを浮かべる須美ちゃんに園子ちゃん。銀ちゃんは手で顔を覆っていた。耳まで真っ赤にして手で顔を覆ってるの可愛すぎるんだけど。くっ……撫でたい衝動に駆られる……! 

 

「お昼ご飯どうしよっか〜?」

 

「そうね……特に考えてなかったわね……」

 

「うぅ……イネス行く……?」

 

「イネスはちょっと遠いんよ〜……」

 

「それじゃあ、軽くうどんでも作ろうか」

 

 三人がピシッと固まる。え、そんな驚く?こんなこともあろうかと、材料を色々買ってからここに来たんだ。……まぁ、主に買ってきたものはトッピングなんだけどね。

 

「えっ、兄ちゃん料理出来るの!?」

 

「凄く上手いってわけじゃないけど、それなりには出来るよ。それじゃ、ちょっと待っててね。キッチン借りるよ」

 

「は、は〜い!」

 

「その前に着替えなきゃダメだな」

 

 俺はさっきの部屋に戻り、国防仮面から高嶋勇太へと戻った。

 

 ◇◇◇

 

 やって来ました、キッチン。そして背後に感じる三つの気配。うん、みんないるねぇ。

 

「さて……一緒に作る?」

 

「うえっ!? バレてる!?」

 

「だ、大丈夫よ銀! ここで息を潜めていれb……」

 

「いいの〜!?」

 

「そのっちー!?」

 

「須美もだいぶデカい声出してるじゃんか……。もうバレバレだし、アタシも参加しよーっと」

 

「銀まで!? うぅぅぅぅ……私もやりますっ!」

 

「うん、それじゃあみんなで作ろうか」

 

「「「はーい!」」」

 

 みんなで作ったうどんはとても美味しくて、三人の笑顔はとても眩しくて、今日のことは絶対に忘れないと心に誓った。

 

 ……こんな平和な日を、早く当たり前にしてあげたいな。バーテックスを倒して、この子たちを絶対に守ってみせる。それは俺にしか出来ないことだから。

 

 ちなみに、国防仮面は安芸さんにしこたま怒られたらしい。……うーん、やっぱりダメだったかぁ。




国防体操めっちゃ好き
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