結城勇太は勇者である   作:モンハン太郎ゆゆゆスキー

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第三話 結城勇太、親友の妹と出会う。

 オシャレ仮面から御役目のことを聞いた俺は、何かが起きるんじゃないかと思って身構えていた。が、そんなことはなく無事親友に変な目で見られて、週末を迎えた俺は今日、その親友たる春信の家にお邪魔している。

 

「いやー、お前の部屋大分片付いてるな」

 

「そうか? 普通だろ」

 

 男子高校生の部屋とは思えないくらい片付いた部屋で、俺は少し驚いた。しかし俺は知っている。俺の親友は、シスコンであるということを。奴のデスクマットの中には妹の写真が三枚入っている。だが、春信がそれしか写真を撮らないだろうか。否、断じて否だ。つまり、春信は妹の写真を隠しているだろう。そして、その写真がどこにあるのかも見当がついた。机の横にある引き出しが、一段だけめちゃくちゃに使い込まれた形跡がある。よってそこにあるだろう。春信がそっぽを向いたその刹那、俺はその引き出しを開けた。

 

「」

 

 俺は絶句した。え、純粋に怖いんだけど。何この引き出し、幼女の写真で埋め尽くされてるんだけど。引き出しの中身を見て、硬直する俺と、硬直した俺を見て硬直する春信。俺たちは何も起きてなかったことにした。うん、気にしたら負けだ。

 

「……俺、夏凛ちゃん連れてくるわ」

 

「お、おう。待ってるわ」

 

 なんともいえない空気に耐えきれなくなった春信は、当初の目的である妹と俺を会わせるということを実行に移す。俺もこの空気をなんとかしたかった為、春信を送り出す。数分後、春信は小6くらいの、妹と同じくらいの歳であろう少女を連れて部屋へ戻ってきた。

 

「待たせたなぁ!」

 

「元気良すぎかよ」

 

「……兄貴、この人が?」

 

「そう、いつも俺が話してる親友。勇太、自己紹介プリーズ」

 

 警戒心バリバリじゃないですかヤダー。まぁ兄貴の友達なんてそんなもんか。初対面だしな。しょうがないしょうがない。なら、わりとフランクにいくか。そう思った直後に、春信が俺に自己紹介をするように言う。

 

「おう、俺は高嶋勇太。君の兄貴の親友だ。よろしくな!」

 

「……三好夏凛」

 

 割といい感じに自己紹介ができたと手応えを感じたが、春信の妹はまだ固い。もう少し距離を詰めるか。俺は一つ春信の妹へ質問をすることにした。

 

「んじゃ、夏凛ちゃんって呼んで良いか?」

 

「好きにして」

 

「了解、よし夏凛ちゃん。遊ぼうぜ!」

 

「何やるんだ? 勇太」

 

「決まってんだろ? 『大激闘アタックブラザーズ』やるぞ!」

 

 ◇◇◇一時間経過◇◇◇

 

 全戦全勝、それが俺の結果だった。最近やってなかったとはいえ、ゲームなら負ける気がしねぇ。そして俺は決め台詞を口にする。

 

「ふっ……またつまらぬものをぶっ飛ばしてしまった……」

 

「やっぱ勇太強くね?」

 

「……もう一回」

 

 いつも俺にボコボコにされている春信が純粋な感想を漏らし、どうやら負けず嫌いらしい夏凛ちゃんが再戦を催促してくる。そこで俺は勝者の余裕をこれでもかと醸し出しながらこう言う。

 

「よし、かかってこい! 何度でも返り討ちにしてやる!」

 

 ◇◇◇また一時間経過◇◇◇

 

「勇太に勝てねぇ……」

 

「それどころか夏凛ちゃんにも勝ててないだろー」

 

「グサッ! 勇太、いくら事実でも言っちゃいけないことはあるんだぜ……?」

 

「お、おう。なんか、すまん」

 

「その憐れみの目やめろォォォ……」

 

「……もう一回!」

 

「二人でかかってきたまえ。捻り潰してくれるわァァ!」

 

「……兄貴!」

 

「やるぞ、夏凛ちゃん。勇太に目に物見せてやる!」

 

 ◇◇◇さらに一時間経過◇◇◇

 

「グハッ……ここまでか……」

 

「勝った……? やったぁ! 勝ったよ! お兄ちゃん!」

 

「よっしゃぁ! 勝ったぁ! 夏凛ちゃん、イェーイ!」

 

「「イェーイ!」」

 

「……///」

 

 夏凛ちゃんはハッとした顔をした後、なんだか恥ずかしそうにしていた。なんでだ。春信の呼び方か? そんなことはいいやと思いながら、俺は話しかける。

 

「ちくせう、負けちまったかー。おめでとう、このアタブラランキング香川県第一位に良く勝てたな」

 

 俺は言ってなかった俺の秘密の一つをサラッとカミングアウトする。すると春信は当然の疑問を口にした。

 

「……お前、最強なのかよ」

 

「まぁな!」

 

「まぁな! じゃねぇよ! ちょっとは手加減しろや!」

 

「最初のうちはしてたぞ?」

 

「あ、そうなん? なら……って良くねえわ!」

 

「でも実際、二人は学習するのが早いぞ。もう少しやり込めば、ランカーにはなれると思う」

 

「最強は言うことが違うねぇ」

 

「うるせ。一対一でアタブラやるか?」

 

「」ガクッ……

 

「あ、春信が事切れた」

 

「兄貴⁉︎」

 

 事切れた春信をベッドに放り投げた俺は、春信から聞いていた夏凛ちゃんが抱えているコンプレックスを無くしてしまおうと、話しかける。ちなみにこのタイミングで夏凛ちゃんと話すことは春信との計画通りだ。

 

「……なぁ、夏凛ちゃん」

 

「何?」

 

「春信のことなんだけどさ、あいつは寂しがりなんだよ。だから、夏凛ちゃんが春信のことを見ててやってくれないかな?」

 

「兄貴のことを……?」

 

「そう、実は俺、これから忙しくなるかもしれなくてさ。だから、春信のことを頼んでもいいかな?」

 

「……うん、分かった。兄貴のことは任せて」

 

「おう、任せた! んじゃ、春信を叩き起こして三人でうどんでも食いに行こうぜ!」

 

「うん!」

 

 春信のことを夏凛ちゃんに頼んだ俺は、昼飯時だったこともあり、食事に夏凛ちゃんを誘った。

 俺は三好兄妹の仲を取り持てたことを良かったと感じた。その理由は、夏凛ちゃんがようやく年相応の笑顔を見せてくれたからだ。これで兄妹仲が悪くなることはないだろう。春信が壁を作らない限り。

 

 まぁ春信に限ってそんなことはしないだろう。そう思いながら、俺は春信の腹部へと軽いチョップを繰り返していた。

 

「……ねぇ、勇太さん」

 

「ん? どうかした?」

 

「……夏凛って呼んでください」

 

「オッケー、分かったよ。夏凛。あと、俺に敬語は使わなくて良いからね」

 

「うん、分かった。勇太兄ちゃん」

 

 親友の妹にちゃん付けじゃなく呼び捨てをしてくれと頼まれる俺、それを了承し俺に対して敬語を使う必要はないと伝えると、何故か兄貴認定された件について。春信が知ったら襲ってきそうだな。

 

 案の定、夏凛が俺のことを兄ちゃんと呼ぶと、起きた春信が俺に襲い掛かってきた。無論、さっくりと撃退した。そして俺たちは、三人でうどん屋へと足を運ぶ。

 

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