結城勇太は勇者である   作:モンハン太郎ゆゆゆスキー

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第七話 結城勇太、祝勝会に誘われる。

 春信と別れ数時間、全ての筐体のランキングで一位を獲得した俺はフードコートで、ソワソワしていた。その理由は、御役目を共に行う三人の少女に祝勝会に誘われたからだ。

 

 事の発端はゲーセンで一位を取りまくっている最中に、NARUKOに来たメッセージだった。そのメッセージは、御役目を無事に遂行出来たことを記念して、祝勝会を開かないかというものだった。もちろん俺は快諾し、待ち合わせに遅れないよう、とっととランキング一位を独占する作業に入った。それから数十分後、クレーンゲームでデカいぬいぐるみやプラモデルなどを乱獲し、今に至る。

 

「……いつも通り取りすぎたなぁ」

 

 考え無しに乱獲した訳ではない、断じて。

 

「あっ! 勇太さ、ん……。なんすか、それ……?」

 

 困惑した声を上げる銀ちゃん。そらそうなるよな。フードコートのテーブルが、上も下も埋まってるんだから。ここで俺、妙案を思いつく。

 

「取っちゃった☆」

 

「めっちゃ取ってますね……」

 

「して、どれが欲しい?」

 

「え、良いんすか⁉︎」

 

「全然良いよ」

 

「ありがとうございます! それじゃあ、うーん……これで!」

 

 そう言って銀ちゃんが選んだのは、御免ライダーのフィギュアだった。俺はここで更なる妙案を思いつく。

 

「これね? おっけー」

 

 俺はそう言ってビニール袋を取り出し、銀ちゃんが選んだフィギュアを袋に入れ、更に二つの御免ライダーフィギュアを袋にぶち込む。

 

「ちょ、勇太さん⁉︎悪いですって!」

 

「良いの良いの、飾る場所無いし」

 

「なんで取ったんですか……。でも、ありがとうございます!」

 

 銀ちゃんを困惑させたものの、無事に荷物の軽量化に成功。うおっ、良い笑顔だ。ありがとう銀ちゃん。さらばだ御免ライダー三人衆。これで少しは軽くなったよ。だが、そんな素振りは見せない。ただの気のいい兄貴になーる! 

 

「どういたしまして。二人もいる?」

 

「そんな、いただく訳には……!」

 

「え〜、いいの〜?」

 

「良いんだぜ☆」

 

「乃木さん!」

 

 銀ちゃんにプレゼントをし、園子ちゃんと須美ちゃんにもプレゼントをしようとする。園子ちゃんは受け取ってくれそうだな。でも、須美ちゃんは断ろうとしてる。園子ちゃんを注意してるしな。

 

 ……ただ、今回乱獲した理由は三人と仲良くなるためだ。特に須美ちゃんとだ。必要のない懸念かもしれないが、須美ちゃんはどうも人を信頼するのが苦手らしい。戦いの最中に、自分がなんとかしないととでも思ってしまったのだろう。今回は無事に終わったものの、この考えを改めないと須美ちゃん自身だけじゃなく、銀ちゃんと園子ちゃんの身をも危険に晒すだろう。

 

 俺が仲良くなることで、人を信頼できるようになるきっかけになればと思って乱獲したんだ。古今東西、仲良くなるにはプレゼントを使うのは良い手だからな。ま、お節介かもしれないけどな。

 

 だからこそ、受け取ってもらわなければ。俺は須美ちゃんを宥めつつ、どれが欲しいのかをさりげなく聞く。

 

「まあまあ須美ちゃん、どれが欲しい?」

 

「……いえ、大丈夫です」

 

 あ、ちょっと欲しくなってきたな。チラチラと景品を見てる。他の二人が貰っているの(一人はまだ選んでる最中)を見て自分も欲しくなったのだろうか。しかし、意志が固い。欲しくなってはきたものの、自分からは言い出せないのだろう。だから俺は受け取ってくれるであろう言い方で話す。

 

「そっか、なら、俺を助ける為に貰ってくれない?」

 

「勇太さんの為……?」

 

 須美ちゃんは困惑している。多分、なんで貰うことが俺の為になるのかが分かってないな。

 

「そう、俺の為。いやー、これらを持って帰った場合、俺の部屋がめちゃくちゃにメルヘンになっちゃうんだよ」

 

「ブフッ」

 

 吹き出す銀ちゃん。でもさ、もう俺の部屋ぬいぐるみとかいっぱいあるんだよね。しかも部屋の半分くらいはぬいぐるみ達に占拠されてるんだよ。

 

「という訳で、貰ってくれない?」

 

 こうやって、プレゼントの受け取りをお願いするように言えば、きっと貰ってくれるだろう。そう思った俺は正しかった。

 

「……! それなら、これをいただけますか?」

 

「良いよ〜、何を選んだのかな?」

 

 須美ちゃんが指し示すものを見た俺はめちゃくちゃに困惑した。何故なら、須美ちゃんが選んだものが、西暦時代の軍艦だったからだ。選ばれたのは、大きなウサギではなく、軍艦でした。確か……『翔鶴』とかそんな感じだった気がする。

 

「それで良いの?」

 

「はい!」

 

「戦艦好きなんだ?」

 

「はい! 我が国を守るために戦い抜いた人類の叡智……!」

 

「そのシリーズなら、開けてすらいないのが家にあるから今度あげるよ。確か……『瑞鶴』だったかな?」

 

「本当ですか⁉︎」

 

「あげるよ。置く場所ないからね」

 

「ありがとうございます!」

 

 このプレゼントで少しでも距離が縮まれば良いんだけど、上手くいくかな。ま、それは後々なんとかなるだろう。さてさて、選び途中の園子ちゃんはっと。

 

「はい、どういたしまして。園子ちゃんは決まった?」

 

「これにするんよ〜」

 

「…………?」

 

 そう言って選ばれたのは、ネコっぽい枕的なものだった。それを見た俺はかなり困惑した。だって、俺、そんなの取った覚えないんだよなぁ。でもここにあるってことは取ったんだろうなぁ。

 

 少しの間動きが停止した俺を見た園子ちゃんが心配そうに聞いてくる。

 

「ダメ、だった?」

 

「そんなことは無いよ。いや、デカウサギが売れ残るとは思ってもみなかったからさ」

 

「あー、確かにそうですね。置く場所あるんですか?」

 

 最も大きい景品のウサギが売れ残ったことに驚いたと言い訳を述べると、銀ちゃんが会話に入ってきた。

 

 置く場所か、無いな。どうしようか。

 

「んー、あ、良いことを思いついた」

 

「すごく悪いことを企んでいるような顔なのですが……」

 

「親友に投げつけるとするよ」

 

「お友達に投げつけるの〜?」

 

「そう、仲が良い友達にね。そいつには妹がいるし丁度良いかなって。よし、そうと決まれば帰りがけに家に寄って行こ」

 

「いや、投げつけちゃダメじゃないすか?」

 

 悪い笑みを浮かべる俺を見て、三人は苦笑を浮かべていた。

 

 さて、ここからは気のいい兄貴ではなく頼れる兄貴となろう。祝勝会で俺がやるべきことは、三人が仲良くなれるようにすることと、須美ちゃんの考えを少しばかり、変えることだからな。

 




ただただ勇太くんがプレゼントしただけの会になっちまった…。というわけで、次回も祝勝会でーす。

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